ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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57話 新たなグラグラの実の能力者とゲームの始まり

 

 

 一部の例外(ヤミヤミの実など)を除いて、自然(ロギア)系の能力者たちは己の体を自然物に変化させることで相手の物理攻撃をすり抜けることができる。その体質のため、自然(ロギア)系の悪魔の実を食した能力者に対して攻撃を加えることは困難であり、逆に彼らの攻撃は普通に通る。それゆえに事前に対策等を用意していなければ一方的にやられてしまう。そのことから数ある悪魔の実の中でも最強種と謳われている。

 

 

 メラメラの実を食べたエースもまたその一人である。だが闘技場の上にいる彼は体を炎に変えることなく敵の攻撃を捌きながら対応していた。彼は万が一、自分の正体が悟られるのを恐れて消極的な戦いをしており、メラメラの実の能力を一切使わずにもっぱら体術と空島特産の(ダイアル)を駆使して戦っていた。

 

 

 

 

 決勝戦ということで特設のステージが設けられた闘技場。……といっても各予選で使用していたリングとさほど変わった箇所はない。ただ一つ違う点はリングの端に観客席に向かって延びている階段が一ヶ所あり、その先に玉座に座っているルーミアがいるということぐらいだろう。そのルーミアの周囲には万が一のために彼女を守る護衛としてエース以外の人間たちがいる。

 

 

「……思ったよりも苦戦しているなー。地下は……」

 

 

 両肩が露出した漆黒のドレスを身に纏い。身の丈に合っていない玉座に座って眼下でカギをめぐって争う選手たちを見ながらそう呟くルーミア。彼女は今現在、右腕で頬杖を突きつつ、悪魔の実が入った小さな宝箱を閉じた膝の上にちょこんと載せて、手持ちぶさたになった左手で宝箱を弄りつつも、主要人物の動向を探るため、彼らがいるであろう場所──ドフラミンゴ・ファミリーがいる王宮やオモチャの家と呼ばれている人工悪魔の実を製造しているSMILE工場、さらにはオモチャ化したものたちを強制労働させている地下の港……を重点的にそこに電波を飛ばしていた。

 

 

「──オモチャ化が解除される……」

 

 

 ぼそりと呟くルーミアに気を引き締めて身構える一同。やがてドレスローザ王国のいたるところでオモチャ化したものたちが元の姿を取り戻すと同時に失われた記憶を取り戻す。それは当然、コロシアム内にいるオモチャたちも同様に元の姿を取り戻す。大半は人の姿だが、中にはゴリラや大蛇といった猛獣の類いも交ざっている。Mr.3はそういった放し飼い状態の猛獣の手足に液状化した蝋を巻き付け、巻き付くと同時に即座に硬質化させて拘束していく。

 

 

「……思い出したよい」

 

「ああ、エースは一人で航海していたわけじゃなかったなー」

 

 

 オモチャ化解除の影響はマルコとルーミアにも及んだ。二人は苦々しい表情で闘技場を見ていた。見ればエースは戦闘中にも関わらず右手で頭をおさえ、体をわなわなと震わせていた。正体を隠すために被っている石仮面で顔を覆っているから表情は見れないが、おそらくドフラミンゴに対して怒っているのだろう……とエースをよく知るルーミアとマルコは判断する。

 

 

 そんな隙を見せるエースを対戦している相手が放っておくはずがなく、そのうちの一人であるサボがエースに急接近、腕力に任せて石仮面を破壊、ついでに腰にあったカギを奪い取った。そしてレベッカに投げ渡すと自身はバルトロメオとともにレベッカのあとを追おうとする他の出場者──ディアマンテとバスコ・ショットの足止めに徹して彼女を階段へ、その先にいるルーミアがいる玉座へ向かわせた。

 

 

「おめでとう。まさか君がここにたどり着けるとは思わなかったなー」

 

 

 ほどなくして玉座の前にたどり着くレベッカ。ルーミアは労いの言葉を述べるとレベッカに宝箱を手渡し、彼女がそれを受け取ると……

 

 

「ルーシー!!」

 

 

 闘技場の方へ振り返りサボの偽名を叫ぶ。闘技場の中央にいたサボが短く答えると拳をリングの床に押し当て力を込める。途端にサボの掌を起点にクモの巣状に亀裂が伸びていき、それがリングの端にまで入り、まもなく砕けた。

 

 

 リングが砕かれ、ルーミアの下にいるレベッカ以外の選手は足場がなくなる前にバラバラに飛び退いて観客席の最前列に避難して難を逃れる。レベッカはそのうちの一人、サボに向かって宝箱を投げ渡す。

 

 

「お願い!! それでこの国を救って!!」

 

 

 レベッカから宝箱を受け取ったサボは両手でこじ開け始める。カギを使わず開けようとするサボの行動に周囲の人間が思わず「いや、カギを使えよ!」と助言するも本人は聞き入れず。そうはさせじとディアマンテとバスコ・ショットが妨害に入ろうとするもバルトロメオのバリアで阻まれる。

 

 

 やがてサボの腕力によって宝箱がひしゃげ、宝箱の中に入っていたものが露になる。そこに入ってあるのは一個の悪魔の実。サボは中身を取り出しそれを手に取って口元に運んだ。

 

 

「おいおい!? この場合はどうなるんだ!? 『グラグラの実』を手に入れたのはそっちのねえちゃんだが、食ったのはあっちのヒゲのにいちゃんだぞ!?」

 

 

 近くにいるレベッカと観客席にいるサボを交互に指差してバギーがそう尋ねる。観客席にいる見物人たちも気になるのかヤジを飛ばしてくる。

 

 

「勝者は『ルーシー』だ」

 

 

 静かにそう告げた後、坦々と「コロシアム内にて入手する」というルールに違反はしていない。……と説明をし、最後に──

 

 

「Cブロックでの首領チンジャオとの激闘は素晴らしいものだった。グラグラの実を手にする資格は十分にあると私は思う。お前たちもそうは思わないか?」

 

 

 観客にそう問うルーミア。観客たちもまたCブロックでの試合を思い浮かべたのか、ルーシーに対してやや好意的な意見が出始める。中にはレベッカにやるよりはマシだ、というひねくれた意見もあったが、全体的には賛成の意見が多い。

 

 

『「グラグラの実」争奪戦の優勝者は「ルーシー」だ!!!!』

 

 

 そして最後に司会のギャッツの優勝者の名を告げると歓声が沸き上がった。

 

 

「みんな聞いてくれ!!」

 

 

 歓声が静まるのを見計らって、オモチャ化していた男の一人がそう叫ぶ。内容は自分たちがオモチャ化した経緯とドフラミンゴが陰で行なってきた数々の犯罪、彼らは余すことなく全てを暴露、ドフラミンゴの行いを知った彼らは逃げるようにしてコロシアムから出ていく。

 

 

 

 

「悪いが用事ができた。この国はかならず救う」

 

 

 観客のいなくなったコロシアムにて、サボはレベッカに向けてそう言い残すとコロシアムの中央、リングのあった大穴へと飛び込んだ。

 

 

 その後、王国をすっぽりと覆う巨大な鳥カゴが形成され、次いで岩石を操る能力を持った能力者──ピーカの力でリングに空いた大穴から一つの建物──工場がせりあがって地上に姿を現し、次いで花畑の大地が町を呑み込みながら小山のように大きく伸びていき、その上層部には王宮がいつの間にかに移動していた。その間にもドフラミンゴの糸で操られた人々が各地で暴れまわっていた。

 

 

 観客のいなくなったコロシアムにはルーミアたちとレベッカ、レベッカを守るようサボから言い渡されたバルトロメオがいる。彼ら以外には人は見当たらない。彼らが見上げる空には巨大なスクリーンが投影されており、そこにはドフラミンゴが提案するゲーム、その賞金首の顔写真が映されていた。主に映っているのはリク王を始めとした王族、麦わらの一味、革命軍のサボにローが映っていた。そして一際、大きく宣伝され破格の賞金首をつけられたのはオモチャ化したものたちを元の姿に戻した立役者であるウソップ。彼だけが5億を示す星5個がつけられていた。

 

 

「さすがに同じ七武海には賞金をかけられないみたいだよい」

 

「連中は秘密を知ったやつら一人残らず消すつもりなのになー、わはははー」

 

「ギャハハハハ! 麦わらに死の外科医と呼ばれている物騒なやつがいるうえに闘技場にいる連中、革命軍の幹部に海軍大将! さらにおれたちもいるのにか!?」

 

 

 鳥カゴで王国内に閉じ込められているにも関わらず彼らはさほど問題にしていない様子で語り合う。ただ一人、新しい石仮面を被ったエースだけが終始無言だった。そこにドフラミンゴ・ファミリーの一員とおぼしき男の襟首を掴んで引き摺ったウィーブルと電伝虫を載せたトレイを持ったMr.3がやって来る。ルーミアはその電伝虫の受話器を取ると受話器の向こう側にいるドフラミンゴと連絡を取る。

 

 

『──何の用だ?』

 

 

 受話器越しでも分かるほどにえらく不機嫌なドフラミンゴの声が聞こえてくる。そんな彼に対してルーミアは「この私も賞金首に加えろ」とぞんざいな口調で彼に言い放つ。それでもドフラミンゴはルーミアに対して極力、平静を保って問う。

 

 

『……一応、念のために聞くが何のためにだ?』

 

「レベッカが私の部下になった」

 

 

 ルーミアの回答に静かになるドフラミンゴ。ルーミアは構わず話を続ける。

 

 

「上司が部下を守るのは当然だと思わないかなー?」

 

 

 その後、新たな賞金首としてルーミアの顔写真が投影された。ちなみに賞金額は3億を示す星3個である。

 

 

「ドフラミンゴはどっちみち秘密を知った者を一人残らず消すつもりだからなー」 

 

 

 レベッカはドフラミンゴに対抗するためにサボと協力して手に入れたグラグラの実を、自分が食べるよりはサボの方がいいだろうと彼に実を、ルーミアには部下になることと引き換えに助力を願った。その際、ルーミアは先ほどのようなことを述べていた。

 

 

「大船に乗ったつもりでいろ。何しろこのルーミアは有能だからなー、わはははー」

 

 

 腕を組んでふんぞり反るルーミアを見て、自分より年上だが身長が半分ほどしかない彼女にはたして頼って良かったのだろうか、と考えるレベッカだったが、観客を黙らせるために放った雷を思い出してすぐにその考えを改める。

 

 

「ええ、お願いします」

 

 

 そう言いながらルーミアに頭を下げる。

 

 

 まもなくしてゲームが始まった。

 

 




( ´・ω・)にゃもし。

前回までのあらすじ

ハーレムを叶えられる。
ただし「男の娘」か「漢女」 

→男の娘

魔神にゃもし。
「ヴァカめ! 
 見目麗しい男の娘が来ると思ったか?
 きさまにはスカートを穿いた
 『ブサイク大総統』がお似合いじゃ!」

 BAD END

→漢女

魔神にゃもし。
「ヴァカめ!
 おっぱいのついたイケメンが来ると思ったか?
 きさまには限りなくゴリラに近いゴリラをくれてやる!」

 GORILLA END

次回
 バッドエンドでもゴリラエンドでもない。
 第三のエンドとは? 
 第3話「心の目で見れば美少女さ……」
 乞うご期待!


▪️朝の5時半頃にできた。

▪️誤字脱字報告、毎度ありがとうございます。

▪️MTG
 テーロスのシールドやってきたZE。負けたZE。

▪️次回は今回の後だねー。ひゃっほー。

▪️そろそろ寝るおー、おやすみー。(。-ω-)zzz

ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。

  • ルフィがエニエス脱出した時の4億
  • ルフィが新世界突入した時5億
  • ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
  • 黒ひげがつけられたのは22億4,760万

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