ビッグ・マムの暗殺に失敗したことで逃げ場のない状況に陥ったベッジはシロシロの実の能力で人を模した見るからに堅固で巨大な石造りの城に変身。その場にいた連合軍のメンバーとヴィンスモーク家の人間たちを城内に収容させて一時的に避難させた。
そんな彼らとは別にルーミアたちは会場に残って事態の成り行きを見守っていた。連合軍が無事に城内に避難するのを見届けるためでもある。そのルーミアがいるためか、彼女による背後からの襲撃を警戒してビッグ・マム海賊団は連合軍の入城を許すはめになった。
その後、正気を取り戻したビッグ・マムが変身したベッジに怒りに任せて殴りかかり、ますます状況が悪化。
そんな状況の中、巨大化したベッジが縮んで元の人の姿に戻り、ベッジの体内から飛び出したシーザーがベッジを抱えて飛翔、会場からの脱出を試みる。しかし、そうはさせまいとビッグ・マム海賊団が彼らを捕らえようと動き出す。そこへ──
「──全員、目を閉じろ!! ルーミアの雷で目が潰れるぞ!!」
いち早く察知したカタクリが警告を発し、その場にいた一同は言われるがままに目を閉じる。その直後、数瞬もの間に会場が閃光に飲み込まれた。
そして光がおさまると今度は会場の遥か下から轟音とともに爆発が発生、巨大な建物が巨木のようにゆっくりと傾きながら倒れ始める。会場に持ち込まれた強力な爆弾が会場の下に落下、地面に激突する際、その衝撃で爆発したためである。
慌てるビッグ・マム海賊団。その混乱のどさくさに紛れてベッジを抱えたシーザーが倒れていく建物から空を飛んで離脱。辛くもビッグ・マム海賊団の包囲網から逃れることに成功した。
対してビッグ・マム海賊団は壊滅の危機に陥る。このまま建物が崩壊すればビッグ・マム海賊団の主要メンバーが地面との激突で軒並み死亡して、ほぼ壊滅状態になってしまう。
そんな危機的の状況を救ったのがビッグ・マム海賊団の総料理長を務めるシュトロイゼン。彼はククククの実の能力──物を食材に変える力で崩れていく建物をホイップクリームとスポンジに変化させ、その食材にクッションの役割をはたさせることでビッグ・マム海賊団を地面との直接の激突を防いだ。
「──だが、ご本人様は着地に失敗、重傷を負ったみたいだなー」
ビッグ・マム海賊団が難を逃れた頃、ビッグ・マム海賊団を敵に回している勢力はそれぞれ万国からの脱出を開始していたが、ルーミアだけはゴロゴロの実の能力でビッグ・マム海賊団の会話を盗み聞きして様子を探っていた。近くにはウィーブルと黒服たちの姿があり周囲を警戒している。ルーミアは一通り会話を盗み聞きした後、電伝虫で連絡を取る。
「──アヴドゥルはいるかなー? 残念だが“毒ガス”も“爆弾”も失敗した。当初の予定通り私がやつを仕留める。それとビッグ・マムは食いわずらいを発症させた。おそらく狙われるのはウェディングケーキをぶっ潰した麦わらの一味だろうなー……」
『──わかった。こちらは“鏡”からビッグ・マムの兵士が出てきたから船内にある鏡という鏡は全部、砕いて海に捨てた。面倒なんでおれたちが乗ってきた船を一つ潰した。ルフィたちが到着次第、サニー号で一緒に逃げるつもりだ。……悪い、ここらでいったん切らせてもらう。森が
そう言って電伝虫の受話器を置くアヴドゥル──エース。彼の近くにはエースの仲間であるスペード海賊団の面々と麦わらの一味のブルックとチョッパーが一緒にいた。
二人は結婚式の騒動の後、サニー号の確保のためにルフィたちと別れて潜水艦で移動、サニー号の近くで停泊していたエースと一足先に合流をはたすが、二人が到着した時にはすでにビッグ・マム海賊団の兵隊が船内にある鏡を使って侵入した後であり、エースたちは彼らと戦闘している真っ最中だった。
幸い、主な幹部やビッグ・マムの子らが鏡を通じて侵入してくることはなく、戦闘不能にしているものの、エースたちは際限なく出てくるビッグ・マム海賊団を少しでも減らすべく、船内にある鏡ごと自分たちが乗ってきた船を破壊したのである。
エースが「森が騒がしくなった」と言って暫く経った頃、森の奥から木々を薙ぎ倒しながらサニー号に向かって「飴」でできた洪水が押し寄せてきた。
だんだんとサニー号に近づくにつれて高さと激しさを増していく飴の洪水。ついにはサニー号を丸呑みするほどの高さに成長すると津波となって襲いかかってきた。
「火拳!!!!」
サニー号に押し寄せる飴の壁に、その高さに匹敵する拳の形をした炎が激突、触れた箇所を瞬時に溶かしながら進み、まもなく巨大な飴の壁が左右に大きく分断、と同時に炎の拳が砕け散って火の粉と化した破片が辺りに撒き散らされる。砕け散った炎の下には熱を帯びて赤熱化した肌を持った大男──オーブンが面白くなさそうにエースに問いかける。
「ぬるい炎だ。病み上がりのせいか?」
「安心しろ、俺は炎だけが取り柄の男じゃない。それよりも俺のことをよく調べているみたいだな?」
「……死体は見つからず、ルーミアの近くにはいつの間にかに「炎」を扱う男が現れた。こんな怪しい人物をおれたちが調べないと思ったか? 鏡を通して聞こえていたぞ?」
「ははは、返す言葉がねえな」
オーブンとは対照的に笑みを浮かべるエース。もはや隠す意味はないと変装を解き、船員に能力者の存在に気を付けるよう呼び掛けた後、船の手摺を蹴ってオーブンがいる地面に飛び降りる。
「氷を溶かすために流氷の方に向かうと思っていたんだけどなー。そのために氷山を砕いたって話を聞いたんだが……」
「バカ正直に敵の思惑に乗る必要があるのか? それよりも船にいる連中を放っておいていいのか?」
「すぐ終わらせばいいさ」
言い終わると同時にオーブンに駆け寄るエース。接近しつつも両手に炎を灯し、それをオーブン目掛けて投げる。オーブンの交差させた腕に当たった二つの炎はオーブンを渦を描いて包み込んで炎上、大きく燃え上がる。しかし、オーブンは雄叫びを発して腕を力強く左右に大きく広げると炎が掻消えて消失。
腕を広げたオーブンの眼下、手前、腕を伸ばせば届く距離に、そこにエースがおり、弓を構えるように曲げた右腕を体の後ろに引き、指先を曲げた右拳で構えていた。
「ルーミア発案。『二重の極み』だそうだ。指の関節部分で一発当てた後にすぐに指の根本部分で二発目を当てるだけの技なんだが、これがなかなか難しい」
言ってオーブンの腹を打ち抜くエース。複数の衝撃音がオーブンの腹部から発せられ、まもなくオーブンは白目を剥いて後ろ向きに倒れた。
「ちなみにおれは炎の推進力も使って二発以上当てているから正しくは『二重』以上になるんだけどな?」
倒れたオーブンにそう言い残すと足の裏から炎を勢いよく噴き出し、その反動で宙に浮き、そのままサニー号のある方角へと飛んでいった。
エースとオーブンが戦っている一方でサニー号の甲板にはいったいどこから流れ込んできたのか、足下が埋まるほどの「飴」が甲板いっぱいに広がっていた。その「飴」は表面を小刻みに波立たせて蠢きながら船上にいる生物たちを丸呑みにせんと生物がいる方向へと寄っていく。
無論、サニー号にいる面子は飲み込まれないよう様々な種類の
エースがサニー号から離れている僅かの合間にサニー号にいる船員たちは皆、『飴』に包み込まれて無力化されてしまった。
『飴』でコーティングされた生きた彫像が立ち並ぶ船上、それを行なった『飴』の能力者、シャーロット家の長男である「ペロスペロー」。彼は船の手摺に寄りかかりながら弟であるオーブンとエースの戦闘をつぶさに観察していた。
その観察していたペロスペローに向かって人間一人を飲み込むほどの火球が飛んできた。
常人なら火傷では済まさない炎の塊、ペロスペローは袖の裏から取り出した貝を火球に向かって掲げ──火球は貝に少しずつ吸い込まれて萎んでいき、やがて火球全てが貝に取り込まれた。
足裏から炎を噴出させることで宙に浮き、萎んでいく火球を眺めていたエースはペロスペローと、彼が掲げていた貝を凝視する。
「トーン・ダイアル以外のダイアルは徹底的に管理しているはずなんだけどな?」
「海賊らしく持っている奴から奪えばいい」
答えるペロスペローにエースは背中から炎を噴き出して落ちるように移動。炎による推進力を得て右脚の飛び蹴りを放つもペロスペローはこれを衝撃を吸収する貝──ショック・ダイアル──で蹴りの衝撃をダイアルに吸収させて防ぎ、防がれると分かると今度は右足から炎を放出、その反動でペロスペローからいったん離れて距離を取る。エースが放出した炎だが、ペロスペローはこれをダイアルで吸い込ませて炎によるダメージを防ぐ。
「悪い。正直、舐めていた」
「なあにお互いさまだ。優秀な弟がいると格下のレッテルを貼られて意味もなく見下される」
船の甲板と空中で対峙する両者。暫く睨み合うと森の方が騒がしくなり、森の出口からナミを先頭に続々と麦わらの一味が飛び出してくる。しかし、その中に船長であるルフィの姿が見当たらない。
「──ルフィは鏡の中に連れてかれたわ! あとで合流するから先に行け! ……って! それとサンジ君はケーキ作りで別行動よ!」
先頭を走るナミが走りながらそう説明して、そのまま船に乗り込もうとするも、船の惨状を見て船の手前、島の縁で急停止、あとに続く仲間たちもナミに倣って慌てて止まる。
「麦わらの義兄! そのアメ野郎をおれに寄越せ! おれがそいつの能力を解除させて、船を自由にさせる!」
吼えるように叫ぶのは麦わらの一味とともに行動しているジャガーのミンク族のペドロ。ペドロの要望にエースはすぐさま行動に移す。宙を滑空、滑るようにペロスペローの背後に回り込み、炎を纏った回し蹴りをペロスペローの背中に叩き込む。鈍い打撃の音とともにペロスペローは船の外へと吹き飛び、あわや地面と激突する寸前に背中から飴を放出させて地面との激突を防ぐ。
「──お前たちと距離を取るのはこちらも好都合。船にいる連中はそのまま飴に、残っている連中もこれからやって来るママの怒り……」
「感謝する。これだけ離れていれば船にまで被害は届かない」
話しているペロスペローにペドロが飛びかかり片手で地面に押さえつける。しかしペロスペローに触れている部分から飴が這い上がって徐々に包み込まれていく。徐々に飴に覆われていくペドロ、仲間も身動きとれないそんな状況の中、絶望した表情を感じさせない、むしろこちらを睨み付けるほどの強い意思を感じさせるペドロの表情に不審を抱いたのかペロスペローが問いかける。それでも自分たちの勝ちを信じてやまないのか勝ち誇った顔でだが。
「キサマらの船はあの通り。この状況をひっくり返す魔法でもあるのか?」
「──ああ、とびきりの魔法がな……」
そう言って服の裏を見せるペドロ。そこには大量のダイナマイトが巻かれていた。それを見たペロスペローは顔を青ざめさせて絶句した。
直後、森の一角を吹き飛ばさんほどの巨大な爆発が起きた。
爆発によって火の手が上がった森の入口、その火の光に照らされたサニー号に麦わらの仲間たちが急いで駆け込む。幸いペロスペローの能力は解除されて動かせること可能であり、彼らは船に乗船次第、出航の準備に取りかかった。
ビッグ・マムの脅威が迫っており急いでいたこともあってか、さほど時間をかけずに出航できる態勢にはなったものの、犠牲になったペドロや鏡の中に取り込まれたルフィのこともあってすぐに出航というわけにはいかず、暫く口論になったが……
「ペドロの死を! 決意を! ムダにする気か!?」
ジンベエの一喝でおさまり、彼らは島を離れることを決める。
その後、島から出航したのも束の間、サニー号の進行方向には一国を攻め落とせるのでは思うほどの大量のビッグ・マム海賊団の船が大砲を彼らに向けて待ち構えていた。
……だが、そのビッグ・マム海賊団の艦隊に目掛けて巨大な氷の塊が降った。
「ああ、おれの友達の巨人とバギーんとこの巨人傭兵団だ。ルーミアが経営している会社の社員にやたらと野球の上手いヤツがいるらしくてな? そいつから教えてもらったらしい」
突然の出来事を不思議がる面子にそう答えるエース。降り注ぐ流氷の雨とそれによって荒れ狂う海に足並みを乱すビッグ・マム海賊団の艦隊。僅かに空いた隙間をサニー号は縫うようにして進み、サニー号の頭上に落ちてくる氷はエースの炎で溶かしながら、無事に艦隊を抜けた。
ひとまずビッグ・マムの艦隊を抜けた一行、しばらくはルフィと落ち合う場所に向けて順調に航海を続けていたが、彼らにとってもっとも恐ろしい人物──ビッグ・マムが意思を持った雲ゼウスに乗ってサニー号の後方から迫って来た。恐ろしい形相で迫って来るビッグ・マムに船上に緊張が走る中、一人エースは不敵な笑みを浮かべる。
「ありがたい。これでようやく誰にも邪魔されることなく『北風』と『太陽』を奪えるな?」
ざわ…( ´・ω・)にゃもし。ざわ…
にゃもし。
「えーん。執筆が進まないよー。
天使
「エタって続きが見れなくなった作品。
そんな悲しい思いを与えていいのですか?
悪魔
「ここでエタったら笑い者にされるだけだぞ?
魔王
「キサマ、それでもハーメルンの書き手か!?
にゃもし。
「魔王!?
■そんなこんなで書き上げたよー。
■トットランド偏、書いてる人いないかなー、参考にしたいよー。
■誤字脱字おかしな表現、矛盾点ありましたら報告をー。
■思ったよりも話が進まんかった。
■感想ありがとうございます。でも返信が遅いので……
ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。
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ルフィがエニエス脱出した時の4億
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ルフィが新世界突入した時5億
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ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
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黒ひげがつけられたのは22億4,760万