ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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→ “ ウォーターセブン ” 始まりの下準備
14話 強奪


  

 

【ウォーターセブン──フランキーハウス】

 

 

 島の北東の海岸にある解体家フランキー一家の本拠地。

 

 その建物の中では棟梁であるフランキーがしかめっ面で終始にこやか笑顔のラフィットと向かい合う形で席に座って商談をしている。その彼ら二人のそれぞれの背後にはオーガーとフランキーを慕うガラの悪い男たちが二つの陣営に分かれて立っていた。

 

 

「──単純で分かりやすい。確かにこの『気球』なら空を飛べる。……だが、島から島への移動には使えねェ。特に偉大なる航路(グランドライン)じゃあ、途中で燃料が尽きて海に落ちるのが関の山だ。それにこいつじゃあ、人も荷物もそんなに多くは乗せられねぇだろうよ」

 

「ホホホ。でしょうね。何も島への移動だけが目的ではありません。他にも用途はありますのであしからず」

 

「……だがそれ以上に何で()()なんだ? 俺が言うのもなんだが、ここは解体家っていう看板を出してはいるが実際はゴロツキの溜まり場だ。普通の人間ならマトモな会社、それこそ『ガレーラカンパニー』に持ち込むもんだぜ。いったい何を隠して何を企んでやがるんだ? テメェらはよぉ?」

 

 

 威圧感のある声で問いながらラフィットを睨み付けるフランキー。そんな彼の脅しとも取れる態度をラフィットは顔色一つ変えずに淡々と語る。

 

 

「近々、あなたと()()()()()()()が殺害される可能性があります」

 

 

 唐突に出てきた「殺害」という単語に言葉を詰まらせるフランキー。見知った顔が脳裏を過ったのか、こみかみから一筋の冷や汗が頬を伝って流れ落ちていく。

 

 

「ここでは話しにくい内容ですので移動しませんか? そう、例えば海列車「パッフィング・トム」を製造した造船会社『トムズワーカーズ』。彼らの本社があったと云われている「橋の下倉庫」なんていかがですか?」

 

 

 「ホホホ」と笑うラフィットをフランキーは気味の悪いものでも見るような目付きでしばらく値踏みするが、やがて意を決したのか……

 

 

「ここでいい。移動する必要はねェ。今すぐここで知っていることを洗いざらい喋ってもらおうか? 痛い目に遭う前になァ?」

 

「ホホホ。できますかね? あなたがたに?」

 

 

 それから程なくしてフランキーハウス内は死者こそ出ていないものの、部屋内は負傷者と大小の瓦礫で溢れかえり、そこかしこで人間の呻き声が聞こえる戦場跡のような光景と化していた。この光景を作り出したラフィットとオーガーは頭から血を流して這いつくばった格好で倒れ伏せているフランキーに……

 

 

「私どもはしばらくこの街に滞在していますので、あなたの気が変わったならばお声をかけてください」

 

「……とはいえ、再び会えるかどうかは日々の行いにもよるがな」

 

 

 それだけを告げると振り返ることなく開け放たれた扉をくぐって、そのまま去っていった。

 

 

 

 

「──それが古代兵器『プルトン』の設計図というわけか?」

 

 

 フランキーハウスを出て街へと戻っていく傍ら、設計図をつぶさに観察しているラフィットにオーガーが問いかけた。

 

 

「ええ、この設計図が姫がご所望していた()()()()()というわけです。あと一つ『ドアドアの実』なのですが……」

 

「酒場の店主の『ブルーノ』だったか? 今のうちに殺して奪うか?」

 

「いいえ、『麦わらの一味』の犯行にしておきたいので後にします。彼らが『ロビン』奪還するどさくさ紛れに奪えとのことです。ホホホ」

 

「ふむ。『エニエス・ロビー』なら死体が一つ増えても不思議ではないな。ところでフランキーにかけた()()()は大丈夫なのだろうな?」

 

「ぬかりなく、彼に渡した設計図の写しは彼の目にはオリジナルのものに見えてますよ」

 

 

 そう自慢気に語るラフィット。彼ら二人はフランキーハウス内にてフランキー以外の人間の意識を奪った後、フランキーに催眠術をかけて設計図を強奪。代わりに模写した物を渡したのである。

 

 

「ホホホ。『アイスバーグ』市長の危機を知った(フランキー)がどんな行動を起こすのが不安要素ですが……」

 

「それもまた「巡り合わせ」というものだ。我々は目的の品を手に入れればよい」

 

 

 やがて街の入り口に辿り着いた二人は人混みの中へと消えていった。

 

 

 

 

【ジャヤ島】

 

 

 空島から帰還を果たしたルーミアの手下たち。彼らはここを拠点の一つにすべく日夜、作業に没頭していた。その彼らに交じって猿山連合軍の姿も確認できる。

 

 当初、彼らは「モンブラン・ノーランド」が語る黄金郷が空島にあるのを確認できた後、新たなロマンを模索していたが……特に急ぐ理由もなく、ルーミアのやることに興味が出たらしく、こうして一緒になって作業をしていた。

 

 

 そんなある日、一人の男が彼らの下に訪れた。

 

 

「……フフフフフ。ここに『エドワード・ルーミア』とかいう「白ひげの娘」はいるか?」

 

 

 フラミンゴの羽を思わせるような上着と特徴的なサングラスを着用した長身の男──「ドンキホーテ・ドフラミンゴ」。七武海の一人がやって来たのである。

 

 




ゴゴゴコ" コ" コ" コ" コ"ゴゴゴ
( ´・ω・)にゃもし。

■ここまで読んでくれてアリガトウございます。

■次は「ジャヤ島」+α かしらねぇ。

■あとは「活動報告」にでも書くよん。

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