ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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15話 厄介事

 

 

【ジャヤ島 東の海岸──猿山連合軍 本拠地】

 

 

「──ジャヤ島に噂の『御令嬢』はいねェ。『空島』へ行ったらしい。一足、遅かったみたいだな。フッフッフッ……」

 

 

 切り株に足を組んで座っているドフラミンゴ。彼は人を小バカにしたような態度で電伝虫でどこかにかけていた。そんな彼の様子をクリケットを始めとした猿山連合軍やルーミアの手下たちが遠巻きに恐る恐る眺めている。何しろ相手は七武海の一人だ。自分たちに刃を向ける可能性がある。そうなれば自分たちに勝ち目はない。

 

 やがて、通話中の相手と話し終えたのか受話器を置き、クリケットらがいる方向に顔を向けると……

 

 

「今ちょうど暇を持て余している連中がジャヤ島にいる。そいつらを『空島』に送りたいんだが、もちろん協力してくれるよな?」

 

 

 当然と言わんばかりに尋ねるドフラミンゴ。彼の態度にクリケットは呆れながら溜め息を吐く。ドフラミンゴには空島へ渡るのがどんなに困難で危険なのか、ルーミアの手下たちと一緒に説明したからである。

 

 

「……協力はするがすぐには無理だ。空島がある積帝雲が来るのは俺たちの経験からして、おそらく二週間後辺りになる。その間に準備をしてくれ、あと船もこっちに持ってこい。改装してやる」

 

 

 クリケットのその返事に満足したのか、ドフラミンゴの笑みがいっそう深くなる。そして電伝虫の受話器を取ると……

 

 

「──ベラミー。お前にチャンスをくれてやろう。フッフッフッ……」

 

 

 

 

【ウォーターセブン──フランキーハウス】

 

 

 建物こそ崩れなかったものの、中は壊滅状態になっているフランキーハウス。このままでは生活するのもままならないとフランキー一家総出で瓦礫等を撤去、片付けをし、なんとか座るだけの場所を確保。その後、フランキーを中心に彼らは円陣を組んで地べたに座って話し合っていた。

 

 

「……あの()()の言っていることは十中八九『アイスバーグ』の暗殺だろうよ。無論、ただの愉快犯という可能性もあるが、あれほどの実力を持った人間が無意味なことをするとは思えねェ……」

 

 

 「暗殺」という言葉にフランキー一家の間に緊張が走り、誰かが鳴らした喉の音が響く。そしてフランキーの言葉に静かに聞き耳を立てる。

 

 

「悔しいがアイツらの実力は本物だ。力付くでどうにかできる相手じゃねェ。おまけに連中の目的もさっぱり分からねェ、ときたもんだ」

 

 

 「あちゃー」と言わんばかりに片手を顔面に置くフランキー。そんな活気のない場に一人の男が飛行機の模型を持ったまま慌てた様子で駆け寄る。

 

 

「アニキ! この『ゴム動力飛行機』めっちゃ楽しい!!」

 

 

 言って飛行機を投げ、彼らの頭上で旋回を始めると「おー」とどよめきが起こった。

 

 

「……って、そうじゃねェ!!」

 

 

 一緒になって飛行機を見ていたフランキー。自分たちの置かれた境遇を思い出したのか、頭上で旋回して飛んでいる飛行機を跳んで掴む。周囲から惜しがる声が漏れる。

 

 

「こんな雑な作りじゃあ大して飛べねェだろうが!!」

 

 

 言うや否、改造に取りかかり始める。そんなフランキーの行動に歓声が沸き上がる。そして……

 

 

「よし! 次はこの『気球』とやらの製作を始めるか! アイツらが残したメモによると上空から見る下の景色が素晴らしい……って、そういうことかよ! こんちくしょー!!」

 

 

 設計図を地面に叩きつけるフランキーに周囲の人間がどうしたものかと心配そうに声をかける。

 

 

「とりあえず、お前らは手分けしてあの()()を探してこい! ただし手を出すな! いいな!? それと空飛ぶ乗り物のことは一切口外するな! 敵対している連中に知られたら目も当てられねェ状況になりかねねェ!!」

 

 

 そしてフランキー一家は「ラフィット」「オーガー」を探すべく街中を駆け巡り……

 

 

 

 

「ココロのババー、頼みてェことがある」

 

 

 ウォーターセブンの中心街にある酒場の一つ『ブルーノ』。そこのカウンター席で昼間からビールを飲んでいる恰幅のいい年配の女性にフランキーは声をかけながら隣の席に座った。

 

 

「この手紙を黙って受け取って、黙って渡してくれ……」

 

 

 いつになく真剣なフランキーにココロと呼ばれた女性は思わず手紙を受け取る。

 

 

「厄介事かい? まさか、()()じゃないだろうね?」

 

()()()()()だ。それじゃあ、頼んだぜ。俺はこれから家にカチコミに来た二人組を探さなきゃあなんねェんでな」

 

 

 それだけ伝えるとフランキーは酒場から出ていき、あとに残されたココロは手紙の表面をつぶさに見てみるが、そこには何も書かれていなかった。

 

 

「とうとう、来ちまったってことかねぇ……」

 

 

 差出人どころか宛先も何も書かれていない手紙だが、彼女にはこの手紙を渡すべき相手は分かっていたようで、酒場を出た後、その足で『ガレーラカンパニー』へと向かった。

 

 

 

 

 そんな彼らを建物の屋上から見つめている二人がいる。「ラフィット」と「オーガー」である。

 

 

「ホホホ。あの女性は確か『トムズワーカーズ』の元社員でしたね」

 

「ふむ。さすがに直接、市長に接触するのは危険と判断したか…… フランキーは我々と会いたいみたいだが、どうする?」

 

「彼の御仁に工作員の正体を正直に教えたところで上手く活用できるとは思えません。……ので、別に会う必要はないでしょう」

 

「それもそうだな。……となると、『麦わらの一味』が来るまで待機せねばならないな」

 

「ええ、待ち遠しい限りです。ホホホホホ」

 

 

 

 

 それから数日後、ウォーターセブンに「麦わらの一味」が現れた。その間、フランキー一家は終ぞ彼ら二人を見つけることは叶わなかった。

 

 

 

 




コ" コ" コ" コ" コ"
( ´・ω・)にゃもし。

■ここまで読んでくれてアリガトウございます。

■土曜日、朝5時に書き上げた。憑かれた。

■次は麦わらinウォーターセブンあたりかのー。

■ONE PIECEの世界って空飛ぶ乗り物ってガスガスの実の能力者のシーザーが使っている飛行船? 空島ウェザリアでじいさんが言っていた「気球」。エネルの方舟マクシム。ぐらいなのかしらねぇ。飛行機とかって実際どうなんだろね。
 
■あとは活動報告に書くわよん。

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