ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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18話 ルーミア再び

 

 

【ウォーターセブン】

 

 

 ラフィットとオーガーが手下の名義で借りている貸倉庫。その屋内にて今現在、ルーミアを中心に一味の主要人物たちが思い思いの姿勢で寛いでいた。その室内に淡々とした少女の、ルーミアの声が聞こえてくる。

 

 

「──『白ひげ海賊団』との小競り合いを何度も起こし、

 大渦蜘蛛海賊団船長『スクアード』の手引きとスパイ行為。

 『ゲッコー・モリア』による2番船船員の()の強奪及び船員の捕縛。

 『CP9』による『ルーミア』を、()を誘拐?

 ……それから、それらをエサにしてバナロ島に『エース』を誘き寄せ、そこで『ゲッコー・モリア』と『ドフラミンゴ』が目標を捕縛。……バナロ島の決闘? 私の代わりか? こいつらが? それにしたって私を誘拐って……」

 

 

 倉庫にある木箱の一つにルーミアは腰掛け、手持ち無沙汰になっている両足を交互にげしげしと木箱に踵をぶつけては眉間にシワを寄せながら紙の束を一枚一枚捲っていく。

 

 

「ええ、命知らずにも今は亡きブルーノとか仰る酒場の店主は──“プルトンの設計図”を入手した後にCP9総出で姫を誘拐する予定だった。──と親切に教えてくれましたよ。ホホホホホ」

 

……その前に“麦わらの一味”に壊滅させられたというわけか、運のないやつらだ……

 

「エニエス・ロビーでのCP9と麦わらの一味の衝突と壊滅。バナロ島でのエースの捕縛は避けられない運命だったのだろう。そのおかげで我々はここにいるがな……」

 

「ウィ~ハッハッハァー!! ()の麦わらの一味を倒せねぇやつらが俺たちを捕まえるつもりだったのか? 舐められたもんだな!!」

 

 

 ルーミアを除いたメンバーがそう口々に言いながらテーブルの上に視線を向ける。そこには唐草模様の実が皿の上に無造作に置かれていた。ブルーノから情報を聞き出した後、彼を殺害して手に入れたものだ。

 

 

「それでこの中の誰が()()を食べるのだ?」

 

 

 問うオーガーにバージェスはづかづかと近づき無言で悪魔の実を手に取ると……

 

 

「どっちみち、お嬢と一緒にインペルダウンに潜り込んで暴れるなら、ある程度戦闘力がある奴が食うべきだろ?」

 

 

 そう言って丸齧り、そのまま飲み込んで見せる。しかし、あまりの不味さなのか、途中でむせて咳き込む。それを満足した顔つきでルーミアが眺めた後、おもむろに出口の方へと赴き、他のメンバーも彼女の跡を追う形でついていく。

 

 

「“プルトンの設計図”と“ドアドアの実”は手に入った。せっかくここに来たんだ。市長に挨拶しに行こうか? 偉大なるアイスバーグ氏になー、わはははははー」

 

 

 

 

 造船島1番ドックの奥、CP9が起こした事件で火事になって焼け落ちたガレーラカンパニー本社兼アイスバーグ自宅。その跡地に仮設本社が建てられており、そこに船を失った麦わらの一味たちが滞在していた。

 

 そこへ道中、立ち塞がる人間を蹴散らし、扉を蹴破ってルーミアたちが現れた。なおかつ「わはははー」と哄笑を上げながら出入口を塞ぐように立ち並ぶ。

 

 

「久しぶりだなー、麦わらの! エニエス・ロビーでたいそう暴れたみたいだな! わはははー」

 

 

 腕を左右に広げた格好でテーブルに陣取って手掴みで食事しているルフィにルーミアは声をかける。そのすぐ側にある丸テーブルには突っ伏せているナミと料理を運んでいるサンジの姿もある。ナミとサンジは突然現れたルーミアに驚くが、ルフィは相変わらず食事の手を止めない、どころか鼻ちょうちんを作って爆睡していた。

 

 

「あ、ルーミア? 久しぶりー」

「悪いなルーミアちゃん、ルフィは今寝たまま食ってるんだ」

 

 

 声に張り合いのないナミに、申し訳なさそうに説明するサンジ。ルーミアたちを止めるためにやって来たであろうガレーラカンパニーの社員とおぼしき人間たちは彼らのその様子から「なんだ、知り合いだったのか」と引き返していく。

 

 

「姫に対して無礼ですが、なんとも器用な男ですね、ホホホホホ」

「ウィ~ハッハッハァー、信じられねぇがホントに寝てやがるぜコイツ。どうする、お嬢?」

 

 

 ルフィをつつきながら尋ねるバージェスにルーミアは一足でテーブルを飛び越え、未だ眠りこけるルフィの頭に()()()()()()()を叩き込む。

 

 

い!? (いて)ェ~~~!!!!

 

 

 覇気を纏った一撃に思わずのたうち回るルフィ。サンジとナミはルフィに声をかけるが、以前その攻撃を見たことがあったせいか、さほど驚きはしない。

 

 

「とりあえず起きろ。それとメンバー全員を集めろ。特に『ニコ・ロビン』。月で見つけた遺跡を見せてやる。写真でよければだがな」

 

 

 テーブルの上で偉そうに腕を組みながらルーミアはルフィに言った。

 

 

 

 

 それからウソップを除いた麦わらの一味とアイスバーグ、さらに双子の姉妹を連れたフランキーが一堂に会した。途中、ラフィットとオーガーを見たフランキーが逆上し彼ら二人に食って掛かる場面があったが周囲にいた人間が慌てて彼をおさえて落ち着かせて、今は大人しくしている。もっとも剣呑な雰囲気を隠すことなく放っているが……

 

 

 そんな空気の中をルーミアは楽し気な顔で尋ねる。

 

 

「トムの無念を少しは晴らせるかもしれないと言ったら、

 お前ら協力するか?」

 

 

 問われた一同は一瞬なんのことかと、間の抜けた声が遠慮なしに漏れる。

 

 

「モンブラン・ノーランドみたいな絵本を作るのさ、もっともいろいろと()()()()()()けどなー?」

 

 

 にんまりと言うルーミアにルフィが口を挟んでくる。

 

 

「いやそんなことよりも月の遺跡を見せてくれよ、すっげー気になる」

 

 

 恩師であるトムのことをそんなこと呼ばわりされて元社員の二人が複雑な表情を見せ、麦わらの一味はうんうんと頷き、その反応にルーミアは「えー」と不平を言うが、すぐにあっけらかんとした口調で……

 

 

いいよー

 

「「 いいのかよ 」」

 

 




( ´・ω・)にゃもし。

■早朝5時にできた……

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