ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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10話 試す

  

 

 空島スカイピアをエネルから解放してくれた礼として折れた黄金の柱に布を巻いて大勢の男達が担いで森の中を遺跡のある場所にいる麦わらの一味の下へと運んでいる。

 

 

ウィ~~~ッハッハッハァ~~~!!!

 

 

 その道中、笑い声とともに彼らの行く手を遮るように木の上から大男の黒い影が降ってきた。

 

 

「こいつはスゲぇな!!! これが一本あれば当分、金に困らねェぜ!!!」

 

 

 突如、降ってきた大男の正体はバージェス。恩人である青海人の一人の出現に彼らは思わず足を止め、バージェスの名を叫びながら驚く。

 

 

「そいつはここに置いていった方がいいぜ!!! この先でうちのお嬢が麦わらの一味と話し合いをしてる。結果次第じゃあ、戦場になるかもしれねぇからなァ!!!」

 

 

 突然そんなことを言われて困ったのは黄金の柱を運んでいる空島の住人達。麦わらの一味とルーミア。同じ青海人なのに何故? ……という疑問を思い浮かべる彼らにニコ・ロビンはお願いをする。

 

 

「従った方が話が進みそうね。悪いけどこれをここに置いてくれる? 私もあのお嬢ちゃんに尋ねたいことがあるわ」

 

「……ニコ・ロビンか、ついてきな。うちのお嬢は()()()に用がある。詳しいことはお嬢から聞きな」

 

 

 そう言って背を向けるとそのまま歩を進ませるバージェス。残されたロビン達は彼の言う通りに柱をその場に置いて彼の後を追う。

 

 

 

 

──それから……

 

 

 

 

 「空の主」と呼ばれている超巨大なウワバミ。その腹の中に収められていた黄金の装飾品やインゴット等の金目となる物は一つ残らず「麦わらの一味」と空島にいる青海人の男達の手によって回収され、男達が用意した木箱に入れられた。ついでに偽装のためか、(ダイアル)の絵が書かれている張り紙がしてある。

 

 

「わはははー。結構な量だなー。2億ベリー……それ以上はあるんじゃないかなー?」

 

 

 そこへドクQを連れたルーミアが現れる。

 

 

「黄金を持って船へ行こうとしてるみたいだけど、肝心の()はどこにあるのかな~?」

 

 

 そんなことを宣いながら両手の掌を向かい合わせに十本の指をわきわきと動かすルーミア。笑顔がとても悪どい。当然ルフィ達は犯人、もしくはそのような指示を出したであろう彼女に対して非難の声を上げる。

 

 

「ニコ・ロビン。彼女が何で()()()になったのか知りたくない?」

 

「いや、いいよ。それよりも船を返してくれ」

 

「いやダメだね。いやでも聞いてもらうよ『モンキー・D・ルフィ』。それにちょうど連中も来たみたいだしなー」

 

 

 森の奥からバージェス達が姿を見せたのはその時だった。

 

 

「連日の宴で話しそびれたけど今、聞かせてやるよ。私の数ある目的の一つを、ね? その木箱の中身と船はその後に渡すよ」

 

 

 後で渡すと言われて不承不承ながらも話を聞く態度を見せる麦わらの一味。バージェス達が到着するのを待ってからルーミアは口を開く。

 

 

「私の目的は『月』だ。そこにあると言われてる古代遺跡の調査。そのために古代文字──歴史の本文(ポーネグリフ)を読める『ニコ・ロビン』が欲しい」

 

「ロビンは俺の仲間だからダメだ」

 

「海軍はニコ・ロビンを追っている。彼女と一緒にいたら海軍に目をつけられる。場合によっては「大将」が来る場合もある。それでもか? 『モンキー・D・ルフィ』?」

 

「ああ、当然だ」

 

 

 きっぱり言い放つルフィ。そんな彼をルーミアは愉しそうに口角を上げて見つめる。

 

 

「それじゃあ、仲間を守れるかどうか試してみようか? 『モンキー・D・ルフィ』私は一度でいいからお前と戦ってみたかったんだよね」

 

 

 そしてルーミアが「(ソル)」と呟いた途端、彼女の姿が掻き消える。直後──

 

 

指銃(シガン)

 

 

 ルフィの眼前に現れると同時に人差し指をルフィの腹部目掛けて突き刺そうとする。

 

 

「執事の技か!? あぶねぇ!!」

 

 

 しかし間一髪、ルフィは横に大きく飛び退いて難を逃れる。

 

 

「バージェスは『海賊狩り』と『ぐるまゆ』。ドクQは『ニコ・ロビン』。他は残りの一味の見張りなー」

 

「「 アイアイサー 」」

 

 

 ルーミアの指示の下、それぞれ動き出す大男二人と配下の人間達。麦わらの一味もまた彼らを迎え撃つ構えを見せる。

 

 

「『ぐるまゆ』って俺のことか!? ルーミアちゃん!?」

 

「とっととコイツを倒すぞ『ぐるまゆ』」

 

「んだとマリモヘッド!?」

 

「ウィ~~ハッハッハァ~~!! お嬢の頼みだ!! 悪く思うなよ!!」

 

 

 両腕をくの字に曲げて押し迫るバージェス。二人はすれ違いざまに、首裏に回し蹴りを叩き込み、脇腹を刀で斬りつつ離れる。

 

 

「くそったれめ、鉄を蹴ったみたいな感触だ。どんな体をしてやがるんだ!?」

 

「刀が弾かれる。悪魔の実の能力者か?」

 

「海軍が使う『鉄塊(テッカイ)』ってやつだ!! お嬢から教えてもらった技だ!! ウィーハッハッハァ!!!」

 

 

 麦わらの一味の中でも戦闘を得意としている三人とルーミア、バージェスが戦っている一方で……

 

 

 

 

「あなたは何もしなくていいの?」

 

……ああ、船長からは言われてる。それに俺は生まれつき体が弱いんだ。正直、体を動かしたくない。……はぁ、はぁ

 

「そう、お大事に」

 

 

 ロビンとドクQは彼らが戦っているのを暢気に観戦していた。

 

 

 

 

「悪いな、うちのボスの命令なんでね。手荒な真似はしたくないから大人しくしていてくれよ、頼むから」

 

 

 ナミとウソップ、チョッパーの周りを取り囲む男達の一人が恐る恐る声をかける。

 

 

「ちょっとそこのゲリラ! 私達を助けなさいよ! うちの船長がエネルを倒したのよ!? それぐらい、いいでしょ!?」

 

 

 ナミが柳眉を逆立てて遠巻きに眺めていたワイパーに怒鳴るように檄を飛ばすものの……

 

 

「忘れたのか青海人の女、ルーミアは今ゴロゴロの実の能力を宿しているんだぞ?」

 

 

 答えたワイパーが言った言葉でナミは思い出す。

 

 

「やつがその気になればここ一帯が焦土と化す。下手な真似はできない!」

 

 




コ" コ" コ" コ" コ"
( ´・ω・)にゃもし。

■ここまで読んでくれて、ありがとうございます。

■誤字脱字おかしな表現がございましたら、報告をお願いします。

■前話の感想の大半が文字が動くことについてだったのが驚いた。本文でギャグ以外に使えるのかな、これ。

■ルーミアの数ある目的の一つが明らかになりました。

■毎度、金曜日に書き上げてます。

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