五百年の約束   作:シバヤ

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これが今年最後の話となります!
皆様良いお年をー!


第9話

「はっ、はっ、はっ、はっ」

 

ここ数日で少しずつペースを上げていってるが特にキツイと感じることは無い

むしろ気持ちよく走れている感じがする

さて、あとは学院周りを走って帰るとするか

 

それなりのペースで学院に着いた時に人がいることに気がついた

こんな朝早くから誰かいるのか?

少し覗いてみよう

 

「あれは……将臣と玄十郎さん?」

 

やってるのは……基礎トレーニングだな

でも俺よりも厳しい気がする

ちょっと挨拶していくか

 

「おはようございます。玄十郎さん、将臣」

「おお久遠君、おはよう」

「はぁ……はぁ……おはよう、久遠」

「お疲れさん、これってトレーニングですか」

「うむ、将臣から言い出したことでな」

「祟り神と戦う時、俺だけ足を引っ張るわけにはいかないからな。協力するって、自分の意思で決めたんだ」

 

将臣の言葉から意思が伝わる

なるほど、これは見どころのありそうだ

 

「あっ、だけどこのことは朝武さんたちには……」

「ん?ああ、内緒にしててやるよ。こういうのって周りに知られたくないからな。っと、俺はここで失礼します」

「気をつけて行くんだぞ」

「はい、ありがとうございます。将臣、学院でな」

 

こりゃ俺も負けてられないな

今は実力差があるとしても、このままじゃ抜かされちまうかな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、もうチャイムの時間ですね。それでは今日はここまでです」

 

さーてと、今日も授業が終わった終わったー

学生にとってはこの開放感がたまらん!

 

「それでは、みなさんまた明日、くれぐれも事故に遭わないように気をつけてください」

 

周りのみんなも帰り支度をしてたり、すぐに教室を飛び出したりしてる奴もいる

そんな中、将臣が朝武さんに何かを聞かれてたけど逃げるようにして教室から出ていった

あの様子からだと放課後にも玄十郎さんとトレーニングしてるんだな

で、それを隠すためにさっさと出て行ったと

 

「……あやしい……」

「どうなされたんですか?巫女姫様」

「いえ、有地さんが何かあやしいんです」

「ふむ、確かにあの行動じゃあやしいでしょうな。ですが気長に待ってみてはいかがですか?」

「操真君は何かご存知ですか?」

「いえ、俺は何も」

 

嘘をつくのはちょっと罪悪感というか、悪い気がするけど将臣との約束だからな

男同士の友情ってやつだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は田心屋に行く日だ

この日は俺にとっての至福のひととき

さぁて、何を頼むか今から決めておくかなー

む、上からまた気配がする

 

「久遠ー」

「なんだ、今日は驚かせに来たんじゃないのか」

「お主に一度やったことは効かないじゃろ?小さき頃同じことをしたら二度目は全部通じなかったのを覚えておるからな」

「五百年前というのによく覚えてるな」

「それは……久遠、智之との思い出だからな。忘れることは出来ぬ」

「そ、そっか。俺じゃなく智之様って言うのはわかるけどなんか俺も照れるな」

「久遠と智之は今や同じ存在だ、つまり吾輩が智之と過した時間は久遠の過去でもあるのだぞ」

 

魂の一体化、生まれ変わり

だから俺の過去は生前の智之の過した日々ってことでも同じになるって言うことか

 

「というか将臣についていなくていいのか?あいつはお前のご主人だろ?」

「久遠は知っておるが朝と夕方は鍛錬をしておってな。それで、今日も暇なのか?」

「いや、今日は週に少ししかない日だ。田心屋、甘味処に行くんだ」

「甘味処かぁ、でも吾輩は食べることは出来んからな……」

「……そうだ!」

「どうしたのだ?」

「甘いものを食べてる時の俺はいつもよりも深く考えられるんだ。それに目の前にお前がいれば前に約束した食べさせてやるってことでいい案が思いつくかもしれない!」

 

俺は何か考え事をする時だいたい甘いものを食べてるからな

それに糖分は脳を活性化させるらしいし

 

「ふむ、それじゃついて行くとするかのう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ」

「こんにちは、芦花さん」

「くーちゃんいらっしゃい。今はあまり人がいないしお好きな席でいいよ」

「ありがとう」

 

俺は入口に近い席に座る

目の前にはムラサメが座ってる

なんか一人じゃない時って珍しく感じるな

 

「くくっ、くーちゃんとはな」

「やめろ、笑うんじゃない」

「でも合っておるぞ?久遠は少し女子の顔つきじゃからな」

「うっせ、これでも父さんじゃなく母さん似で良かったと思ってるんだから」

 

父さんに似たら今頃暑苦しい顔になってたかもしれないな

多少女の子顔だ中性的だ言われようがそっちの方がましだ

 

「芦花姉ー」

「はーい、ご注文をどうぞ」

「今日はわらび餅と抹茶で。あとそれとお持ち帰り用のパフェを二つ」

「二つ?一つじゃなくて?」

「ちょっと夜に考え事する予定だから。俺が考え事する時は決まって甘いもの食べるのは知ってるでしょ?」

「そういうことね。でもあまり糖分取りすぎて糖尿病とかになっても知らないよ?」

「だいじょーぶ、糖分は俺の生命エネルギーだから」

「はいはい、ちょっとまっててね」

 

でも確かに糖尿病とかになったら怖いな……

でもうちの一族ってみんな甘党のくせに健康体なんだから俺も大丈夫……なはず

 

「一つは父上殿へのお土産でわかるが、二つ目は本当に自分用なのか?」

「何言ってる、お前用だよ」

「本気で考えるつもりなのか?」

「当たり前だ、成功するか失敗するかわからねぇのに挑まないのは初めっから負けだ」

 

これは鍛治職人の魂、というか俺が決めてることだ

まず何事にも挑まなければならない

成功しようが失敗しようがそれは経験になる

でも挑まなければ何にもならない

だから俺が死ぬようなことだったり、とてつもなく危険なこと以外はだいたい挑むようにしてる

 

「お待たせしました。わらび餅と抹茶です。パフェはいつも通りに渡すからね」

「ありがとね」

「それではごゆっくり〜」

「さてと、いただきます」

 

まずムラサメが触れるものを考えるんだ

俺と将臣は触れられる、けど巫女姫様や常陸さんは触れられない

他にも物はすり抜ける……か

 

「ムラサメ、俺と将臣以外にも触れられる物はないのか?それか俺たちが関わるものとか」

「そうじゃな……そういえばご主人の服は掴めてたな、もちろん着ておる時だけじゃが」

「じゃあ今の俺の服は掴めるか?」

「うむ、掴めると思うぞ。ほれ」

 

確かに服は引っ張られてる

つまり身につけてるもの、触れる人が関わればムラサメも触れるってことか……

 

「何パターンか試してみる価値はありそうだな」

「本当に思いつきおったのか!?」

「ああ、どれも試してみる価値はある。俺の部屋で実験だ」

 

ちょうどわらび餅も食べ終わった

本格的なわらび粉を使ってるし上質な砂糖を使ってるこの品はかなりこだわってる物だ

さすがおじさんだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

用意するものはパフェとスプーン

というかこれしか必要ない

 

「さて、実験を始めるか」

「何やら物騒な言い方じゃのう……」

「まあ、そう言うな。とりあえず思いついたのは三パターンだ。一つ一つ試していくぞ」

「うむ、よろしく頼む」

 

俺には触れられる、それと俺が身につけてるものにも触れられる

このヒントによって導き出された一つ目の答えだ!

 

「俺の服にも触れるってことは俺がスプーンですくってあーんしてあげれば食べれるんじゃないかって思ってな。これが一つ目だ、やってみるぞ」

「お、おぉ……あ、あーん」

 

差し出したスプーンにパクッと食いつくムラサメ

しかしその表情は明るくはならなかった

 

「……ぐぬぅ……」

「なんか変化あるか?」

「なんの味もせぬ」

 

なるほど、スプーンで食べさせるのは無理と

ムラサメがスプーンから口を離すけど、スプーンにはクリームが残ったままだ

 

「これはダメと」

「三つあると言っておったな?」

「ああ、スプーンが無理なら次は直接的だ」

「直接的?どういうことだ?」

「スプーンでは俺が持ってるスプーンに乗ってるクリームと間接的になってしまう。なら次は直接的にするために俺の指をスプーン代わりにするんだ」

「ふむ……つまり、吾輩に久遠の指を舐めろというのか?はしたないと思うのだが……」

「今更そんなこと気にする関係か?それに指を舐めることよりも恥ずかしい思い出もあると思うんだが」

「そう言われるとそうじゃな……ではその方法で、よろしく頼む」

 

パフェを指ですくって、ムラサメに差し出してみる

 

「ほれ」

「……あ、あーーん……ん……んんっ!?」

 

おっ、表情が明るくなったし瞳が輝いている

この方法ならいけるってことか

というかムラサメのやつ、俺の指を丹念に舐めだし始めた!?

 

「んっ、れろ、れろ、ちゅぅぅぅ……」

「おいっ!ちょっ、待て!」

「んぷ……くおんのゆび……あまくて、おいひい……れろれろ」

「くっ、くすぐってぇ……」

 

指を舐められるのって以外にくすぐったいんだな

 

「んっ……んん? ちゅぽん……ぱぁぁぁ、はぁ……はぁ……」

 

……なんか艶めかしい……それに色目も感じてしまった

 

「久遠、味がしなくなったぞ!おかわり、おかわり!」

「ああ、はいはい」

 

またパフェを指ですくうとムラサメが飛びつくように俺の指を咥えこんだ

 

「んじゅる……んっ、れろれろ……んんーっ♪あま〜ひ、ちゅ、ちゅ……ちゅぽん、ぷぁ、はぁ……」

「どうだ?美味しいか?」

「うんまいっ!甘くて美味、なんて素敵な食べ物であろうか!」

「そうかそうか、考えた甲斐があったよ」

「はぁぁ……よもやここまで美味だとは……久遠、もっともっとぉ〜!」

「わかったわかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後全部食べて、どうやら満足になったようだ

こう嬉しい顔をされたらこっちまで嬉しくなるな

 

「ところで久遠、方法は三つあったと言っておったが最後はなんだったのだ?」

「ああ、それはだな。まず、俺がパフェを食べます」

「ふむ」

「次に、俺の口とムラサメの口をくっつけます」

「ふむ?」

「最後に、パフェの中身をムラサメが舐めとります。以上だ」

「ふ……む……?久遠、吾輩の勘違いでなければ、接吻を行うことになってしまわぬか?」

「そういうことだ、だからこれは最後に持ってったんだ」

「バ、バカを言うでない!いいいいいくら久遠が相手とはいえ、せ、接吻などっ、出来るわけがなかろうか!まだするには早いわ!」

 

そうだよな、キスして食べ移しなんてさすがに俺でも抵抗があるからな

……ん?今まだ早いって言わなかったか?

 

「おい、今の最後の意味ってどういう」

「今の言葉?……なななななんでもないぞ!?」

「いや、そんな動揺されても説得力が」

「ぱふぇ美味だったぞ!いろいろと考えてくれて感謝しておるぞ!吾輩はそろそろ行くからではな!」

「お、おい!」

 

最後早口でさっさと行っちゃうし……

でもあの言葉に反応して同様してるってことは……少しは期待してもいいんだよな?




少し時系列がズレましたがムラサメちゃんのパフェの話を入れました
次こそはレナが出ます!笑
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