ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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11話 白ひげの娘は28歳

  

 

 神の島(アッパーヤード)の奥深く、遺跡が眠る場所を背景にルフィとルーミアの両者による攻防が行われていた。

 

 

紙絵(カミエ)

 

 

 真剣な表情で打つルフィの乱打を、ルーミアは腕を左右に広げたポーズでルフィの腕と腕の間を縫うように蛇行しながら接近、ルフィの腹に掌底を叩き込み、突き飛ばす。

 

 突き飛ばされたルフィは数歩後ろへ、左足でたたら踏みながらも片足でなんとか踏みとどまり、次いで右足をムチのようにしならせて伸ばしながら横薙ぎに払う。

 

 ──が、ルーミアはこれを跳ねるように軽く跳んで余裕の表情で避けてみせる。

 

 

ゴムゴムの(ピストル)!!!!

 

 

 そこへ勇ましい掛け声とともにルフィの右腕が伸びながら未だ宙に浮いているルーミアに向かって拳が飛んでいく。

 

 

月歩(ゲッポウ)

 

 

 迫り来る右の拳に対してルーミアは宙に浮いている状態から何もない筈の足下の空間を片足で蹴って更に跳躍、そのまま後方に宙返りを披露、彼女の真下を勢い余ったルフィの拳が通り過ぎていく。  

 

 

嵐脚(ランキャク)

 

 

 さらにルフィの攻撃を躱す際、宙返りする時に蹴り上げた脚から三日月状の鎌鼬が放たれ、ルフィの右の肩口を切る。

 

 ……と、そこでルーミアは両足を揃えて地面に着地した。

 

 

「『(ソル)』『指銃(シガン)』『紙絵(カミエ)』『月歩(ゲッポウ)』『嵐脚(ランキャク)』これとバージェスの『鉄塊(テッカイ)』の六つの技は『六式』と呼ばれている」

 

 

 左手で右肩をおさえながら息を切らすルフィにルーミアは講義でもするかの如く人差し指を立てつつ得意気に説き聞かせる。

 

 

「ロビンを捕まえるためにこの先の海でこういう技を使う連中が出てくる。さらに今いる3人の『大将』は全員が自然(ロギア)系の能力者で当然そんな連中よりも強い。その上、偉大なる航路(グランドライン)の後半の海には『覇気使い』なんて存在もいる」

 

 

 そう言って右腕を弓を引くように体の後ろへ持っていくと、その腕の拳が黒く変色し、金属のような妖しい光沢感を放つ。

 

 

「全員じゃないけど、覇気使いは大抵こうやって体を変化させて攻撃力と防御力を強化させる。そして何よりも自然(ロギア)系の()()()()()()()()()()()()()()()()()()のが大きな利点……」

 

 

 忽然と姿が掻き消えたかと思えば次の瞬間、轟音とともにルフィの腹部を貫かんばかりに右腕を半ばめり込ませるルーミアの姿が現れた。

 

 

「……………………っっっ!!!?」

 

 

 腹に拳をめり込まされ、苦痛に顔を歪ませ後、がくっと力なく首を垂れるルフィ。しばらく動かないルフィを見て勝利を確信したのか、勝ち誇った笑顔を見せるルーミア。

 

 

「──やっと、捕まえた……」

 

 

 そのルーミアの右手首を突然動き出したルフィが両腕で掴んだ。がっちり掴んでいるのか、慌てふためくルーミアが腕を引き抜こうとしているがびくともしない。

 

 やがてルフィはルーミアの腕を掴んだまま「ゴムゴムのぉ~」と、首を徐々に後ろへ後ろへと伸ばしていき……

 

 

「──わ!? ちょっ!? 待った! タイム!」

 

鐘ェっ!!!!

 

 

 空いた左手で制止をかけるルーミアを無視して彼女の頭に反動で勢いのついた頭突きを喰らわした。

 

 

ぴィぎゃぁっ!?

 

 

 骨と骨がぶつかったような「ごっ」という鈍い音が響くと同時に奇妙な鳴き声がルーミアの口から漏れ、さらに衝突の勢いでルフィの腹に飲み込まれていた腕がすっぽ抜け、そのまま仰向けの状態で地面に倒れた。

 

 

「……『六式』も『覇気』も習得してないのによくやる」

 

 

 それでもルーミアの意識を刈り取るまでいかず、彼女はルフィに対して涙目で恨みがましい視線を送りつつ、額をさすりながら起き上がってみせる。

 

 そんな彼女にルフィは油断なく身構え、息を切らしながらも戦闘体勢を整えるが……

 

 

「この勝負はお前の勝ちでいい。ちょうど向こうの方でも決着が付いたみたいだしなー」

 

 

 言ってバージェス達がいる方角にその場にいる一同が顔を向けると、バージェスが両膝をついて、うつ伏せで倒れていくところだった。その傍らにはアザだらけで満身創痍のゾロとサンジの姿もある。

 

 

「バージェスには『鉄塊(テッカイ)』以外の技も習得させるべきだな……。とりあえず約束通り船を返そう。()()()()()()から離れた方がいいぞ?」

 

 

 その場でちょこんとしゃがんで地面に右手の掌を当てると、彼女を基点に闇が広がっていき、ある程度の大きさまで広がると今度は闇の中から船が、ゴーイング・メリー号がせりだしてきた。

 

 

「船は返した。あとは好きにしていい。それとも島の淵まで運んでやろうか? んー?」

 

 

 やがて船を闇から完全に出すと、せせら笑いながらルーミアは尋ねた。

 

 

 

 

 それから紆余曲折を経て、神の島(アッパーヤード)から二隻の船が出航した。一つは麦わらの一味を乗せたゴーイング・メリー号。そしてもう一つは方舟マクシム。その甲板には何故かルーミアしか乗っていない。

 

 

『──お嬢、俺達も一緒に行かなくていいのか?』

 

「んー。『月』は空島よりも上空にあるからなー。空気が空島より薄い、もしかしたら無い可能性もある」

 

 

 電伝虫ごしに会話を交わすルーミアとバージェス。

 ルーミアはルフィとの戦闘の後、巨大ヘビから出た財宝をくれてやるかわりに……と、目の前で黄金の柱を闇に飲み込ませ、そのままマクシムに乗ったのである。

 

 彼女の行動に麦わらの一味は呆気に取られ、ナミに至っては「私の黄金!!」と柳眉を逆立てて般若のように激怒していた。

 

 

『──とりあえず早めに頼むぜ。「麦わら」から盗み取った「ビブルカード」がぐいぐい動いてやがる』

 

 

 宴の最中、ルーミアは手下達にルフィが持っているビブルカード、その一部を手に入れるよう指示を出していた。

 

 本来なら「黒ひげ」が「エース」と決闘を行い、そのあと海軍に引き渡していただけに、エースの動向が気になっていたのだ。

 

 

「まあ、どちらにしろ私達がやることは変わらないけどなー。ジャヤ島に手下を送って、バージェスとドクQは空島に待機。帰りはお前らのビブルカードを頼りに辿るから無くさないようになー」

 

『──アイアイサー!』

 

 

 

 

【ゴーイング・メリー号】

 

 

 空島名物タコバルーンで空を漂うメリー号。甲板にいる彼らは今回の空島で起きた出来事、特にルーミアについて話し合っていた。

 

 ルーミアが『ゴロゴロ』『ヤミヤミ』二つの能力を持っていること、また彼女が語る『六式』と『覇気』の存在。

 

 ヤミヤミの実の能力についてはロビンに心当たりがあるのか、昔の海賊である「デービー・ジョーンズ」の話を持ち出す。

 

 

「悪魔に呪われて深い海底に今も生きているという昔の海賊。……海底に沈んだ船や財宝は全て彼のロッカーにしまわれる」

 

 

 その伝説とルーミアが闇から船を取り出したり、黄金の柱をしまいこんだ光景を思い出して納得する一同。その能力で空島に物資を運んでいたのでは? ……と推測をする。

 

 

「あの子の目的はわからないけど、素性はわかったわ」

 

 

 空を飛び交うカモメから新聞ニュース・クーを購読していたナミ。その新聞の一面にはでかでかとルーミアの顔写真が記載されていた。

 

 

「『エドワード・ルーミア』。四皇の一人『白ひげ』の娘よ」

 

 

 四皇の娘と聞かされてルフィ達は衝撃を受けるものの、四皇の娘ならばあの強さもありえると納得した。

 

 

「歳はあれで28歳らしい……」

 

「「 ええぇぇ~~~~っっ!!!? 」」

 

 




(゜o゜(☆○=(-_- )゙あんぱーんち

スゴイ威力だ( ´・ω・)にゃもし。

■ここまで読んでくれてアリガトウございます。

■毎度、金曜日に書き上げてマス。

■動く文字の使い道が分からん。開拓の余地あり。

■駆け足ですが、ひとまず空島、終わりました。
 そろそろオリ主ルーミアが白ひげ脱退後の地上のこと書かなくちゃ……

■本人のいないとこで年齢詐称。

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