王書   作:につけ丸

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恵那さんに苦しめられること一年、長かった……(恋愛もの書けないマン)




108:双天・天叢雲劔

 金光一閃。

 

 

 まつろわぬスサノオの制止も振り切り、猛犬と化した恵那はそのしなやかな前肢と力強い後肢で疾駆し、やがてヤマタノオロチの前へ躍り出た。

 顎に咥えた大太刀で、一太刀を見舞う。

 およそ人界では再現不可能な威勢と鋭利さで、神代の邪神を切り裂くことに成功した。

 

 ──ァオォォオオオオオオオオンッッッ!!!

 

 一太刀浴びせて生まれた重創(じゅうそう)を、前肢でさらに広げ、身体の奥深くへ侵入する。

 かき分け、かき分け。じゅくじゅくと蠕動しつづける獣肉の最奥。

 

 ──その先に祐一は居た。

 

 密集するなかで虜囚のごとく肉の鞭を打たれ眠っている。額の傷痕も相まって磔にされた聖者のごとく、肉に埋まっていた。

 目も当てられない惨状。しかし……虫の息だが、まだ息はある!

 

「祐一くん!!!」

 

 生きてる! 反射的に祐一の名前を叫んでいた。

 少女のソプラノが眠っていた少年の鼓膜を揺さぶり、覚醒を促した。

 

「せ、先輩、か……? な、なんでここに……」

 

「そんなの、決まってるじゃん。祐一くんを助けに来たからだよ!」

 

「…………。助けに? 俺を……?」

 

 ふぅー、ふぅー、祐一は幾たびか息を吐いた。茫洋としていた瞳に、意志と活力が戻っていく。

 

 そして零した。

 

「……。アンタは、スサノオの巫女なんだろ」

 

「うん。そうだよ。そ(・)う(・)だ(・)っ(・)た(・)!」

 

 色濃い懐疑とともに投げかけられた問い。

 しかし恵那は惑わなかった。気負わず、意識せず、いつもの闊達さで返した。

 

「でもね、けどね……おじいちゃまの……ううん、スサノオ様の巫女を辞めて来ちゃった!」

 

「来ちゃった、って……」

 

 祐一が驚きで目を瞬かせる。

 

「えへ、だから今は宙ぶらりんなんだあ。今の恵那は自由。気ままにどこに行ってもいい風来坊! どこを歩いても……どこで剣を振ってもいいんだ!」

 

「……」

 

「前の恵那だったら自由になっても何も思わなかった。結局、同じように家のために剣を磨いてたと思う。でも、今は──君と一緒に戦いたい」

 

「俺と?」

 

「うん。恵那は武門に生まれた女だもん。いつかは誰かに使えるのは世の習い! でもせっかく仕えるならとびっきり! 恵那を退屈させない王(ひと)がいい!」

 

「俺ならいいって?」

 

「うん! 君は……君は神を殺めた羅刹の君。退屈とは無縁の、不条理を覆す戦士! 恵那が生涯をかけて支えるんだったらそれくらいじゃなきゃ! ……だから受け取ってほしいな。恵那の忠誠を。恵那の剣、献身、身命を、祐一くんの……ううん、王様の元で戦わせて欲しい!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらねえ」

 

 返ってきたのは、二の句が継げなくなるほどの明確な拒絶だった。

 

 

 

「──! あ、あはっ……そ、そっか……」

 

 最小の言葉は、最大のショックを恵那に与えた。

 

 人体を傷める神がかりの術。

 その修行は清秋院恵那という魂魄を極限まで苦痛で染め上げた。

 だが、今の"これ"は……何倍にしても及ばない。

 

 面と向かって断られショックを受けたように顔を伏せた。唇が裂けかねないほど食んで、目尻に溜まりかけの水滴を堪える。

 

 天叢雲剣という羽衣をまとい、神獣を超え、神すら致命傷を与えられるほど飛翔し飛び上がっていた乙女は、突如として現れた現実という地面に激突して苦悶に喘いだ。

 

 

「俺はもう、十分なんだ」

 

 痛々しいほど消沈する恵那の顔も見ず、祐一は小さくこぼした。

 

「先輩も知ってるんだろ。俺は『王』だ」

 

「……うん。君は『王』だよ……カンピオーネ……羅刹の君、鬼神の顕現。そして君の天叢雲が教えてくれたよ──違う世界から来た祐一くんだってことも……分かってる」

 

「そうか」

 

 清秋院恵那は、己の起源(ルーツ)を知っている。

 木下祐一を知りながら、それを越えて彼女は若き異邦のカンピオーネの元へ馳せ参じることを選んだ。

 

 それでも。だ。

 

 ──祐一に変心はない。

 出した答えに一陣の軟風ほどの揺らぎすらもたらさなかった。

 

「……」

 

「……」

 

 痛みを生ずるほどの沈黙が二人の間に横たわる。

 そして再び口を開いたのは祐一だった。

 

「カンピオーネってのが崇められるのは知ってる。俺も王としての自負が最近芽生えてきた、と、思う。……でも家来はいらねえ。アレクの兄ちゃんやデヤン爺は知らねえが俺は国を持つ気はねえよ。忠誠だとか恩義だとか義務だとか。誰かの目を晦(くら)ませて、塀の中で囲んで縛り付けるのは俺の流儀じゃねえ」

 

 旅──いや、流謫(るたく)つづけた王は流儀を突きつけた。

 

 故郷(クニ)を希求し、狂うほど渇望する。

 だが国家(クニ)は求めない。

 

 道(ミチ)を歩みつづけ、自壊するほど狂進する。

 だが導(ミチ)びくことは拒む。

 

 それが木下祐一という『王』の在り方。出口なしの袋小路を疾走しつづける彼なりの矜持。

 

 今も昔も、祐一にとっての唯一の侍従は八田寿のみ。

 王の決定は揺るがない。

 

「俺が王で誰かを家来にしなくちゃならないなら……おっちゃんだけでいい。あの人はずっと居てくれた。俺が神を殺める前の旅立ちの時も、ドバイの時も、王国に迷い込んだ先だって、俺のわがままにも付き合って異郷に共に生きようとしてくれた。……俺と『少年』を介して血を分けた同胞(はらから)だ」

 

 祐一は顔を上げて、恵那と目線を合わせた。

 

「それでも戦場に連れて行こうとは、思わない。チェリーなんて外れたやつもいたけど、結局……一緒に戦って、背中を預けるのは──ラグナと叢雲だけ……だから、もう十分なんだ。諦めてくれ」

 

「……っ」

 

 恵那は喉を鳴らした。

 

 底冷えする冷徹な瞳。人間を一欠片も信用していない『王』の冷厳なる瞳。

 あるいは、少女の参戦など欠片も歓迎していない死地をさまよい続けた戦士の目。

 これが祐一とは違う──別の『王』であれば。

 例えばかつてヒューペルボレアで邂逅した先達のカンピオーネ──"草薙護堂"であれば。

 清秋院恵那は自由奔放な性根を失わず、若鮎のような身軽さをそのままに、腰に帯びたる神剣を抜いて何人も及ばぬ涼やかさと重厚さを掲げて神々すら斬り伏せただろう。

 草薙護堂にはそれを成し得る器量と懐の大きさがある。真の主人公たりえる才能がある。

 

 

 ──だが祐一の麾下のもとでは、清秋院恵那はいずれ死ぬ。

 

 祐一は何も守れやしない。敵対者を屠る以外能がない。必ずなにかを取りこぼし、そしてこの少女も遠からず取りこぼす。

 これまでのように。

 

 

 木下祐一が王国から帰還し、トルコで別れた八田寿と同じく、恵那が祐一のもとに侍っても戦場から遠ざける他ないだろう。

 大切なものを失わないために。

 

(アテナ、アンタの言う通りだ)

 

 かつてベルゲンで矛を交えた知恵の女神アテナ。かの女神は祐一の抱えるコンプレックスを正鵠に見抜いた。

 

 人を信用していない、と。

 

(俺は俺以外の人に戦って欲しくない。誰かが死ぬのを、もう見たくねえ……)

 

 戦士は死ぬものだ。

 戦場で。

 そして男なら女子供の幸せを願いながら、死ね。それが男子の生き方、本懐である。

 同時に思う。

 そんな生き方をするのは自分だけでいい。

 

「これで話は終わりだ。起こしてくれてありがとな、あとは俺がどうにかスサノオを追っ払うから先輩はどこかに隠れててくれ」

 

「そ(・)っ(・)か(・)」

 

 祐一は見誤っていた。

 清秋院恵那の覚悟を。

 

 祐一の確たる拒絶を受け──それでも。

 恵那の心変わりはなかった。

 

「もらうね」

 

 一言断っておもむろに祐一の腹から流出する血を手で掬い、溢れる血溜まりに口をつけた。

 

「!?」

 

 喉が鳴るほど勢いよく嚥下すると、童女が戯れる仕草で、手にあった天叢雲剣を手繰った。

 剣の巫女が生涯をかけて研鑽しつづけた剣舞は空恐ろしいほど背徳的で淫靡な光景を、祐一の網膜に焼き付けた。

 まるで卓越した娼婦が逸物を繰るような流麗な仕草。

 

 その果てに。

 

 ──斬。

 

 剣の巫女は、肩口から臍下丹田まで思いっきり己自身をかっ捌いた。そして祐一と鏡合わせになるように神剣を傾け、なぞりあげていく。

 清秋院は、巫女である前に武士。そう言葉なく叩きつけるように突き刺し、切腹をするように一文字を引く。

 

 祐一に刻まれた袈裟斬りになった傷……それに習うように刀を傾けた。

 同じ傷と同じ刀。

 鏡合わせの二つの像にごとく、向かい合う。

 

「ふ、くぅ……っ……! や、やっぱりすごく痛いねっ……」

 

「な、なにやってんだ!!!」

 

「はーっ……はーっ……! 祐一くんが恵那に背中を預けられないって言うなら、恵那はっ! ──おなじ傷痕を恵那は、恵那に刻む! 恵那は祐一くんと一心同体……比翼連理の刃になりたいっ! 君が切るものと同じものを切り裂くっ! きみが傷ついたらおなじ場所を傷つける!! ──それが恵那の決意なんだっ!!!」

 

「そこまで……」

 

 正直、意外だった。

 誤解していたといってもいい。

 巫女だの修行だの取り繕っても、もっと純粋で奔放で世間知らずな箱入り娘だと思っていた。

 媛巫女だなんだとあらゆる害悪から遠ざけられた上での純粋な人なのだと誤解していた。

 

 想像以上にこの少女は……清秋院恵那という少女は峻厳で、命を懸けることに躊躇がない。

 

 恵那が口元を拭う。その端から赤い血糊が、線を引く。

 祐一の血は、既に彼女のなかにある。

 

 致命傷を負った恵那を、完治させる方法はひとつだけある。

『少年』の化身で呪力を送り込み、完治させればいい。

 

『少年』の発動条件をクリアするのは生半可ではない。

 祐一のために忠誠を捧げ、そして死にかけた者のみが常勝不敗の軍神の『加護』を授ける栄誉が與えられる。

 

 だが『少年』の発動条件が満たされているのを察知していた。祐一がその気になれば瞬時に『加護』は與えられる。

 

(使えちまう……けど)

 

 だがそれは新たに道ずれを増やす事だ。重荷を背負うことを意味する。

 祐一が口を引き結んで苦悩する間にも、恵那は生命力を消耗していく。

 同じ傷を負っていても人間の体力とカンピオーネの体力とでは雲泥の差がある。先に命数が尽きるのは蓋を開けなくても分かる話だ。

 

 早くしなければ。

 

 言葉にするのは聖句でいい。

 そのはず。しかし。

 

「違う……」

 

「え……」

 

 それでも祐一は聖句を唱えなかった。『少年』を行使せず、力なく頭を振った。

 

「……違うんだよ……。アンタに切られたからとか、スサノオの巫女だからとかっ! もっとそれ以前の話だ!」

 

 果断すぎる巫女の覚悟に気圧されながら、祐一は肺腑に満ちた空気を吐き出すように叫んだ。

 

 それは──祐一が清秋院恵那と出会ってからずっと抱いていた疑問。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──俺はっ!!!!」

 

「先輩に、なにも──し(・)て(・)い(・)な(・)い(・)!!」

 

「アンタが俺に──命(・)を(・)捧(・)げ(・)て(・)も(・)ら(・)う(・)理(・)由(・)が(・)な(・)い(・)!!!」

 

「何もしてないんだよ! あんたに返されるような恩讐もない! たしかに、俺(・)は(・)、秩父の山奥で命を拾ってもらった飯をもらった! それは恩義だ! さっきスサノオに操られたあんたに斬られだってした! それは怨讐だ!」

 

「でも俺はっ、アンタに何もやっちゃいない! なにもやっちゃいないんだ! 命を助けたこともない! こんなに尽くしてもらえる理由がねえ! 道理も、義理も! 因果がない!」

 

「カンピオーネだから命を捧げてくれるってンなら俺はいらねえ!!! ホイホイ命を捧げて貰えるほど、俺はそんなに恵まれて良い奴じゃねえんだ!」

 

「死地でこそ──俺は生きていい! 許される! 戦場でしか俺は生きちゃいけねえんだよ!」

 

「んなクソみてえな道に、アンタが付き合う義理も道理もねえだろ!」

 

 口に出してすぐに後悔に襲われた。迂闊だった、こんな事を口にする気はなかった。

 でも本心だった。祐一の内心の一部が言霊となってる流れ、恵那のもとへ届く。

 

 祐一がずっと感じていた恵那への違和感。

 恵那がずっと感じていた祐一からの温度差。

 

「そっか。そうだよね。恵那は……こっちの世界の祐一くんを見ていたから……」

 

「そうだ! 今の俺じゃない! あんたが捧げるべきなのは神を殺めなかった俺なんだ! もっと良い人を選べよ! ──俺なんかより、ずっと!」

 

「なんか、なんて言わないでよ」

 

 恵那は首を振って、否定した。

 

「全然なんか、じゃないよ。それに理由だってあるよ」

 

 じっと恵那の赤みがかった瞳が祐一を貫く。祐一が耐えかねて目を逸らしても、視線は貫いてくる。心を貫いて覗き込んでくるようだ。

 恵那の赤い瞳が、祐一の赤心と融解して引きづり出すように、貫いてくる。

 

「君が約束してくれたもん、他でもない。今、目の前にいる木下祐一が約束してくれた──神様のいない世界を作ってやるよ! ってね」

 

「……。あっ」

 

 言われて気付いた。

 祐一はもう恵那と繋がりを生み出してしまっていた。

 ああ、本当に迂闊だった。

 こんな事になるなら……絶対に交わさなかった。

 

「でも、だからって……」

 

「君は他愛なくて重さのない約束だったかもしれない。でも恵那には大きなことだったんだ……ね、聞いて?」

 

 恵那との距離が無くなっていくのを分かっていた。でも離れられない。抗いがたい欲求が、祐一を停止させている。

 

「幼いころ初めて会った日、木に登ってた君から矢を射掛けられたって言ったでしょ? あの話には続きがあるんだ。矢を怖がって泣いて怒ってた恵那に、君は花をくれたんだよ?」

 

「……」

 

「申し訳なさそうな顔で、木の下で泣いてた恵那に……腕いっぱいの野花を君がくれたんだ」

 

 知らない記憶だ。祐一は持っていない恵那だけの過去の記憶だ。

 

 知りたい。見てみたい。この人の見ているものと同じ景色を見てみたい。

 焦がれるような情念が、ふと肚のなかで生まれているのに気づいた。

 

「神様や魔法も、奇跡も。あの時の、あの場所にはなかったんだ」

 

 恵那が独自を終えた。

 

「君は祐一くん。木下の祐一くん」

 

 祐一の隣にもうひとつ影が見えた気がした。それは恵那が見ていた木下祐一という影。

 

「恵那は、野花の──桔梗の花が咲き続けたその世界を見てみたい。行ってみたいんだ……君が見せてくれるって約束した……恵那の……──私(・)た(・)ち(・)の(・)約(・)束(・)の(・)場(・)所(・)へ」

 

 恵那の心と言葉とともに、過去の幻影が目の前の少年と同化していく。否、影が光と重なっていく。

 

「恵那が君と肩を並べて戦いたいって願うのは、祐一くんが羅刹の君だからじゃない。君が君でいてくれるなら、恵那はぜんぶ、ぜーんぶ。ありったけを懸けられるんだ」

 

 恵那は木下祐一を見ていた。

 

 まつろわぬ神を殺め権能を簒奪したカンピオーネという『殻』ではない。神のいない世界へ解放を約束した少年という『中身』。

 

 その殻から覗く中身の部分だけを器用に見つけている。

 

(ああ。そっか……この人は)

 

 祐一はついに悟った。

 

 血を分けた兄弟でもない。苦楽を共にした同胞でもない。戦場を共に駆ける相棒でもない。

 

 清秋院恵那は、神のいない世界を願う、初めて巡り合った──同志なのだ。

 

 

「ゆーいちくんっ……、『加護』を授けるのがダメなら恵那に──《嘘》をついてよ」

 

「うそ?」

 

「うん。今の《嘘》に覆われてヤマタノオロチになった祐一くんと、天叢雲剣が揃えばきっとできる。君の比翼連理の刃に──恵那を造り変えられる!」

 

 天叢雲剣の《偸盗(コピー)》は驚異的な万能さを発揮する。どんな厄介な権能でさえコピーしてしまえば攻略は容易になる。

 スサノオの《嘘》の言霊でさえコピーしてしまえば、これほど強力な手札もない。

 

 そして《嘘》の力で祐一をヤマタノオロチへ変貌させたように清秋院恵那を同じように怪物へと変身させられるのだ。

 

「今はスサノオ様から配役されたのはクシナダヒメの役。だけど、今ならなんだってなれるよ。しっぺい太郎? 犬祖槃瓠? アタランテ? キュベレー? ピスティス・ソフィア? 君から恵那に授けてほしいなっ! 弱い恵那が、君のそばに居られないなら──強さを! 背を預けれるに足る資格をちょうだい!」

 

 恵那は、総て良しとする。

 たった一つの約束から、果断な彼女はそこまで踏み込む。

 人格を否定し、一個の生命を根底から覆し、魔王の眷属へと変えてしまうことも。

 

 すべて良しとうなづいて、魂魄のすべてを祐一へ捧げる事を選択した。

 そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美夜受比売(ミヤズヒメ)」

 

 

 恵那の決意は、ついに祐一に変節を促した。

 

 だが弱々しく彼が望んだのは……強大な女王でも、勇猛なる武神でも、破魔の獣でもない。

 戦いとはかけ離れた──とある姫君の名。

 

 

「え……」

 

「俺はっ!……先輩に……俺にとってのミヤズヒメになってほしい」

 

 祐一がその姫の名前を知ったのは少し前……王国でヤマトタケルと死闘を繰り広げた時のこと。

『戦士』の化身を行使するため……幽世で無理やり引っ張りあげた、いや、思えば頭のなかにいる『全知の蛇』の囁き声を聞いた時だ。

 

 ヤマトタケルの知識のなかに、その名はあった。

 

『草薙剣はアンタの栄光の象徴であり、アンタの死の遠因となった!』

 

『身に帯ばせる剣を桑の木に掛け、避れて殿に入りましき! 』

 

『これは「尾張国風土記」に記された草薙剣を手放すときの一節だ!』

 

 かつてヤマトタケルを切り裂いた言霊の剣のなかの一節。東征に明け暮れたヤマトタケルが、初めてみずからの意思で草薙剣を手放したとき……その神剣を受け取った妻がいた。

 

 名を美夜受比売(ミヤズヒメ)。

 

「俺の故郷は……ここじゃない……。神様のいない世界だった。いつか俺はその故郷に帰る時が来る。絶対に。そして、その先には……」

 

 俯いて吐き出す言葉は鉛じみた重みがあった。

 

「……先輩もいてほしい」

 

「……!」

 

「今まで俺が帰りたいから、帰り道を歩いてた。でも、俺が帰った家にさ……誰かが待ってくれているなら、それは先輩がいい」

 

 奥秩父で一緒にいて、祐一は生じた気持ちにやっと気づくことができた。

 帰ってくる場所が故郷なら、そこには──恵那がいてほしい。そんななんでもない願い。

 

「ああ、いや、違うな」

 

 恵那に引き出された赤心を口にしながら、祐一のもっとも柔らかい中身をさらけだす。

 

 それは己がこれまで打ち立ててきた誓いを覆すほどの祐一史上最大の──変(・)節(・)。

 

「お、おかえり、ってっ! おかえり……を言ってくれる人がいるなら先輩がいい……」

「!」

「帰るなら先輩が待ってる場所がいい!」

 

 柔らかい中身を覆っていたメッキや鋼を剥がす。

 

 

「……帰る場所になってほしいんだ」

 

 

 結局、祐一は恵那にともに命をかけて戦ってくれと申し出る事はなかった。祐一のいうそれはもっと手酷い。

 もう剣を振るなという意味に等しい。

 

『剣の媛巫女』として励み、生涯を費やしてきた恵那の覚悟や生き様、経験。誇り。

 すべてを侮辱しつくす言葉だった。

 

「女は嫌いだ、苦手なんて嘘だ。あいつらはただ居るだけ友情を壊しちまう。男はバカだからさ……いい所を見せようと平気で友達にも嫌なことをする……それが嫌だった……」

 

「うん」

 

「でも。それでも、先輩には居て欲しい!」

 

 だが祐一は……女を、否。清秋院恵那という唯一を欲した。

 戦士が剣を預けられる唯一。無二の女。木下祐一/倭建命にとっての清秋院恵那/美夜受比売という存在を。

 常在戦場の戦士が唯一求めた──安息。その象徴。帰る場所を清秋院恵那に求めた。

 

「うん。いいよ」

 

 女の歓喜に打ち震えた。涙とともに。

 

 法悦だった。

 

「君が望むなら……私は剣を置くよ。太刀の巫女は今日でおしまい。巫女もおしまい。神様がいない世界だったら、きっとそうだったように……恵那はそこらへんにいる、ただの女の子。君がずっと前に、そう約束してくれたように。そして戦場に行く君の帰りを待つよ」

 

「俺は帰らないかもしれない……。俺はそういう生き方しか、できない……」

 

「いいよ。……何年、何十年。ううん。何百、何千年だって、待つよ! 武門の娘だからじゃない、恵那が祐一を待っていたいから。……ずぅーっと、ずぅーっと、那由多の果てまでも! 君の帰りを待ち続ける!」

 

 恵那は一瞬で、数年の時を超えてろうたけたように見えた。

 視線に魔性を帯びる。籠絡し、繋ぎ止めようする戦士がもっとも弱点とする艶やかな笑顔になる。

 

「だから連れて行って。神様のいない世界へ……君が約束してくれた世界へ」

 

 恵那の外傷がみるみると治癒していく。《嘘》の権能で生じたささやかな神力が、生命力を回復させ、恵那の顔に血色が戻った。

 互いの手で、互いの天叢雲を引き抜いていく。抜き取られた二つの天叢雲剣が打ち合わされ交差し、斜め十字を描く。

 

 清秋院恵那と木下祐一、どちらにとっても相棒である神刀。 剣と劍。ふたつの刃。ふたりの使い手だった。

 今までは。

 

 清秋院恵那は天叢雲剣を担う。

 

 それはスサノオの巫女としてでも、スサノオの妻クシナダヒメとしてでもない。

 倭の勇者より、剣を預かる美夜受比売としてだ。

 

「「烏波利珥(をはむに)  多陀珥霧伽弊流(ただにむかへる)」……」」

 

 真に剣を振るうのはただ一人、カンピオーネ木下祐一のみ。

 二人は始めた。

 二つの天叢雲剣を、一本の神刀するために。

 

「「比苔菟麻菟阿波例(ひとつまつあはれ) 比等菟麻菟 比苔珥阿利勢麽(ひとにありせば)  岐農岐勢摩之塢(きぬきせえましを) 多知波開摩之塢(たちまけましを)……」」

 

 ほむらと共に炎上する天叢雲を介して二人の記憶が交錯する。混ざり合い、溶け合う。擦り合わさっていく。

 二振りの天叢雲剣。二人の担い手。二人がいる野原──故郷で刻んだ二つの原記憶。

 双方を繋ぎ合わせる──吻合の儀式。

 

 気づけば緑と紫が色づく原っぱの上に立っていた。

 景色は二重にぶれていて、二人の回顧する記憶とは微妙に違う。

 

 恵那は、湖を知らない。祐一は、木を知らない。

 

「懐かしいね」

 

「ああ……本当に、綺麗だ……」

 

「えへ、でもちょっとだけ違う部分があるね」

 

「あの木は俺のとこには生えてなかったな」

 

「あんな大きな湖は見た事ないよ」

 

「でも同じ所はたくさんあるさ」

 

「うん。山にはうさぎがいる」

 

「ああ。イノシシだっているよ」

 

「青い空」

 

「白い入道雲」

 

「朝靄の紗幕」

 

「緑色の原っぱ」

 

「穏やかな風」

 

「土に埋まってる黒曜石」

 

「朝焼けの紫」

 

「桔梗の紫」

 

 色彩が重なる。

 二つの異なる世界が、二人の原記憶を介してか細い糸で繋がれる。

 天叢雲が一本の劔となって新生する。

 

「祐一くんは走る」

 

「先輩は、笑う」

 

「……ね」

 

「ん?」

 

「祐一くんが、好き」

 

 息が止まった。長い沈黙。

 そして諦めとともに首を振った。

 

「ごめん。やっぱ、俺にゃ……好きとか恋とかよく分かんねえ。それに……俺と居たって……いいことないんだぜ」

 

「大丈夫」

 

 恵那の心が染み渡ってくる。

 

 清秋院恵那は、剣を置く。それでも性根まで投げ捨てたりしない。

 

「何も自分で決められないのはヤダ。絶対ダメ。許せない。欲しいものがあったら、自分の手でつかみ取らなきゃ──私の大切は祐一の心」

 

「そいつが、ま(・)や(・)か(・)し(・)かもしれなくても?」

 

「うん。それでも祐一くんの口から聞きたいな。君の気持ちを。だって言霊は力だよ? ……私は、その言葉を聞けるだけで幸せ。そう思いたい。だから私に、ウソついてよ。そしてウソをつき続けてほしいな? 永遠に君を好きでいられるくらい──」

 

 

 

じょうずに、だまして? 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一目惚れだったんだ……」

 

「……っ」

 

「先輩は俺にとっての桔梗だ。桔梗は野に咲くのが一番綺麗なんだ。俺は花を愛でるのも摘むのも趣味じゃねえ。でも……咲いているべきだと思う」

 

 愛を囁く。

 子供は、いつか愛を知りそして嘘を覚える。

 祐一にとってその時が、今だった。

 

「……花が咲くためには太陽が必要だ。俺は太陽を輝かせつづける。その下で──強く咲きつづけてほしい」

 

「うん」

 

「俺は桔梗の咲く野原と焦がれた山を守るために戦い続けたい。それしかできないから。先輩が咲き続けるなら、故郷で待ってくれているなら、俺は戦い続けられる」

 

 言い終えると、足元に花が咲いていた。桔梗の花。祐一が目指してきた旅の終着点に咲く、幻花を摘みあげて恵那の髪に飾りつける。

 開花凋零は世の習いなれど、この瞬間は永遠だった。

 

 恵那がたまりかねたように若鮎のようにはねて飛び乗って来た。さっきまで犬の姿をとっていたから、故郷に置いてきた懐かしい姿を幻視してしまった。微笑して少しだけ懐古を覚えた。

 

「俺は戦う」

 

「私は待つ」

 

「だから──行ってくる!」

 

「うん! ──行ってらっしゃい!」

 

 

 

 

○●◎

 

 

「──天叢雲、抜刀」

 

『征くか』

 

「ああ、やるぜえ叢雲」

 

 満腔より横溢するこれまでにない闘志。これより若き魔王とその相棒たる神刀は、戦場へと帰還する。

 

 天叢雲はもはや他の追随を許さぬ比類なき刃へと昇華され、当て所の無い旅を続けていた祐一は帰るべき鞘を得た。

 

 その足取りは揺るぎなく勇往邁進。常勝の王者の行進に他ならない。

 

『フッ……大それた事をやるつもりだな。いつもなら止めるが、今回ばかりは己(オレ)も腹に据えかねている。とことん付き合ってやるッ』

 

 双天・天叢雲劔は叫ぶ。

 

『さあ寄越せ祐一ぃ! 全部だ!』

 

「応ともよ! ──一千の剣を掘り立て、城郭として楯篭り給ふ!」

 

『是所謂、天叢雲剣也。ちはやぶる千釵破の鋼なり!』

 

 ひとつ。

 

「汝、泥濘のなかで輝く一等星。我、星の狭間に澱なす帳。冥府より深き……深淵に下った敗者の闇。祖は──黄金時代(ゴールデンエイジ)の落とす昏い影!」

 

 ふたつ。

 

「掌中の珠も砕け散った! 血まみれの肺腑は地に落ちた、万物万象は四散し、世界の箍は弛んだ! さあ、無秩序を齎そう!」

 

 みっつ。

 

 ちはやぶる千釵破の鋼。星。無秩序。三重に重なり合った聖句とともに神力の融合が始まる。

 呪力が寒気を覚えるほど濃密となり圧縮され『天叢雲剣』、『聖武帝の稜威(domination over the world)』、『朽ち褪せた黄金玉座(Schwarzschild radius)』の三権能が渾然一体となって加速度的に世に無法を強いるため権勢を強めていく。

 

 簒奪の円環が廻る。

 

 加速。

 回転。

 流転。

 加速。

 

 加速。加速。

 加速。加速。加速。

 

 回転。流転。加速。加速。加速。加速。回転。流転。加速。加速。加速。加速。回転。流転。加速。加速。加速。加速。回転。流転。加速。加速。加速──ッッッ!!!!!!

 

 

 権能が、ぶ(・)っ(・)壊(・)れ(・)た(・)。

 

 

 

「む?」

 

 異変を最も早く察知したのはスサノオだった。風が吹いている。白きイノシシを相手取りながら、異常気象の発生に怪訝な顔を向けた。

 風神であるスサノオは、周辺のあらゆる風を掌握している。白南風。黒南風。凱風。規模が台風クラスに達しようとその法に乱れは起きない。

 しかし今吹いた風は、別だった。

 

 次に感じたのは──光。

 

 おかしいのだ。太陽はすでに己が生み出した暗雲によって封じた。

 だが、どこから光が漏れている。

 

 ハッとして空に目を向ける。

 

「なっ!?」

 

 そして愕然とした。

 いつの間にか太陽が──無数に空に浮かんでいる。

 まるで回転のぞき絵(ゾートロープ)のように太陽が一列に並び、雲の直下ですら光の乱反射を遮れられない。

 

 薔薇色の光に染め上げられていく。

 

「ンだ……こりゃあ……? どうなってやがる!?」

 

 揺るぎない勝利を確信し、怨敵必滅を込めて地ならししたはずの盤面が……崩れ去る。

 ゲームボードがあっけなく宙を待って、ひっくり返り、下等な駒も上等な駒もすべてが四散する。

 スサノオが狼狽する間にも、太陽が威勢を増していく。点滅はやがて緩やかになり、西の空から東の空へ、一直線へ駆ける光線と化す。

 スサノオの雲は地球のすべてを覆っている訳ではない。遥か地平線の彼方から薔薇色の陽光が差し込んでしまえば、光の侵入を許してしまう。

 

 雲が瞬く間に追い散らされ、敗走していく。

 

「寝ぼけてんじゃねえ! そりゃあこ(・)の(・)世(・)が(・)遍(・)く(・)照(・)ら(・)さ(・)れ(・)て(・)る(・)ってことじゃねえか!!!」

 

 夜の存在を許してなるものか、そう宣言したかのごとき異常。

 それが許されるのはスサノオの姉にして神道の最高神たる太陽神のみだった。

 これまでは。

 

 光芒(エンジェルラダー)の最奥に座す者など、分かりきっている。蓋になった雲を容易く蹴散らし、現れるのは──

 

 ──ルァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンッッッッッッ!!!!

 

 白きイノシシと地に伏せたまま屈辱とともに転がっていた化身たちが次々と叫び始めた。

 歓喜の咆哮を。

 魔王の同胞たちが喉を枯らしての飛鳴走哮──即ち、王の再臨。

 

 スサノオが覆ったはずの雲間に、亀裂が入る。卵さながらに罅割れた先から光明が射し込む。

 

 

 大地の微笑を誘い、感精が命を授ける姉たる太陽神アマテラスとは真逆の太陽。

 満々たる悪意と殺意を放出する無慈悲の塊。悪々しき西方の輝き。荒涼たる砂漠の大地を焦がしつづける全滅の使者。破壊の御子。

 

 あれは闇である。あれは悪である。

 

 スサノオは断じた。

 

 光と闇は表裏一体。

 闇が視界を晦ませ目を塞ぐなら、同じく強烈な光も視界を晦ませ目を塞ぐ。

 

「!?」

 

 途方もない呪力の爆発。

 それも大地から。

 スサノオは反射的に仰け反って、走り出した。遮二無二すべてを投げ出した逃げの一手。

 

 だと言うのに。

 

 絶対(システム)が拒絶する。

 そうだ、これは誰もが知る理。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大魔王からは逃げられない!!! 

 

 

 

 

 ──どこへ……行くつもりだ──

 

 ──逃げられるとでも、思ってんのか──

 

 未来視の霊眼が疾風となった神ですら補足する。

 スサノオの背に、神殺しの両眼が突き刺さる。視線から逃れようと速度を上げ──神速/韋駄天速の領域へと踏み込む。

 

『だが、無意味だ。てめえは俺からは逃げられねえ。そ(・)こ(・)にいる限りはな……』

 

『ずうぅぅー……っと考えてたんだ。権能を簒奪した時からな……。『聖武帝の稜威(domination over the world)』はどんな乗り物だって自由に動かせて、稲妻の速度まで加速できちまう』

 

「乗り物だと?」

 

 スサノオは周辺を見渡すが、乗り物などひとつもない。

 理解できないまま、スサノオは追い詰められていく。 

 

『そうさ』

 

 もはや双天を仰ぐ──天叢雲劔に不可能はなかった。

 

 地面のなかに天叢雲を浸透させ、その奥で祐一は操縦桿を奪取した。サトゥルヌスの権能で、さらに操縦桿の支配領域を広げていく。

 

 仕上げに『聖武帝の稜威(domination over the world)』という祐一の意のままに動かすためのハッキングウィルスが雪崩打つ。

 

 

 

 奇妙奇天烈。摩訶不思議。

 

 祐一が乗っ取っているのは──

 

 

 

 

 

 

 

 

「宇宙船地(・)球(・)号(・)ってなあ!!!」

 

 

 

 

「馬、鹿、か、テメエわあああああああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああああああああああああああぁぁぁああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 マッハで回転していた地(・)球(・)の自転が、第三宇宙速度を超え、神速の速さで回転する。古今東西、あらゆる国と地域で天変地異──終末の足音が響く。

 神を殺した魔王はついに、世界を滅ぼす手段を獲得した。

 

 極星の直下に、人影が滲みでる。

 光輝に満ちた闇のなかから、光の紗幕を引き裂くように若き魔王が姿をあらわす。

 

 魔王は動揺しているスサノオの隣に立つと、肩組んでギョッとしている翁神へニッコリと笑った。

 

「嗤えよ」

 

 笑顔のまま強請る。

 

「おいおい、トリックスターってのは道化師なんだろ? 人を笑わせ、時に人に笑われるのが道化だろ? だったら苦しい時でも笑ってなくちゃいけねえだろ? さっきまでバカ笑いしてたじゃねえか! 忘れちまったかあ!? アァ!? 忘れちまったなら思い出せてやる! ──こう笑うんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!! 

 

 

 響き渡るは魔王の哄笑。

 




やめて!天叢雲剣の特殊能力で、地球ごと焼き払われたら、物理的に地球と繋がってる生きとし生ける全生命まで燃え尽きちゃう!

お願い、死なないでスサノオ!

あんたが今ここで倒れたら、日本列島や委員会との約束はどうなっちゃうの?

ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、カンピオーネに勝てるんだから!

次回、老星墜つ

デュエルスタンバイ☆




お読みいただきありがとうございました。
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