五百年の約束   作:シバヤ

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第20話

 

なんとか祟り神を足止め出来ているが、こいつら俺を無視してムラサメたちの方に行こうとしてやがる

やっぱり目的は憑代か

こちらから攻撃すれば防御のために反撃され、それでこっちに注意を引き付けつつ戦っているが、それでは体力が持たない

 

「チッ、あまり使いたくないが……光よ!」

 

神力を光に変え、放出し目くらましとする

1回で使う時に体力を持ってかれるからあまり使いたくないが、祟り神をまとめて引き止めるには1番使えてる

……が、このままでは突破されるか

 

「女神様から託された神力……今しかできない2つ目の力を使うか」

 

都牟刈村の担い手は2種類の効果を得ることができる

1つ目は相手の動き、危機を事前に見れる未来予知

これは担い手なら誰もが使える身を守るためのもの

2つ目は想いの力がより強く、神力が刀身より溢れ出るほどか、今みたいに借り物でもいいから通常よりも多くの神力を持っている場合でしか使えない

それは担い手自身に神力を宿し、身体能力、反射速度、などを限界よりも引き出すもの

 

「女神様の力……使わせていただきます」

 

都牟刈村と玉石から神力を身体の方に回す

そして俺の身体が淡い光に包まれる

それをさせまいと祟り神が向かってくるが、未来予知を見た瞬間、祟り神を断ち斬っていた

いつもなら予知を見て、その後に動くというのに見えた瞬間には行動できるほど反射速度が上がるとは……

その後も祟り神の群れを斬り──

 

「こいつで終わりだぁ!」

 

最後の1匹を斬り裂いた

これであとは欠片を回収して、みんなと合流すれば……そんなっ、欠片が少なすぎる!?

何体かは見逃してしまってたが、そいつらが欠片を取り込んでいたってことか!?

とりあえず落ちてるものだけでも回収して、みんなのところに向かわなければ!

だが、駆け出した時──

 

「──ッ!?」

 

その場に跪いてしまった

少しだけど足が動かなかった

これが人体に神力を宿した代償ってことか?

今晩で全てが片付くかもしれないんだ。もう少しだけもってくれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気配を頼りつつ走っていたが、もう1つ嫌な気配があることに気がついた

それはさっきの祟り神と同じものであったが、より増幅してるのもわかった

姿が見えたと思ったら、将臣が狼型の祟り神によって吹き飛ばされ、追い討ちをかけられ寸前

 

「間に合えっ!」

 

力を振り絞り地面を思いっきり蹴って、なんとか都牟刈村で防ぐことができた

 

「すまない。なんとか間に合ったが遅れてしまったな」

「く、久遠!無事だったのか!」

「なんとかな。とりあえず下がれ、立て直すぞ」

 

将臣は身体を起こし、後ろに戻ったのを確認して俺も後ろに下がる

 

「あ、有地さん!?大丈夫ですか?」

「なんとか久遠が止めてくれたから!それより今のは!?」

「前脚です!前脚で吹き飛ばされて……爪で引き裂こうとするように」

「姿形が変わったと思ったら、攻撃方法も増えやがったのか」

 

どうやら食らってた最初の1発は見えてなかったようだな

ということは、俺が攻守共にやるしかないか

 

『久遠、なぜ神力を纏っておるのだ!?それは人体に影響があるって知っておるだろ!』

「わかっててやってるさ。でもそうでもしないと打破できない状況だったんだ」

 

それにアイツに太刀打ちするんだったらこの力は必要不可欠

もしも女神様の力がなければ耐えきれず吹っ飛ばされてたはずだ

 

「貴様……なぜその力を持っている」

「はっ、とうとう喋れるようにまでなっちまったか」

「祟り神の言葉がわかるのですか?」

「何を仰って、ハッキリと喋って……いや、俺だけが聞こえるのか」

 

物の声が聞こえる俺の体質に、神力の力で増幅されているんだ

祟り神の声ぐらい聞こえても不思議じゃない

 

「姉君の……姉君の気配を感じる。貴様何をした」

「この力は女神様から貸してもらった。俺は何もしていない」

 

と言ってもこいつには届きそうもない

伏せるように頭を低くした……動き出すつもりか

 

「戯言を言うなぁ!」

「ちぃっ!」

 

尻尾による激しい攻撃

受け止めたが、手が痺れるほど強烈だ

 

「貴様らも同じで、姉君を利用するつもりかぁ!」

「そんな事、するわけねぇだろ!」

 

祟り神からくる攻撃を全て受け止め、はじき返すが一撃が強く重すぎる

それに神力の力も弱まってきた気がする

もうそんなに長くは持たないか……!

 

「憎い……!人が、貴様らが憎い!」

「……そうだろうな。今まで俺たちを守ってきた貴方たちに酷いことをしたんだ。決して許されることではない。だけどな!お前の姉君が、女神様がこんなことを望んでると思ってるのか!」

「黙れぇぇ!」

 

俺の説得じゃ無理か!

逆に女神様の力があるからか逆効果になっちまってる!

さっきまでよりも強い一撃がきて──

 

「──ぐぁっ!」

 

ついに吹き飛ばされた

今までと桁違いだろこれ

 

「1人で戦おうとするな!」

「だがあの姿は今までとは違う……将臣たちでは……」

「予備動作が見えた。起こりはハッキリ見えるから何とかいけると思う」

「……なら攻撃は全部防ぎ、隙を作ってやる。だから代わりに終止符を打ってくれ」

「ああ!」

 

祟り神が動き出すと同時に俺も動き出す

ほんの少しの、一瞬でいいから隙を作らなければ

そのためにはみんなの力を借りなければ!

 

「巫女姫様!常陸さん!尻尾を止めるから鉾鈴とクナイを!」

「はいっ!」

「わかりました!」

 

空気を引き裂くような鋭い尻尾の一撃が俺目掛けてくる

刀で受け止め、瞬時に神力を増幅し、手首を返し上から叩き伏せる

 

「今だっ!」

 

俺の合図と同時に2人が動き出し、鉾鈴とクナイを尻尾に突き立て、地面に縫い付ける

この一瞬の隙にさらに攻める

前脚を都牟刈村で封じ、全体の動きを止める

 

「将臣!」

『ご主人!』

 

俺たちが言うよりも先に飛び出していた

尻尾は縫い付けられ、前脚は封じている

なら残す攻撃は1つしかない

 

「ガウッ!」

「噛みつきだよな!」

 

起こりがちゃんと見えている将臣は、身体を捻ってさらに一歩、身体を滑りこませる

そして叢雨丸の切っ先を突き立て、その喉笛を貫いた

 

「ガアアアアアア!?」

 

祟り神は激しく苦しみを訴えるかのように雄叫びをあげる

将臣は叢雨丸をさらに押し込み貫いたが、その傷口から泥のような穢れが溢れ出した

 

「ここに来てまだ抵抗するか!」

 

助けるために近づこうとしたが、足が動かない

俺の方は時間切れだっていうのか

あとは……将臣に全てかけるしかない!

 

「このっ……いい加減しつこいんだよぉぉぉぉっ!!!」

 

叫びながら叢雨丸をさらに深くねじ込んだ

その瞬間、今までとは比べ物にならないほど濃縮された穢れの黒い霧が、猛り狂うような勢いで山の中に吹き荒れ、収まったときには大きな憑代の欠片が落ちてた

 

「力が玉石に戻っていく……ありがとうございました」

 

今日はこの玉石が、女神様の力がなければ俺は死んでたか穢れに飲み込まれていたのかもしれない

 

「でもこれで終わったんだな……」

 

力が抜け、その場に倒れてしまった

さすがにつっかれたぁ……

 

「久遠!」

「悪い、無傷って約束したけど傷だらけだよ」

「馬鹿者、無事ならそれで何よりだ……」

「ところで憑代はどうなってる?悪いけど身体が動かせれないから確認できないんだよ」

「それなら今芳乃が1つにしておる」

 

そうムラサメが言った途端、白い輝きを放ったのがわかった

犬神の姿をしたやつを倒したんだ。憑代は元の形になるはず……

 

「……あれ?あれぇぇぇぇぇぇ!?」

 

まだ何か問題があったのか

でも俺は今日はもう動くことはできないぞ……

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