12話 賞金稼ぎ「黒ひげ」の失態
……おおよそ20年前。
【シャボンディ諸島】
「黒ひげ」こと「マーシャル・D・ティーチ」
彼の登場人物に生まれた男が「白ひげ海賊団」に入る前はシャボンディ諸島で単独で賞金稼ぎを生業にしていて当時から「黒ひげ」と呼ばれていた。
もっとも狙うのは小物、小悪党といった危険が少なく且つ確実に倒せる者だけに留めておいて、懸賞金が億を超えるような危険な大物には決して手を出さなかった。
「わざわざ危険を犯してまで海賊をやる必要はねェ! 賞金稼ぎとして生きるのも悪くはねェな! ゼハハハハハ!!」
そう彼が思った矢先……
【
「グラララララ。それで天竜人の奴隷になりそうだった男女を逃がして賞金首になった。……ってわけか」
呆れと憐れみを含んだ、しかしどこか楽しげな物言いの白ひげ。玉座に座る彼の目の前には深々と額を床につけて土下座をしているティーチの姿があった。
シャボンディ諸島で実力が己よりも格下の賞金首相手に調子に乗っていたティーチ。ある日のこと、顔見知りの男女が天竜人に連れていかれそうになっている場面に遭遇。
「『
……と果敢に敢行。「
……と、そこまではよかったのだが、その時に彼のことを厭わしく思っていた同業者数人にバッチリ顔を見られてしまう。
案の定、ここぞとばかりに通報され、間もなく海軍が登場。シャボンディ諸島から逃亡せざるを得なくなった。そして白ひげを頼りに彼の人物が根城にしている新世界へ赴いたのである。
……それから20年。
原作が始まる少し前にティーチはヤミヤミの実を食べて能力者となり、白ひげ海賊団を抜けた。
白ひげ海賊団の乗組員達はティーチがいずれ、この船を去るだろうとは思っていた。何しろ普段から空島へ行くと豪語しており……
「ヤミヤミの実の能力で上に引っ張れば空を飛べるはずだ!! 空島ならさすがの海軍も追ってこれねェだろ! ゼハハハハハ!!」
──と「ヤミヤミの実」を欲していたティーチが件の悪魔の実を手に入れて能力者になれば、空島へ行くのは想像に難くない。
……とはいえ、さすがの白ひげ海賊団の乗組員達といえど20年もかかったうえに悪魔の実を食べて性転換するとは思わなかったようで甲板のあちこちで変身前と変身後の写真を見比べて困惑、あるいは大笑いしている。そんな男衆どもに白ひげは笑いを堪えつつ提案する。
「もう昔のこととはいえ、ヤツは天竜人から奴隷を逃した経歴がある。死んだことにしといた方がヤツにとって都合がいいだろう」
こうして表向きにはティーチが死亡したことになり、さらに悪のりした白ひげ乗組員、主にサッチを中心に「ティーチが己の身を犠牲にして少女を助けた」……という美談に仕上げ、素性や生い立ち、経歴などのバックストーリーを作った。
ちなみに彼らが「ルーミア」という名を知ったのは……
『医療大国ドラム王国国王ワポル、国外逃亡!!!?』
『元守備隊長は語った。「ワポルが少女に狼藉を働こうとしたので我慢できずに殴った。後悔はしていない」』
『ワポル元国王、少女嗜好なのかー!?』
──という見出しと島の民間護衛団体の団長を勤める「ドルトン」の顔写真が記載された新聞によるものだ。
その新聞にある記事の一つ「少女と愉快な仲間達、モンブラン・ノーランドの無念を晴らすため空島を目指す!」その中に「ルーミア」の名が記されてあったのである。
無論、ワポルを殴ってドラム島から追い出したのはルーミア一味。本来なら大罪であり賞金を掛けられてもおかしくはない所業なのだが、悪政を敷いて苦しませるワポルなんぞに国民が好感など抱くわけがなく、むしろ「追い出してくれてありがとう!」である。
ゆえにドラム島の人間達はルーミア達を庇うため、事件を捏造。自分達がやったことにしたのである。海軍もまた年端もいかない少女に大の大人を倒せる力を持っているとは考えておらずルーミアに懸賞金を掛けなかった。
さらにワポルの横暴な振る舞いは他国に知れ渡っており、海軍も含む不特定多数の人間から「彼ならやりかねない」「いつかやるだろうと思ってた」「自業自得」「ざまぁwww」と思われたのも要因の一つになっているといえよう。
かくしてルーミアは懸賞金を掛けられずに済み、麦わらの一味と出会うまではジャヤ島で猿山連合軍とともに悠々自適な日々を過ごすこととなる。
そしてルーミアが麦わらの一味と出会い、空島へ行った後に「白ひげの娘」という記事が書かれた新聞が出回り、彼女が月から空島へ帰還した時に知ることになる。
( ´・ω・)にゃもし。
ぷるぷる。僕は悪い にゃもし。 じゃないよ。
■ここまで読んでくれてアリガトウございます。
■今回は白ひげ海賊団、入団前と脱退後の大まかな流れを。
■次回は空島のその後を書きたいなー。