ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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34話 マリンフォードの海域に……

 

 

 マリンフォードの両側から島の標高よりも倍以上に高く巨大な津波が島内部へと押し寄せてきた──かと思えば、戦場になっている湾内のど真ん中へ飛び出した海軍の大将の一人が悪魔の実の能力で迫り来る海の壁を瞬時に凍らせて津波を止め、次に白ひげたちの船4隻ごと湾内の海を凍らせて彼らの動きを封じる。

 

 

 戦場に足場ができたことで海賊たちは船から飛び降りて凍った海の上へ、海軍は防波堤を飛び越えて、凍った湾内へと両者入り乱れて大勢の人が雪崩れ込み、戦場は一層、騒がしくなる。

 

 

 それはのちに呼ばれることになる頂上戦争の名に相応しく、今までに類を見ない大規模なものになっていく。

 

 

 巨大な氷山を上下二つ真横に断ち切るほどの斬撃を放つ剣士の地を這う縦一文字の衝撃波を、白ひげ海賊団の隊長格の大柄の海賊が身体の左半分をダイヤモンドに変化させ、その大きな体で無傷で受け止める。

 

 

 そして意趣返しと言わんばかりにその海賊が湾内の凍った海を掘り起こして投げ放った数名の巨人をまとめて押し潰してしまうほど山のように大きな氷塊を、今度は別の大将が溶岩に変化させた腕から発射された火炎弾で跡形もなく蒸発させる。

 

 

 そんな光景をシャボンディ諸島の人間たちはこの世の終わりでも見ているかのようにモニター越しに固唾を呑んで戦争の様子を見守っていた。

 

 

 そんな彼らとは別の視点、別の場所、遥か高みから戦場の様子を窺っている者たちがいた。

 

 

 

 

 マリンフォードから程近い海域。戦場の爆音が僅かながらに聞こえてくるその場所にて、そこに1隻の船が海面を漂っていた。黒地に白の十字架をあしらったシンボルマークを掲げているルーミア一行の船である。その船の甲板から鉄でできた太く頑丈そうな鎖が天に向かって伸びている。

 

 

 その鎖を上に辿っていくと、やがて空に浮かぶ一つの気球に辿り着く。乗っているのはルーミアの船員の一人である「オーガー」と配下の男二人。彼らはその場所から携帯用の片手で持てる小型の望遠鏡で遥か先、眼下に見えるマリンフォードの状況とその周囲をつぶさに観察していた。

 

 

 海軍の最高戦力である三人の大将はもとより、数人メンバーが欠けている王下七武海。海軍の英雄ガープに仏のセンゴク。──という海軍の主だったメンバーに、白ひげと彼を支える10人の隊長に白ひげを慕う傘下の海賊たち。そしてルーミアたち脱獄囚が乗っている2隻の軍艦。

 

 

 海賊と海軍。戦場で命のやり取りをしている両者の様子を望遠鏡で視界におさめつつ、オーガーは手元の台座に鎮座している電伝虫の受話器を取り、船にいるラフィットと連絡を取る。

 

 

「──以上だ。()()よりも変更点が多々ある。これより先は『白ひげ』の周囲を警戒しながら海兵たちを減らしておこう」

 

 

 そう言うと隣にいる男に白ひげの周囲と大将の監視を頼むオーガー。不思議そうな顔を浮かべる男にオーガーは長銃を構えながら教える。

 

 

「傘下の海賊が海軍に騙されて裏切る可能性があるからだ」

 

 

 長銃の照準機に片目を当てたまま答えると同時に引き金を引く。発射された一個の弾丸が照準機に映った一人の海兵の左膝を撃ち抜く。撃たれたその海兵は片膝を屈して前のめりになって倒れかかる。そこに相対していた海賊に背中を斬られて斬り伏せられてしまう。

 

 

「……戦場に流れ弾はつきものだ。たとえ私の手でなくともお前は撃たれた運命だったのだろう」

  

 

 一部始終を見終えた後、淡々とした表情と口調で語るオーガー。彼は次のターゲットを撃つため、照準機から目を離し、長銃に弾を込める。その間にもマリンフォードで起きている争いは続いている。

 

 

 そんな危険地帯に飛び込もうとする一団がいる。

 

 

 脱獄囚たちが乗る2隻の軍艦がマリンフォードへと向かっている。そのうち1隻、ルーミアたちがいる船の甲板では彼女を中心に話し合いが行われている。

 

 

「……海軍が親父殿を逃さないようにここの湾内入口をおさえるだろーから、やつらの増援が現れたとこを背後から私たちが襲撃、挟み撃ちにするわけだなー」

 

 

 どこから持ってきたのか甲板にテーブルが置かれており、そのテーブルの上には簡略化されたマリンフォードの地図が描かれていた紙切れが置かれていた。背が低いこともあって台座の上に乗っていたルーミア。彼女は持っていたペンの頭で地図の一点、丸で囲まれた「増援」の文字をペシペシと軽く叩いて指す。

 

 

 地図にはマリンフォードを表しているだろう大きな三日月が描かれていおり、その湾内の出入口には丸で囲まれた「増援」という文字がある。その「増援」の文字の上と下にはそれぞれ矢印があり、文字の方に向いていた。

 

 

「親父殿がわざわざ湾内に現れたのは海軍の主戦力を惹き付けるためと撤退する時の殿(しんがり)を務めるつもりなんだろなー、わはははー。湾の外に居てくれたら楽だったんだけどなー」

 

 

 やがてルーミアたちの乗る船はマリンフォードの全容を捉える距離まで近づいた。それに伴い囚人たちと彼らを率いるバギーはルーミアから貸し与えられた(ダイアル)を装着し、戦闘態勢を整える。電伝虫で伝えられるマリンフォードの戦況を逐一、聞きながらルーミアたちは船を進ませる。

 

 

(……白ひげと一緒なら海軍もどうにかなりそうだ。逃げ切った後にこの囚人たちを上手いこと言いくるめて配下にするのも悪くねぇなぁ!! ぎゃははは!!)

 

 

 海軍本部が置かれているマリンフォードを目の前にして「ぎゃははは!!」と声を出して笑うバギーに囚人たちは「海軍など恐るるに足らず!!」と解釈したらしく得物を高々に掲げて威勢のいい雄叫びを上げる。バギーもそんな彼らを頼もしく思ったのかさらに笑い声を上げる。

 

 

(……どさくさ紛れに白ひげの首を取るつもりだが、こいつらがいる限りそう簡単に取れそうもないな……)

 

 

 そんなバギーたちとは対照的にクロコダイルは彼らを冷ややかな目で一瞥し、ルーミアとエース、元七武海であるジンベエ、さらに自分の弱味を握っているイワンコフを順に眺めてそんなことを考える。

 

 

 クロコダイルが彼らを見てそう思っていたように彼らもまたクロコダイルを、さらに隣を走るもう1隻の船に乗っているLEVEL-6の囚人たちにも目を光らせる。油断なく目を光らせるジンベエとエース、イワンコフの三者に対してルーミアは言う。

 

 

「あの船の連中、全員が全員とも親父殿にやられたわけじゃないからな、それこそ他の四皇だったり、七武海にやられた連中もいるはず。そんな連中が足並み揃えて親父殿の首を取りに行くとは思えないなー」

 

 

 なるほどと頷いてみせるものの、それでも完全に疑念を拭えないのか訝しげる。そんな彼らにルーミアは付け加えて言う。

 

 

 

「いざというときは“闇”に呑み込ませた上に上空7,000mの空から落とすから安心しろ」──と、

 

 

 どことなく暗い笑顔を浮かべるルーミアに冷や汗をかく各々。船は様々な意志を乗せて戦場へと進む。

 

 




( ´・ω・)にゃもし。

■日付変わる前だからセーフ!!!!

■正直、諦めていたヨ。
 諦めないって大事だネ。

■仕事の合間に書いていたヨ。

■誤字とかヨロスコ。

■仕事に戻るヨ。

■接客業の従業員に優しくしてあげて……
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