【インペルダウン】
無風の海域である“
インペルダウン周辺が深い霧に包まれようとも、そんなものが頭上に出現すれば、勘のいい看守は異変に気づく。さらにその雲から雨のごとく雷が降り注げば、それが人為的に引き起こされたものと考え、警戒を強めるのは当然といえよう。何しろ、この世界には“悪魔の実”というものがあり、その中には天候にすら作用するものもあるのだから……
『
もっとも、今回は建物内部への侵入を目的としたために建物が崩壊しないように威力を落とし、その代わりに雷が発生する際の閃光を強力にさせている。
それは一重にインペルダウンに張り巡らされているであろう“電伝虫”の
これらの発端となったのは、ルーミアの一味がシャボンディ諸島で「黄猿」が
かくして目論見は功を成し、ルーミアとバージェスの二人は入口へと通じる桟橋に急いで飛び降り、次いで正面にある巨人すらも通れるであろう巨大な両開きの扉にバージェスの“ドアドアの実の能力”で新たな“扉”を作ることで
二人は侵入後、人の気配を感じるたびに
こうしてルーミアとバージェスは看守たちの目に触れることなく、インペルダウン内部を移動する。さらに、“ゴロゴロの実”の能力で生命が発する微弱な電波を察知しながら、二人はインペルダウン内部を「エース」が囚われている監獄──“LEVEL-6”がある最下層を目指して、下へ下へと降りていく。
道中に出会う囚人たちに近々、集団脱獄をする旨を伝えながら……
大小、二つの
女の子は行く先々で牢屋に入れられている人物に手招きして呼び寄せると、こしょこしょと耳打ちする。そして一通り話をすると、とててて……と大柄の男を連れて牢屋だらけの迷宮をひたすら進んでいく。
赤い鼻の道化師。髪型が「3」の人間。砂漠のような環境にいたハイテンションのバレリーナのオカマ。大きな鍋がある場所にいた無愛想な坊主頭の殺し屋。狼がたむろしている極寒の林。その奥にいる頭がやたらとデカイ、オカマの女王。道中、彼らと出会っては名残惜しそうに別れる。
薄暗い迷宮を進むと時折、制服をびっちりと着こなした看守たちを見かける。放し飼いの猛獣が徘徊している。大きな鈍重そうな扉が立ち塞がる。目を回したカタツムリが転がっている。
宙に浮く。天井にしがみつく。異空間に身を潜める。扉を作る。ツンツンとつついてみる。
そして、小さな女の子と大柄の男は辿り着く。
【インペルダウン──地下6階「LEVEL-6」無限地獄】
インペルダウンの最下層。そこは終身囚や死刑囚は勿論のこと、政府にとって不都合な事件を起こした者が入れられるエリアでもある。そこに
「──ルフィが来るのか……? ここに? ティー……いや、今は『ルーミア』だったな…… 正直、信じられねぇんだが……」
鉄格子越しに会話をする「エース」と「ルーミア」。牢屋の奥で鎮座させられているエースの両手首にはそれぞれ枷が嵌められており、その枷から延びている鎖が壁に空いた穴の奥へと繋がっている。近くにはジンベエザメの魚人である「海侠のジンベエ」もエースと同じ牢に入れられている。
「──あくまで
そんな前置きを置いてからルーミアはシャボンディ諸島で起きた事件のあらましを説明。その時にルフィが「暴君くま」の能力で同じ“七武海”「ボア・ハンコック」がいる“
「いや、悪魔の実で“体型”がそこまで変わったことに対して言ったんだけど?」
「お前、実は余裕あるだろ?」
牢の中にいるというのにあっけらかんと答えるエースにあきれるルーミア。ついでにここに来る途中に出会った「イワンコフ」から「暴君くま」が革命軍の一員だということ、ルフィの父親が革命軍のボスであることも教え、そのことを聞かされたエースとジンベエは
「
ルフィの話となるとエースは締まりのない顔から一転、引き締まった表情を見せる。
「ルフィを見捨てて私と一緒に脱獄するか、ルフィを助けるために己を犠牲にするか、電伝虫が気を失って役目を果たしていない今のうちに決めろ」
感情が読み取れない能面のように無表情な顔で選択を迫るルーミアにエースは……
【インペルダウン“LEVEL5.5番地” ニューカマーランド】
インペルダウンの“LEVEL-5”と“LEVEL-6”の狭間にある能力者によって作られた空間。そこに革命軍幹部「イワンコフ」が建国した“ニューカマーランド”がある。
「ン~フフフ。それでヴァナタ、おめおめと戻ってきタブルわけね? なかなか見上げたボーイじゃないの「火拳のエース」は…… 脱走できるチャンスをふいにして、弟の安全を優先するなんて普通の人間じゃできナッシブルことね!!」
ニューカマーランド内にあるステージで腰をくねらせながら話しかけるのは革命軍幹部イワンコフ。もっとも声をかけられたルーミアとバージェスはテーブルの席について、ひたすら飲み食いをしている。そんな態度の二人にイワンコフとニューカマーランドの住人たちは思わず「……って、無視かよ!?」と一緒に叫ぶ。
それからルーミアとバージェスがニューカマーランドで過ごすこと数日後のこと。
【インペルダウン──地下1階「LEVEL-1」紅蓮地獄】
そのエリアの天井付近に一個の目玉が辺りを探るようにふよふよと宙に浮いて漂っていた。やがてその目玉は一つの影を捉える。麦わら帽子を被った一人の青年を……
「信じられねぇ、
驚愕した表情で片目が空洞になっている赤い鼻が特徴の囚人服を着たバギーが小声で漏らしたのちに、にやっと笑みを浮かべる。
「 ぎゃはははは!! おい、やろうども!!!
待ちに待った脱獄の時間だ!!!! 」
さして広くない牢獄の一室にバギーの笑い声が響き渡り、間を置かずに囚人たちの歓声が上がった。
ざわ…( ´・ω・)にゃもし。ざわ…
■朝の5時だー。
└おやすみー。
■一言メッセージ来たし、返信するかー。
└相手はお気に入りユーザー以外ブロックしていた。
└どーしろと…
└活動報告に書いたところで相手が見るか?
└何もしないよりは…
└ついでにあとがきにも書くべ。
■雲川山海様、残念ですが、あなたのリクエストに応えることはできません。