【麦わらの一味──ゴーイング・メリー号】
大空を覆い尽くす程の巨大な暗雲の下、天にまで届きそうな巨大な黒い人影を見た麦わらの一味は船に部外者──マシラがいるにも関わらず、彼を乗せたまま必死の形相でその場から一目散に逃げ出した。
それから無我夢中に船を進ませること少々。件の黒い人影が見えなくなるまで離れたことで、彼らは漸く一息を入れて落ち着きを取り戻す。
そして、つい今しがた見た黒い人影を含めた一連の出来事について誰からとなく順番に口を開いていき、その時になって初めて自分達の船にマシラがいることに気付く。
沈没船で怒り狂ったゴリラのように暴れてた姿を目の当たりしたこともあったのだろう、自分達の船で暴れたら堪らないと思ったのか、ルフィ、ゾロ、サンジの三人がマシラを船外へ蹴飛ばそうと動くも、次の瞬間「待ちなさい!」と怒り顔のナミが全力で振るった拳で頭を叩きのめされ、床に突っ伏した形で止められてしまう。
唐突に自分達の仲間の筈の三人をはっ倒したナミを不思議そうに、きょとんとした表情で見ていたマシラ。ナミはそんな彼に「ねえ」と声を掛けた後に尋ねる。
「あなたと一緒に乗っていた女の子って何者なの?」
【マシラ海賊団──ビクトリー・ハンター号】
マシラが麦わらの一味のナミから自身の正体を尋ねられているとは露知らず、ルーミアは気絶したままぷかぷかと海上に漂っている大亀の口の中にある
『──こちら、ショウジョウ。なかなか取らないからハラハラしたぜ。……あ、あとマシラを回収したから、モックタウンとこに来てくれ……』
電伝虫から聞こえてきたのは猿山連合軍の一つ。ショウジョウ海賊団の
(……ん? マシラを回収したのってショウジョウだっけ? それに何でモックタウン?)
──と疑問に思いながらも船員達に指示を出して一路ジャヤ島のモックタウンへと船を進ませる。
【ジャヤ島──嘲りの街 モックタウン】
モックタウンの港に着いたルーミアが率いるマシラ海賊団。着いた早々、ショウジョウ海賊団の船とその側に停泊しているゴーイング・メリー号を発見し、甲板に猿山連合軍の二人と麦わらの一味がいるのを確認するが、その麦わらの一味の内、何故かルフィとゾロの二人だけは負傷していた。もっともルーミアは二人をそんな目に遭わせた人物に心当たりがある。何せ、このモックタウンには傍若無人を絵に描いたようなチンピラ『ハイエナのベラミー』が来ているのだから……
「ははーん、さてはお前らベラミーにやられたなー?」
開口一番、腕を組みつつルーミアがこれ見よがしに、にんまりと得意気な顔でさらにベラミーの名前を強調して彼らに言った途端、鬼の形相をしたナミにキツく睨まれ、その凄みを利かせた顔に思わず「ぴぃっ」と涙目で小さな悲鳴を漏らしてしまう。それこそ彼らに言おうと思っていた「──人の夢は!!! 終わらねェ!!!!」を言いそびれる程に。
そこからナミの怒りが収まるのを待ってからルーミアは事の経緯を聞かされる。彼らの話によると、ナミがマシラと一緒にいた少女──ルーミアの存在に興味を抱き、マシラはナミを中心に彼らから質問攻めに遭ったようだ。ルーミアが「空島」に行きたがっていることを皮切りに「ゴロゴロの実の能力者」「ジャヤ島」そこにあった文明と黄金郷、当時そこに住んでいたと云われている原住民シャンディアにノーランドの子孫等々……最後は聞かれてもいないのにべらべらと心底楽しそうに喋る始末。
ルフィはその話を聞いて目を輝かせ、ルーミアと合流次第、猿山連合軍の本拠地へ行こうとしたが、
「彼を疑うわけじゃないけど、猿山連合軍の話をそのまま鵜呑みにするのは危険なのでは?」
……という意見がロビンから出てゾロも彼女に賛同。ならばジャヤ島にある街で情報収集をしよう、という話になり、そこにマシラが「どうせならショウジョウと合流しようぜ」と提案。ショウジョウがナワバリにしている海へと寄ってから港に移動。港に到着後、ルフィとゾロを護衛につけたナミの3人とロビン1人の二手に別れて街を散策。その途中でナミ達のグループが酒場でベラミーと遭遇し、その時に絡まれたらしい。
ちなみにマシラとショウジョウは事前にモックタウンが海賊達が落とす金で成り立っている街で治安が悪いことと、何よりも「空島」の存在を信じていないことを教えていたようであるが……
「あそこまで笑われるとは思わないわよ!! 普通!!」
よほど腹に据えかねるものがあったのか、「お陰で恥をかいたわ!!」バンバンと平手で船の手すりを叩きまくるナミ。
「こんな街、とっとと出ていくわよ!!」
「「 アイアイサー 」」
怒るナミの号令の下、一同はジャヤ島の東、猿山連合軍の本拠地でもあるモンブラン・クリケットの自宅へと船を進ませる。
【ジャヤ島 東──猿山連合軍 本拠地】
「……そいつは災難だったな」
猿山連合軍
親しい人間からはオヤッサンと呼ばれている人物である。
マシラ、ショウジョウ、ルーミアが連れてきたこともあって警戒心が薄れたのだろう、ぶっきらぼうだが彼は麦わらの一味を快く迎え入れた。
ナミ達はそこで民謡「うそつきノーランド」のモデルとなった400年前の人物──モンブラン・ノーランドの航海日誌から猿山連合軍が何故この近辺の海でサルベージをしているのか、その理由を知ることとなる。同時に空島に関する記述を発見。さらに空島へ行く方法を教えてもらい、その手助けを猿山連合軍総出で行うこととなった。
それから両者入り乱れての宴会が始まり、真夜中を過ぎた頃に猿山連合軍はサウスバードの存在を思い出し、このままでは空島には行けないぞ、とクリケットは麦わらの一味全員とルーミアをサウスバード捕獲のために森へと向かわせる。
「ウィ~~ッハッハァ~!!! やっと獲物を獲る時か!!!
相手は
覆面をした大男と馬に乗った如何にも病弱そうな男が二人。森の中、切り株の上でふんぞり返るルーミアの招集に応じてやって来た「宵闇ノ海賊団」のメンバーである。
「んー。相手がこちらの仲間になるならば戦う必要はないんだけどなー」
「神を名乗るような男が従うとは思わねェけどな、従わねェ時はどうするんだ? おい?」
問われたルーミアは「その時は仕方がない。その時は……」と大げさに肩をすくめた後に屈託のない、それでいてどこか狂気を感じる笑みで言った。
──殺してでも奪い取る。
( ´・ω・)にゃもし。
●勘のいい人なら分かっちゃうかなー。
●感想、返信が遅いのを了承して。
●物語は思いっきり、はしょるスタイルでいこうと思ふ。
●最後のが書きたかっただけ……
●基本ルーミアの一人称は通常時「私」
感情が高ぶっている時「俺」
笑い声「わははー」でいこうと思ふ。