みんなに、あの伝説の本を見せた。瞳が一度家に帰って、あの本を探してきたのだ。部屋の奥にすっぽり入っていた、普通の人は見なさそうな分厚い本。
何故こんな本があるのかさえ疑問に思うような内容だとか、特に意味ないんじゃないかとか、微妙な意見が飛び交っていた。
ただ、終わりから2ページ目の所に、瞳が見たかった言葉が大きく書いてあった。
そもそも、紙も今ほど綺麗ではなくて、いつ作られたんだと疑問に思った。しかし、そんな疑問は一番最後のページにかかれてあった。
皆が一斉にあの文章を見る。何も理解できてない皆だが、取り敢えず北に行くことを決意した。
そうして、全員ではじめの一歩と言いながら北へ進みだした。信用なんか出来ないし、どれだけ長くなる旅かなんて分からないことをやるなんて、誰も恐ろしくて出来ないだろう。
歩き始めて30分。既にだるそうになっていた。
更に30分経過。しりとりをして遊んでいたキルネスとヨムネスは静かになってしまった。最後に喋った言葉がアンニュイだったのは多少面白かったが。
それから歩き始めて、計2時間がたった。少し後からやって来たダークネスが猛スピードで合流した。既に見たことない世界を何ヵ所見ただろうか。
そうして歩いているうちに、誰かが話しかけてきた。
「もしもし、お嬢ちゃんたち、闇雲郷って場所に行きたいんだが、道を知らないかね?」
70~75歳くらいのおばあちゃんだろうか。この距離で闇雲郷を知っている人はいないと思ったが、やはり発達した環境が人気をうんだのかもしれない。
というか、歩いて着くのか分からないような場所にある。
「それなら、ここをずっとずっと南に行った所にありますよ。」
キルネスが丁寧に対応した。そこに、ヨムネスが加えて……。
「そうだ。ここをずっと北に行ったところに凄い強い人達が住んでいる場所があるなんて聞いたんですが、それって本当ですか?」
今一番知りたいことを直球で投げてみた。流石に疑われる事なんて無いのだろうと思っていた。
「ごめんなさいね、あまり噂話は信じない方で、そういうのは聞いても忘れるようにしているのよ。」
上手く行ったと思ったが、こればかりは仕方のないことだ。
更に北に進む。拙い手がかりを持ち、幻想を現実に変える為。謎の悪魔を倒す為。
もうだめだと言い始める者はいなかった。ここまでやって来たんだから、信じるしかなかった。
どうすれば良いか、もう何個目か分からない村を見つけた所で瞳が閃いた。
「やっぱり、聞いてみようよ!」
村も丁度近くにある。もし1人でもその伝説を知っている人がいたら、伝説は確証へと近付くのだから。
皆で村の隅々まで人を探し、聞いてみたが、誰も知ってる人はいなかった。
全員で帰ろうとした。やっぱりそんなの見つかるわけがない。
南に向けてはじめの一歩を踏み出そうとしたとき、誰かが話しかけてきた。
カイが最初の方に聞いた人だった。それに、誰かを連れてきた。
「彼、伝説に凄い興味をもって、色んなところを旅しているんです。」
「僕はツバサ!君たちはどこに行こうとしているの?」
「幻想郷です……。」
「あー、こっから15キロ先かな。どこから来たの?」
皆がポカンとした。ここから15キロ先。もう少しだった。もはや聞くまでもなかった。そう思うかもしれないが、幻想郷について知っている仲間がいたのは嬉しかった。
皆の活力が北へ進むはじめの一歩の時より増えてきた。一気に走り出した。足が遅いものは置いていかれそうになってしまった。
そうして、15キロほど走り続けた。今までとは一転した、何か凄いオーラを放っていそうな場所に着いた。
きっと、誰かとてつもなく強い人が住んでいるのだろう。ただ、ここに入る前に、あの伝説が好きな人の話を思い出した。
「あそこ恐ろしくてねー、氷の妖精にあったらいきなり勝負仕掛けられて、どっかの男子連れてきてぼこぼこにされたり、何もしてないのに実験材料にされそうになったり、怖かったよ~。」
そんな怖さなんて考えていたら、日が暮れるどころか明日になってしまう。ひとまず少しだけ休憩することにした。
未知の世界に足を踏み入れるのはドキドキする。もしかしたら、新たな発見があるかもしれないからだ。
実はあの村を去る前に、隣にいた人達も聞いたことがある、あるいは行ったことがあると、目標地点が近くなっていることは誰でも理解できる。
そうして、言われた通り15キロ走った。本当にまた別の村、いや、郷があった。
「ここか。」
皆で静かに足を踏み入れる。はじめて入ったときは、ごく普通の田舎なんじゃないかと考えてしまった。
しかし、それから200メートル程歩いて、神社を見つけた。大きな赤い鳥居の奥には、一つ大きな建物がある。
普通の家じゃなくていきなり神社を見つけたのは意外だったが、取り敢えず進むしかなかった。
誰もいない。ここは無人島なんじゃないかと思ってしまった。
空は青く、輝いていた。なんだかこの辺りは平和だ。
その上に鳥が飛び交う。風の舞う中、綺麗な花の上を優雅に飛んでいた。
なんだか不安だと思ってしまった。こんな音が殆どならない世界に、闇雲郷を救える者はいないと思った。
≡≡≡≡≡≡
夜になった。
≡≡≡≡≡≡
次の日の朝になった。本当にどこにも人がいない。場所を間違えたのかとも思った。しかし、あてもなく歩き続ける。
すると、誰かが話しかけてきた。
「たーべーちゃーうーぞー!」
「お化け!?」
瞳が一番乗りに振り向く。しかし、上を見上げても青い空に雲が見えるだけだった。
気のせいだと思った。しかし、また声が聞こえた。
「たーーべーーちゃーーうーーぞーー!」
さっきよりも長い声だった。明らかに近くにいる。地面にいないか確認してみた。しかし、どこにもいない。
不思議に思って歩いていると、今度はお腹を攻撃された気がした。なんだか不思議という気持ちから不気味という気持ちに切り替わった。
すると、目の前に誰かが現れた。
「えへへ、気付かないなんてまだまだだね!」
「えっ?」
本当に急だった。
そういっている頃、また別の場所で、異変が起ころうとしていた。
≡≡≡≡≡≡
「次は、夢想郷だな。前から言っていたな。あの木を消せば勝ちだ。どんなことよりも木を倒すことを優先するんだ。」
「はい。」
ここはあの悪魔がいる場所。どこにあるかは知られていないが、幻想郷よりずっと南の地下にあると言われている。
たくさんの人が興味本意で場所を探したが、その中に入ったものの証言はない。つまり、殺されてしまったのだろう。
ただ、一つ言われていることがある。その場所はとても小さく、2人しか住んでいないとか。
それからそれからと続けているときりがないから、一言でいうと、本当の闇の世界だ。
急がないといけないということを、現在幻想郷でモタモタしているみんなは知らない。
闇よりうまれし宿敵。そのようなものは、既に近くにいるのだから。
「私はルーミア!目の前にいる人は食べたくなっちゃうの!」
どうやら、別の意味で恐ろしい敵(?)が出てきたようだ。本当に食べられるのかは分からないが、邪魔をするようなら倒すしかないのだ。
でも、色々話しかけてくるだけで攻撃はしてこない。そこまで悪いものでは無さそうだ。そこで、あの噂について聞いてみた。
「この幻想郷の中に、とても強い人がいるって聞いたんだけど、どこかにいない?」
「とても強い人?霊夢のことなのか~!大体神社にいるから、探してみるのだ~!」
そういって、ルーミアは去っていった。出会いと別れは表裏一体のようだが、あまりにも早く消えていったため、あまり話すことができなかった。
皆で神社がどこにあるか探す。また、あてもない旅が始まった。最初に何か見たという記憶は、頭の中からは完全に消去されていた。
旅ってなんなのだろうか。何かを発見し、何かと別れる、偶然の律によって支配されているのかもしれない。
それでも皆は歩き出す。だって、偶然の律とは、いきなり何かがやってくるという事なのだから。 終
次回もお楽しみに!
今回は新しい敵出てないので、unit profile はないです~。もうちょいあとに復活します!