これからも楽しくなるよう書いていきますので、よろしくお願いします!
今回の話にはムラサメちゃん√でのネタバレがあります
気がつけばさっきと同じ場所にいた
さっきまでのは幻……というわけじゃない
思い出そうとすれば俺が生まれるより前の何百年前のことまで思い出すことが出来る
俺は託されたんだ
「ご主人!それに……久遠!」
今なら懐かしい理由がわかる
俺じゃないけど、感覚も共有されてるんだ
でも今はそれよりやることがある
「何があったかは後で聞いてくれ、今は将臣を運ぶ方が優先だ。君が見える人に助けを呼んで欲しい!」
「やはり吾輩が見えるのだな、わかった!ご主人の事は頼む!」
将臣を運ばなければいけないな
建実神社か志那都荘か
どっちにしろ山を抜けないと
都牟刈村を鞘に収め腰に刺し、将臣をおぶって歩き始める
少し歩いたところであの子が戻ってきた
名前を呼びたいけれど……まだダメな気がするんだ
「助けは呼んだがここからでは時間がかかる、吾輩が道案内をするからついてきて欲しい」
「わかった、ありがとな」
「あれ……?俺は……?」
「将臣!気がついたか!?」
良かった
なんとか意識は戻ったようだな
「ご主人!吾輩の声が聞こえるか!しっかりせんか、ご主人!」
「ムラサメ……ちゃんに、久遠……?龍成君は?」
ムラサメ?
それが今のこの子の名前なのか?
それにムラサメってあのムラサメ様ってことになるのかよ……
「迷子はすでに警察に見つけておる!安心しろ!」
「そっか……それはよかった……」
「バカ!意識をたもてよ!運ぶこっちの身にもなれ!」
「久遠の言う通りだ!迷子よりもご主人が危ないくらいだ!助けは呼んでおるし今は建実神社に向かっておる!それまでちゃんと意識を保て、ご主人!」
「ああ……わかった、よ……」
「おい将臣、将臣!」
声にも反応しなくなったかよ
仕方ねぇ、最後までちゃんと運んでやらぁ!
人をおぶってるためかなりスピードが落ちたから山から出るのに時間がかかった
それでもさっきの泥が出てこなかったのはこっちとしては助かった
「ムラサメ様!それに……操真君!?」
「芳乃と茉子か!」
巫女姫様に常陸さん?
この二人にもこの子が見えるってのか
でもそんなの今は関係ねぇか
「巫女姫様、今は彼を運ぶことが優先です。申し訳ありませんが、休ませれる部屋まで案内お願いできますか?」
「は、はい!こちらです!」
「それと常陸さん、この腰の刀を預かってくれませんか?運ぶのに少し邪魔になってしまって」
「これのことですか?刀ではなく木刀のようですけれど」
もしかして、叢雨丸が担い手にしか抜けないように都牟刈村も担い手にしかわからないのか?
「それです。すみませんがお願いしますね」
すぐ部屋につき、将臣を横にした
そんなひどい傷はなさそうに見えるが俺は医者じゃないから細かいことまではよく分からない
「みづはさんは呼んであります。ムラサメ様のおかげで早く呼ぶことが出来たのでもう少しで来ると思います」
「そうですか、ありがとうございます。巫女姫様」
「その前にお話があります。どうして操真君は山の中に入っていたのですか?」
「これを探していたんです。子供たちと約束をしましてね」
「それでも夜の山には入ってはいけないって知っていますよね」
「もちろんです。でも俺にとっては一度した約束は果たさなければならないのです。そのために山の中に入りました」
「そういうとこは昔から変わらないのう、智之。いや、今は久遠じゃな」
「人の性格ってのはなかなか直らないものだよ、あ──ムラサメ」
危ない危ない、もう少しで名前を呼ぶところだった
それに俺は彼女のことをムラサメ様なんて呼べない
そう呼んでしまったら、約束を破ることになってしまう
「操真君もムラサメ様のことが見えるのですね」
「でもその態度はどうかと思いますよ!」
「よいのじゃ、芳乃。吾輩も久遠に態度を変えられたら困る」
「ムラサメ様がそう仰るのなら……」
「さて久遠、いろいろ話してもらっても構わんか?」
「わかった」
山で将臣を助けたこと、あの泥に襲われたことを話した
「祟り神を祓った……ということですか」
「祟り神……あの泥のことですか。でもまさかそんなものが山に居るなんて」
あんなものが山の中にいるんじゃ入っていけないっていうのは納得出来るな
でも昼には遭遇したことは無いし、山の中に入ってもいいってことからどうやら活動は夜らしいな
「神刀・都牟刈村とな……その刀について詳しく聞きたいが構わぬか?」
「もちろんだ……と言いたいところだが明日にしてもらいたい。この刀はさっき使えるようになったばかりなんだ、疲労がかなり来てる」
さっきのあの泥を消したといい、都牟刈村を使ったといい、将臣を運んだといいかなり疲れることをした
これ以上何かをしろとなると正直無理かもしれない
「そうじゃの、それにご主人にも話したいのだろう?」
「一応な、そういうことですから一旦帰らせて貰いますが」
「……わかりました。では明日もう一度ここに来てもらってよろしいでしょうか。その時にこちらも祟り神などについてお話します」
「それで構いません。では、これで失礼します」
俺はその場を後にした
流石に疲れた
ご飯食べて、風呂入ってさっさと寝るか
それで明日説明するからいろいろと考えておかねーと
「……見送りはここまででいいぞ?」
「昔から吾輩の気配にはよく気づくな、智之」
「幼なじみなんだ、そりゃわかるさ──綾」
「その名を知っておるということは、やはり生まれ変わりおったのだな」
「当たり前だ、約束しただろ?」
何年経とうが絶対に約束は守る
それが操真智之という人だ
俺もどんなことだろうと約束は果たすから、そういうところも似てたってことだな
「五百年前の約束を今でも覚えておるなんて、それに吾輩との約束は絶対に守っておったしな。本当に阿呆な奴じゃ」
「うるせっ、俺は元々こんなんだったんだよ」
「あははっ、そうだったな!」
「それより綾……いや、ムラサメって今は呼んだ方がいいよな」
「うむ……吾輩も久遠と呼ぶからそうしてくれ」
「人の時の名前で呼ぶのはムラサメの役目が終えて、自由になってから呼ぶよ。五百年の約束だ、少し伸びようが我慢くらいしないとな」
俺はたった数十年しか生きてないがムラサメは人柱になってから今までずっと、智之様は死んでからずっとこの穂織にいたんだ。それも何百年と
なら少しくらい時間が伸びたって許してくれるだろう
「五百年の約束か……、ところであの最後の言葉は本気なのか?どうせ吾輩をからかっておったのだろ?」
「何言ってるんだ、俺が今までに約束事に冗談を言うことなんてあったか?」
「な、なななななな!?」
おーおー、ゆでダコのように真っ赤になっちまってよ
だいたいあの雰囲気で冗談なんか言えないって普通わかるだろ
「ほ、本気で言っておるのか!?吾輩は、その……昔の姿のままだから……む、胸とか小さいのだが……」
「大きさなんて関係ねぇだろ、そんなの気にしてたら最後にあんなこと言わねぇぞ?」
「ご主人とは違うのだな」
「将臣がどうかしたのか?」
「それがの、すり抜けると試させたら触れられて……胸を揉まれたのだ……その時にぺったんやらまな板やら……」
「ちょっと息の根止めてくる」
「阿呆!それでは助けた意味がないでは無いかぁ!」
それはそうだけど、この話にはムカつくな
それにまな板やぺったんだ?
大きさを気にするなんてまだまだだな、将臣
大きかろうが小さかろうがそんなもの些細な問題じゃないか
「吾輩の事は気にするな、それより本気で言ったおったのか……」
「その事の答えについては全てが終わってからでいいさ。だからまずは朝武家の呪いをとかねーとな、だからゆっくり考えてくれ」
「久遠も協力してくれるのか!久遠がいてくれるなら吾輩としても心強い!」
「ああ。それじゃあ俺はそろそろ行くよ、また明日な」
そういって頭を撫でる
この感覚、魂が一つになった影響かとても懐かしい
「この撫でられ方も久しいのう……ん?」
「どうした?昔はこうやってよく頭を撫でてただろ?」
「何故吾輩に触れることが出来るのだ!?」
「それは知らないが……智之様は神刀を作ったり、人間以上神未満の存在になったとか言ってたから、その魂と一つになったから触れるんじゃないのか?」
「ふむ、魂のような吾輩と魂だけだった智之と一つになった久遠。お互い魂だけという共通点があるのが触れる理由か?」
「考えたって答えがわかるわけじゃない、それにこうやって触れるのが答えでいいだろ?」
「そうじゃのう……くすぐったいが気持ちいいのう……えへへ」
この笑顔は昔から変わらない
夢でも見せてくれたものそのまんまだ
それに今は記憶にもある
「それじゃ今度こそ行くな」
「……あっ……」
「そんな顔するな、またいつでもやってやるからさ。五百年やってやれなかった分たくさんな」
「そうじゃな、さっさと会いに来なかった分たくさんして貰うとするかのう」
「ははっ、わかったよ」
ほんの少しという短い時間だけど会話出来ただけでとても嬉しかった
これは智之様の魂の影響だろうけど、俺自身も喜びを感じていたんだ
けれど五百年
彼女は五百年もの間ずっと穂織を見守ってきたんだ
中には巫女姫様や常陸さんみたいに話せることができた人もいると思うけど、ほとんどの人は姿が見えず、ひとりぼっちのようなものだ
「あまりにも辛すぎるだろ……あの時病気にかかっただけだって言うのに!なんでここまで悲しい運命を背負わせられてるんだよ!」
全部終わらせてやる
朝武家の呪いをといて、この穂織を縛ってるものを解いて、彼女のこれからを喜びある未来に変えるために
──────────────────────
「芳乃、茉子。ご主人はどうだ?」
「今のところは何もありませんが……みづはさんが来るまでは何とも……」
「ふむ、そうか」
「それよりもムラサメ様、操真君とはお知り合いだったのですか?」
「それに学院にいる時と雰囲気が違いましたね。ムラサメ様を見ることが出来たということは芳乃様の耳のことも見えるのでは?」
「恐らく茉子の言う通りだ、それに久遠は吾輩にも触れることが出来たからのう。雰囲気の事はすまぬが吾輩から言っていいのかわからぬからな……、明日久遠から聞いておくれ」
あやつの事だ、隠し事はしないと言い張って自身のことは全部言うつもりじゃろう
叢雨丸を引き抜いたご主人にも話したいと言っておったからな
「有地さんの他にムラサメ様に触れることが出来るなんて……。私たちにも知らないことが多すぎですね」
「吾輩もついさっき知ったことが多いからわからないことが多い。でも智之の子孫だから何をしでかしても不思議ではないのだがな」
智之は昔からおかしなところがあったからのう
それでも今も吾輩のことを考えてくれる大切な幼馴染だ
それに吾輩が人柱になる前に……
「なななな何を思い出しておるのだ吾輩はぁ!」
「ム、ムラサメ様!?」
「ど、どうなされたのですか!?」
「なんでも!なんでもない!気にするな!」
このことは言わせないようにしなければ……
いくらなんでも恥ずかしすぎる!
やっとすれ違っていたムラサメちゃんと会話させることに出来ました…
祟り神の存在も知ったし協力する気満々なのでこれからは芳乃や茉子とも絡ませるつもりです