ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

63 / 70
63話 お茶会の前に、戦争の準備を……

 

 

 麦わらの一味たちとローが率いるハートの海賊団がモコモ公国を去っていった後……

 

 

 

 

【ゾウ──近海】

 

 

 海上にて、船よりも遥かに巨大なゾウの長い鼻で船ごと薙ぎ払われ、砕け散った船の残骸とともに海底に沈められたジャックとその部下たち。

 

 彼らは悪魔の実のデメリットであるカナヅチになってしまったこともあって海底から自力で浮かび上がることができず窮地に陥っていた。

 

 そんな彼らを──能力者のみだが──海底から引き上げて救ったのは魚人たちであり、魚人たちに指示を出したのは彼らをここまで連れてきたドクQとシリュウであった。

 

 

「……助かった、礼を言おう。カイドウさんにもお前たちのことを伝える」

 

 

 甲板に引き上げられたジャックは起き上がるのが億劫なのか、寝そべった状態のままドクQとシリュウにそう礼を述べるが……

 

 

「礼なら、お前たちが持っている能力を頂く。“ワノ国”にいるカイドウにおれたちのことを伝える必要もない」

 

 

 そう言いながら鞘におさまっている刀の鍔を親指で押して、いつでも鞘から瞬時に抜刀して斬れる状態にするシリュウ。不穏な空気を感じ取ったのか、上半身を起こしたジャックがそのシリュウを忌々しげに睨めつけながら呟く。

 

 

「──能力者狩りか……」

 

「……ああ、そうだ。うちの提督は歴史大好き人間みたいでな……“遺跡を破壊するようなクズは殺していい”……と言われてる。そこにいるヤブ医者の言葉を借りるなら“運がなかった”と

言ったところだな」

 

 

 傍らにいるドクQをアゴで指しながらシリュウはそんなことを宣い、ジャックもまた起き上がって身構える。

 

 

 

 

───────────────
 

 

 

 

 

 魚人たちが船の上から海へと遺体を次から次へと投げ棄てている。全てシリュウとドクQが斬り捨てた者たちだ。その傍らには人工悪魔の実であるSMILE(スマイル)が山積みに置かれている。やがて最後に巨漢の遺体──ジャックの遺体を海に放り込むとシリュウは電伝虫でルーミアと連絡を取る。

 

 

「──ああ、今しがた片付け終えたところだ。例のブツはしっかり確保してある」

 

 

 そう伝えると一人、小さな宝箱を片手に船内へと通じる扉をくぐった。後には乗り合わせた船員たちの慌ただしい喧騒が残る。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

【カライ・バリ島】

 

 

 新世界にある島の一つにサーカスのテントの形をした「バギーズデリバリー」の本社が置かれている。代表者であるバギーを始めとした社員たちはそこを拠点に活動をしていた。そして時折、ルーミアの関係者や同盟を結んでいる組織の人間たちもその建物に出入りをしていた。特に今日は組織を束ねているルーミアが来ていることもあってか祭りでもやっているのか思うほどに随分と華やかで賑やかであった。

 

 

「──万国(トットランド)に向かっている麦わらの一味がビッグ・マムのところでおとなしくしていると思うか?」

 

 

 彼女のために用意されたであろう身の丈に合っていない豪奢なイスに腰掛けたルーミアが笑みを浮かべながら周囲にそう尋ねると……

 

 

「ギャハハハハッ!! あいつらが、──あの麦わらがおとなしくしているはずがねェ!! とくに仲間が絡むと周りがどうなろうとお構いなしにイノシシみてえに突っ込んでくるぞ!?」

 

 

 「ギャハハハ!!」と、さもあらんと言わんばかりにバギーが答え、周囲にいたバギーの一味もうんうんと頷く。

 

 

「シャンクスには声をかけねェのか? あいつなら戦力になると思うんだが?」

 

 

 周りに聞こえないようにバギーは小声でルーミアに耳打ちする。……というのもルーミアは一部の人間のみに四皇討伐の話をしており、ルーミアがそのための戦力をかき集めていることをバギーは知っていた。そこでふとシャンクスのことを思い出したのである。そして、あわよくばシャンクスの戦力を少しでも削ることができれば……とバギーは考え、ルーミアに進言したわけである。

 

 

「……ああ、シャンクスは海軍と繋がっている可能性があるから声をかけていないなー。わははははー」

 

「なるほど海軍か、そりゃあ仕方がないな」

 

 

 何事もなかったかのようにジョッキに入ったビールを一気に煽るバギー。やがて最後の一粒まで飲みほして空になったジョッキをドンとテーブルに下ろてから一息吐くと……

 

 

ぬぅわぁにィ!? 海軍だとォォォ!!!?

 

 

 ──突然、思い出したかのように目玉が飛び出さんばかりにそう叫ぶ。

 

 

「ラフィットに調べさせたし、海軍に潜り込んでいるヤツからも教えてもらったからなー。ほぼ間違いないだろーなー」

 

 

 ルーミアからそう教えられてもどこか納得できないところがあるのか、腕を組んでしきりに唸るバギー。

 

 

「麦わらとビッグ・マムの勢力が追いかけっこしている間にビッグ・マムを殺る。……とはいえ、ここを留守にするわけにはいかないからなー。留守中は頼むぞ、わはははー」

 

 

 ルーミアの頼みごとに「おう、任せろ」と二つ返事で返すバギー。彼は自分がビッグ・マムと直接やり合うのを嫌がっていたからである。……だが、さしものバギーでもビッグ・マムとやり合うつもりでいるルーミアに戦力を送らない……というのは世間体に悪いだろうと考え、ビッグ・マムと因縁がある巨人たちを送り込むことになった。

 

 そしてルーミアは万が一、自分たちが敗れて死亡した場合のことを考え自分の後釜にミョスガルド聖を推し、彼もまたこれを了承、同盟を結んでいる組織──テゾーロやハンコックにも通達させた。

 

 もっとも彼らはルーミアが敗れることはあっても死亡するとはつゆにも思っていないが……

 

 

「……で、お前たち“大渦蜘蛛海賊団”は本気でついてくるつもりなのかー?」

 

 

 そう尋ねるルーミアの眼前には恭しく膝をついて頭を垂れる四人の男がいた。いずれもラフィットが連れて来た大渦蜘蛛海賊団のメンバーである。もっとも全員がこの場にいるわけではないが…… 「何故ここに連れて来た?」尋ねるルーミアにラフィットは「弾除けの盾は多い方がよろしいでしょう?」と答え……

 

 

「世の中には死に場所を求める男たちもいるのですよ。ホホホ」

 

 

 本人たちがいるにも関わらずそんなことを宣った。大渦蜘蛛海賊団のメンバーもまた否定はせず苦笑いを浮かべる。

 

 

「親父ならこう言うだろうと思いましてね……

 “死んだやつの墓を守るよりも今、生きているやつを守れ”

 ──親父の家族を戦争に参加せず、みすみす守れずに死なせたとなっちゃあ、あの世で親父と船長にどつかれてしまいますよ」

 

 

 「それだけは御免蒙る」朗らかにそう答える船員の一人にルーミアは内心、自分が白ひげとは血の繋がりがない赤の他人と知ったらガッカリするだろうなあ、と思いつつも「そうか」となんとも言えない複雑な表情で返した。

 

 

……なら、これが役に立つだろう……

 

 

 そう言ったのはドクQ。彼は無数の果実らしきものが入ったカゴをテーブルの上に無造作に置く。それはドクQとシリュウがカイドウの手下を殺害して手に入れた人造悪魔の実であった。そしてその脇には丸薬の詰まったビンが置かれており、そのビンに貼り付けられているラベルには「ランブルボール(改良型)」という文字で記載されている。

 

 

「──無論、使うか使わないかはお前たちの自由だが、

 ……どうする?」

 

 

 そう尋ねるルーミアに間を置かずに一人の男が代表して答えた。

 

 

 

 

是が非でもない

 

 

 

 

 そう答える男にルーミアはアゴに手を当てて暫し考える仕草をして思案に耽る。……やがて、説得は無理と判断して諦めがついたのか、一同が見ている目の前で盛大な溜め息を吐いてみせる。

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

 カライ・バリ島からルーミアたちを乗せた船が出港する。その一行の中には大渦蜘蛛海賊団はもとよりウィーブルも数に含まれていた。その船をバギーを始めとしたバギーズ・デリバリーの面々が大手を振って見送り、やがて船の後ろ姿が見えなくなった頃、バギーは見送った部下とともにテントへと戻る。

 

 内心、ビッグ・マムに会わずに済んだと喜ぶバギー。意気揚々とテント内部に入っていく彼がそこで目にしたのは暴飲暴食で丸々と太ったバッキンとその彼女の給仕人にさせられている旧バギー海賊団の面々に、ルーミアの手足として動いているラフィットとシリュウ、さらにそこに海軍本部にいるはずの「クザン」が加わっていた。予想外の人物に驚愕するバギー、内心ビビりつつも尋ねる。

 

 

「……な、なんで、お前がここにいるんだよ?」

 

「書類仕事が面倒くさくなって逃げてきた。少し匿ってくれ」

 

「おいっ!?」

 

 

 そんな返答が返ってくるとは思わず、つい声を上げるバギー。……だがすぐに、そんな理由で海軍の人間がこんなところに来るはずがない、と考えを改め、詰問しようと声をかけたときに電伝虫がけたたましく鳴る。

 

 

『──ウィ~ハッハッハァー!! おれだ!!』

 

 

 通信の相手は革命軍がいる基地に侵入していたバージェスだった。

 

 

『──居場所はおれのビブルカードで探ってくれ、おれたちを「バスターコール」に巻き込んでも構わねえ』

 

 

 そう言い残して一方的に切られた。その後、通話中、バージェスから発せられた「バスターコール」の言葉にテント内はどよめく。

 

 

「ほほほ。先の一件、ドレスローザにて革命軍の人間に『グラグラの実』を渡したのはご存知でしょう? その件でうちの姫が革命軍と通じているのでは……? と疑いの目を向ける人間がいるのです」

 

  

 ラフィットの言葉にバギーを含めた数人が「なるほど」と頷く。

 

 

「そういうわけでここを補給基地として使わせてくれ。……あ、あとおれがいることは内緒にしてくれ」

 

「いや海軍の元帥がそれじゃダメだろ」

 

 

 バギーにそう頼み込むクザンだったがにべもなく拒否された。その後やって来た海軍にクザンは連れていかれ、まもなくして革命軍討伐のためにラフィットとシリュウが乗る宵闇ノ海賊団の船を先頭に海軍の船が出航していき、バギーズデリバリーは周囲の治安を守るために残った。

 

 そして件の島にて「バスターコール」が発動され、翌日の新聞にそのことが大きく掲載された。

 

 またそれとは別にビッグ・マムが治める地にルーミアの一行が到着した。

 

 




( ´・ω・)にゃもし。

・理想の女の子を…
 最終回「星に願いを、君には現実と悪夢を」

 見た目だけでも理想の女の子を…とマネマネの実を食べた外道さん。あら不思議、外道さんはPTメンバーが理想とする女の子を連れてきたよ。そして翌日、ベッドの隣にいたはずの女の子が男になっていた。合掌。

勇者 は ダメージ を 受けた!
賢者 は 死んだ!
バトルマスター は 新たな扉 が 開いた!
外道 は 笑っている。

▪️おくれてゴメン。
 根性入れて書いたよ。

ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。

  • ルフィがエニエス脱出した時の4億
  • ルフィが新世界突入した時5億
  • ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
  • 黒ひげがつけられたのは22億4,760万

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。