ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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※お詫び

 39話でおかしな表現、矛盾点があったので後で直しますえ。
 ↓
 直しました。


47話 私は38歳だ。

 

 

【カライ・バリ島】

 

 

 その島にあるバギーズデリバリーのテント内にて、ルーミアとトラファルガー・ロー、両者による同盟に関する話し合いが行われる……というその時にその親子は現れた。白ひげの息子を名乗る“エドワード・ウィーブル”とその母親であり白ひげの愛人を騙る派手な身なりの老婆“バッキン”。二人の登場でルーミアはローとの会談を中断せざるを得なくなった。その上、バッキンは報せに駆けつけてきたルーミアの配下を吹き飛ばした後、ルーミアに対して「遺産を寄越せ」と言う始末。そんなバッキンに対してルーミアは心底、蔑んだ目、呆れた口調で言った。

 

 

「金は全部、親父の酒代で消えた。遺産? そんなもんは無い。諦めろ。あったとしても、戦争に参加せず、親父を助けず、全てが終わった今ごろになって金銭目的でのこのこと現れるような薄情な人間にくれてやる金など、びた一文、一銭も無い。帰れ。こっちはこれから客人と大事な話をしなきゃならんから、お前らと話してる暇など微塵も無い。失せろ」

 

 

 ……と、ソファーの上、白熊のミンク族であるベポの膝の上で「しっしっ」と右手で追い払うような仕草をバッキンに向けるルーミア。マルコを始めとした白ひげ海賊団のメンバーもルーミアに賛同しているのか、首を縦に振る。

 

 

 しかし、それで納得するようなバッキンではない。彼女はルーミアに……

 

 

「お前のような小娘がこんな組織を作れるはずがない。遺産を使ってこの組織を立ち上げたんだろ?」

 

 

 ……と解釈。しまいには──

 

 

「私がこの海賊団の()になってやる。それで遺産云々は帳消しにしてやる」

 

 

 なんてことを宣う。ルーミアの海賊団を乗っ取る気満々のバッキンのその発言にその場に居合わせたメンバーが青筋を立てて怒りを露にする。

 

 

「ホホホ。ぶち殺しますよ。うちの船長は“エドワード・ルーミア”ですよ?」

 

「ウィーハッハッハァ~~~!!!! めんどくせぇ!! お嬢!! 今この場でこいつらを殺っちまおうぜ!!!! その方が後腐れなくて済む!!」

 

 

 特に“宵闇ノ海賊団”を立ち上げた時からいる初期メンバーの怒りは計り知れず、いつでも飛び掛かるよう、二人の親子の前に立ちはだかる。さらに外野にいるバギーが二人や周囲の人間を煽ってくることもあってその場の空気が熱を帯びてくる。

 

 

「ここでこいつらが暴れたらここが更地になるけど、いいのか?」

 

 

 更地とまではいかなくともこの島で暴れられたら困るのはバギー。味方の実力を知っているだけにそれが比喩的な表現ではなく、本気で戦えばそうなると気づいた彼はすぐに前言撤回して二人を島から追い出すよう発言を変える。それがどういうわけか、バギーズデリバリーの一部のメンバーは自分たちの身を案じての発言と捉えて号泣、中には神にでも祈りを捧げるように拝む者も、そして彼らはバギーにますます傾倒していく。

 

 

「……お前たちがここに滞在することを許可する。ただし暴れるな。ここにいるトラファルガー・ローの後でいくらでも話し合いをしてやる。それともここにいる全員と後から来るかもしれない海軍と戦って、あるかどうかも疑わしい親父の《遺産》とやらを戦闘の余波で島ごと吹き飛ばしてみるか?」

 

 

 ルーミアからそう言われたバッキン。ここでやり合うのは得策ではないと判断したのか、彼女はルーミアが手配した配下に連れられてウィーブルとともに大人しくテントを出ていく。

 

 

「待たせたなトラファルガー・ロー。今すぐ同盟の件について話し合いたいところだが、ここだと何処かの誰かに盗み聞きされる可能性があるからなー……」

 

 

 「場所を変えようか?」とルーミアが言った途端、彼女の右腕から生み出された“闇”が彼女とローを床に敷き詰められた闇の中に引き摺り込む。

 

 

 “闇”の中にある木造建ての室内、そこにはルーミアとローがテーブルを挟んで向かい合う形でソファーに座っている。ルーミアは相変わらずベポの膝の上に座っているが、彼らの周りには宵闇ノ海賊団と白ひげ海賊団が取り囲んでいた。

 

 

「“火拳のエース”を捕らえて海軍に差し出した、ある意味戦争の元凶“ドンキホーテ・ドフラミンゴ”を失脚させることができる。場合によっては“ゲッコー・モリア”もだ」

 

 

 ローの言葉に白ひげ海賊団はざわめき、宵闇ノ海賊団は不敵に笑う。本来なら先のマリンフォードでの戦争の後、ゲッコー・モリアはドフラミンゴの粛清から逃れるために姿を晦ませるが、この世界では未だに七武海に在籍しており、宵闇ノ海賊団のメンバーはエース捕縛の功績で粛清を免れたのだろうと考えていた。次に失敗すれば後がないことも。

 

 

 そして、ドフラミンゴはドレスローザ王国を乗っ取った主犯であり、それが世間に明るみになれば七武海の称号は剥奪され、そうなれば彼らを犯罪者として捕らえることが可能になり、ルーミア側の人間としては願ったり叶ったりの状況になる。ローはドフラミンゴを失脚させる方法があると言い、ルーミアに協力を求めた。

 

 

 ドフラミンゴを仇敵としているのは何もルーミアや白ひげ海賊団だけではない。エースと義兄弟の契りを交わした“モンキー・D・ルフィ”もその一人である。ルーミアが持っている知識ではローはルフィと同盟を組んでいた。そのことを不思議に思ったルーミアはローに尋ねる。

 

 

「“麦わら屋”は革命軍のボスの息子だ。海軍や世界政府に目をつけられる可能性がある。リスクが大きい。戦力もあんたと比べたら頼りない。その点、あんたは“七武海”の一人だ。戦力は申し分無い上に危険も少なく得られるものも大きいのが利点だ」

 

 

 ローが語る計画では麦わらの一味をパンクハザードに誘導してその島で暴れさせ、そこにあるSAD製造室を破壊した後にドレスローザに招き入れ、彼らがドレスローザを引っ掛き回してる間にSMILE工場を壊滅、平行して人間をオモチャに変える能力者であるシュガーを気絶させて能力を解除、元の姿に戻った被害者たちの証言でドフラミンゴが行なっていた犯行が暴露、そうすればドフラミンゴの国乗っ取りが明るみになり、七武海の称号を剥奪される。それまでは麦わらの一味が使い物になるまで静観しているという。麦わらの一味がドレスローザに来ない可能性もあると指摘があったが、その可能性は限りなく低い、とローは語る。ルーミアは暫し考えてからローとの同盟を承諾するが、一つの条件を加えた。“ホビホビの実”もしくはその能力者であるシュガーの確保である。「何故だ?」と理由を問うローにルーミアは答えた。

 

 

「五老星やそいつらよりも上にいるヤツを“オモチャ”に変えようと思ってな? やつらが“オペオペの実”で“不老不死”になっていた場合の保険として“ホビホビの実”が欲しい。安心しろ、この私は“不老不死”なんてものには興味はない。場合によっては“カイドウ”やSMILEを取引していた連中の討伐にも力を貸してやる。ドフラミンゴを倒したら奴らが大人しく黙っているとは思えないからなー。わはははー」

 

 

 “不老不死”や人造悪魔の実である“SMILE”について饒舌に喋るルーミアにそこはかとない不気味さを感じたのか、ローは終始押し黙っていたが、やがて思い当たる節があるのか、ポツリと漏らす。

 

 

「──そういえば“マーシャル・D・ティーチ”は白ひげ海賊団の一員だったな……」

 

 

 「知っていても不思議ではないか……」そう一人で納得するロー。

 

 

(──奴隷にされそうだった一組の恋人を助けるために護衛をけちらし天竜人をぶちのめした“マーシャル・D・ティーチ”。海軍はそいつの自宅から“人造悪魔の実”に関する資料を入手し、どこからか漏れたのかドフラミンゴはそれを手に入れた。本来なら義手や義足といった“物”に食わせるためのそれを海軍とドフラミンゴは“兵器”として転用。白ひげ海賊団の連中にとってはおもしろくないだろうな……)

 

 

 ローはそんなことを思いながら周囲にいる白ひげ海賊団の面子をチラッと盗み見する。数名が小刻みに肩や体を震わせ、うち何人かが背中をこちらに向けて顔を手で隠すように覆っている。笑いを堪える姿に見えなくもないがさすがに故人を笑うようなそんな不謹慎なことを白ひげ海賊団の連中がするはずがないと考えたローは彼らが涙を堪えるための行動と判断した。そのうち堪えきれなくなったのか部屋を出ていく者が続出する始末。ローはその光景を見てティーチという人物は彼らから慕われて愛されていたのだろうと考えた。

 

 

「すまない。触れてはいけない話題だったようだな……」

 

 

 体を震わせながら、ひたすら下を向いて俯いていたルーミアにローはばつが悪そうに謝罪した。ローからは見えないがルーミアは顔を真っ赤にしていた。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

「……先ほどのは見なかったことにしてくれ」 

 

 

 ローが島を出ていく時、ルーミアは彼に背中を向けたままそう話しかけ、ローもまた「ああ、わかってる」と告げて船に乗り込み、そのまま出航していった。

 

 

「“ティーチ”の名前が出てくるとは思わなかったよい」

 

 

 去っていく船を眺めながらマルコは腕を組みつつそんなことを宣い、白ひげ海賊団のメンバーはさもありなんとコクコクと何度も頷いてみせる。

 

 

「ようやっと終わったかい、身内よりも赤の他人を優先するなんて躾がなってないわねェ~」

  

 

 ぶつくさ言いながらバッキンがルーミアに近寄ってくる。その後ろにはウィーブルの姿もあり、その周りには二人をどうにか引き留めようとしたのだろうルーミアの配下たちがたむろしていた。そしてバッキンがルーミアの目の前に立つや否、機関銃のように捲し立ててくる。いろいろと余計で無駄な話、関係のない話がバッキンの口から出てきたが、要約するとこうなる。

 

 

 

 

「ウィーブルは35歳でお前よりも年上だから兄であるウィーブル、ひいてはあたしの言うことを聞け」

 

 

 

 

 それに対するルーミアの返答はこうだった。

 

 

 

 

「私は 38歳 だ」

 

 

 

 

 翌日の新聞にルーミアの実年齢が掲載されることとなった。

 

 

 

 




       (・ω・` )(・ω・` )

( ´・ω・)にゃもし。
あ! 野生のミニスカートと野生の大人のお姉さんだ!
行け! にゃもし。! 君に決めた!



▪️朝の7時頃に完成 → あとがき中。

▪️毎度、誤字脱字報告ありがとうございます。

▪️連休中は仕事中。

▪️そろそろシャボンディ諸島、書きたい。
 もういっそ、キンクリ……

▪️あとは活動報告に書くべ。

▪️おやすみなさい。(。-ω-)zzz


 -追記-

▪️39話にてドフラミンゴさんがモリアさん「戦死扱い」してたのでそこら辺を後で変えるよー。
 ↓
▪️変えました。

ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。

  • ルフィがエニエス脱出した時の4億
  • ルフィが新世界突入した時5億
  • ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
  • 黒ひげがつけられたのは22億4,760万

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