王書   作:につけ丸

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060:阿鼻叫喚

「──来たれ奈落の軍勢ッ!」

 

 神殺しの肉体でさえ耐え切れない熱を持つ難攻不落の卵を前に、ついに攻略が糸口を見つけたのか祐一が口訣を結ぶ。

聖武帝の稜威(domination over the world)』のもう一つの側面が浮かび上がり、四方八方から地獄の扉が現れ、人外の軍勢が姿をあらわす。しかしこの権能を発動するには満たさなければならない……大多数の敵が存在し、且つ、その同数しか召喚できないという条件を。

 だが目の前にいる敵は天使一人だけ、通常なら不可能……けれど祐一は軍勢を召喚した。そこかしこにいる民衆すべてを敵と認識することによって。常の彼ならば絶対に認めないと断言できる、窮状を脱するためのなりふり構ない策であった。

 そして呼び出された軍勢の数は、およそ百万。呪力がゴッソリ持っていかれたが構わない。先刻の一点突破が駄目だったなら圧倒的な物量で叩く。

 それが祐一の考えであった。

 

「───撃て!」

 

 祐一の号令に従い百万を超える軍勢による手によって矢が、砲が、飛礫が、次々と繰り出される。空を覆い尽くさんばかりの圧倒的で一方的な攻撃。

 ……だが祐一自身でさえ近づけなかった超高温の卵だ、そう易々と攻撃が通る訳がない。触れる以前に近付いたそばから融けて消えた。

 チッ、これもダメか……。当然の如く一筋縄でいかない窮状に、祐一はこれまでの戦いにヒントがないか反芻していた。

 ウルスラグナとヤマトタケルの戦いからヒントは得られなかった、ならばチンギス・ハーンとの戦い……あれはどうだったか。あの戦いの最中、『白馬』を行使した攻撃はいま思い出しても苦笑いしてしまう方法で切り抜けられた……そう、太陽ごと呑み込むという手段で。

 と、そこでハッと思い至るものがあった。いま眼前で難攻不落の要塞のごとく構えるものの大部分は太陽の光を奪ったもの……そう、あの卵も元はと言えば"太陽"なのだ。ならば……

 

「叢雲」

『確かにできる、(オレ)の力添えがあればな。しかし(オレ)を介する事で(オレ)という『鋼』の性質に引っ張られる事になる。あの焔を呑み込めば露と消えるぞ』

「鋼の弱点は火、か。……なぁそれなんだけどよ、あの卵みたいなのの中身は『鋼』なんじゃないのか?」

『どういう事だ』

「だってあの天使も『鋼』なんだろ? あいつが何かを生み出そうってするなら、そりゃあ似た存在になるんじゃないか?」

『む』

 

 それにあの灼熱の渦を見てとって思ったのだ、あれは産湯のようなものではないかと。強い鋼を生み出すには熱が必要、それは『鋼』という強力な神性を持った英雄神であろうと……いや、だからこそ逃れ得ぬ宿命なのだ。

 祐一はそれを直感で理解していた。それは彼がこれまで幾柱もの鋼の英雄たちと鎬を削ってきたからこそ得る事のできた答えだったのかもしれない。

 

『……鋼を融かすのは火だが、鋼を育むのもまた火、か。なるほど盲点であった、一考の価値はある』

「そんでお前の力を借りれば…………どうだ、行けそうか?」

『やってみなけれ分からん。が、おもしろい。出来ぬとも言わん』

「それだけ聞ければ十分だ。合わせろ」

『応』

 

 行動は早かった。

 

「我が眷属よ!」

 

 祐一の一声で卵を囲む様に布陣していた人狼たちが一点へいっせいに駆けだす。百万の狼たちが寄り集まり、一匹一匹が一つの細胞となって、一体の大巨狼へ。その威容は北欧で謳われたフェンリルさながらで、あの卵さえ一息に呑み込みそうなほど。

 ……だが、このままでは無意味に終わる。だからここでひと手間加える。

 

「爰に須佐之男命、国を取らんとて軍を起こし小蝿成す一千の悪神を率す!」 

 

 彼らが行使しているのは叢雲の持つ模倣の権能……ヤマトタケルへ最後の攻撃を叩き込んだ時にも見せた模倣の権能を使ったのだ。祐一のもつ権能を神刀に()()()()事で変化をもたらす。

 

「一千の剣を掘り立て、城郭に楯篭もり給う──」 

『応! 是所謂、天叢雲劔也! ちはやぶる千剱破の鋼なり!』

 

 叢雲と祐一が朗々と言霊をひとつにする。すると銀の毛並みを持った大巨狼は瞬く間にその姿を変化させ黒曜の毛皮もった漆黒の狼へと変貌を遂げた! 

 黒曜の狼となった大巨狼の大咢が開き、そして───嵐が訪れた。

 まるで重力嵐(ブラックホール)。大巨狼の咢を起点とした大旋風が巨大な卵へたどり着くと、かつてチンギスハーンがそうしたように引き込み、呑み込み、嚥下していく。

 祐一と叢雲はかつて太陽を呑み込んだチンギス・ハーンをイメージしながらそれを模倣、アレンジし、太陽ではなく『鋼』を呑み込む権能へ変化させたのだ。

聖武帝の稜威(domination over the world)』はチンギス・ハーンが持つ戦闘神としての権能であり、太陽神として限りなく薄い。ゆえに叢雲が力を貸さねばならなかった。

 しかしそうする事で『最源流の鋼』たる天叢雲剣という神性に引っ張られるのは当然であり、そして鋼の弱点は「火」。

 接近すれば太陽の温度にも匹敵する卵をそのまま呑み込めば融けて消えるのが必定。しかし、中身のまだ神となって居ない『鋼』だけを呑み込めば、あるいは。

 それが作戦の全容であった。

 博奕ではあったが状況は好い。このまま順調にいけばあの天使の目論見を阻むことができる……そう祐一が口角を吊り上げた時だった。

 ───りぃぃぃん。

 鈴の音が鳴るような透きとおった音が祐一の鼓膜に届いたのは。

 ハッと音の方へ視線を巡らせ……「卵」の頂点から高速で何かが飛び出してきた。祐一はそれを見てとった時、嘗てイランで邂逅した『鳳』のごとき神鳥が現れたのかと錯覚した……けれど違う。あれは敵だ。仇敵だ。───黄金の翼持つ天使が飛び出したきたのだ! 

 

「悪あがきを……するなァ───ッ!」

 

 天使から放たれた大音声が世を震撼させる。同時にその逞しい剛腕が大巨狼に向けてふり抜かれた! 

 

「う、ウソだろ……」

 

 祐一が思わずそう漏らすのも無理はなかった。その一撃の前に、黒曜の大巨狼は跡形もなく粉砕されてしまったのだから。

 もうもうとわだかまる土煙が晴れ、現れたのは光輝に満ちた容貌魁偉。依然として神々しくある天使であった。しかし以前と打って変わってその表情は鬼気として恐ろしげなもの……仏教の明王のごとく怒髪天を衝くという言葉がこれ以上なく当てはまる彼は羽根を広げると一直線にこちらへ飛翔してきた。

 音速を超える速度はすぐさま祐一を捉え、右拳が放たれる。祐一には戦艦から発射された砲弾にしか思えなかった。泡立つ直感に従いギリギリで躱した祐一だが纏う拳圧によってたやすく吹き飛ばされた。

 クソっ! 今は『駱駝』も使えねぇ! マズいぞ! これ以上なく追い詰められている自分にみすみすここまで追い込まれた自分に、そして打開策すら用意できない己に、怒りが沸いた。

 ふざけんな! 神は殺す! 俺がやらないで誰がやる! 

 意志を横溢させ、それがきっと撃鉄。意識がガラリと切り替わる。心眼の開放。次いで、武の〝極致〟へ一足飛びに到った。

 ふっ飛ばされた祐一に追撃をかけた天使が、徹甲弾じみた剛腕の次に靭やかな蹴りを繰り出した。寸毫でも触れれば肉は削げ、細胞から粉微塵にされる致死の蹴り。しかし祐一はそれを"容易く"と形容していいほど流麗に受け流した。

 

「この私に徒手空拳を挑むというのか! 愚かだなお前は!」

 

 祐一は最後まで耳にする事なく、そして言葉ではなくカウンターによって返答とした。鋭く荒々しい手刀で。底冷えするほど冷たい手刀は眼前の敵を捕らえ鋼の肉体がザックリと切れていた。鮮血が舞う。

 これには天使も瞠目した。天使は『鋼』の一党であり、その肉体もまた鋼鉄並みの……いやそれ以上の強度を持っているのだから。

 

「鋼すら断つ斬鉄を、手刀で為しただと!?」

「俺の師曰く拳でできた事が剣にできない訳がないそうだ! ならその逆もありえて当然だろ!」

「粋がるな!」

 

 髪を逆立て初見時の穏やかさとは考えられないほど感情を発露させた天使は忌々し気に吐き捨て、ふたたび拳を放った。

 拳を避けると、続けて悪寒が走った。

 上空をみれば振り切ったはずの()()()()が天空から霹靂さながらに進撃していた。マズイ。

 悪態をつく暇もなく、祐一はあの権能をふたたび行使した。叢雲の言うように透明な()()()()も『鋼』に連なる剣だと言うなら……祐一は天使の一撃で巨狼から残骸と化していたものへ、意思を送った。

 すると残骸はふたたび万の眷属へと成り代わり、空へと駆け上った。眷属の群れは()()()()にすがりつくと身を溶かしながらも行く手を阻む。まるでオオスズメバチに取り付いて我が身もろとも殺そうとするミツバチの如く。

 あれ(かげろうの剣)はこれでいい、あとは! 

 眼前に迫った拳の大海嘯を見据える、あまりの速度と打数にまるで大波が陸を呑み込むかのよう。聖人に見紛うほど清廉な天使は、その見た目に反して優れた闘士だった。

 この苛烈さ、間違いなく『鋼』だ。祐一は拳を見切り手の平で受け流しながら、確信を抱いた。

 おそらく彼の神話のもととなった宗教は排他的な一神教、その姿を切り取り示したように彼もまた苛烈なのは当然であった。

 過去、数え切れないほどの異教徒どもを下し、世にはびこる悪意や悪魔を滅してきたのだ、武勇に秀でているのは当然と言えた。

 だが、祐一がそれらと同じように滅される理由はどこにもない。生来の負けん気と生き汚さで、天使の拳をくぐり抜けていく。

 

「我が刃を受け止め、私に血を流させたその武勇は認めよう! 私が滅してきた混沌王やデイモンにも匹敵する存在であると!」

「ああそうかい!」

 

 二つの拳風が天を咲いて地を割った。神を拳で弑逆した者と、神敵を滅して来た者と、超常の存在がぶつかり合い世界が砕け始めている。一呼吸の間に、何千、時には万を超えるほどの打撃が両者から繰り出され、中世の趣を残すヨーロッパの古都は急激に崩壊へひた走る事となった。

 およそ人間の位階から大きく外れた戦い……しかしその中でも祐一は善戦していると言って良かった。

 なにせまだ決定的な一撃を受けていないのだから。祐一も激しい攻勢に傷が増えていく一方だが、そればかりではない。小さいといえど天使にも着実にダメージが入っていた。彼の成長を思わせる快挙であった。

 

「──だが誤解しないで欲しいものだ。私は手心を加えている……君を殺すわけには行かないのだ。なにせ君はこの"招聘の儀"の要だからな」

「招聘の、儀? 要だと?」

「分からないだろう。それも当然だ。いいだろう哀れな君に冥土の土産としてひとつ私が得た預言を教えてやるとしよう」

「預言?」

「そうだ。その愚劣な耳に我が言葉を刻み込め……──()()()()()()()

 

 間抜けた声を出さなかったのはひとえに争いの只中だったからだ。訳の判らないことを言い出した目の前の仇敵に、思考が停滞してしまう。

 普通ならバカを言うなと切り捨てる戯言だ。……けれど、あの時から、パルヴェーズと戦っていた時から……その事を知っていたような気がして。

 反駁する言葉が浮かんでこなかった。

 天使が言葉を放ち、いつの間にかどちらともなく、拳を収めて睨み合っていた。

 

「理由は君でも察しがつくのではないか? 各地で自儘に活動する『まつろわぬ神』ども……これ以外の原因をおいて他にはない。そしてあと幾度かの月の満ち欠けをを経て、さらにこれまでの何倍もの規模で『まつろわぬ神々』は地上へ現れ、世界は終末へと導かれるだろう」

「何倍もの、規模だって……? 馬鹿が、信じられるか」

「フ、ならば神がなぜこの世に現れるか知ってるか。悪しき者よ?」

「知るか、俺が聞きたいくらいだ」

「そうだろうな。君たち、蒙昧なる人がどれだけ頭をこねくり回そうが答えは出ないだろう。───教えてやろうその理由を」

「………………」

「民衆の願いによって? いや、そんなはずがない。ならば天地星辰の運行による歪み? ……いや、いや、そうではない」

 

 小さく首を振り否定する天使。

 祐一は睨みながらも、天使の言葉に耳を貸すしかなかった。臨戦態勢を解くわけにもいかず無視する事もできない、そんな状況に陥っていた。

 彼が言葉を重ねるほど、声が、感情が、波打っていく。

 

「正解は──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。終末に向かう己を救う者を求め、そのために気まぐれに我々を呼び寄せているのだ」

 

 なにを馬鹿な。そう、一笑のもとに切り捨てられない説得力がその言葉にはあった。

 否定するにはあまりに見聞きした風聞は酷いものだったから。世界が悲鳴をあげて、救いを求めている……それは何ら不思議な事ではない。そう思えてしまうほどに。

 

「では『救世主』とは誰か? 世界を救済できる存在など少し考えればわかるだろう……世界を救済できるのは"世界を創造した存在"のみ──"天なる父"をおいて他にはいない。彼の御方を招聘する事こそ世界の意思なのだ」

 

 どこか上擦ったように天使が言葉を言い切れば、鼓膜をつんざくような歓声が飛び込んできた。視線をずらすと、どこに居たのだろうか? いつの間にか周囲は熱狂する民衆によって埋め尽くされていた。

 どうやら人々はあの演説じみた天使の言葉を余すことなく聴いていたらしい。

 けれど、天使は民衆に一切の関心を示すことはなかった。

 

「『まつろわぬ神』は己の欲望のままに世界を自儘に搔き乱す存在だ。地上に現われる事で己の定められた神話から外れようとするが、結局は些細な変化しか起きず、神話に縛れたまま、我が天なる父に帰依する事など決してない。

 ───そんな傍迷惑な者共はいない方がマシなのだ! 仰ぎ見るべき御方がたった一柱(おわす)ればそれでいい!」

 

『まつろわぬ神』はいない方がマシ。敵の言葉なれどその言葉は少なからず、いや、大いに共感するものがあった。

 天使のまぶたが完全に開かれ、紅玉の瞳が現れた。紅の双眸は祐一という存在をはじめて見咎めた。

 呪力を削られる! 咄嗟に呪力を横溢させ身構えたが、結局その時は来なかった。だけど己の来歴を……毛の一本、細胞の一つひとつまで舐めるように見透かされる感覚を覚えた。

 

「私の視えぬ物なしの瞳が教えてくれるぞ……君は持っているな? 私が古き盟主であった頃の象徴を。かつて、原初の光であった『私』に立ち返ることのできる道標を」

「! お前の狙いはまさか」

「黙れ、何も言うな、私が理解していれば十分だ。そう、今このとき、君が()()を持って現れた事こそ、主の思し召し……」

 

 悪寒が止まらない。祐一には、今からこの敵が何をしようとしているのか察する事ができた。

 己に宿る赫々たる光明を宿したものを、『ミスラの松明』を、訳の分からない儀式に使おうというのだ。

 

「今日この時! 天なる父をこちらへお迎えすることが出来る……! さあ、万民よ喝采せよ! 約束の日は来たれり!」

 

 天使の宣告と民衆の狂い切った声とともに再び火蓋は切って落とされた。天使が飛翔し瀑布さながらの乱打を放ち、弾かれたように祐一も縮地法で距離を詰めて応戦する。

 

「おおおッ!」

「ルァァアァアアアアアアッ!!!」

 

 五月雨じみた弾雨を、岩をすり抜ける流水の如く駆ける。当たれば致命となりうる攻撃を、"神殺し"としての戦場感と極まった心眼で見切り突き進む。だが偉躯の天使もさるもの、中空を舞う紙のように捉えどころのない祐一の急所を正確に見抜き、確実で効果的な打撃を繰りかえす。

 拮抗状態にある両者だが、先ほどとは違い全力で打って出た天使が自力で勝り、僅差とはいえ祐一を押していた。

 

「果てよ"神殺し"! 人類と世界の『救世主』となるのはこの私とあの御方! 貴様はそのための礎となれ!」

「んなの認められっか!」

「愚かな! ならばこの私が引導を渡してくれる!!!」

 

 一瞬の迷いと些細なミスが命取りの両者にとっては薄氷を歩く事と同義である絶戦、しかしながら鉄と鉄が打ち合わされるように激しさと温度も増していく戦いのなかで、一方が大きく動いた。

 動いたのは黄金の羽根持つ天使。彼は大願成就を目の前にして血気に逸ったか、感情の昂ぶりにまかせ乱打を捨てると、拳から焔の権能を呼び水として凄まじき劫火を両腕から発射した。

 今回の戦いにおける最高火力の投入。しかしそれは祐一にとって、何重にも織り込まれた豪奢な絨毯が途端にほつれたような歪みであり、敵手が初めて見せるそれは紛う事なき隙に見えた。

 直後、"神殺し"としての呪力の耐性を限界まで引き上げる。これから行う技は、故郷の友人がたわむれに見せてくれただけの遊びのような技。けれどそれを()()に出来なければ己は灰と化す。

 いつもの事だ、祐一は口角を吊り上げ、腰を深く落とす。そのまま迫りくる劫火へ向けて手を伸ばした。

 猛火の勢いに、腕の皮膚は一瞬で焼け焦げ、あまりの熱量と激痛に意識が飛びそうになる。だが祐一はひるまなかった。猛火を手に受けて、そのまま回転。放たれた猛火を散らしていく。

 ──技の名を、廻し受け。手遊びか机上の空論でしかないそれを、彼は実戦で成功させた。

 これにはさしもの天使でさえ目を剥いた。それは決定的な隙だった……常人でさえ好機と思えるほどの、必殺の間隙。

 

「叢雲ォ!」

 

 虚空より漆黒の神刀を呼び出す。皮膚がただれ骨すら焦げた手で、愛刀の剣把を掴み、大上段に振りかぶる。天使はそれをただ見ている事しか出来なかった、再三言うが普通の人ですら反応できるほどの絶対の隙なのだから当然だった。そう──()()()()()()()()()()

 

「──危ない!」

 

 年若い声が戦場に響いて、既知の少年……ジズが飛び出してきた。結果的に祐一はこの絶好の機会を逃す事となった。これが知らない誰かなら……いや、結果は変わらなかっただろう。

 結局祐一は、振り下ろすはずの剣を、止めてしまった。

 

 形勢逆転したのはその瞬間──趨勢が決したのもその瞬間であった。

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