ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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注)時空系列バラバラです。


54話 あの日、あの時、あの場所で……

 

 

偉大なる航路(グランド・ライン)──前半の海】

 

 

 白ひげの娘と言われている「エドワード・ルーミア」

 

 

 彼女が王下七武海に任命された後、彼女はB・W(バロック・ワークス)の人間を引き連れてシャボンディ諸島にやって来た。そして島を拠点にして活動を始める。その後、島の要所要所に彼女の命令でB・Wが監視・管理する建物がいくつも建てられた。

 

 

【シャボンディ諸島──スパイダーズカフェ】

 

 

 B・Wが管理している建物の一つである「スパイダーズカフェ」

 

 

 店内は島によく見かけるカフェと似たような造りになっているが、ここを訪れる人間の中にはどう見ても一般人には見えない人種の人間もいる。そういった人間は人が少ない時間帯、もしくはB・Wの社員の案内の下、人目のつかない場所──地下や別室に案内され、そこでB・Wの幹部の人間との対談や取引等が行われる。その中には金と引き換えに自ら奴隷になることを希望する者がいた。

 

 

「頼む!! どうしても金が必要なんだ!!」

 

 

 店内の日当たりの良さそうな席を一人で占領し、足を組みつつ新聞を片手にアールグレイの紅茶を啜って寛いでいたMr.3。その彼の眼前で額を床に擦り付けんばかりに頭を下げて土下座している男と彼の子どもらしい男の子が立っていた。

 

 

 その男の話を聞けば、まだ幼い娘の治療にどうしても大金が必要であり、そのためなら自ら奴隷になることも辞さない……とMr.3に懇願した。

 

 

「すいません副社長。すぐに下がらせますので……」

 

 

 どこからか連絡が来たのか店内に入ってきたのは過去にシャボンディ諸島で人身売買を行なっていた男ディスコ。彼は連れてきた屈強な男二人に命じて土下座する男を挟んで左右からそれぞれ腕を引っ張って無理矢理、立ち上がらせると、その場から引き摺るようにして男共々、店から立ち去ろうとする。

 

 

「まあ、待ちたまえ」

 

 

 立ち去る男たちにMr.3は声をかけた。

 

 

………………………………………

 

 

 Mr.3の一声で男の奴隷落ちを認めることとなり、娘の治療費と引き換えに男は奴隷となった。別れ際、深々と頭を下げて礼を述べる父親とその男の子。二人が店を出ていったのを見届けてからMr.3は傍らにいたディスコに指示を出す。

 

 

「……あの親子の過去の経歴と背後関係を徹底的に調べてこい。あれがスパイならしばらく泳がせておけ、もし待遇と報酬で寝返させることができそうならやれ、そして情報を吐かせろ」

 

 

 そう指示を下すと何事もなかったかのように音を立てて紅茶を啜る。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

【ジャヤ島】

 

 

 空島スカイピアで2年ほど過ごしていたエース。彼はルーミアからの連絡でルフィの修行が完了したことを知るとルフィやルーミアたちに会うことを決めた。

 

 

 気球で空を移動中、彼が雲の上から見えたジャヤ島の姿は彼が以前に見た時よりも人と建物が増え、何よりも島の上空に島を覆うように小さな空島が浮かんでいた。その空島にはまばらに人がおり、さまざまな植物と生け簀らしきものがあった。やがてエースを乗せた気球はジャヤ島にある街から外れた開けた場所に降り立つ。

 

 

「よお、久しぶりだな」 

  

 

 そこでエースを出迎えたのはモンブラン・クリケットを筆頭にした猿山連合軍の面子。彼らはエースの来訪を歓迎した。

 

 

 エースを含めサッチと猿山連合軍は一度、空島スカイピアに渡ったことがあるが、数日の滞在ののちエースを空島に残して青海へ戻った。その後、サッチは足のケガを理由に海賊を引退、ジャヤ島で料理店を始め、猿山連合軍は新たなロマンを求めて大海原へと航海を始めた。そして今回エースが空島からジャヤ島に降り立つことを知った猿山連合軍は一度ジャヤ島に戻ることを決め、そこでエースを待つことにしたのである。

 

 

「ジャヤ島で畑ドロボウに密漁するバカがいるんだ、空島で同じことするバカがいてもおかしくはないか……」

 

 

 大小の切り株をテーブルやイス代わりにして和気あいあいとお互いの近況報告を知らせる。エースから空島の状況を教えてもらったクリケットはそんなことを述べた。

 

 

「お前ら待たせたな! ジャヤ島空島名物フルコースだ! 食ってけ!」

 

 

 そこへ料理を載せた皿を両手に持ったサッチたちがやって来て、日がまだ高いうちにあるにも関わらず、そこかしこで酒盛りを始めてしまう。やがて日が完全に沈み、次第に夜がふけていく。酔い潰れて動けなくなった人間が続出していく中、サッチはエースに「海賊を続けるのか?」と問う。

 

 

「──あの戦争で命を落とした連中の体の一部がおれの体の一部となって今のおれを生かしてくれている。そいつらが──

 

 “もう一度、海賊をしてバカをしたい!”

 

 ……って、言っている気がしてな……」

 

 

 どこか寂しげな表情でエースがそう答えると中身の入った酒瓶を一気に煽って飲み干す。サッチもまた「そうか」と、ちびちびと盃に口をつける。誰かがつけた焚き火が辺りをうっすらと赤く染め上げる。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

【魚人島──リュウグウ王国】

 

 

 王国転覆を狙ってクーデターを起こしたホーディ・ジョーンズ。彼が麦わらの一味の手によって幹部ともども倒されて敗北し彼らのクーデターは失敗に終わった。その後、麦わらの一味は魚人島でさんざん飲み食いをした後、新世界に向けて海上へと船を浮上させ魚人島を後にする。

 

 

「強力な爆弾の入った「玉手箱」じゃもん?」

 

『──ああ、そうだ。私はそれが欲しいんだなー』

 

 

 麦わらの一味がいなくなった後の王宮で電伝虫でルーミアと通話しているネプチューン。ルーミアがビッグ・マム主宰の結婚式に招かれていることを知っている彼は結婚祝いの品として四皇にふさわしいものを所望するだろうとは思っていた。

 

 

「……………………じゃもんっっっ!!!?」

 

 

 だがルーミアが欲しがっていたものはよりによって「爆弾」である。これにはネプチューンを含めてその場に居合わせた一同は面食らった。さらにビッグ・マムが行う結婚式を取り巻く、その複雑な環境──ビッグ・マムによるジェルマ王国暗殺、傘下に加わっているはずのベッジによるビッグ・マム暗殺等──に言葉を失う。

 

 

『──お前たちは、そうだなー

 

「このルーミアに脅されて協力せざるを得なかった」

 

 ……とでも言えばいいかなー?』

 

 

 場合によっては全ての責任を自分に押し付けても構わないというルーミアの発言にネプチューンは納得せず、また受け入れ難かった。

 

 

「“ドロボウ対策に用意したもの”と“ホンモノ”を間違えて渡してしまった。全てはこのネプチューンの不注意によるもの……これ以上の譲歩できんじゃもん」

 

 

 そう、きっぱり言い放つネプチューン。その後も話し合いは平行線を辿るが、やがてルーミアが先に堪忍袋の緒が切れ……「このガンコじじい!!」と悪態を吐き、ネプチューンもまた売り言葉に買い言葉で「小娘ふぜいが!!」と両者同時に電伝虫の受話器を叩きつけるように切った。

 

 

「あの娘には我々、魚人や人魚がいつまでも守られてばかりの存在ではない。……ということを思い知らせる必要があるじゃもん」

 

 

 「かといって今、自由に動かせる兵がおらん」と腕を組みつつ、思い悩む。先のクーデターの件の影響で兵士たちの大半は魚人街というスラム街の見回りや破損した建築物の建て直しや撤去等に人員が充てられているのである。

 

 

「ならばワシが行きましょう。向こうにはワシが所属している「タイヨウの海賊団」もおる。最悪、どさくさ紛れに逃がすことぐらいはやってみせましょう」

 

 

 そこにジンベエが名乗りを上げた。

 

 

 

 

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偉大なる航路(グランドライン)「新世界」】

 

 

 白ひげの故郷「スフィンクス」

 

 

 そこには彼の遺体が丁重に葬られており、ついでに先の戦争で死んだことになっている「エース」の墓標も存在している。その墓標から離れた場所にはルーミアの命令で敵討ちを成し遂げたものの、亡くなってしまったスクアードと船員たちの墓が建てられている。さらに生き残った船員たちが墓守の番をしていた。

 

 

「ビッグ・マムがルーミア嬢さんの暗殺を企んでいるだと!?」

「戦力を取り込むためだけに……」

 

 

 その彼らの下にラフィットが訪れていた。

 

 

「ホホホホホ。無論、ただの憶測に過ぎませんが相手はあの四皇の一人ビッグ・マムですよ? “備えあれば憂いなし”という言葉もあります。戦力は多いにこしたことはございません」

 

 

 「証拠になるかどうかはあなたたちの判断に任せますが、こういうものがあります」とテーブルの上に並べられていくのは結婚式の進行が詳細に書かれている書類。それとは別に計画されている「ジェルマ王」暗殺の計画書の束の数々。

 

 

「ジェルマ王の暗殺の他に別の人物の暗殺を企てていてもおかしくはない、と思いませんか? ホホホホホ」

 

 

 そう尋ねるラフィットに胡散臭さを感じつつも船員たちは頷き、彼に尋ねた。

 

 

「おれたちに何ができる?」──と、

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

偉大なる航路(グランドライン)──海中】

 

 

 偉大なる航路(グランドライン)、後半の海「新世界」に向けてルフィたちを乗せた船が海上へと浮上していく。浮上していく船の中で彼らは思い思いに過ごしていた。

 

 

「……にしても意外よね。てっきりミョスガルドさんも仲間に誘うのかと思っていたわ」

 

 

 そんな中、ナミが今回のルフィの行動──仲間の勧誘に関してルフィと話をしていた。

 

 

「だってあの天竜人のおっさんって天竜人なんだろ?」

 

「言いたいことは分かるけど何を言ってんのよ? ……まあ、天竜人らしくないのは本人も認めていたけど……」

 

「だからさ、あのおっさんが海賊になったら他の天竜人に嫌われるんじゃないかなと思ったんだ」

 

 

 なんてことないように言うルフィに彼を除く船員たちが驚き、言葉を失う。彼らの変化に首を傾げながらもルフィは言葉を続ける。

 

 

「たぶんルーミアは天竜人の中にも「いいやつ」と「わるいやつ」がいるってことをおれたちに伝えたかったんじゃないかなーと思ってな、そんな気がした」

 

 

 そう言葉を締めくくるルフィ。船はやがてクジラの群れに遭遇し、彼らの乗る船はクジラの頭に乗せられ、そのまま海中を上っていく。

 

 




 
ざわ…( ´・ω・)にゃもし。ざわ…

ガラハド「念願のにゃもし。を手に入れたぞ!
 そう、関係ないね
殺してでも奪い取る
 頼む、譲ってくれ


▪️サブタイトル、歌の歌詞だったと思うが何の歌か分からん。

▪️他の作者さんは本編と関係ない話
 ~話数記念とか、UA~突破記念とか、クリスマス記念とかで
 特別回というのをやるが、私にはそんな余裕はない。スマン

▪️朝の5時を過ぎている。

▪️誤字脱字、おかしな表現、矛盾点等の報告ありがとうございます。

▪️前回のあとがきに書いたの、全部書けなかった。

▪️次回? パンクハザード? 
 ほとんどルーミア関わらんし、いらんじゃろ。
 問題はドレスローザよ。いやホントどーしよーかーなー。
 麦わらの一味、別行動、多すぎ。

▪️M:TG

 一回勝って一回負けた。
 似たようなデッキなのに解せぬ。

▪️寝るおー。おやすみー。

 =追記=

▪️Mr.3が飲んでいたものをコーヒーから紅茶に変更よ。
 

ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。

  • ルフィがエニエス脱出した時の4億
  • ルフィが新世界突入した時5億
  • ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
  • 黒ひげがつけられたのは22億4,760万

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