ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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56話 闘技場でのあれこれ

 

 

【ドレスローザ王国──コリーダコロシアム】

 

 

 ルーミアの宣誓に割れんばかりの歓声が沸き上がり、声が大きくなるにつれて熱気が高まるコロシアム内。それも徐々におさまり声量もざわつく程度になったころを見計らってルーミアは警告を発した。

 

 

「──なんらかの手段でこのコロシアム以外の場所や、こちらが指定する方法以外の不正な手段で『グラグラの実』を入手した場合、この私と大会主催であるドフラミンゴの顔に泥を塗ったとして……」

 

 

 おもむろに右腕を真上に真っ直ぐに高く掲げるルーミア。その腕に雷を纏わせるとその腕から極太の雷の束を上空に向かって放出、それが天高くにて大樹のように幾重にも枝分かれし、やがてその一本一本が海面に落下、数瞬の間、眩い閃光が島を覆った。その光景に観客はもとより出場する選手やコロシアムの外にいた人間たちも唖然とする。

 

 

「その場合、文字通り天罰を下すことになるから覚悟するように、わははははー!」

 

 

 ルーミアが披露した「ゴロゴロの実」の能力とその威力を目の当たりにしたせいかコロシアム内は一気にしんと静まり返る。そんな彼らの心情など知らないとばかりにルーミアの少女特有の声が響く。

 

 

「『グラグラの実』はさきほど見せた雷以上の破壊力を生み出す。そして今回のコロシアムの景品がその『グラグラの実』だ」

 

 

 「グラグラの実」の名前が出てきたこともあってか、少しずつだが喧騒を取り戻す。

 

 

「やい、テメエら!! いいか、よく聞け……」

 

 

 それでもゴロゴロの実の能力を目の当たりにしたせいか、戦々恐々する見物人たち。そこでバギーが口を開く。彼は話術で観客席の人間とコロシアムに出場する選手たちを焚き付けてその気にさせ、コロシアム内はさきほど以上の異様な興奮に包まれた。

 

 

『──ドフラミンゴが失脚すれば戦力を求めて「バギーズデリバリー」に依頼が殺到する可能性がありますよ?』

 

 

 ここに来る道中、今この場にいないラフィットからそう耳打ちされたバギー。はじめは気乗りはしなかったが彼だが、ドフラミンゴの失脚した場合のメリットを聞かされたことでルーミアが立てる計画──ドフラミンゴの失脚──に賛同するようになった。

 

 

(……麦わらが失敗しても、おれたちとルーミア、さらに海軍まで出張ってるんだ。負ける気がしねえ。……噂の地下工場もこの際、いただいてしまうのもわるくねえなあ……)

 

 

 内心、そんなことを考えていたバギー。自分が裏の世界を思いのままに動かせる光景を思い浮かべ、思わずほくそ笑む。

 

 

「『グラグラの実』争奪戦にしけた戦いは似合わねえ!! あの世にいる白ひげがつまらねえ戦いを望んでいると思うか!? なら答えは一つだ!! さあ!! テメエらド派手に暴れようぜ!!」

 

 

 「あの世にいる白ひげに見せつけてやれ!!」バギーがそう締め括るとコロシアム内は一層盛り上がりを見せ、かくして「グラグラの実」の争奪戦が始まった。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

 今回のコロシアムはAからDの計4つのブロックでサバイバル戦を行い。各ブロックで最後まで勝ち残った各1名、計4名が決勝戦に駒を進めることができ、そこで改めて争奪戦を行う手筈になっている。そして最後の争奪戦ではエース改めアヴドゥルが出場することになっており、彼からカギを奪い取り、悪魔の実が入った宝箱を持つルーミアがいる玉座まで赴き、そこでようやく入手することになる。

 

 

「──鳥が目を失ったみたいだなー……」

 

 

 そんな中、ルーミアは眼下で行われているAブロックのサバイバル戦を観戦中にそんなことをポツリと漏らす。彼女が言う「鳥」と「目」の意味をあらかじめ教えられたメンバーは三者三様の反応を示すが動く素振りは見せない。ここにいる一同は麦わらの一味がドレスローザにいるオモチャたちのオモチャ化を解除して元の姿を取り戻すまで動かないようルーミアから言い含められているからである。

 

 

『──勝者は謎の覆面選手「ダリオ・ブランドー」だ!!!!』

 

 

 そして一同が見ている前でAブロックの優勝者が決まった。本来ならバージェスがその場にいたが、今回、彼は出場していない。

 

 

「誰だ? あれは?」

 

 

 誰に言うともなく尋ねるルーミアにMr.3が答える。他の面子も気になるのか大人しく聞き入る。

 

 

 Mr.3曰く、他国からの参加者で、素性は不明──とのこと。しかし彼は続けて、あの体格と鼻に何よりもここまで漂ってくるほどの酒臭さに見覚えがある。……と言い、そして最後にその名をゆっくりと告げる。

 

 

 大酒の『バスコ・ショット』

 

 

 

 

「いろいろと気になるみてえだけどよお、要はあいつに勝たせないようにすればいいだけの話じゃねえのか?」

 

 

 謎の覆面選手の目論見等に考えを巡らす一同だったが、バギーの言う通り、決勝戦で倒してしまえばいい……ということもあって、覆面選手の正体を探るのは一旦、保留することとなった。

 

 

 続くBブロック。目まぐるしい攻防と軍師ダガマの策略による共謀や裏切りで順当に数を減らし…… 最後、「戦う王」で知られるエリザベロー2世の伝家の宝刀キング・パンチが解き放たれて決着がつくかと思われたが、物理的な衝撃波を伴うそのパンチを「人食」バルトロメオが悪魔の実の能力で防いでみせ、能力を用いてエリザベローを倒した。

 

 

 勝ち残ったのが悪魔の実の能力者ということもあり、エースがルーミアにその場合はどうするのか? ……と尋ねた。

 

 

「こちらで買い取るか、代わりの悪魔の実を用意するか、だなー。優勝者がルフィだったらお前を押し付ける」

 

 

 代わりの悪魔の実ということでバギーが、まさかおれが手に入れた悪魔の実のことじゃねえだろうなあ? と突っ掛かるが……

 

 

「グラグラの実と交換するぞ?」

 

 

 ……の一言であっさりと了承する。

 

 

 そしてCブロック。ルーシーという偽名を使ったルフィが出場。開始早々に猛牛に跨がって爆走、バギーが推している巨人ハイルディンの振り下ろしによる一撃を猛牛もろとも食らうも無傷で済み、逆にハイルディンを一撃で下す。そして最後まで残った八宝水軍の元棟梁である首領・チンジャオと激闘を繰り広げ、見事打ち倒してみせた。

 

 

 戦争以降、久方ぶりに見せたルフィの戦いぶりから確実に強くなったことを感じ取り、感心する一同。バギーだけはハイルディンを倒されたことに怒りを露にしていたが……

 

 

「……革命軍の人間がルフィと接触して入れ替わったみたいだなー」

 

 

 ルフィとチンジャオの激闘の余波で二つに割れてしまった闘技場。その修復のために入れ替え作業が行われているコロシアム内。その間にもルーミアはドレスローザ王国全土に電波を飛ばして主要人物の会話を盗み聞きをする。そこで飛ばした電波の一部、コロシアムの内部にてルフィが革命軍の人間であるサボと入れ替わったことをルーミアは知る。

 

 

「相手は革命軍、参謀総長のサボだなー」

 

 

 「サボ」という人物の名を聞いたエースが僅かながらに身体をこわばらせるのを確認してからルーミアは言う。

 

 

「……ルフィは革命軍のボスの息子だからなー、向こうから接触があっても不思議じゃない」

 

 

 「決勝戦で確かめてみるか?」とルーミアはエースにそう尋ねると彼は「……ああ」と短い返事を返し、それきり押し黙る。

 

 

 最後のDブロックでは虐殺行為を行なった前国王であるリク・ドルド3世の孫娘ということでレベッカの入場と同時に大ブーイングが発生するものの、見るに見かねた同じブロックに出場していたキャベンディッシュが観客をたしなめる……という場面が見れた。

 

 

 試合は最初こそ騒々しく始まり、途中、キャベンディッシュが試合中にも関わらず闘技場にて爆睡。そのことにより彼のもう一つの人格である「ハクバ」が現れ、瞬く間に出場選手を切り伏せ、全員を切り捨てた後に再び寝入ってしまう。結果、最初に立ち上がったレベッカが決勝戦に出場する機会を手に入れた。

 

 

 決勝戦出場に喜ぶレベッカだったが、観客席にいる人間たちはおもしろくないらしく彼女に対して無遠慮に罵倒を浴びせてくる。そんな観客を黙らせたのはルーミアの雷だった。観客席に向かって四方八方に放たれた雷だったが、彼女が観客に当たらないようにコントロールしているらしく、雷による被害は一人も出なかった。その後に有無を言わさない「黙れ」の一言に全員が沈黙。

 

 

「私とともについていく気はないか?」

 

 

 静まり返るコロシアム内、レベッカに向けて放ったルーミアの勧誘の言葉に呆気を取られる彼女。

 

 

「無論、すぐに返事を寄越せとは言わない。考えておいてほしいなー、わはははー」

 

 

 ルーミアの突然の申し出に思わず「……あ、はい」と返事をするレベッカ。観客も七武海相手では強くは言えないのか、これ以降レベッカに対してブーイングを行うようなことはなくなったという。

 

 

「おいおい、いいのか? どうみても国に関わるような厄介事を持ってるぜ、あのねえちゃんはよお~」

 

「バギー座長の言う通りだガネ。少なくとも事件が解決するまでは関わらない方がよいと思うガネ」

 

 

 ルーミアの勧誘に対してやや否定的なバギーとMr.3。彼ら二人に対して他の面子は、というと……

 

 

「ねーたん! とーたんならあの子を助けるはずだ!! おで、だずげだい!!」

 

「白ひげ海賊団は元よりお人好しで人助けをする集団だよい」

 

「そうだな、少なくともこの国に置いておくよりはいいんじゃないのか? おれは歓迎するぜ?」

 

 

 肯定的な意見を述べる。そして最終的な判断を提督であるルーミアに委ねる。

 

 

「私があの場でああ言ったのは観客を黙らせるためだったけどなー、それよりアヴドゥルは決勝戦の準備をしとけ、あのサボとかいう男の正体が気になるからなー」

 

 

 「嘘も方便」とレベッカを勧誘した経緯をあっさりと話し、話題を強引に変えるべく、決勝戦とサボについて触れる。彼らも革命軍の動向が気になったのか、ルーミアをおちょくることなく大人しく聞き入る。

 

 

 やがて決勝戦の舞台が整い終えて、各ブロックから資格を手に入れた選手たちが次々と入場し、場は盛り上がりを見せる。

 

 

 そして各ブロックから1名ずつ計4名とはべつにドフラミンゴ・ファミリーからはディアマンテが出場。さらに……

 

 

『──宵闇ノ海賊団からは謎の選手「アヴドゥル」!! 選手たちはこいつから宝箱の「カギ」を奪い、さらに玉座にいるルーミアから「グラグラの実」の入った宝箱を貰ってようやく悪魔の実を口にすることができる!!』

 

 

 司会を務める男──ギャッツが今回の争奪戦の内容を教えつつ、各選手のプロフィールを紹介していく。そして最後にルーミアにマイクを渡すと彼女に選手や観客席に向けて「何か一言を……」とお願いする。

 

 

「特にないなー、とっとと始めていいぞー、わはははー」

 

 

 気の抜けた返答に多少がっかりするギャッツだったが、すぐに気を取り直して試合開始のゴングを鳴らした。

 

 




( ´・ω・)にゃもし。

魔神にゃもし。「お前のハーレムを叶えてやろう。
       ただし 男の娘 か 漢女 のみとする。

▪️朝の6時クポ。

▪️次回、どしよかねー。

案1)麦わらの一味やローのあれこれ
 
 めんどい。

案2)闘技場、決勝戦。
 オモチャ化、解除。やったね。
 
 上を書かなくて済む。

ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。

  • ルフィがエニエス脱出した時の4億
  • ルフィが新世界突入した時5億
  • ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
  • 黒ひげがつけられたのは22億4,760万

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