【 カライ・バリ島 】
「新世界」とも呼ばれるその海に浮かぶ島々の一つにそんな名前の島がある。ルーミアはその島に
任命以降、バギーは各所から送られてくる依頼に応じて人材をその地に送っていた。ルーミアのネームバリューもあってか、その人材派遣会社はそこそこの賑わいを見せていた。そのこともあってか、バギーは上機嫌である。
「やけに上機嫌だが契約はちゃんと守っているんだろうな?」
サーカスを思わせるテント内部に設置してある高台で笑うバギーに水を差すような発言を言う人物が現れる。乱雑に積まれている木箱の一つに腰かける彼は白ひげ海賊団の3番隊隊長であるジョズだ。彼は戦争の時、青雉クザンとの戦闘で全身を氷付けにされた際に右腕を砕かれてしまい、今現在は左腕一本の隻腕となっていた。彼以外にも白ひげ海賊団の船員の姿がちらほらと見受けられる。さらに宵闇ノ海賊団の船員である「バージェス」と新たに加わった「シリュウ」の二人もテント内におり、テント内部に置かれているソファーにおのおの寛いで過ごしていた。
「わーってるって『堅気の人間には手を出すな』だろ? 安心しろ、ちゃんと守ってるって、ギャハハハハ!!」
顔をにやつかせながらバギーは答える。ルーミアが彼に任命する際、契約の一つとして民間人に対して危害を加えないことを厳守させ、バギーもまたその命令を忠実に守っていた。バギーとしても海軍に自分がロジャー海賊団の元船員と知られた以上、万が一ここを追い出されでもしたら、すぐに海軍に追われるのが目に見えて分かっていたので、その命令に大人しく従っていた。
もっとも堅気ではない人間や組織等に対しては守る必要がないので徹底的に危害を加えた上に略奪の限りを尽くしていたが、その日頃の行いの賜物か、略奪を主体とした海賊団や犯罪者集団からは畏怖の対象として見られ、恐れられるようになり、バギーはますます増長するようになった。
そして今回、増長しているバギーに釘を刺す意味も兼ねてジョズがやって来た。彼は一枚の絵をバギーに見せるようにして言う。その絵は本来なら物語では新世界以降のバギーの姿、自身の能力で手足を切り離し、布で隙間ごと体を覆って隠蔽し、体を大きく見せた姿である。ご丁寧にも服の下の中身の図解がなされている。ジョズは紙の裏に書かれている文を読み上げていく。
「──『この格好を一度でも人前で披露した場合、問答無用でお前を放逐。お前の後釜はお前以外のバギー海賊団の船員か、アルビダ海賊団の船長が“バギーズ・デリバリー”の座長になる』……だそうだ」
これにはバギーは思わず「ぬぁわにぃぃぃ!?」と目玉が飛び出んばかりに大きく見開いてすっとんきょうな声を上げる。絵姿には見覚えがあったからだ。無論、その理不尽な要求に納得できないバギーはすぐさま反論、理由を言えと求めた。
「『デザインが気に入らない』『バギーっぽくない』『生理的に受け付けない』『ファンをやめる』……っていうのが主な理由だ。あとはルーミア提督、本人に直接、文句を言ってくれ」
「ふざけんな、そんなんで納得できるか!! あと最後の四つ目、理由じゃねぇだろ!?」
「まあ、いいじゃねぇか、契約さえ守ればここの座長を続けられるんだから」
なおも憤慨するバギーをジョズは宥め、それを見ていた他の面子が笑う。そんな光景がここ最近よく見られている。
白ひげ亡き後の白ひげ海賊団はルーミアや隊長たち、傘下の海賊団の願いもあって船長不在だが、1番隊隊長であるマルコが船長代理を務めて今も現存している。彼らは戦争以降、白ひげのシマにちょっかいをかける海賊団や犯罪者集団に対応するためにこのカライ・バリ島を拠点にして活動していた。それに加えて最近、海賊島「ハチノス」にインペルダウンの最下層──LEVEL-6に幽閉されていた脱獄囚たちを中心に無法者たちが集まり「海賊連合」なるものを作ったのが原因である。カライ・バリ島にいる彼らはその海賊連合に対して目を光らせて監視していた。
「ここに“宵闇屋”はいるか?」
その彼らの下に一人の男が入口から現れ、テント内にいた一人が彼の名を呟き、尋ねる。
「トラファルガー・ロー、“死の外科医”が何の用だ?」
船員の問いに“死の外科医”トラファルガー・ローは不敵な笑みを浮かべながら答える。
「同盟を組みたい」……と
前半の海
【 モモイロ島 ── カマバッカ王国 】
前半の海にあるモモイロ島を中心とした国であり、革命軍の一員でもあるエンポリオ・イワンコフを女王としたオカマだらけの国である。ついでにその王国に生息している動物たちまでもがカマっぽい。そして、シャボンディ諸島でくまに飛ばされたサンジが着いた島でもある。彼はルフィが自分の仲間たちにメッセージを送るために海軍本部──マリンフォードで起こした「16点鐘」の事件以降も仲間の力になるならば……と、己の料理の腕と身体能力を鍛えるためカマバッカ王国に留まっていた。
そんなある日、連日連夜やたらと無駄に無意味に強いオカマたちを相手に戦闘をこなすサンジの下に客人が訪れた。
「──と、いうことがあったわけよ~~~う!」
本名ベンサム、通称ボン・クレーその人である。ルーミアは各地に散らばっている麦わらの一味の様子を見るために配下たちを向かわせた。サンジがいるカマバッカ王国にはイワンコフがいる可能性もあったためボン・クレーは自ら志願した。無論、ルーミアには麦わらの一味の生存確認以外にも目的はあり、そのうちの一つが戦争で失った戦力の補充である。
ボン・クレーとサンジ。彼ら二人は過去に一度、アラバスタ王国にて死闘を繰り広げたことがあったのだが、アラバスタから脱出する際、ボン・クレーが自ら進んで海軍の囮になったこと、インペルダウンやマリンフォードでの戦争で自分たちの船長であるルフィを助けたこともあってか、敵対視することなく、お互い友好的に接している。今もファンシーな薄ピンク色のパラソル付きのテーブルを挟んでボン・クレーが戦争で起きていた出来事をサンジに話している。そして力を求めてカマバッカ王国にやって来たことを語り、次にサンジの素性について先ほどのふざけた態度とはうってかわって至極真面目な顔で尋ねる。
「サンジちゃん、ルーミアちゃんから聞いたんだけど、あなたってあの“ジェルマ王国”の王子様って本当なの?」
目に見えて分かるほどにサンジの顔が不快そうに歪んだ。その表情から触れてほしくない内容だということが一目で分かるがボン・クレーは構わず喋り続ける。
「もしそうだとしたら、あなた四皇の一人ビッグ・マムの娘と政略結婚させられるかもしれないのよう」
そう言ってテーブルの上に一枚の写真を置くボン・クレー。その写真はビッグ・マムの娘の一人である「シャーロット・プリン」が写したものだった。サンジはその写真を手に取ると写真の人物に対して文字通り両目をハートの形にするが、すぐに真面目な表情に戻ってボン・クレーに尋ねる。
「詳しく聞かせてくれ」
そうキリッと言うサンジは有象無象の屈強なオカマたちと過ごしているうちに女性に対して免疫が弱くなったのか、鼻から血を垂らしていた。
【 空島 スカイピア 】
旧ドラム島でジンベエと別れたエースは素性と顔をマントで隠して一人ジャヤ島へと移動。エースはそこでサッチと合流し、現地で待っていた猿山連合軍と出会い、彼らとともに気球で空島へと渡ることとなる。……とはいえ、猿山連合軍全員を乗せられるスペースが気球にはなく、エース、サッチ、猿山連合軍
「その頭の栗は…… お前がルーミアが言っていたモンブラン・ノーランドの子孫なのか……?」
「ああ、随分と長くかかっちまったが、先祖の代わりに来た。そういうテメェはカルガラの末裔か?」
空島に浮かぶ巨大な大地に不時着し、その地に足を踏み入れたエース一行は待ち構えていたワイパーたちと遭遇。もっとも、事前にルーミアから知らされたせいか、すぐに身元が割れた。
お互いの正体が分かった途端、すぐに打ち解けて宴を始める一同。彼らはそれぞれの先祖や自分たちの過去を語らい、次いでここ最近の近況を話し合った。
「しばらく前にここに青海からベラミーとかいう男が一人で来たんだが……」
ワイパーはベラミーが空島に来たことを告げ、彼はルーミアやルフィが空島で何をしていたのか? ……と、空島の住人を相手に聞き込みをしていたことを教えた。その時、空島の住人は彼がルーミアや青海にいるノーランドの知り合いということもあって、当初はエネルが倒されて間もなく良くも悪くも浮かれていたこともあってか、何の疑問も抱かずに素直に答えていたという。しかしベラミーに対して疑念を持った今は迂闊に喋ってしまった自分たちを呪い、エースたちに頭を下げる。
「ルーミアやルフィがそう簡単にやられるようなタマに見えるのか? 心配するだけムダってもんだぜ」
謝罪する彼らにクリケットはそう言って笑いながら一蹴。その後、害した気分を払拭するかのように宴はさらにやかましく派手になって朝まで続いたという。
【 前半の海 ── とある島 】
街の一角にて、路上で歌を歌い、楽器で音楽を奏でる男がいる。それだけならば大して珍しい光景ではないが、それを行なっている者が骸骨ならば話は別である。サンジと同じくして別の島に飛ばされていたブルックである。物珍しさもあってか人だかりが出来上がっている。
その後、演奏終了後に数名の屈強なお供をつけた金髪の少女と長身の男の二人が彼に近づく。二人の接近に気づいたブルックが帽子を上げて暢気に挨拶するが、二人の正体を知っている手長族のサンクリンは顔を青ざめさせた。そんな彼に少女は声をかける。
「私の名は『ルーミア』。あなた、芸能プロダクションっていう会社を作ってみる気はない? 隣にいる『テゾーロ』も協力してくれるみたいなんだけどなー、わはははー」
見た目こそ少女だがその実力は大将の一人を倒すほどの力を持った「ルーミア」と実業家として新世界で名を轟かす「テゾーロ」の二人を前にして彼らの要求を断れる真似などサンクリンにはできなかった。
(──いや待てよ。この二人を味方につければ、さらに金儲けできる!!)
最初こそ二人に対して戦々恐々としていたサンクリンだが、すぐに頭を切り換え、彼ら二人に対して揉み手をしつつ笑顔を見せる。
その後、サンクリンは二人の力を借りて世界中から歌や音楽に携わる者、モデル、舞台俳優などを集めて芸能プロダクション──サンクリン事務所なるものを設立。同時に所属している彼らに関連した商品を開発、徐々に知名度を上げていき、それに伴い売上も延びていき、笑いが止まらないという。
【 NEWスパイダーズカフェ 】
アラバスタ王国で麦わらの一味に敗北した
そこにルーミアが立ち上げたNEW
「何もここをやめろとは言わんよ。君たちにとっても悪くはない話だと思うガネ? 何しろ、ここにいる全員はみんな賞金首だ。七武海の庇護があった方が安心できると思うガネ?」
カウンターの席に座りながら、かつての同僚であるザラに話しかけるMr.3。彼がここに来たのはスカウトである。ルーミアとしてはこのスカウトに関しての成否は問われていないが、Mr.3としては知っている人間と組んだ方が仕事がしやすいのだろう。積極的に勧誘していた。
それからも交渉は続き、やがて条件付きだが彼らのスカウトに成功。その後、Mr.3はウィスキーピークに赴き、そこにいた賞金稼ぎたちを取り込み、そして最後の仕事を残すことになる。
“リトルガーデンにいる巨人二人をスカウト、よろすこ。無理そうなら私も行く。ちゃお。”
やたらとまるっこい文字で書かれたルーミアの似顔絵つきの指令書を見てMr.3は盛大にため息をついた。その彼の様子を見た部下が彼を憐れんだ。Mr.3は二人の巨人から恨まれても仕方のない所業をしていたからだ。
「よし、ルーミア提督を待とう。すぐに彼女と連絡を取りたまえ」
Mr.3はさんざん考えた末にその結論に達して部下に指示を出す。彼の部下たちは賛同し拍手を送る。彼らもまた巨人相手に無理だろ、と思っていたのだ。
( サトシヘッド・ω)
あ、野生のにゃもし。が飛び出した! |
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■朝の5時ごろにできたよ。
■誤字脱字報告、毎度ありがとうございます。
■メッセージがあったのでこの場を借りて返信。
過去に短編で「ヒロアカ」書いたことあるよー。
ただし、変態仮面とのクロスオーバー。
■雑な理由で退場させたサカズキさんに関する感想、指摘等、ありがとうございます。直せるとこは直せたよー。
■しばらくは、戦争終了後~3D2Y 辺りを書くおー。
■MTG、久々にデッキ作ってお店のイベントにgo
相手、ゾンビを生み出す土地からゾンビをわらわら出してやられたZE。ひどす。
■寝る。おやすみなさい。
ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。
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ルフィがエニエス脱出した時の4億
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ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
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黒ひげがつけられたのは22億4,760万