ヤミヤミの実で宵闇の妖怪   作:にゃもし。

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67話 悪あがき

 

 

 オーブンの能力でサニー号の周囲の海水の温度が上昇、それにともない船体が損傷していく。さらにペロスペローが率いるビッグ・マム海賊団の妨害もあって、思うようにルフィを助けに行けないこの状況をサニー号にいる面々は歯がゆい思いをしていた。

 

 

 撃 水(うちみず)

 

 

 人間の頭ほどの大きさの水の塊がサニー号の甲板から撃ち出され、その水の塊は楕円状に形を歪ませつつ、弓なりにオーブンへと飛んでいく。

 

 

 しかしオーブンは撃ち出されたそれを赤熱化させた腕を交差させて防ぎ、腕に衝突した水の塊はジュッと焼いた石に水をぶっかけたような音を残して霧散、散った水と腕についた水がオーブンの熱で気化して蒸気となって立ち上る。

 

 

 そしてオーブンが海水から腕を引き上げたことによって上がり続けていた海水の温度の上昇が止まった。オーブンは自分に向けて放った人物を睨む。オーブンの視線の先にあるのはジンベエであり、撃ったのは彼だった。

 

 

「ここはワシが食い止める! お前たちは先に行け!」

 

「待てジンベエ!」

 

 

 油断なくオーブンを睨みつつ船の縁に進み、そこから海へと飛び込もうとするジンベエをエースが声をかけて止める。その時、ビッグ・マム海賊団の船員の一人が声を上げた。

 

 

「おい! あれを見ろ!」

 

 

 周囲を警戒していた彼はふと空を見上げると空を飛ぶ大きな物体を発見し、彼の周りにいた船員もつられて上を見る。それはルーミアが所有している空飛ぶ船である方舟マクシムだった。

 

 

「……そうか、やつらは海路が使えないときのためにあれを用意していたのか! このごたごたですっかり忘れてた!」

 

 

 ペロスペローは空に浮かぶ方舟を見て一人でそう納得すると、部下たちに指示を出すべく電伝虫の受話器を手に取り命令を下す。

 

 

「──やつらは麦わらのルフィをあれで逃すつもりだ! 

月歩(ゲッポウ)”が使えるやつはあれに乗り込め!

 モンドールも呼んでこい! やつの本ならあの距離まで届くはずだ! 最悪、墜としても構わない! 

 万が一、逃げられでもしたらママの怒りを買うと思え!」

 

 

 早口で捲し立てるようにそう言い放つと、彼の指示を受けて無数にあるビッグ・マム海賊団の船、その各々から船員たちが飛び出し、何もない宙を足場にして蹴って上に跳ぶことを何度も繰り返し、やや遅れて鳥のように羽ばたく本を足場にした船員たちも空を飛ぶ方舟を目指して空を登っていく。

 

 

 見る間に方舟マクシムに接近する船員たち、意気揚々と船の甲板に降り立とうとするその時、複数の大きな影が現れて彼らと衝突、船の外へと勢いよく撥ね飛ばされた。

 

 

「何だ!? やつらは!?」

 

 

 船員の一人が叫び、撥ね飛ばされながらも、すぐさま体勢を整え、空中にて『月歩』を繰り返してその空域にとどまるビッグ・マム海賊団の船員たち、彼らは自分たちを撥ね飛ばしたものの正体を見て驚く。それは事の成り行きを見守っていた船にいるペロスペローを始めとしたビッグ・マム海賊団の船員たちやサニー号にいる麦わらの一味もそうだった。

 

 

「羽の生えた猛獣だと!? 悪魔の実か!?」

 

 

 影の正体を見たペロスペローがそう判断する。今しがた自分たちの味方を撥ね飛ばしたのはトラやライオンといった肉食獣や象やゴリラ等の大型の草食獣、または巨大なヘビやトカゲのような爬虫類といった動物たちだった。そしてペロスペローの指摘通りにそれらには鳥やコウモリ、はたまた昆虫のような羽が背中から生えており、また胴体には鞍がくくりつけられていて、そこに人が乗っていた。

 

 

 そしてそれらを率いるのは…… 

 

 

「ホホホホホ。いかがですか? 空飛ぶ猛獣というのは?」

 

「ルーミアのところのラフィットか!?」

 

 

 ビッグ・マム海賊団の船員たちが月歩を用いて空飛ぶ猛獣を操るルーミアに与する猛獣使いたちと空中戦を繰り広げているのを余所に、獅子の上半身、その獅子の頭の隣に猛禽類の頭と下半身を持った生き物の背に乗ったラフィットがペロスペローが乗る船の近くの宙を漂い、ペロスペローだけでなくサニー号にいるメンバーを大いに驚かせた。

 

 

 その折に肉を斬る耳障りな音とオーブンの叫び声がその場に居合わせた一同の耳に入る。

 

 

「こういうのはきっちりと止めを刺しておけ、あとあと面倒になるのは分かっていただろうが……」

 

 

 小舟に乗っていたオーブン。その彼の背後にはコウモリのような皮膜のついた腕を生やした巨大な虎が宙を漂い、その背にはシリュウが騎乗していた。一同の目がラフィットに集中している隙に後ろからオーブンを斬ったらしく、オーブンの背中には首筋から腰にかけて斜めに斬られた切り傷が一本の赤い線となって生々しく残っていた。

 

 

「海水で頭を冷やしてきな」

 

 

 さらにオーブンは背後から足蹴にされて海に落とされてしまい、海面に波紋だけが残る。

 

 

 麦わらの援軍にビッグ・マム海賊団が少なからず動揺するものの、そこは戦闘慣れしていた彼らだけあってすぐに平静を取り戻す。そして現れた援軍に対処しようとしたとき、突如として彼らの船が揺れた。

 

 

 その揺れが小さくなると今度は船が少しずつ沈み始める。

 

 

 沈みゆく船に慌てふためく彼ら、その原因を解明しようとする彼らにラフィットは答えた。

 

 

「ホホホホホ、海中からショック・ダイアルで船底に穴を開けた後、そこからウォーター・ダイアルでダイアルに貯めた水を流し込んでいるだけです」

 

 

 「早くしないと沈みますよ?」猛獣に乗ったまま、こともなげに言い放つラフィットにペロスペローたちは苦々しい表情になるも船底に開けられた穴を塞ぐために数名が甲板から離れて船内にあるであろう現場へと向かう。その後、甲板にいる船員が減ったのを見計らったのか、海中から勢いよく複数の影が飛び出し、甲板に着地、船員たちを驚かせるとともに納得させた。

 

 

「魚人だと!? 船に穴を開けたのはやつらの仕業か!」

 

 

 現れた魚人たちは悪態を吐く船員を無視して一目散に船の舵に向かう。当然、ペロスペローが排除に向かうが猛獣に乗ったラフィットが先回りして行く手を遮る──と同時に頭をかち割る勢いで片手でステッキを振り下ろし、ペロスペローは慌てつつもこれをアメでできた義腕で防ぐ。そして彼らが相対している隙にペロスペローを除いた船員たちは魚人たちの前に立ち塞がるが、魚人の一人が懐から取り出したダイアルを見て短い悲鳴を上げて青ざめる。

 

 

 その直後、船の前方部、舵もろとも船の一部が抉り取られるように船員たちと一緒に吹き飛び、船が欠けた。

 

 

 ペロスペローたちがラフィットたちを相手に立ち往生している隙にサニー号はルフィがいる方向へと急ぎ向かう。その彼らの行く先々でまるで示し合わせたように敵対する船が揺らぎ動きを止める。そこへ海中から甲板へ少数の魚人が乗り込み、舵を破壊して動きを止め、海へ飛び込んで逃げる。サニー号はそうして止まった船と船の間にある隙間を縫うようにして進み、上空では方舟マクシムがサニー号に合わせて進んでいた。

 

 

 ペロスペローが指揮する船ではサニー号が離れるのを確認した魚人たちは一目散に海に飛び込んで海中を深く潜り込んで姿を隠し、入れ替わるようにしてシリュウが猛獣から飛び降りて甲板に着地する。降り立ったシリュウと同じように猛獣から降りたラフィットをペロスペローが率いる船員たちが取り囲む。

 

 

「時間が惜しい。始めるとするか?」

 

 

 いつでも抜刀できるように鞘におさまった刀の鍔に利き手を添えながらシリュウが言葉を投げ掛け、船員たちは答える代わりに雄叫びを上げながら襲いかかった。

 

 

 

 

 海上でルーミアの一派とペロスペローらがぶつかり、ペロスペローの指示で方舟を墜とさんと方舟に取りつこうとするモンドールたちが空飛ぶ猛獣を従えるルーミアの陣営と空中戦を広げていたところを燃える身体を持った大鳥──マルコと……

 

 

コン!!

 

 

 方舟の後方部から生えた九本の巨大な尻尾が彼らの邪魔をする。後方からの奇襲が困難ならば、と前方に回り込めば巨大な前足と狐の頭部が出現、おまけに口から雷を吐き、ルーミアの陣営の兵士、マルコの猛攻もあって少しずつモンドールの味方が減っていく。

 

 

「ドクターを連れてきて正解だったな……

 急いで向かった方が良さそうだ」

 

 

 方舟に搭乗していたルーミアの一味、オーガーが片目で長銃のスコープを覗いたまま不意にそう呟き、その理由を述べる。

 

 

「船長がビッグ・マムに捕まって握り潰されそうになっている。場合によってはこちらであれの仕掛けを起こす必要があるかもしれん」

 

 

 スコープから視線を外して淡々とそう述べると、懐から赤い弾丸を取り出した。

 

 

 

 

 

 ビッグ・マムの巨大な手のひらの中で藻掻き、そこから抜き出さんと抗うルーミア。彼女はこの状況に堪えつつもこの窮地から逃れる方法は何かないか……と頭の中で画策するも、一瞬たりとも気を緩めば、たちまち押し潰されてしまうこの状況下では大した考えは思い浮かばず、また迂闊にも動けず、ただただ時間だけが無情に過ぎていく。

 

 

 そんなルーミアにとって好ましくない状況が続く中、銃声による連続した破裂音が鳴り響いた。

 

 

 銃撃の標的となり背中から撃たれたのはビッグ・マム。もっとも彼女の背中に当たった銃弾は彼女の肌を撃ち抜くことは敵わず、潰れて歪に変形した無数の銃弾がぱらぱらと彼女の足下の地面に落ちる。

 

 

あ"ん"?

 

 

 背中越しに後ろを睨み付けるビッグ・マム。そこに立っていたのは身体の一部が獣に変化した異形の一団。彼らは手にしている銃器の銃口をビッグ・マムに向けて彼女と対峙していた。

 

 

 ビッグ・マムに対して銃器がほとんど役に立たないと知った彼らは銃器を放り捨て懐から丸薬と液体の入った小瓶を取り出すと、その丸薬を口に含んで噛み砕き、小瓶に口をつけて中に入っている液体を一気に飲みほす。

 

 

「「うおおおぉぉぉっっっ!!!!」」

 

 

 彼らの体に獣毛が少しずつ生え、体つきも徐々に獣類に変化していき、体長は倍以上に膨れ上がり、やがて彼らは二本足で立つ巨大な獣へとなった。

 

 

 そして変貌を遂げた彼らは剣や斧を手にビッグ・マムへと飛びかかり、その無防備な背中に目掛けて得物を勢いよく縦に振り下ろし、あるいは大きく横に振りかぶって、叩きつけた。

 

 

ハーっハハハ、ママママっ!!

 

 

 しかし、彼らのその必殺の一撃はそのことごとくがビッグ・マムの皮膚にキズをつけること敵わず、それどころか逆に武器が耐えられずに破損してしまった。

 

 

「「────────っっっ!!!?」」

 

 

 声にならない驚きの声を上げて動きを止める彼ら。その隙をビッグ・マムは己が使役している帽子のホーミーズ、ナポレオンを巨大な曲刀に変化させ……

 

 

 左手に持った曲刀を横に振って彼らの体を一つ残らず上下二つに分断させた。

 

 

「化け物め……」

 

 

 斬られた者のうちの一人が上半身だけになった己の身体とビッグ・マムを交互に見て忌々しそうに言い放ち、そのまま背中から地面に落ちた。

 

 

「無駄死にだったな!!」

 

 

 地面に落ちた彼らを一瞥して彼らの行動を笑う。

 

 

「おっと、いけない。右手にはてめえらの大事な人間がいたんだったなぁ~? ハーハハハ、ママママ」

 

 

 いつでも使えるようにするためか、巨大な曲刀に変化させたナポレオンを曲刀のまま──地面に倒れている一人の胸を切っ先が地面に到達するまでに深く突き刺して縫いとめて止めを刺し、未だ右手に掴んだままにしていたルーミアを凝視しつつ、その様を彼らに見せつける。彼らがビッグ・マムに襲撃をかけたことで右手の握る力がほんの少し弱まり僅かに隙間が空いたが、彼らが倒れたことにより、それも元の木阿弥となってしまった。

 

 

「「うぉぉぉおおお────っっっ!!!!」」

 

 

 突然の雄叫びにビッグ・マムは怪訝そうな顔で声のした方向に顔を向ける。

 

 

 そこには鬼気迫る表情で己に向かって突進を仕掛ける大男と巨人──ウィーブルとハイルディンの姿があった。

 

 

 ビッグ・マムは向かってくる彼らに不機嫌に舌打ちを打つつ、二人を無視できないと判断、地面に突き刺した曲刀の柄に手を伸ばす。

 

 

 その僅かの時間にビッグ・マムの顔面に弾が炸裂、赤い液体が顔に付着、さらに赤い煙が顔を覆い、煙を吸ってしまう。

 

 

────────辛っっっ!!!!

 

 

 そのあまりの(から)さに顔面が紅く染まり、新鮮な空気を求めて口が開き、舌がだらしなく伸び、目を回す。それでも右手に握ったルーミアを手離さないのは長年の経験の賜物といえよう。

 

 

 そこへウィーブルとハイルディンの拳が無防備状態のビッグ・マムの腹部と顔面を捉え、大砲の弾が当たったような轟音が鳴り、衝撃が発生する。

 

 

 だが、大男と巨人の攻撃を受けてもビッグ・マムの体を少々揺らした程度のみで終わり、彼女自身は一歩も引かずその場にとどまった。攻撃の気配を察知して瞬時に身構えて備えたからである。

 

 

 そして己に拳を突きつけたままの二人、その手首を掴み、強引に引き寄せ、左右の手でそれぞれの頭を掴むと……

 

 

「てめえらのせいでルーミアを逃しちまったじゃねえか!!」

 

 

 シンバルでも鳴らすかの如く頭部同士でかち割らせた。

 

 

 そう、二人の攻撃に耐えるためにビッグ・マムは右手の力を緩ませ、そのせいでルーミアは脱出したのである。如何にビッグ・マムといえど右手にルーミアを掴んだまま耐える、あるいはルーミアを逃がさないのは難しいと判断、二人を倒すことを優先したのだ。

 

 

 さらに今のこの状況、敵が己一人しかおらず、援軍もなく邪魔される要素がない。それはルーミアにとっては有利な状況になっている。またとないこの千載一遇のチャンスをはたしてルーミアを逃すだろうか? 

 

 

 ビッグ・マムの答えは「否」である。

 

 

 それに逃げられたとしても相手はそれなりに「シマ」を持っている海賊だ。場所も知られている。こちらから相手が出てくるまで潰し回ればいい。その未来を思うとビッグ・マムは知らず知らずのうちに人の悪い笑みを浮かべた。

 

 

 頭部をかち割らされ、額から血が吹き出し、顔が血塗れになった二人は……白目を剥いて意識を失い、体を後ろに反らすようにゆっくりと傾き、地面に四肢を投げ出すような格好で倒れた。

 

 

「──知っているか? シャーロット・リンリン……」

 

 

 自分の背後、それも後頭部から聞こえてくる女の子の、ルーミアの声に「探す手間が省けた」と笑みが一層深くなる。

 

 

「ウソついたら針千本、呑ーます♪

 お前の体内に潜り込んだ私が何もしないと思ったのか?

 さすがに1,000本は用意できなかったけどなー」

 

 

 ビッグ・マムの背中に虫のように張り付いているルーミア。彼女の左腕が雷化、次いでビッグ・マムの背中から十数本もの針が飛び出し、背中から針が生えた格好になる。もっとも針といっても一本一本が子どもの腕ほどの太さがあるが、これにはビッグ・マムといえど声にならない獣のような雄叫びを上げてしまう。

 

 

「くそが! 手が届かねえ! おい、針を抜け! この針で串刺しにしてやる!」

 

 

 背中から滲み出るビッグ・マムの血液が植物の蔦のように針に絡みつき、抜こうとする。その針にルーミアは未だ雷化させたままの腕で掴み、すかさず電気を流した。

 

 

 ルーミアの流す電気に血液が触れた側から蒸発、体の中へと引っ込み、針を伝って体内へと流れていく。その流れていく電気に体がビクッと震えるビッグ・マム。しかし……

 

 

「そうはさせないよ~~~」

 

 

 間の抜けた声とともにビッグ・マムの体から人間一人が包み込めるほどの球体の雷がせり出してルーミアが生み出した電気を吸い込んで吸収してしまう。

 

 

 放射させた雷をホーミーズ化されたあげくに無効化され舌打ちをするルーミア。そこへビッグ・マムに刺さっていた針がホーミーズ化、自ら動いて引っこ抜いて宙に浮くと鋭い尖端部分をルーミアに向けて、そのまま突っ込む。

 

 

闇穴道(ブラック・ホール)

 

 

 右手で払うように腕を動かすルーミア。その動きに沿って黒い靄のようなものが前方に広がり、顔のついた針が一つ残らずそれに吸い込まれ、闇の奥に飲み込まれ、消える。

 

 

 ビッグ・マムが背中に張り付いたルーミアを押し潰すため、ルーミアを張り付けたまま後ろ向きに倒れ、背中から地面に落下。落ちた拍子で彼女の周囲に土煙が舞う。

 

 

 そのビッグ・マムが倒れた場所から少し離れて黒い円が地面に一つ、その円からルーミアが頭から姿を現し、倒れたままのビッグ・マムの頭、その横顔に向けて左腕を振い、雷でできた槍が飛んでいく。

 

 

 だが、ビッグ・マムに向けて投げ放たれたその雷の槍が突如、上へと軌道がずれてその先にいた雷球のホーミーズの口に吸い込まれてしまう。 

 

 

「自慢の雷もこうなれば通用しねえなあ。

 自然現象すらもホーミーズ化させて支配できる俺に恐いものはねえ」

 

 

 ゆったりとした動作で起き上がりつつ、眼下にいるルーミアにビッグ・マムはそんなことを宣う。

 

 

「……だが、お前が今まで食べて蓄えたソウルに限りはあるだろ?」

 

 

 そう言いつつ左手の人差し指で空を指差す。空はいつの間にかに黒い雲で覆われていた。

 

 

「お前のソウルが尽きるか、私がくたばるか……

 あれで我慢比べしようじゃないか?

 

 安心しろ。

 

 今、この島にいるのはこの()()()しかいない」

 

 

 言われて周囲を見渡すビッグ・マム。ルーミアの言う通りに人の姿どころか気配すら感じない。それどころか彼女がいつも手元に置いてあるホーミーズの一つ、ナポレオンもいつの間にかに消えていた。

 

 

「てめえ、どこに──」

 

 

 ビッグ・マムが言い終えるよりも先に雷鳴が鳴り、音がかき消える。ルーミアの雷化した左腕、そのカギ爪のような左手が雷雲に突き刺さり、次いで黒々とした黒雲に光がところどころ灯され、そのたびに音が鳴る。

 

 

 

 

 その光景は遠く離れたところからでも観測できた。

 

 

「ば、ばかな方舟はここにあるんだぞ。なんでルーミアの()()が起きるんだよ!?」

 

 

 空を進む方舟マクシムを墜とすため方舟に浮遊している本を足場に方舟にまとわりついているモンドール。彼を含むビッグ・マムの陣営はルーミアを含めた能力者たちの力を事前に調べていた。特に甚大な被害が被るだろうルーミアの能力は徹底的に調べられていた。当然、彼女が所有している方舟マクシムのことも念入りに調査が行われていた。

 

 

「……雷雲もまた雲の一つ。ミルキー・ダイアルに貯めさせることも不可能ではない。そういうことだ。あとはそれを持たせた人間に空にバラ撒かせればよい」

 

 

 浮遊している本に乗っているモンドールの疑問に淡々と答えるのは方舟の甲板にいるオーガー。

 

 

「──ところで、海楼石の粉をつけた銃弾を能力者に撃ち込んだ場合、その能力者はどうなるか知っているか?」

 

 

 彼は言い終えると同時に構えた長銃の引き金を引いた。発砲音は全部で四つ。それぞれがモンドールの両膝と両肘に命中、体内に食い込み、まもなくしてモンドールは落下した。

 

 

 

 

 方舟にまとわりついていたモンドールが落ちていく様と島の上空に漂っている雷雲を、ペロスペローが指揮をしていた船から交互に眺めている者たちがいる。シリュウとラフィットの二人だ。二人は船のマストに座った状態で鎖で何重にも巻いて拘束されたペロスペローを眼前にして立っていた。彼らの側には騎獣にしている猛獣が二人を守るように周囲を警戒している。

 

 

「──ああ、そうだ。俺が乗っている船は俺以外全滅だ。俺もじきにやられる。島にいるママとルーミアは無視して麦わらたちを追え……」

 

 

 ペロスペローが足下に置かれている電伝虫で味方にそう報告するのを確認するとラフィットは受話器を置いて通話を切る。

 

 

「おい、これで万が一ママが殺られた場合、後釜に俺を推してくれるんだろうな? それに『ソルソルの実』もだ!」

 

「ホホホホホ。私たちはあなた方と違って()()はちゃんと守りますので」

 

「……それじゃあ、終わるまで寝とけ」

 

 

 ラフィットに噛みつくペロスペローを側にいたシリュウが鞘に納まった刀を水平に振って顔面を殴打、そのまま気を失い沈黙する。そのペロスペローを見てシリュウは面白くなさそうに言う。

 

 

「憐れだな。こいつは()()()()()()()()()()……と思っているんだろうな」

 

「元々、野心があったというのもあるでしょう。私たちには関係のないことですよ」

 

 

 それだけ言い残すとペロスペローをそのままに、羽の生えた猛獣に跨がってその場から飛び去った。

 

 

 

 

 太く大きな水柱が立った。水飛沫が辺り盛大に飛び散り、海面を割って巨大な腕が天に向かって突き出る。少し遅れて現れたのは、巨大な笠を被り、前に突き出た柱のような角を持った巨大な顔。その後その顔の大きさに見合う巨大な上半身が海面に浮上。巨人が海面から現れた。次いで彼の角を模した揃いの兜を被った船員を乗せた船が現れ、その周囲に最初に現れた巨人よりも小さな巨人を乗せた船が浮上する。

 

 

エース君!! 助けに来たよ──!!!!

 

 

 そして最初に現れた巨人はエースがいるサニー号を見つけると親しそうに声をかけた。

 

 

 

 

 ペロスペローのアメで敷き詰められた海面をルフィたちが行く。そのルフィたちをスムージーたちが妨害する。彼らの背後、島がある方角から雷鳴とともに閃光が迸る。その雷鳴からルーミアが本気を出したんだ、と判断して叫ぶ者がちらほらいる。

 

 

「なんだ!? あれは!?」

 

 

 その中の一人が何かを目敏く見つけて声に出す。彼が指差す方向にはこちらに向かって降ってくる何か巨大なもの。それは気球のバルーンを備えた船だった。その船の船首には大柄な人物が立っており眼下にいるルフィたちに向けて叫んだ。

 

 

麦ちゃぁぁぁ~~~~ん!!!!

 助けにきたわよぉぉぉ───!!!!

 友情の名の下にっ!!!!

 

 

 その人物はルーミアを船長とした『宵闇ノ海賊団』

 その傘下にいる組織の一つ

『バロック・ワークス』の代表ボン・クレーだった。

 

 

 

 




ざわ…( ´・ω・)にゃもし。ざわ…

賢者
「“DIO”は金髪・吸血鬼。
 “フランドール”も金髪・吸血鬼。
 DIOをフランにTSさせても問題はないのでは?

バトルマスター
「さすが賢者!
 その叡知に脱帽でゴザル!

勇者
「魔王討伐の報酬はそれで決まりだな。

魔神
「願いごとを己の私利私欲のためではなく
 他人のために使う。
 そなたらこそ真の勇者よ。

外道
「鑑賞キボンヌ。

魔神
「任せてクレナーデ。


▪️遅れてスマン。
 誤字脱字とかの報告ありりんす。
 感想ごめん。読んではいる。

▪️ビッグ・マムはラスボスなってもおかしくない人物なのでしぶとくさせました。

▪️ゼンカイジャー面白い。
 人間1人にロボ4人って思いきったことするよね。
 リアルタイムで見れないのが残念。

▪️最近、ロックス関連が増えてきたね。

▪️ロックス一味になった狐が「盗作」扱いでビックリよ。
 未だにどこら辺が盗作なのか分からん。

▪️ティーチTS、悪魔の実食って幼女化モリア……関連でメッセージ来たことあって感想メッセージを残したことがあるが……大丈夫だよね。

▪️心底どうでもいいかもしれぬが
 悪魔の実二つ食ったオリ主少なくね?

▪️次の68話はダイジェストなると思ふ。

 

ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。

  • ルフィがエニエス脱出した時の4億
  • ルフィが新世界突入した時5億
  • ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
  • 黒ひげがつけられたのは22億4,760万
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