ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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6話 それぞれの隠れ家

 

 

【白海──ルーミアの隠れ家】

 

 

「麦わらの一味が天国の門を通りました!! 入国料を払った形跡はありません!! 不法入国です!!!!」

 

 

 大慌てでテントに入ってきた男が口にした不法入国という言葉にその場はしんと静まり返ったが、やがて降って湧いたかのようにバカ騒ぎを始める。

 

 

 エネルが空島スカイピアの唯一神になって以降、犯罪者は神の島(アッパーヤード)にある裁きの地に誘導するよう国民に義務付けられた。もっとも、入国料を払って正式に入国しても犯罪者に仕立てられて、やはり同じように裁きの地に送られるが……

 

 

 ……とはいえ、困難ではあるがスカイピアから逃げ出すことは不可能ではない。ルーミアは麦わらの一味が逃亡する可能性を考えてスカイピアの出入口にあたる天国の門付近と青海への出口である雲の果て(クラウド・エンド)に人を配置して監視させていた。場合によっては船員を人質にするために誘拐、脅迫の類い、あるいは交渉することも考えていた。

 

 

「エネルが、あいつが一緒に乗る船員の選別──サバイバルを始めたら乗り込むぞ。神の島(アッパーヤード)に……」

 

 

 ルーミアが言ったエネルの名前に誰かが喉を鳴らす。この隠れ家にはエネルが放った雷を目の当たりにした者は少なからずいる。その中には本当に倒せるのか懐疑心を抱く者も存在している。

 

 

「だがその前に宴だ!! 騒げ!! 者共!!!! 

 エネルがいなくなりゃあ、あのでっかい蛇の腹にある黄金を回収できる! エネルを倒す必要はない!! 

 今夜はそのための前夜祭だ!!!! わはははー!」

 

 

 待っていましたと言わんばかりに大いに大声ではしゃぎまくり、夜が深まっていく。

 

 

 彼女にとってゴロゴロの実こそが最優先事項であり、それ以外は二の次である。

 

 神の島(アッパーヤード)に住まう空の主の腹の中にある金塊は目的を隠すための良い隠れ蓑になると考えていた。何しろエネルを含めて彼に仕える神官達は皆、心網(マントラ)という相手の意思を読み取る能力を有しているのだから。

 

 

「手に入ったら麦わらの一味と相談して山分けしとけ、でないと暴れかねないからなー、わはははー」

 

 

 「一応、あれでも海賊らしいからなー」と言いつつ、飲み食いを始める。

 

 

 

 

【白々海──雲隠れの村】

 

 

 白々海に浮かぶ巨大な大地(ヴァース)──神の島(アッパーヤード)

 

 彼の島を挟んでエンジェル島の反対側に位置する島雲の内部にはジャヤ島の先住民であるシャンディアの末裔が生活している。

 

 約400年前、彼らは突き上げる海流(ノックアップストリーム)でジャヤ島の一部ごと空島に運ばれた後、空の者に武力で島から追い出され、そして奪われた故郷を取り戻すために空の者と戦いを繰り広げていた。

 

 それがガン・フォールの代になってから談合の場が幾度となく設けられるようになったが、その話し合いは突然やって来たエネルにより解決することなく終わりを告げる。

 

 それからエネルはスカイピアの新たな神になり、シャンディアの戦士はワイパーを筆頭にゲリラ活動を開始。そんな折に彼らの集落付近にルーミアがやって来て……

 

 

 シャンディアの戦士を一人残らず叩きのめした。

 

 

 その後、彼女は彼らに共闘を要求し、ワイパー達は条件付きで呑む。

 

 

──相手がこちらを利用するならば、こちらも相手を利用するまでのこと……

 

 

 ワイパーを始めとしたシャンディアの戦士達はルーミアに対して武器や武具、空島では手に入りにくい鉄等を要求し、ルーミアはそれぐらいならと引き受けた。

 

 本当ならば自分達の力だけで故郷を取り戻したかっただろう彼らだが、ルーミアとの戦闘で力の差を思い知らされ、彼女を敵に回すぐらいなら……と、妥協せざるを得なかった。それに相手の真意を探るという意味合いもある。

 

 彼女が目的を達成した後、そのまま空島を去るなら良し。そうでない場合、例えばエネルに成り代わって新たな神になるつもりならば、エネルと殺し合って生き残った方を襲えばいい。エネルとルーミア。双方が戦えば、どちらも無事では済まないことだろう。その時ならば勝ち目はある。……とワイパーを中心に一部の人達は考えた。

 

 

 下の白海でルフィ達と戦った後、雲隠れの村に戻ったワイパー。端から見ても不機嫌な表情で座りながら武器の手入れをしている彼の下に朗報が届く。

 

 

──神官の一人、サトリの声が消えた。おそらく青海人に倒された。……と、

 

    




( ´・ω・)にゃもし。

●ここまで読んでくれて、ありがとうございます。

●書いては消して、書いては消して……を繰り返したら、気がつけば金曜日。短い小説がさらに短くなった。

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