五百年の約束   作:シバヤ

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読んでくださる方、いつもありがとうございます


第5話

「芳乃様、やはりちゃんと説明をされるべきではないでしょうか?」

「僕もそう思うよ」

「お父さん……でも……」

「将臣君にも影響があることは、今回のことでハッキリした。少なくとも、将臣君に関わることぐらいは説明が必要だよ、芳乃」

「……わかりました。でも、必要なことだけですから、約束して下さい」

 

俺の目の前で、何やら事情がありそうなことが話されてる

それは何かと言うと昨日、迷子を探している途中で、祟り神というものにに襲われたことが関わっている

そのせいで山から転がり落ち、骨折はしてないけど擦り傷や切り傷、オマケに打撲と多少の怪我をしてしまったんだ

久遠に助けられたらしいし、朝武さんや常陸さん、ムラサメちゃんと周りのみんなに心配をかけてしまった……

それと朝武さんから獣耳が出てきたのも祟り神に影響してとか……

今からそれを説明してくれるらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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俺は昨日、巫女姫様の言われた通りに建実神社に来ていた

祟り神や呪いについて説明してもらう代わりに俺の事も説明するために

 

「すぅー……はぁー……よし、ごめんくださーい」

 

今考えたけど朝早くから来てよかったのだろうか?

でももう来てしまったものは仕方が無いか

 

「おや、久遠君。おはよう」

 

出てきたのはこの神社の神主、安晴様

巫女姫様の父親だ

性格はとっても優しく、まさに娘思いのいい父親の姿がよく見える

 

「おはようございます、安晴様。朝早くから来てしまい申し訳ありません」

「ああ、その事については芳乃から聞いてるよ。まずは上がって」

「はい、失礼します」

 

居間に上がらせてもらうと、巫女姫様、常陸さん、ムラサメ、将臣と全員揃ってる

話すべき相手は全員いるようだな

 

「おはようございます。巫女姫様、常陸さん、それからムラサメ。朝早くから来てしまい申し訳ありません。それと将臣は元気そうだな、良かったよ」

「昨日はありがとな、久遠」

「おはようございます。今から有地さんに祟り神のことをお話するつもりでした。なので操真君も聞いてください」

「はい、わかりました」

 

俺はいろいろなことを説明してもらった

穂織の街に伝わる伝承に出てくる叢雨丸、あれが本物の特別な刀であること

それ自体は声を聞いていたからわかっていたことだ

だが、その事実から妖に関しても本当に存在していたということになる

そこら辺は甘く考えすぎていたな……

 

次に祟り神

無差別に襲いかかるわけではなく、妖に強く憎まれてるものが対象になるらしい

それに祭りの時に見た巫女姫様の耳は、その憎まれてる者に対する呪詛現れと言われてるらしい

この耳が生えてる者は祟り神に襲われる

つまり前に俺が見たものは本物だったってことだ

それが朝武家の呪い、俺がとかなければならない呪いだ

将臣が襲われた理由は叢雨丸の担い手になったから

でも俺も襲われた理由はなんだったんだろう

 

穂織の街はイヌツキって意味悪く言われていることもある

その原因は、この耳も関係していたのか

始めに朝武家の姫様に耳が生えたのは、ムラサメにしか見えなかったけど、時が経つにつれて見えるようになり、良くない噂が広まってしまった

そして祟り神が穂織の地で暴れ回ったこともあり、良くないことが重なり、イヌツキという呼称を生んでしまったと

 

そして巫女姫様の舞について

あれは穢れ祓いの儀式、舞を奉納することで、土地の穢れを祓っているという

でも舞の奉納だけでは全てを祓うことは出来ず、後は直接祓って対処しなければならない

 

俺が知らない時に、巫女姫様と常陸さん、ムラサメはこんな苦労をなさってたなんて……

 

「今お話できるのはこの辺りまでです」

「ありがとうございました。だいたいの事情はわかりました。では次は俺の事をお話します」

 

俺は昨日の出来事

一応話したが安晴様にも一から説明するため、山で将臣を見つけ祟り神と戦ったこと、都牟刈村のこと、智之様とのこと、全部話した

 

「都牟刈村……まさか智之はそんなものを作りおったとは……」

「これを作ったのはお前がきっかけだぞ?」

「吾輩が?」

「あん時言ったろ、絶対に作り上げてみせる、病魔だろうが怨念だろうが、全てを断ち切ることが出来る刀をってな。でも完成する前にお前は人柱になっちまった……」

 

ムラサメが流行病にかかる前に、もっと早く究極の一を求めていれば俺もムラサメもこんな所にはいなかった

だがそうすると、朝武家の呪いも解くことができなくなると考えると、今の選択も一つの答えかもしれんな

 

「それに叢雨丸は神から授けられたが都牟刈村は人の手で作られたから違う部分がある。それは折れたら元に戻せないことだ」

「その刀には叢雨丸以上の神力があるが、神力で何とかならんのか?それに智之の魂とくっついた久遠でも駄目なのか?」

「俺じゃあまだ智之様の技術には追いついてないんだ。この刀を作り上げるには智之様と同等かそれ以上の技術が必要になってくる」

「ふむ、やはりいくら人の手で神の力に至ったとしても、そこいらが限界か……」

 

これが限界ではなかったんだ

でもこの刀を作った後に神々により、天罰が降り、衰弱死してしまった

だから作ろうにもこの先を作ることが出来なかったんだ

 

「あの、一ついいですか?」

「なんでしょうか、巫女姫様」

「話を聞いたところによるとムラサメ様と操真君のご先祖様である智之様はお知り合いだったのですよね?」

「ええ、幼馴染だったので本当に小さい頃からの付き合いですね」

「それで智之様と魂が一つになり、記憶などを引き継いだからそのような態度を?」

「はい、その時に説明をなさらずすみませんでした」

「そういう事でしたか、なら操真君は人だった頃のムラサメ様をご存知だったと」

「常陸さんの言う通りです。だから俺は、ムラサメに対しては敬ってはいけないんです。そうしたら彼女との約束が果たせなくなる……」

 

絶対にムラサメのことを神のようなものとしては見てはいけない

最後まで人として見なければいけないんだ

幼い頃から一緒で、人柱になる直前まで一緒にいた(おれ)だけは……

 

「この事は、要さんには話したのかい?」

「はい、そしたら全て知っているかのような反応でした。どうやらこの神刀を扱える者は、智之様の生まれ変わりか、何かの関わりがあると先祖代々伝わる書物にと……」

「そうかい……話してくれてありがとう、久遠君」

「いえ、これくらいのことならいつでもお話します。巫女姫様、一つお願いが」

「お願いですか?」

「はい。祟り神を祓う際、俺も連れて行ってください」

 

俺は剣の腕にも自信がある

相手が負に連なる者なら都牟刈村があれば負けることは無い

けれど、巫女姫様の答えは俺が思っていたのと違うった

 

「それはダメです。この事はかなり危険なのです。それにこれは朝武の……いえ、私の問題です。お父さんが言った通り、山に入ったりしなければ、有地さんと操真君にまで危険が及ぶことはないはずです。祟りは私がなんとかしますから」

「いや、何とかって……」

「一人で何とかなる問題ではないはずです!」

「それでも今すぐには解決とはいかないかもしれません。有地さんにはしばらく不自由を強いることになってしまい、申し訳ないと思ってきます。ですが、絶対に何とかしますから。私に任せてください」

 

と言うとどこかに行ってしまった

おそらく舞の練習だろうが……

だけど一人でどうにかなるんだったら今頃解決できてるだろ

 

「すまないね、久遠君。芳乃は結構頑固者で」

「いえ、ですが俺としても力にはなりたいと思います」

「ありがとう、君がいてくれるのは、僕としては心強いよ」

「はい!……そう言えば将臣に不自由とかどうとかって言ってたけど、ここでお世話になっているのか?」

「その事についてなんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ!?将臣が巫女姫様の婚約者に!?」

「叢雨丸を引き抜いた以上、こちらにいてくれた方がいいからね。後は本人達次第なんだけど」

「その事は、常陸さんも?」

「はい、と言ってもつい最近知ったばかりですけどね」

 

でも叢雨丸の担い手になったからには祟り神に狙われる

不用意に街から出す訳にはいかないか

でも婚約者とはな……流石に想像の範疇を超えてるわ

 

「……いろいろとありがとうございました。俺はここで失礼させていただきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、どうするか……

夜に入って祟り神を祓ったとしても、巫女姫様について行ってもどちらも良い顔をされないことがわかってる

こういう場合、どういう行動を取るべきなんだ……

 

「何を辛気臭い顔をしておるのだ」

「ムラサメか、将臣についていなくていいのか?」

「うむ、いろいろと考えるなら一人の方が良いからな。山には入るなと言っておいたから無闇に近寄ることはせんだろう」

「そっか、将臣には危ないことはさせられないからな」

「それを言うなら久遠もだぞ?」

「俺?」

 

それなりの強さはあると自負してるし、都牟刈村を持ってれば相手の動きの未来予知も出来る

そうそう危ないことはないと思うけど

 

「本当に昔っから変わらんのう、お主は芳乃に危ない目に遭わせたくないと絶対に一人で戦う。それを繰り返して見ろ、いつかの時みたいに倒れてれも吾輩は昔と違いなんとも出来んのだぞ?」

「あー、そんなこともあったっけ。そん時はムラサメが母上を呼んで、後から看病してくれたっけ」

「覚えておるならよいが、今と昔では違う。何が良い方法なのかちゃんと考えて行動せい」

「ああ、わかった。でもどうにかして巫女姫様を説得して山に入らねぇとな……」

 

呪いをとく鍵を見つけるんだからどうにかして山に入らないといけねぇからな

とりあえず、夜に行動してみるか




少し長くなってしまったので祟り神との戦いは次の話にします
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