ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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33話 面子と落とし前

 

 

 

 

 マリンフォードにある『正義の門』付近でルーミアたち脱獄囚が海軍と船による砲撃戦をしている頃……

 

 

 

 

【シャボンディ諸島】

 

 

 シャボンディ諸島の広場に設置してある巨大モニターにはマリンフォードの処刑台に座らせている「エース」らしき人物が映し出されていた。見物人が見守る中、センゴクはエースが彼の海賊王の子だということを暴露、シャボンディ諸島にいた人間たちに衝撃を与えた。

 

 

 そこへ『白ひげ』が現れた。

 

 

「白ひげが現れたってことはあのエースは本物なのか?」

「……海軍が箔をつけるために用意したニセモノじゃなかったのか?」

「いや、そもそも海軍がニセモノを用意する理由なんてあるのか? ビブルカードでわかるだろ? 白ひげともあろう人物が持っていないとは思えない」

「どちらにしろ海軍が白ひげにケンカを売ったことに変わりはない。白ひげには四皇としての面子があるんだ。報復をしないわけがない」

 

 

 白ひげが現れたことで多少、動揺するも「白ひげならばあり得る」と、どこか納得する見物人たち。彼らはモニターの下で戦争の勝敗、戦後、世界はどうなるのか等々…… その憶測を立て始める。そして彼らが結論を出す前に画面の向こう側ではマリンフォードを戦場にした戦争が始まる前ぶれだろう、無数の海賊船が集まり始まる。

 

 

 モニターに映るその光景を見守る観戦者の中には衣服に黒地に十字架をあしらったワッペンをつけた男たちの集団がいる。そのうちの一人が懐から電伝虫を取り出す。

 

 

「──ラフィットさん。……ええ、シャボンディ諸島のモニターに動きがあります……」

 

 

 シャボンディ諸島から得られる情報を逐一、報告する役目を負った男は連絡先であるラフィットに通達。その情報を受け取ったラフィットはルーミアに伝えるべく電伝虫のダイヤルを回す。

 

 

 

 

【マリンフォード】

 

 

 ──マリンフォードの沖合いの海上、『正義の門』の付近にて1隻の軍艦が轟々と激しい炎を上げて燃えている。その甲板では炎とそれが生み出す熱から逃れるべく燃え盛る船から次々と海兵たちが手摺を乗り越えて海へと飛び込んでいく。やがて船は海面に漂う彼らの目の前で胴体の半ばあたりに亀裂が入り、軋む音を立てながら二つにへし折れ、最後には完全に分断、船の内部が剥き出しになった断面部分から海へと沈んでいく。

 

 

 その光景を残った2隻の軍艦のうち、間近にいた軍艦に乗船している海軍たちが凝視しながら口々に捲し立てる。

 

 

「バカな!? 一体いつの間に被弾したんだ!?」

「……そ、それが何もないところから突然、白いゼリー状の液体が船に流れ込んで、その後に雷鳴のような轟音が鳴ったかと思えば炎上しまして……」

 

 

 怒鳴る将校に海兵の一人がしどろもどろながらも答える。その時、彼らのすぐ側の空間が突如、両開きの扉が開くように左右に開いた。

 

 

ウィーハッハッハッハァ~~~!!!!

 

 

 その空間の奥にいたのはバージェスを始めとした武装した囚人姿の人間たち。彼らは扉が完全に開くと同時に扉の縁を蹴って勢いよく飛び出す。そして手にした武器を片手に目についた海兵から襲いかかり、たちまち船の上は双方入り乱れての乱戦になった。

 

 

 海兵たちを率いる立場にいる将校は部下たちを叱りつけながらも奮い立たせつつ、味方の軍艦の様子を見る。余裕があるならば彼らに救援を要請するためだ。

 

 

 しかし、将校が見たのは海兵たちが一人残らず倒され、代わりに数名の脱獄囚たちが我が物顔で居座っている光景だった。

 

 

「ウィーハッハッハッハァ~~~!!!!」

 

 

 なんとも陽気な大声に振り向く将校。彼は眼前に腕を後ろに大きく振りかぶる大男──バージェスの姿を最後に、意識が途切れる。

 

 

 

 

「名前だけ聞くと侵入以外に使えなさそうな能力の名前だが…… 案外、使い道があるもんだな」

 

 

 未だ軍艦の甲板で暴れまわる囚人服姿の人間に交じって肉弾戦で敵をなぎ倒していくバージェス。その光景を、海兵たちを乱雑に積み上げて作った山の頂きに腰を下ろして葉巻を吹かしながらクロコダイルは眺めていた。

 

 

「わはははー。悪魔の実の能力は使い手次第。……というやつだなー」

 

 

 人の山のてっぺんに座るクロコダイルの足下、眼下から聞こえてくる少女の──ルーミアの声に顔を向けるクロコダイル。そこにはルーミアが床にちょこんと正座をして電伝虫でどこかにかけている最中だった。

 

 

『──以上です』

 

 

 やがて相手との話を終えたのか、おもむろにすくっと立ち上がるルーミア。彼女は誰に対して言うわけでもなく深刻そうに顔を歪めながら言う。

 

 

「……『白ひげ』がマリンフォードに現れた」  

 

 

 

 

 

 

 

 マリンフォードの湾内に現れた白ひげ。彼が現れたのを確認したセンゴクは配下の海兵に映像電伝虫の音声のみを切るよう、指示を出す。シャボンディ諸島の処刑台にいるエースがニセモノと悟られないためにだ。もっとも──

 

 

「グララララ!! わざわざニセモノを用意するとは随分と手の込んだことをしてくれるじゃねぇか!? なあ? センゴク!!」

 

「お前がこうして現れたんだ。決してムダな行動ではなかった。あとはお前を倒せば、エースを守る者がいなくなる。ついでにお前の娘とかいう者も監獄に送ってやろう」

 

「それを俺が許すと思うか? こっちは俺の大事な息子を痛めつけられたんだ。その落とし前をつけさせてもらおうか?」

 

 

 そう言うと自身の身長を超す薙刀を船首に突き刺して両手を自由にさせると、両脇の何もない空間に拳を叩き込み、大気に()()を入れさせる。

 

 

「これだけの数の軍艦だ。エースとティーチが逃げやすいように減らしておかねぇとなぁ? グララララ!!」

 

 

 しばらくして、マリンフォードを挟んで島の両側の海がうねり、膨れ上がり、やがて島を飲み込むほどの大きさの津波に変化して、島の両側から島を押し潰さんばかりに押し寄せてきた。

 

 




( ´・ω・)にゃもし。     (・ω・` )フリーザ

フリーザ「ホホホホホ。今のは残像ですよ。……ですが、残像でも先ほどの攻撃はなかなか痛かったですよ? どうです? 私の部下になりませんか?」

■残像ネタの生みの親である飛影よりもフリーザのが思い付く。

■朝の5時にできた。
 └寝るおー。

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