※10月7日。ちょっと変えた。
「スクアードの野郎はいねぇのか、なんとも薄情な野郎だ」
「さすがにあんなことをしでかしておいて、おめおめと顔を出せないんだろ?」
「来たら来たで針のむしろになるだけだし、来ない方がお互いのためだろうな」
その葬儀に駆けつけたのは生前、白ひげを慕っていた傘下の海賊団や彼の手によって救われた民間の人間たち。彼らはその葬儀に参列していないスクアードたちに対して口々に噂をし、記者たちはその葬儀の様子を撮影していた。
「あの親父さんの娘……ルーミアとかいうのが“七武海”加入してくれて正直、助かったな……」
「思うところがあるけど、親父さんのシマを守るためだ。血筋よりも実力が重要。その点、彼女は申し分ない」
「……実の子かどうかはいいんだよ。実際、身寄りのない俺たちが息子と呼ばれてたことだしな、問題は何でよりによってここに他の“七武海”のドフラミンゴがいるんだ? 赤髪海賊団がいるのはまだ分かるんだが……」
その葬儀の参列にはドフラミンゴの姿があった。当のドフラミンゴは人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべながらルーミアの姿をじっと見据えて用意されていたイスに腰掛けていた。
「──フッフッフッフッフッ……」
参列に参加している者たちの中には戦争の際に見せた
その中にはルーミア、彼女が率いる海賊団の傘下に入って本当に良かったのか? 疑問視する声が出てくるが……
「間違った道を歩みそうになったら正せば良い。そのための白ひげ海賊団だよい」
マルコやジョズたち白ひげ海賊団の隊長格が彼らを窘め、
いくら奥の手、能力者を封じ込める手段があり、青雉クザンと戦って疲弊しているとはいえ、はたして、赤犬サカズキを倒せるのか? ……と、
白ひげの葬儀と同日。葬儀が行われている島とは別の島にて……
【新世界──後のパンクハザード】
その島では二人の大将──青雉クザンと赤犬サカズキが海軍の方針を巡って激しい決闘が行われていた。そしてその決闘は十日間の激闘の末に赤犬の勝利で終わった。
サカズキの足下には右足を失い火傷を負ったクザンが両肘両膝をついて頭を垂れた四つん這いの格好で倒れており、対してサカズキは息を切らせながらも二本の足でしっかりと地面に立った状態でクザンを見下ろしていた。
そこへ足音を鳴らしながら一人の男が現れる。
「──スクアードか……」
サカズキが現れた男の名を口にする。頂上戦争と言われる戦争にて海軍──サカズキに騙されて白ひげに斬りかかった男である。
「てめえも親父と同じ目に遭わせねぇと俺自身が納得できねぇんだよ!!」
見れば片手にある抜き身の剣は腕を伝って黒く変色し、他にも体の所々には装飾品のように
「……お前は確か今日の白ひげの葬儀に出席してるはずだったが、何故お前がここにいる?」
サカズキを挟む形で反対側には両腕を左右に伸ばし、右腕に“闇”を纏わせ、左腕に“雷”を迸らせる無表情…… いや、僅かながら侮蔑を含んだ顔でサカズキを見下すルーミアが静かに宙に浮いていた。
右腕の“闇”が大きく広がり、左腕の“雷”が一層、激しくなると同時にスクアードが身を低く剣の切っ先をサカズキに向けながら駆け寄る。サカズキもまた両者を迎え討つべく両腕の上腕部分をマグマに変化させて一回り大きくした腕で身構える。
クザンもまたサカズキに加勢すべく失った右足を補うため氷でできた足を生やして立ち上がるが、そこにルーミアが声をかける。
「
言って右手を高々と上げるルーミア。その掌から炎のように立ち上る“闇”が頭上で巨大な球体を作り上げ、そこから黒塗りの棺をロープで引き摺った海賊たちが飛び出す。スクアードが掲げている海賊旗をつけていることからスクアードを船長とした「大渦蜘蛛海賊団」の船員だということが分かる。
「ここら辺一帯は私の“雷”の影響で電伝虫は使えない。援軍は来ないと考えた方がいい」
淡々とサカズキに向けて語りかけるルーミア。スクアードの攻撃を捌きつつサカズキはルーミアたちの動きに注意する。海賊たちは棺から武器や防具類を取り出しては各々、手に取っていた。サカズキは彼らが装備している武具を見てあからさまな舌打ちをする。彼らが取り出したのが海軍が使っている対能力者用の物だからである。
「さあ、落とし前をつけてもらおうか?」
スクアードとサカズキが戦闘しているところに男たちが武器を手に近づいていく。
如何にサカズキといえど、十日間の激闘の後にルーミアたちと戦うだけの体力はもはや無く、クザンと比べれば決着はあっさりと付いた。それでも半数以上の海賊たちを道連れにしたのは流石といえよう。
数名の海賊がクザンを鎖で何重にも巻いて拘束し、数十名もの屈強な男たちが血を流し、あるいは火傷を負って倒れ伏す状況の中、サカズキのマグマの拳がスクアードの腹を貫く。
スクアードは腹を貫かれながらもルーミアに指示を出し、彼女が応える。
「──“
サカズキの背後、首の真後ろに移動していたルーミアがほんの数cmにも満たない超至近距離から能力を発動、彼女の掌から発した“闇”がサカズキの実体を捉え、能力を封じ込め、ただの人間に戻し、流動体になるのを阻止する。
そこへスクアードが腹を貫かれたまま、人差し指でサカズキの胸を突き刺す。“毒”で赤黒く変色した腕の指で……
仰向けになって倒れているサカズキの胸の上に一個の果実が無造作に置かれている。その表皮が徐々に唐草模様に変化していく。やがて完全に変化したその果実をルーミアが手に取り、小さな鍵つきの宝箱に大事そうにしまいこむ。
「今後、命を狙われる危険性のある『ミョスガルド聖』にでもあげるべきかな?」
……と、その小さな宝箱を両手で包み込むように持ってそんなことを口にする。
「どちらにしろ、これでサカズキが元帥になることはない。“仏のセンゴク”が望んだ人物“クザン”が元帥になるなー」
ちらりと顔を向けるルーミアの視線の先には件のクザンが未だに拘束された状態で座らされている。その彼の背後にはラフィットがステッキの先端をクザンの背中に押し当てながら立っている。海楼石がついたステッキだ。さらに海楼石の手錠も嵌められている。そのためクザンは能力を行使することができないでいる。そして、やや離れた場所にはオーガーがいつでも撃てるよう長銃を構えている。
「“七武海”加入直後にこんな事件を起こして無事で済まされると思っているのか?」
「海軍と世界政府には内緒にしてくれると嬉しいんだけどなー?」
「……無理だな。俺には報告する義務がある」
ルーミアの願いを却下するクザン。その回答に「残念」と肩を竦めて彼女が答えるとラフィットがクザンの正面に回り込み催眠術でルーミアにとって都合の悪い記憶を忘れさせた。
「墓には何を刻もうか?」
ラフィットに頼んでクザンに催眠を施してもらった後、今にも命の灯が消えそうなスクアードにそう声をかけるルーミア。彼は岩を背に、腹を押さえて両足を伸ばした状態で座っている。サカズキのマグマのおかげで傷口は焼かれ、出血は止まっているが…… もはや助からないのは誰の目にも明らかだった。
エースの時は凍った海の氷で仮死状態で保たれ、新鮮な臓器の代えが手に入りやすい状況と優秀な医師の存在で一命を取り留めたが……
「それよりも船員を頼む」
「…………わかった」
「それと……」
そこで口を動かすほどの力はもはやないのか、会話が途切れて後に続く言葉が一向に出てこない。ただただ口から「ヒューヒュー」と空気が漏れる音が響くのみ。
「お前が悔やんでいたこと、謝罪していたことを伝えておく」
ルーミアからの返答に僅かに指を動かしてみせるスクアード。だがそれ以降、彼が体を動かすことはなかった。
それから、しばらくして一部の生存者たちとルーミアが去った後、第三者から連絡を受けた海軍がパンクハザードに足を踏み入れる。そこにはすでにルーミアたちの姿はどこにも見当たらず。生存者はクザンのみ。駆けつけた海兵がクザンに尋ねると彼は答えた。
「──サカズキを殺ったのはそこのスクアード。
そして決闘から数日後……
【旧ドラム王国】
旧ドラム王国にて、療養中のエースと彼の護衛のためにジンベエが滞在していた。ベッドに横たわるエースの手元にはここ数日の新聞、主に海軍とルーミアに関する物が纏めて積まれている。
『白ひげ、エドワード・ニューゲート死亡!!』
『白ひげの娘、エドワード・ルーミア“七武海”加入!!』
『赤犬サカズキ、青雉クザンとの決闘後にスクアードと戦闘か!? 両者、遺体で発見される!!』
『青雉クザン、元帥に昇任!!』
一通り読み終えた後、新聞の束を備え付けのテーブルに置くエース。未だ完治はしていないのか、身体中に包帯を巻いているものの、体を動かすほどまでは回復している。
「新聞に書かれちゃおらんから赤犬サカズキを殺害したのがルーミアだということはバレてはおらんだろう。あの娘さんの言うことを信じるなら、いずれはドフラミンゴを叩きのめしてインペルダウンに送り込むそうだ。元凶を放っておくつもりはないが、ルフィ君の頑張り次第ではルフィ君に譲るかもしれん、とも言っておったな」
ベッドの脇にあるイスに腰掛けながら、そう話しかけるジンベエに「そうか」とエースは相槌を打つ。エースはジンベエたちに自分がなぜ捕らわれたのかを療養中の傍ら彼らに話しており、当然ドフラミンゴのこと、バナロ島での出来事を話していた。
もっともドフラミンゴの部下に自分の船員たちがオモチャにされたことをエースは忘れていた。
「……なら俺も2年ほど頑張ってみるかな、せめてあいつの兄貴として、親父の息子として、胸を張れるぐらいにはな?」
愛用の帽子を手に取って被ると笑顔でそんなことを言う。
「それで、ルーミアの言うスカイピアっていう空島にはどうやって行くんだ?」
世間から身を隠すためエースはルーミアの提案により空島スカイピアへと渡ること決意。身を隠すためもあるが、知らない島へ行けるということもあってエースは楽しみにしていた。その顔はまるで好奇心を隠しきれない少年のようだったとジンベエは語る。
「すまんがエースはん。ワシは一度、魚人島へ戻ろうと思っとる」
白ひげの死亡以降、彼のシマを狙って襲撃をかける者たちや白ひげに恨みのある犯罪者たちがしばしば現れた。そのたびに白ひげ海賊団や傘下の海賊団が対応を行なっており、特にルーミアが率いる「宵闇ノ海賊団」は文字通り一人残らず徹底的に叩き潰していた。
「ジャヤ島にはあの娘さんが世話になったという海賊団とサッチがおるらしい。行き方はそやつらに聞くといいだろう」
魚人島もまた例に漏れず一時的に犯罪者共が横行していたが、ジンベエを船長とした「タイヨウの海賊団」や魚人島リュウグウ王国に常備している軍「ネプチューン軍」のおかげで今は平静を取り戻している。
ジンベエは魚人島のことを気にかけていたが、ルーミアからの依頼ということと、戦争にて白ひげを守れなかったことを悔やみ、せめてエースはと戦争以降エースの側にいた。エースもまたその事情を知って彼の魚人島行きを快く賛同、むしろ自分のせいで今まで行けなかったことを詫びる。もっともジンベエはそんなこと気にするなと朗らかに一蹴したが……
「行く前にルーミアに挨拶した方がよかろう。あの娘さんは随分と気にしておったからのぅ」
「ああ、そうするよ。なんだかんだで世話になったことだしな」
その後、エースとジンベエは様子を見に来たルーミアと面会、軽い挨拶を交わした後、それぞれ目的の場所へと赴き、その地にしばらく居座ることとなる。
そしてルーミアは麦わらの一味の動向に気を付けつつ、バギーを座長とした「バギーズ・デリバリー」と、ボン・クレーを社長とした「バロック・ワークス」を設立。勢力を延ばしていくこととなる。
ざわ…( ´・ω・)にゃもし。ざわ…
クリーチャー──にゃもし。
瞬速、防衛
にゃもし。が墓地、もしくは追放領域に置かれた場合、あなたは●●を支払うことで手札に加えてもよい。そうしない場合はあなたのライブラリーの一番下に置く。
ハーメルンには“にゃもし。”という作者がいる。
■朝の4時に出来た。
■マンモスマンもできた。
■誤字脱字報告、毎度ありがとうございます。
■赤犬をあっさりと退場させてしまいました。
赤犬ファンの皆さま、ごめんなさい。
だって口調がわからないんだもん。
■相変わらず黒ひげ関連の二次少ないなー。
同じ敵役なのにドフラミンゴ関係のが圧倒的に多いなー。
とりあえず敵役二次増えると嬉しいなー。
■M:TG新エキスパンション
エルドレインの王権、購入したよ。
「出来事」「一徹」という能力が面白いネ。
なんか赤のカード、強くね?
■一応、この小説も一段落したので、ここから先は順番とか時間系列がバラバラになるかも……
前半の海を舞台にすることが多いかも……
関係ない話とか入れるかも……
前半の海に出てきたキャラを出すかも……
■50位以下だが、9月26日~27日に「ヤミヤミ」と「マンモスマン」の2作品が日間ランキングにランク入りした。やったZE。
※10月7日。マグマで焼かれたなら出血しないのでは? という指摘があったのでちょっと変えてみた。
ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。
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ルフィがエニエス脱出した時の4億
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ルフィが新世界突入した時5億
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ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
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黒ひげがつけられたのは22億4,760万