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1隻の黒塗りの海賊船が島の沖合いに浮かんでいる。掲げている海賊旗は“宵闇ノ海賊団”を示す黒地に白の十字架。その海賊団の船長を務めるルーミアはその船の甲板に設置されている玉座とでも呼べそうな豪奢な椅子に身を委ねて、海賊島“ハチノス”の全貌がよく見えるその場所から片手で持つための棒が付いた小型の双眼鏡で劇場でも観るかのように戦場の様子を「ふふふん♪」と鼻唄交じりで暢気に観察していた。
ルーミアが見ている島の一角では味方の巨人たちが悪魔の実の能力で通常の巨人よりも体の大きさが10倍以上に巨大化させたサンファン・ウルフを相手取っている。他の場所では悪魔の実の能力と思われる跡が森や建物等に刻まれており、今も喧しい銃声と爆発音を響かせている。
「ここに
双眼鏡から目を離したかと思うと突然そんなことを宣うルーミア。その場に居合わせた船員の何人かが彼女の物騒な言葉に思わず身を竦める。
「えー、それは困る」
全く困ってなさそうにそう言ったのは帽子を被った、おさげ髪の小柄な女の子。小柄といってもルーミアよりは背が高いが。彼女は
「ねー、リトルガーデンにいる巨人を手下にしたのに何で呼ばなかったの?」
「防衛は必要だからなー、それに他の理由もある」
戦争中にも関わらず暢気に会話を交わす両者。その時に海賊島に大規模な爆発が起こる。
島の半分を覆うほどの閃光が発せられたかと思えば、その直後に爆炎が爆ぜる。撒き散らされた爆炎と爆風が木々を根元から薙ぎ倒し、建物を破壊、人が敵味方関係なく木の葉のように吹き飛ばされる。巨人ですらもバランスを崩して倒れる。
「大変です提督!! “ハチノス”に大規模な爆発が!!!!」
「……見れば分かる。それより被害状況はどうなっている?」
報告しにきた男が戦場の状況を逐一に書いた書類を読み上げていく。一つ読み上げていくたびにルーミアは左腕に紫電を纏わせてバチバチっと鳴らすがその顔は怒りに染まること決してなく、終始無表情であった。対して男の方は読み上げていくたびに顔から血の気が引いていく。
そして一通り男が報告を済ますとルーミアは“ハチノス”から部隊を引き上げさせ、負傷者には治療を行わせた。その間、ルーミアはゴロゴロの実の能力を応用して島の隅々まで電波を飛ばし、人の気配を探りつつ、同時に人が交わす会話の声を拾っていく。そこでルーミアは自分たちの陣営の兵士に化けて負傷者に紛れ込もうとしていた女囚人の一人、“若月狩り”カタリーナ・デボンを捕捉した。
「──ネズミを捉えた。目印をつけるから捕らえろ」
電伝虫でそう伝えるとルーミアは玉座に腰かけたまま左腕を天に向かって伸ばす。掲げる左腕から雷が腕を伝って天に昇っていき、頭上、真上の雲に突き刺さる。
“
次いでルーミアが左手の人差し指で島を指し示すと、島の真上にある雲から人間一人を呑み込むほどの太さの雷が島に向かって落下していく。その雷の落下地点、木々の間に潜んで辺りの様子を窺っていたデボン。自分を含めて周辺が明るくなったことに不審に思った彼女はふと空を見上げる。デボンが思考する間もなくルーミアの雷は周囲を巻き込むことなく彼女に落ちた。
「カラーズ・トラップ“友達の黄緑”」
膝をついた状態で船の甲板、ルーミアが座る玉座の前で座らされ、なおかつ身動きできないように後ろ手で海楼石入りの枷を嵌められたデボン。ルーミアの落雷を食らって気絶した彼女はその後、ドアドアの実の能力で難を逃れたバージェスたちとMr.3の蝋で爆発を耐えきったB・W幹部たちに発見され即座に蝋で拘束、後にルーミアの下へと連行されて現在に至る。マリアンヌはその彼女の胸に黄緑色の絵の具で文字のようなマークを服の上から描いた。
ミス・ゴールデンウィークこと“自由の旗手マリアンヌ”は悪魔の実の能力者ではないものの、彼女は特殊な絵の具を用いて相手に暗示をかけることができる。暗示は成功し、マークを描かれたデボンは奇妙な笑い声を上げながらマリアンヌと楽しく談笑する。マリアンヌは自分の暗示が成功したのを確かめた後、ルーミアに「何を聞き出す?」と尋ねる。ルーミアはマリアンヌの問いに対して……
「──『
ルーミアのこの質問に何人もの人間が感嘆した声や呟きを漏らし、声を唸らせる。これ一つで相手が持っている情報等をかなり引き出せるからだろう。もっともルーミアにしてはどこぞの世界の某旅団の団長のセリフを引用しただけだが……
そしてデボンから得られた情報では彼女が負傷者として紛れ込んだ後にB・Wに侵入、隙を見て現社長であるボン・クレーを殺害して入れ替わって会社を乗っ取り、徐々に自分たちの仲間を引き入れる予定だったらしい。島の爆発も敵の戦力を纏めて減らすためだけでなく、ボン・クレーに化けたデボンがB・Wを乗っ取った後に戦力補充の名目で自分たちの息のかかった人間たちを引き入れるつもりとのこと。そして最後はルーミアの首を取って成り代わる。……のが彼らの大まかな計画だったらしい。
それを聞かされたB・Wの幹部メンバーはB・Wに思い入れ等があったのだろう、彼らは大層、激怒、あるいは静観していた。ルーミアは彼らの言い分を聞き入れながら静かに命令を下す。
「そいつの枷を外してやれ」
無論、反論はあった。しかし、ここがデボンにとって逃れられないような敵陣地のど真ん中ということ、能力者にとって忌避すべき海のど真ん中、さらにマリアンヌがつけた暗示のマークがあるということもありデボンは拘束を解かれた。当然、ルーミアは理由を聞かれる。
「この私をここまで手こずらせた。一歩、間違えればB・Wを乗っ取られていた。失敗こそしたが、その手腕に対して褒美をやろうと思ってな?」
……と、ルーミアはデボンに「決闘」か「服従」の二つの選択を与えた。カタリーヌ・デボンはルーミアに後者を選んだ場合の処遇を聞いた後、前者を選んだ。
甲板の上で仰向けに倒れているデボン。その胸元には豪奢な作りをした短剣が深く突き刺さっていた。
「お前の趣味嗜好は理解できないが、強者には敬意を払うことにしているし、死にゆく者に対しては死後、辱しめを受けないよう丁重に扱うことを部下に徹底させている。何か言い残すことがあるなら聞いてやろう。場合によっては願いも聞き入れてやるぞ? 叶えられる範囲内だがなー」
淡々と述べるルーミアにデボンは「ムルンフッフッフッ」と笑い声を上げた後に……
「若月を狩れない世界に興味はないわ」
そう言って不敵な笑みを浮かべたまま息を引き取った。その後、ルーミアの命もあってデボンの亡骸は上質な服装を着衣させた上で丁重に葬られることとなる。
幸いにも今回の戦闘で重軽傷を負った人間は多数いても死傷者は一人も出すことはなかったが、インペルダウンに収監されていた囚人たちを捕らえることはできなかった。海軍もまた世間体を気にしていたのだろう、新聞には『海賊連合本拠地“海賊島ハチノス”壊滅!!』とだけ大きく報道され、その海賊連合の主なメンバーがインペルダウンの脱獄囚で構成されている、といった詳しい内容等は伏せられた。そしてルーミアは元帥クザンから引き続き“海賊連合”の掃討を請け負うこととなる。
「顔はバレなくても、他の識別方法でバレる可能性があるかもしれないけど、あちしが連中をおびき寄せるためにデボンに化けようかしら? ちなみにあちしの変装を見破ったのは麦ちゃんの仲間の一人だったわよーう」
そう提案するボン・クレーにルーミアはその案を却下する。デボンからB・W侵入に成功した時と失敗した時の連絡方法および手段はついぞ聞き出せなかったが、残りの海賊連合のメンバーにはデボンが入れ代わりの成否、その確認を取れる手段があるとルーミアたちは考えた。デボンが失敗したことを知らずに意気揚々とB・Wに出向き、そこで待ち構えていた敵に一網打尽に捕まえられたら困るのは彼らだから。
「んで? どうすんだ? その悪魔の実は? なんならおれが貰っておこうか? ぎゃははは!!」
どこからか持ってきたテーブルの上には一つの悪魔の実が入った小さな宝箱が置かれていた。デボンが死んだことで手に入ったイヌイヌの実 モデル“九尾の狐”である。爆風で遠くに吹き飛ばされ、戻ってきた頃には全てが終わっていたバギーが物欲しそうに悪魔の実を凝視していた。
「いや、私が管理する。海賊連合に渡ってデボンみたいなのが来ても困るからなー」
右手の手のひらに小さな丸い“闇”を生み出すとそのまま宝箱を吸い込んでしまう。
「思った以上に時間がかかってしまったが、このままカライ・バリ島に帰還する! わははははー」
船の進行方向を指差すルーミア。彼女の号令で船内は騒がしくなり、船は加速する。
【カライ・バリ島】
物資の補給を兼ねてカライ・バリ島に立ち寄るルーミアたち。その道中でルーミアはトラファルガー・ローが自分に面会するために島に訪れていることを知る。そのことを知った彼女はローに会うため彼がいるであろうテントへと足を踏み入れる。
「わはははー。待たせたなー、“トラファルガー・ロー”」
バギーズデリバリーが置かれているカライ・バリ島。その地をルーミアに会うために訪れていたローだったが、その時ルーミアは
「道中、配下から話は聞いていたが、お前から直接聞きたい」
テント内にあるソファーにローの隣で寛いでいた白熊のミンク族のベポ。ルーミアは当然のようにベポの膝の上にちょこんと座る。ベポは当たり前のように座る彼女に対して困惑、ローに助けを求めるように視線を投げ掛ける。
「隣だと話しづらいから場所を変えてくれないか?」
言われたルーミアは少々不機嫌気味になり膨れっ面になるが、しぶしぶ立ち上がるとベポを立ち上がらせて手首を掴んでベポともどもローの向かい側に移動する。その間、ベポが「キャプテン! この子ものすごく力が強いよ!」と言うがルーミアは無視。ベポを座らせた後、再度ベポの膝の上に座ってベポの膝の上を陣取る。ついでに腕を組みつつ、なぜか勝ち誇った顔つきでローを見ていた。
「同盟の件についてだな……」
ベポの困った顔を直視しないようにしながら話を始めようとするロー。その時、ルーミアの配下の人間たちがテント入口に現れる。よほど切羽詰まった状況なのだろう汗だくになっていた。
「白ひげの息子を騙る男と白ひげの愛人を騙るババアが……」
最後まで言うことなく背後からの一撃で吹き飛ばされる男数名。ルーミアは右手から“闇”を発生させて彼らを受け止め、男たちの背後から出てきた歪な体躯の大男と派手な身なりの老婆の姿を確認する。白ひげ海賊団のメンバーは見覚えがあるのか何人かが露骨に舌打ちをする。ルーミアもまた知識にあり、宵闇ノ海賊団のメンバーもまた彼女から事前に知らされており警戒していた。
「白ひげの遺産を寄越しな小娘! 遺産は長男であるこの“ウィーブル”が貰う権利がある!」
ルーミアを見つけるや否や、開口一番にそんなことを宣う。
| Lv1 |
| HP1 |
| ひんし |
( ´・ω・)にゃもし。
▪️ギリギリだぜ。
▪️宿屋で瀕死が全快する不思議な世界。
▪️朝の6時30分ごろに本文ができたが、あとがきを作るのに20分ぐらいかかった。
▪️寝るおー、お休みなさい。
ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。
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ルフィがエニエス脱出した時の4億
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ルフィが新世界突入した時5億
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ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
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黒ひげがつけられたのは22億4,760万