ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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32話 開戦は人知れず始まる。

 

 

【マリンフォード「海軍本部」】

 

 

 「海軍本部」のある三日月形の島“マリンフォード”

 

 

 白ひげの2番隊隊長である「火拳のエース」の公開処刑が行われるその島には大きな町があり、主に海兵たちとその家族が住んでいる。

 

 

 しかし、今は「白ひげ」との戦争に備えて避難勧告が出されているため、住人たちは近くの島──シャボンディ諸島等に避難している。そのこともあってか、今現在、島にある町は静けさに満ちている。

 

 

 その一方で海軍がその島で「白ひげ」との戦争に備えて待機している中、各所から報告が届けられる作戦本部が置かれている会議室では蜂の巣をつついたかのような騒ぎに陥っていた。

 

 

エースを奪還されただとォォォ!?

 

 

 海軍将校の一人が部下からの報告を受けてすっとんきょうな声を上げる。報告の内容は主にインペルダウン大監獄のものであり、その署長であるマゼランから送られてきたものである。

 

 

 事が事なだけに将校はすぐさま箝口令を敷き、次いで上の人間──センゴクに連絡。彼に判断を委ねる。それに対してのセンゴクの返答は……

 

 

「このマリンフォードで『白ひげ』を討つ!! そのために準備をしてきた!!」

 

 

 センゴクは部下の海兵たちに白ひげをおびき寄せるため、エースの身代わりを用意させて処刑台に送らせ、その様子を映像電伝虫を使って放送、シャボンディ諸島にある巨大なモニターにその光景が映る。

 

 

 次いでインペルダウンの脱獄囚に関してはエースを護送するはずだった軍艦5隻に跡を追わせ、さらにマリンフォードからも3隻を向かわせて足止めをさせ、計8隻の軍艦でタライ海流にて彼らを挟み撃ちにして迎撃する作戦を立てた。

 

 

 一度、タライ海流に乗ってしまえば「正義の門」を開閉させない限り脱出することはできない。そのこともあってセンゴクは脱獄囚たちがタライ海流にいる間に殲滅させる腹積もりであった。

 

 

 白ひげを討伐した後にエースを生け捕りにして処刑することも考えていたが、さすがにそれは不可能と言わずまでもかなり困難とセンゴクは判断。まずは白ひげの討伐を優先させる。エースに関しては早々に生け捕りを諦め、場合によっては脱獄囚ともどもタライ海流にて軍艦を砲撃して海に沈め、殲滅することも視野に入れる。

 

 

 何しろ相手はインペルダウンに収監されるような悪人ども。それに船に乗っている連中の中には「エース」や「ルフィ」「ルーミア」といった世間を騒がせている悪党を親に持つ人間もいる。認めたくないが実力もある。

 

 

 白ひげの2番隊隊長を任されている自然(ロギア)系能力者「火拳のエース」に七武海を二人打ち倒した「麦わらのルフィ」、仲間とおぼしき男と一緒とはいえインペルダウンの署長である「マゼラン」を再起不能にした「ルーミア」。他にも革命軍幹部や元七武海の二人、LEVEL-6に収監されていた囚人たちもいる。

 

 

 このそうそうたる面子に、さしものセンゴクも頭を抱え、思わず愚痴を漏らす。

 

 

「……悪夢としか言いようがない」

 

「ぶわっはっはっは!! さすがはわしの孫じゃ!!」

 

「笑い事じゃないぞ!! ガープ!! お前の孫が起こした問題なんだぞ!?」

 

 

 自分の親族が関わっている事件にも関わらず豪快に笑い飛ばすガープ。彼に対して、もの言いたげそうな顔を向けるが、長年の付き合いから何を言っても無駄と判断し、部下から手渡された資料の束に目を通していく。

 

 

「よりによって自然(ロギア)系『ゴロゴロの実』の能力者か……」

 

 

 資料には「インペルダウン」で起きた脱獄の詳細と脱獄囚「ルーミア」等に関する情報が事細かに記されていた。……だが、その資料にはルーミアがインペルダウン内の戦闘において「ヤミヤミの実」の能力を使用していなかったせいもあるのだろう、その資料には「ゴロゴロの実」のことは書かれていても、「ヤミヤミの実」に関する能力については一切、書かれていなかった。

 

 

(……「エース」を連れた脱獄囚どもがわざわざここ(マリンフォード)に来る。「エース」を救出したならば、奴らが海軍本部のあるマリンフォードに来る理由なぞない。おそらく連中には「白ひげ」に連絡する術がなく、伝えていない。だから連中はそのことを報せるために危険を承知の上で「白ひげ」が現れるであろうマリンフォードに来る。無論、タライ海流から抜け出せないのも理由の一つだろうが……)

 

 

 刻々と迫る処刑の時間。脱獄囚たちが「正義の門」付近に来る頃合いを見計らってセンゴクは3隻の軍艦の出撃を命じる。

 

 

 脱獄囚を討伐するためにマリンフォードを離れる3隻の軍艦。しかし、その3隻の軍艦が「正義の門」に到達するよりも早く門が開き、門の向こう側から1隻の軍艦が現れる。ルーミアたちが乗っている船だ。

 

 

「脱獄囚の船だ!! 撃て!!!!」

 

 

 海兵の一人が甲板に乗っている囚人服姿の人間を見るや否、声を張り上げて報せ、甲板上が慌ただしくなり、しばらくして砲撃の準備を整い、いざ大砲を発射するときに今度は周囲の見張りをしていた海兵が叫び、警告を発する。

 

 

「後方に軍艦!! 脱獄囚どもです!!!!」

 

 

 海面を割ってもう1隻の軍艦が飛び出し、間を置かずに大砲の弾が海兵たちに向かって飛んでいく。

 

 

「インペルダウンから5隻が来るはずだ!! それまで持ちこたえさせるんだ!!!!」

 

 

 指揮を預かる将校の一人が叱咤激励を飛ばすも……

 

 

「た、隊長!! 正義の門が……」

「閉じていくだと!?」

「動力室の連中は何をやっているんだ!?」

 

 

 軍艦を挟んで大砲が飛び交う海上、海兵たちが見守る中、彼らが見ている目の前で「正義の門」が閉じられ、まもなくして海兵たちが乗っている軍艦の1隻が炎上し、海の中へと沈んでいった。

 

 

 「正義の門」付近で軍艦による砲撃戦が行われている一方で、マリンフォードでも(いくさ)が始まる。

 

 

 三日月形のマリンフォードの湾頭付近の海に無数の海賊船が出現したのだ。さらに湾内にも鯨を模した船首を持つ4隻の船が海底から浮上、その内の1隻“モビーディック号”の白鯨を模した船首の上に立つ大男──白ひげがマリンフォードに居合わす海軍たちに向かって叫ぶ。

 

 

 

 

おれの愛する息子は無事なんだろうな………!!!!

 

 

 

 




ざわ…( ´・ω・)にゃもし。ざわ…

■朝の4時にできたよん。
 └後書きをちょこちょこ書いて、おやすみー。

■ヤバいな、とうとうここまで来ちゃったよ。
 └頂上決戦。
 └正直、ここまで続くとは思わんかった。
 └正直、舐めてたわ。

■あえて言おう、期待を裏切らせてもらいます。
 └いつも通りに好きに書くよん。

■ぶっちゃけ本作のルーミアさん「38歳」なので
 └成長する見込みがもうないのよ。
 └ニュース・クーでは「28歳」と記載されている。

■後は活動報告に書くべ。

■誤字脱字報告、毎度ありがとうございます。
 └確認せずにほいほい適用しています。
 └探すのけっこう面倒なので…

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