ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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51話 王下七武海は諸島に、麦わらの一味は深海に

 

 

 2年ぶりにシャボンディ諸島にて再集結を果たした麦わらの一味。彼らは魚人島へ向かうためシャボンディ諸島の港の一角にある「海獣屋」から海獣を借りて遥か深海へにある「魚人島」に向けて出航を試みようとするものの、港で小船を改造して作られたタコ焼き屋を経営していた彼らの知り合いであるタコの魚人のハチと遭遇、彼から──

 

 

“……魚人島では今現在「新魚人海賊団」を名乗る魚人の集団による人間狩りが横行している。そのため港を仕切っているB・W(バロック・ワークス)社が渡航する人間たちの安全面を考慮して海獣の貸し出しはもとより魚人島への運航を中止させている──”

 

 

 ……ということを知らされ、麦わらの一味一行は港で足止めを食らっていた。仕方なしにタコ焼きを頬張りながら思案する一行。そこへルーミアから通行許可書を貰ったミョスガルドが現れ、ミョスガルドの乗船と彼の護衛という条件付きで彼らは魚人島へ渡る機会を得た。

 

 

 ──のだが……

 

 

絶対に断固反対よ!!!!

 

 

 一味の航海士であるナミが猛烈に反対した。荒事が苦手なウソップとチョッパーも彼女に同調し、他のメンバーにもやめるよう呼びかけ促す。

 

 

「厄介事が起きていることがわかっている島にわざわざ危険を冒してまでそこへ行く必要はないわ!! 事件を起こしている連中が大人しくなるまで待つのよ。……それにここにはルーミアがいるわ。彼女が連中を討伐するまで待ちましょう」

 

 

 そう提案するナミにルフィはあからさまに至極不満そうな顔を出す。そんなルフィにナミは「あのねぇ……」と諭すように話をする。

 

 

「今から向かう魚人島にはアーロンみたいなやつが仕切って人間狩りをしているのよ? それも私がいたココヤシ村よりも遥かに規模の大きいのが…… いくら、あんたたちでも無理があるでしょ?」

 

 

 「航海士として、そんな危険な場所にみんなを連れていけない」……とルフィたちにそう言い聞かせる。

 

 

「もしくは他のルートを探すの。……それでミョスガルドさん、いちおう念のために聞きますけど、魚人島を通らずに「新世界」へ行ける他のルートってないんですか? 七武海のテゾーロの船は「新世界」を航海していたっていう話だし……」

 

 

 ミョスガルドに尋ねるナミに彼は「あることはあるのだが……」となんとも歯切れが悪い返事を返すが、それでもナミは「ほら、見なさい」と上機嫌になり、彼からその方法を嬉々として聞く。

 

 

「ルーミア殿の“ヤミヤミの実”の能力で船を収納して……」

 

 

 ミョスガルドの説明を静かに聞く一同。ナミは「うんうん」とニコニコ笑顔で聞き入る。

 

 

「船員たちは天竜人たちがいる「聖地マリージョア」の中を突っ切らなければならないのだが…… それと世界政府からの許可が必要になる」

 

 

 「天竜人」という言葉を聞いて思わず言葉が詰まり絶句。ニコニコ笑顔から一転して暗く沈んだ表情になり「七武海だから許可が下りるんだ」と肩を落としてぶつぶつ言うナミ。意気消沈してふてくされる彼女をサンジが元気付けようと声をかけて試みるも効果は無し。

 

 

「連中が人間狩りをしているからって四六時中、人間狩りをしているわけでも島の出入口を見張ってるわけじゃあないだろ? それこそ連中が活動してない時間帯を見計らって手薄なところとかから忍び込めばいいんじゃないのか?」

 

 

 見兼ねたゾロがそう助言をして「それもそうね」とやや諦め気味にも納得したのか、やがてナミは元の調子を取り戻す。

 

 

「魚人島がそんな危険地帯になっているんだから当然、貸してくれる「海獣」は安くしてくれるわよね? うちは「天竜人」であるミョスガルド聖を魚人島まで連れていかなくちゃいけないしねぇ?」 

 

 

 そして散々、屁理屈を述べた後、海獣屋の魚人と人魚を相手に値引き交渉して貸し出し料をタダにしたのを皮切りに航海に必要な備品や物資を要求、これもタダにさせて周辺の人間や魚人たちを唖然させた。のちにナミと交渉した魚人たちは語る。

 

 

「気づいたらこちらが頭を下げて物資とか渡していた。なんか知らないけどスゲぇ悔しいし、なんか納得できねぇ……」

 

 

 彼らはこの出来事を教訓に本格的に商売について考えるようになり、海獣や魚人の身体能力を活かして島と島を繋ぐ貿易業を始めることとなる。その後、その貿易業は成功をおさめ、彼らの名は世界に広まる。そして彼らの功績はのちの魚人や人魚の地位向上に大いに役立てることとなるのだが、それはまた別の話になる。

 

 

 ナミにいいように言いくるめられた彼らは「とりあえず……」とB・Wに報告、ルーミアから直接……

 

 

『──天竜人を乗せて「新魚人海賊団」が活発している「魚人島」まで行くんだ。むしろ足りないぐらいだ。ご苦労、あとは好きにしていいぞ』

 

 

 なんてことない風に言うルーミアに魚人たちは恐縮、彼らは己の不甲斐なさにルーミアの力に少しでもなるべく商売に力を入れることになる。

 

 

「にゅ~~~、おれはこいつらを「魚人島」まで連れて行かなくちゃならないから悪いけどお客さん……」

 

「ケヒヒヒヒィ~~~♡ あっしらは海賊をやってるような無法者でごぜェますけどォ~、「天竜人」を乗せてる船を止めるような物分かりの悪い人間じゃあ~~~ございませんのでおれァらに構わず、どうぞ、お行きなさってくださいましぃ~。ケヒヒヒィ~」

 

 

 店のカウンターにいた客に申し訳なさそうに謝るハチ。彼はお詫びの品としていくつものタコ焼きをその客に与えるとルフィたちを連れて船着き場へと向かった。

 

 

「ケヒヒヒヒヒィ~。あの「麦わらの一味」が船員募集しているって言うからシャボンディ諸島まではるばる来たっていうのにですよぉ~~~、ま~さかのニセモノさんだったときは心底ぉ~、ガッカリしましたが…… ホンモノさんも来てるだなんて、おれらぁはツキがついてますねぇ~」

 

 

 「これも神の思し召しってやつですかねぇ……」細身で長身、服の袖が長すぎて両手が隠れている状態の男が周囲に聞かれないように小声でそう言って席を立ち上がると、手足は細いのに胴体は丸い体型の人間を数人引き連れてルフィたちの後を追うように船着き場へと向かう。

 

 

「そういや麦わらたちは魚人島へ向かう前にレクチャーとか受けていたか? まだならあそこにいる人魚たちから受けられるぞ?」

 

「大丈夫よ。レイリーさんから一通り教えてもらったし問題ないわ」

 

「いや、ナミさん、確認のために一度、あそこにいる人魚のお姉さんたちからレクチャーを受けましょう。もしかしたら、あのレイリーのじいさんが間違えてる可能性があるかもしれませんし……」

 

「エロコックはレクチャーを受けたいみたいだから一人だけ残して、おれたちは魚人島へ行こうぜ」

 

「クソマリモ、てめぇは黙ってろ」

 

 

 そんな会話をしながら前を進む麦わらの一味の後ろには体を流動体──姿を沼に変えた男「濡れ髪のカリブー」がこそこそと後をつけて物陰に隠れては一人ほくそ笑む。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

「七武海が三人もシャボンディ諸島に集まっているのは怪しまれるのではないのかい?」

 

 

 ホテルからルフィたちが出ていった後、イスの背もたれに身を預けてゴロゴロの実の能力でルフィたちとその周辺の音と声を目を瞑って聞いていたルーミア。テゾーロは彼女にそう声をかける。

 

 

「麦わらの一味が集結しているためルーミアは万全を期すために他の七武海に協力を要請、「テゾーロ」と「ハンコック」が応えた。……ってことにするから問題ないなー、わははは」

 

「……ふむ。ちんちくりんな見た目のわりにはいろいろと考えておるようじゃな……」

 

「ちんちくりんは余計だ」

 

 

 ハンコックからちんちくりん呼ばわりされて少しムッとした表情になるルーミア。それでも一応はハンコックが自分より年下ということもあり、余裕のある態度を見せつつ、ハンコックに気を利かせたような言葉をかける。

 

 

「せっかくだからパトロールがてらに見送ったらどうだ? 麦わらの一味の航海を邪魔するやつがいるかもしれないしなー? わはははー」

 

「ルフィなら問題なく潜航できると思うが、万が一ということもありうるな……」

 

 

 少し考える素振りを見せた後「こうしておられん!!」言うや否や、扉を蹴り飛ばす勢いで足で開け放って部屋を出ていく。

 

 

「あとはミョスガルド聖のことだが、本気で行かせるつもりかい? 聞けば彼は過去に一度「魚人島」に行って死にかけたというらしいが……一応、念のために聞くが一体何のためにだ?」

 

「君が彼の立場だったら、どうする? 恩人を殺したやつがそこにいるかもしれない。行けば真実がわかるかもしれない。何もしなければどこの馬の骨かもわからない見ず知らずの赤の他人が解決して終わらせてしまう。私ならその前に行くぞ? 安心しろ、私が所有している「悪魔の実」を口にこそしなかったが彼は強くなった。誉められた方法ではないが「覇気」も身につけた。それにあそこには「ジンベエ」がいる」

 

 

 心配する要素はないと言わんばかりにきっぱりと言い放つとルーミアは彼女の膝の上にすやすや寝ているキツネのラン、その背中を撫でる。

 

 

「悪魔の実があるのになぜ口にしなかったのだ?」

 

 

「──“世間から「悪魔の実」のおかげで勝った。と思われたくない。”……だそうだ」

 

 

(……それに「マグマグの実」を所持していることでサカズキ殺害に関与されている──と海軍に疑われるのは君にとっては好ましくない状況だろう? とも言ってたけどなー……)

 

 

 ルーミアはテゾーロがいることもあって敢えて口に出さずに心の中でとどめる。サカズキ殺害に関してはルーミアが立ち上げた組織でも詳細を知るのはごく一部であり、ミョスガルドにも知らされてはいない。

 

 

(サカズキを倒したのは「スクアード」。あいつの名誉のためにもその方がいいだろうなー……)

 

 

「……せっかく、七武海の三人、それも「麦わらの一味」に協力している共犯者が揃っているからなー。ハンコックが戻り次第、話を進めようかなー? わはははー」

 

 

 しばらくしてからルーミアの下にハンコックが戻り、ハチの案内の下、ミョスガルドを加えた「麦わらの一味」と彼らを追う「カリブー海賊団」が海面下へ潜航したという報告が届けられ、まもなくして「ルーミア」「テゾーロ」「ハンコック」ら七武海メンバー三人による協定が結ばれることとなった。

 

 

 

 

 そして「麦わらの一味」一行は「ミョスガルド」と「ハチ」、さらに船を引く海猫と、魚人島に向かうメンバーが正史と違って増えているものの、彼らは予定通りに深海を進んでいく。そして「カリブー海賊団」もまた海牛モームに船を引っ張らせて彼らの後を追う。

 

 

 

 




 

**** は にゃもし。 を 倒した!
にゃもし。 は 死に間際に 呪い を 放った!
**** は 呪われた!
**** は 性転換した!
**** は ネコミミ と ネコシッポ が 生えた!
**** は 語尾 に 「にゃ」 が つくようになった!


▪️朝の5時だー。寝るー。

▪️「」→どのカッコをどのように使うか悩む。

▪️誤字脱字報告、毎度ありりんす。

▪️頭がパラッパー状態で書いてるー。
 
▪️執筆中もMTGのことを考えてるZE。

▪️次回は他の天竜人の様子とか、シャボンディ諸島、とか
 書きたいとこだーねー。

▪️誤字脱字、おかしな表現、矛盾点ありましたら報告をお願いします。

-追記-

▪️サンジのセリフ

訂正前「レイリーとかいうじいさん……」
訂正後「レイリーのじいさん……」

 ……というふうに直しました。レイリーとサンジが顔見知りなのにこれは変なのでは? という指摘があったので。

ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。

  • ルフィがエニエス脱出した時の4億
  • ルフィが新世界突入した時5億
  • ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
  • 黒ひげがつけられたのは22億4,760万

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