五百年の約束   作:シバヤ

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お久しぶりです
前回の投稿からだいぶ経ってしまいました

ちょっとスランプ気味でなかなか話が思いつかず苦戦していました
これからもいい話が描けるよう頑張りますのでお付き合いお願いします


第21話

 

昨日ぶっ倒れるくらい疲れたってのに昨日の朝と同じぐらい快調だ

女神様の力のおかげで回復力まで高まったのはわかるが本当に凄い

でも土地神だしそういう効果があっても不思議ではないな

 

「……よし」

 

朝早いけど神社に向かうとするか

それは俺がぶっ倒れた直後、将臣の叫びが原因

お祓いは無事完了し、憑代も完成したと思ったけど、一箇所だけ欠片が埋まってなかった

大きさ的にもあと一個だろうし、最後の一個はもうどこにあるか検討はつく

 

「ごめんください」

「やあ久遠君。もう芳乃たちは準備を始めてるよ」

「そうですか。早朝だというのにすみません」

「そんな、謝ることじゃないよ。むしろ僕からお礼を言いたいほどだ」

「俺は何も……みんなの頑張りがあったからこそです」

「でも君だって過去のものを背負って頑張ってきたんだ。お礼を言われる権利がある。さて、立ち話もそろそろ終わらないとね。僕が芳乃に怒られちゃう」

「それは大変だ。では俺は巫女姫様たちのところに向かいます」

 

安晴様に一礼し、神社の中に向かう

中には巫女姫様、常陸さんの2人がいた

 

「おはようございます。遅くなって申し訳ありません」

「操真君、おはようございます。本当にお身体は大丈夫なのですか?かなり疲労が溜まってると思うのですが……」

「ええ。昨日の通り、回復が速くて。今朝にはもう万全です」

 

何しろ昨日倒れた後、身体が起き上がらないほど力が出なかったというのに、数分もしたら歩けるほどにまでなっていた

それくらいだと思ってたら一晩寝たら完全に回復してたからな

 

「ムラサメ様は自分のお力だけで十分と仰ってましたが」

「俺は大丈夫ですから。それにより確実にするためにはやり遂げないと」

 

都牟刈村を鞘から抜き取る

結界をも断ち切る力を持っているが、コントロールさえすれば逆に力を増幅することができる

意識を集中、玉石が輝きだす

 

「月の光よ。その力を俺に」

 

玉石に宿ってる神力を俺に流し、その力でこの部屋に満ちている神力をさらに増幅させる

ぐっ……やっぱり女神様の力を使うのはキツいな……

 

「……はぁ……とりあえず、俺にできるのはここまでです」

「神力が部屋に満ちてるのがわかります……」

「ワタシでもはっきりと感じれますよ」

「少しだけってのに結構疲れたな。そういえば、ムラサメはどうしたんですか?」

「ムラサメ様なら今有地さんを呼びに向かってますよ」

 

そっか。なら準備は俺だけってことだったのか

ともあれ、俺も準備は終わり後は考えが正しく、憑代が完成するのを待つだけだ

……もう少しで神様とご先祖様たちから始まってしまい、今に至るこの呪いに終わりを告げることができるのか……

 

「ムラサメ様、準備は整ってます」

 

おっと、ムラサメがきたのか

将臣に、レナさんまでいる

 

「準備?」

「そもそも、神社で一体何をするつもりなんだ?」

「言ったであろう?欠片の回収だと。そもそも吾輩はずっと不思議だったのだ。何故吾輩に触れることができるのか、何故ご主人まで欠片に意識が引き寄せられるのか。それに、憑代が信号を発した理由もな」

 

この3点から、俺とムラサメは1つの答えにたどり着き、今日はその答えを出すためのものでもある

 

「……俺が理由って言いたいのか?」

「ご主人の呼びかけに憑代が答えた。普通ではありえぬ話だ」

「だが、そうなった……つまり、どういうこと?」

「簡単に説明するとな将臣。お前の中に最後の欠片があるってことだ」

 

そう、憑代の最後の欠片は将臣の身体の中にある

これはレナさんが欠片を渡した時に予想していた

将臣とレナさんは似た気配を持っていた

でも似ているが、違う。そこで引っかかっていたが、レナさんは欠片を外側に所持、将臣は内側に所持しているため気配が似ていて違ってたんだ

 

「は……?俺の中って……なんで、そんなことに?」

「有地さん以前、川で溺れて水を飲んだと言っていましたよね?」

「……ああ、うん……その時に偶然飲み込んだのか……?でもそんなの、どうやって回収するんだ?手術……とは言わないよな?」

「欠片は肉体ではなく、魂に取り込まれておる。とはいえ異質な存在だ。完全に融合しておるわけではない」

 

俺は智之様との魂と融合、一つになってはいる

けれどそれは異質な存在ではなく、俺自身が生まれ変わりでほとんど同質ということもあり、偶然を偶然で重ねた奇跡によって出来たものと俺は考えてる

何せ俺が生まれてくるまでの操真家の人は何代といたが、生まれ変わりが出てきたことは1度もなかったから

 

「ここまで揃った憑代があれば、ご主人が語りかければ勝手に剥がれるであろうよ」

「語りかけるって……元に戻れって思うだけでいいのか?」

「うむ。強く気持ちをぶつければよい。そのための準備も整えておるしな」

「そういえばさっき、朝武さんが準備は整っているって言ってたね」

「はい。ムラサメ様に言われて、舞を奉納したんです」

「この部屋は今、穢れが祓われ、吾輩と久遠の力で神力を濃くし、より剥がれやすくしておる」

 

そう言ったムラサメはこっちを振り返って、ニコッと笑った

……まあ、全てお見通しなわけだよな

 

「それでは、有地さん」

「頑張って下さい、マサオミ」

「あ、ああ、うん」

 

将臣は常陸さんから憑代を渡される

そのまま目を閉じ、憑代に意識を集中させる

俺の考えがあってればこれで憑代は完成する

余程のことがない限りは間違いはないと思うが……

 

「──熱ッ!?」

 

将臣が声を上げたら、憑代が白く光っていた

そう、その光はこの玉石と全く同じ輝きをしていた

 

「……これで1つ目の目的が達成か」

 

俺が成すべき目的のひとつ

朝武家の呪いを解くこと……いや、まだ解けてはいないと思うが、憑代の欠片はひとつになったんだ。これからは確実に良い方向に進んでいくだろう

 

「これで……呪詛は解けたのか……?」

「絶対とは言えん。憑代を集めれば、というのは吾輩の推論だからな。まだしばらくは様子を見る必要があるであろうが……おそらくは大丈夫だ。あとは、この憑代を安晴に言って祀ってもらえらばよい。さすれば、呪詛として使われていた力も、加護として使われるであろう」

「わ、私、お父さんを呼んできますね!」

 

巫女姫様が急いで呼びに行った

そんな巫女姫様の姿を見るのは珍しいが、こんな状況なんだ。気持ちはわかる

それに呪詛の力も加護に変わるってなると、女神様に託された約束もなんとか果たせそうだな

弟で同じ土地神様を頼まれた時は勢いで流してしまったが、上手くやれてよかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで、祈祷はおしまいだ。これから毎日、祈祷を行うので安心して欲しい」

 

安晴様がこちらに来て、すぐに祈祷を行いそれが今終わった

これからは何も心配はないだろう

 

「ムラサメちゃんの言う通りだったな。本当に、運命だったのかもしれないって」

「そうだな。ご主人だけでなく、ここにいる全員がこうして出会えたのは、運命だったのだ」

「それは、わたしもでありますか?」

「無論だ。レナが欠片を持ってきてくれねば、憑代が揃うこともなかったのだから」

「そう言ってもらえるのは大変嬉しいですね、ふふふ」

「俺がここにいるのも運命か……」

「うむ。だが吾輩と久遠が出会えたのは、五百年も前から始まった運命だと思うぞ」

「ああ、そうだな」

 

俺とムラサメが今に関わってるのは俺達が生まれた時から……もう五百年以上も前からだったんだ

とても長く、奇妙でもあったが……悪くない運命だったな

 

「ああ、そうだ。将臣君」

「はい?なんですか?」

「将臣君は、今後どうするのかな?元々呪詛のせいで穂織に留まってもらっていたわけだから、もうここに縛られる理由はなくなる」

 

そうか。将臣は元々手伝いでここに来ただけで、今となっては住んでた街に戻ることもできるのか

 

「………?どういうことでありましょうか?」

「将臣君は、穂織の人間ではないんだ。暮らしていた家はもっと都会にあるんだよ」

「そうなのですか、マサオミ?」

「あ、ああ……うん。一応」

「では、マサオミは穂織から去ってしまうのでありますか?」

「若い子には都会の方が暮らしやすいだろうしね。それに、将臣君が生まれ育った場所だ」

「それはとても寂しいでありますよ〜……」

「それは……えっと…………」

「別に今決める事じゃないだろ?将臣がこっちに居たいのか、戻りたいのか、お前自身でちゃんと答えを出してからでいいさ」

 

すぐに答えが出ないってことは居たいって気持ちもあるんだろう

転校も何かとあるし、今すぐに答えを出さなきゃって訳でもない

ならゆっくり考え、ちゃんと答えを出す方がいい

 

「確かにその通りですね。今すぐ決断しなければいけないわけではありませんから」

「先走ってしまって申し訳ない。ウチの事なら気にしないで。遠慮なく居てくれていいからね」

「ありがとうございます」

 

正直言うと、俺も将臣と別れるってなると寂しい

新しく出来た友達なんだ。それにここまで一緒に戦ってきた戦友でもある

だからちょっとでも長く居てくれるなら、それは嬉しく思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神社を出た俺は、山の中に入っていた

夜の山といってももう祟り神は出ることは無く、気をつけなきゃいけないのは暗くてよく見えない足元だけ

少し山奥に入り、歩いているとそこには1つの墓と草木しかなかった

 

「智之様、ご報告に参りました」

 

今日に到り、憑代が完成し朝武家の呪いが解ける方向に進んだためその報告にきていたんだ

明日の明るいうちでも良かったんだが、もう何百年と待ち受けていたことだ。すぐに報告しなければいけなかったしな

 

「──というわけで、あなたとの約束が1つ果たすことが出来そうです。……それともうひとつ」

 

このことも報告しないといけないだろう

これは……裏切りになるかもしれないんだから

 

「……俺は、あなたと同じ人を好きになってしまったようです。こんなこと本当はダメなはずなのに……俺とあなたは違うというのに……」

 

生まれ変わりで記憶を引き継いでいたりしていたとしても、俺は俺で智之様は智之様で違う人なんだ

だが、俺はそんな智之様が恋してた女の子を好きになってしまったんだ

 

「この気持ちを伝えるのか、伝えずにするのか……俺はどうすれば──」

「真夜中に山の中とは危ないではないか」

「ム、ムラサメ!?何しにここに!?」

「智之のやつに今日のことを言いに来たのだ。久遠とてそうであろう?」

「あっ、ああ、そうだ」

 

良かった、聞かれてはいなかったようだな

聞かれた際には、合わせる顔がなくなっちまうだろう

 

「さてと……智之よ、久遠は本当に頑張っておったぞ。誰かのために力を使うのは、いつ見てもお主そっくりだった」

 

ムラサメはお墓に向かって報告し始めた。途中昔を思い出したか、声が震えてるように聞こえた

あの時代から変わらずにいるのはこの子だけ

両親や友はもういないし、俺がいるとはいえ昔のままってわけじゃない

この子はたった一人でいろんな人の生死を見て、今に至るのか

 

「ではな智之」

「もういいのか?」

「うむ。それにいつでも来れるしな」

「そっか。それじゃあ帰るか」

「この夜道では危ないからな。吾輩が送って行ってやろう!」

「ははっ、子供扱いすんなって。だけどたまにはいいかもな」

 

俺とムラサメは静まった山を下りる

家に帰る短い間だけだったけど、2人でいろいろ話しながら歩いていた時間はとても楽しく、幸せに思えたんだ





今回で原作でいうところの共通√、祟り神との戦いが終わりました
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