1話 ヤミヤミの実で宵闇の妖怪
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マーシャル・D・ティーチ
言わずと知れた海賊の一人。己が黒ひげの異名を持つその人物に生まれ変わったことを知った時にその男は絶望した。ゆえにその男はこれから起こりうるであろう未来に対して抗うことにした。
そして男の涙ぐましい努力の結果、実に平和的な方法で、粘り強く話し合った末に、サッチを殺害せずにヤミヤミの実を手に入れたのである。
「ヤミヤミの実でルーミア? いや、何で?」
念願の実を口にしたら、あまりの不味さにビックリ。さらにむさ苦しい男から容姿端麗な金髪少女へと性別どころか身に纏った衣装すらも変化して二度ビックリ。それも自分が知る「東方project」のキャラクターである「ルーミア」になったことに男はその場に踞って頭を抱えた。
ちなみに件の悪魔の実を引き渡す条件の一つとして本人の目の前で食するという提示を出し、一部始終を見ていたサッチは船の甲板をダンダンと拳で叩いたり、男を指差したりして、腹を抱えて笑い転がっていた。
そのサッチの様に腹を立てた男は怒りのあまりにサッチの右足を右ローキックで粉砕。あまりの痛さにサッチは悲鳴を上げたのちに白目を剥いて口からぶくぶくと泡を吹きながら気絶。さらに騒ぎを聞き付けた他の船員が駆け付け、あっという間に元男の少女の周囲360度を物騒な得物を片手に逃げられないように取り囲んだ。
「なんでこんな所に少女が?」
「それにティーチのヤツはどうしたんだ?」
「とりあえず何か知ってるのかもしれんから捕まえておくか?」
「そうだな…」と、騒ぎの元であろう少女を捕縛しようとするも、これは堪らんと半ば本能的に男は床を蹴って高く跳び、そのまま空を飛んで逃亡したのであった。
海の上を、月を背景に、宵闇の空を、一人の少女が舞う…
それはどこか儚く、今にも消えてしまいそうな幻想的な光景に見えた……と、その少女の逃亡劇を見た海賊達はのちに語る。
それから男が白ひげ海賊団を抜け出して数日後、原作が始まる数ヶ月前。男はマーシャル・D・ティーチからルーミアと名前を変えて活動する。
原作のティーチが仲間にしていた初期メンバーを集めて海賊団を結成。ルーミアが宵闇の妖怪と呼ばれていることにちなんで「宵闇ノ海賊団」と名乗る。また世間からはルーミアを中心とした小規模の海賊団ということもあって「ルーミア一味」とも呼ばれるようになる。
結成後、先ず彼女達が行なったのは医療大国と呼ばれている冬島ドラム王国で悪魔の実の抜き取り方の調査である。その際に一味は調査中にワポルと遭遇し、そのまま交戦。結果、敗北したワポルは国外逃亡。ワポルの行動に呆気に取られるも無事に目的を果たす。ついでにワポルを国から追い出したことでドラム王国の住民から大層喜ばれたそうな。
その次に彼女達はジャヤ島に移動。ジャヤ島の外れに住むモンブラン・クリケットを訪ねるためだ。目的は空島へ渡る方法を本人の口から聞き出すためである。……というのは前置きで実際はルーミアの好奇心が大きい。その時に猿山連合軍のマシラ、ショウジョウとも親しくなる。ついでに自らを猿山連合軍の最高戦力と勝手に名乗り、モンブランの住居に当人の許可なく居座る。ルーミア達はそこを拠点に原作の主人公であるルフィ達を待ち構えることにした。
そんな中、原作を知る彼女は考える。
(──何も白ひげ海賊団を敵に回してまでグラグラの実にこだわる必要はあるのか? 他の実、例えば……ゴロゴロの実でも良いのでは? それにエネルを倒せば、そうすればあの空飛ぶ船も手に入る!)……と。
ルーミアは妙案とばかりにメンバーに計画を打ち明け、メンバー全員もそれに快くニコニコ顔で了承。ゴロゴロの実を手に入れるためにルフィ一味に接触を図る段取りをする。
だがその前にルーミアは空を飛べることを利用して単独で空島スカイピアに渡る。ゴロゴロの実の能力者──エネルの存在を確かめるためである。
道中、ジャヤの原住民であるシャンディアの戦士から襲撃を受けるもルーミアはこれを返り討ち、痛め付けられ満足に動けない彼らを前にして、「共にエネルを倒さないか?」……と、話を持ち掛ける。
当然、最初は不信感を抱かれるが、エネル打倒という共通の目的もあり、半ば押し付ける形で共闘の約束を取り付けることに成功。引き続き、エネルに関する情報を集め、原作通りにエネルがゴロゴロの実の能力者だということが判明する。
その後、ゴロゴロの実の能力者の天敵であるゴムゴムの実の能力者──ルフィを連れてくるべく、ルーミアは空島を後にしてジャヤへと頭から落ちるようにして向かう。
──そして……
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ジャヤ島で麦わらの一味を待ち構えることにしたルーミア。しかし、彼らがいつジャヤ島に来るのかは明確には分かっていなかった。だが最初に接触したのがマシラをボスとしたマシラ海賊団だということは覚えている。そこで彼女は暇潰しも兼ねてマシラ海賊団がサルベージをするために船を出航する際は一緒に乗ることにした。
「わははー、ようやく始まりの始まりが来たのかー!」
その努力が遂に実ったのか、いつものように猿の形をした船首に腰掛け、持参したチェリーパイをほおばりつつ海に向かって足をパタパタさせて海をぼんやり眺めていると、上空から海中へと落ちていく大型船──ガレオン船を目撃。マシラを含めた船員を焚き付けて急いで現場に向かわせ、その途中で羊をかたどった船首をした小型船──ゴーイング・メリー号を目にして先程の言葉を口にしたのである。
(──モンキー・D・ルフィ! 海賊王の称号はくれてやる! なれるもんならな! その代わり……!)
船首の上で器用に立った後、両手を左右に大きく広げたポーズを取りながらルーミアは叫んだ。
「世界を引っ掻き回す手伝いをしてもらおうか!」
「わははー…」と、どことなく間延びした笑い声を上げながらゴーイング・メリー号へと船を近付けさせる。
( ´・ω・)にゃもし。
◆いくつか考えていた「ONE PIECE」と「東方project」のクロスオーバーもの。
◆悔いはない。
◆他には船の精霊が「メリー」「サニーミルク」なんてのも…
◆ちょっとだけ訂正したよ。