国の要所要所で大小さまざまな組織や勢力が入り乱れての争いが終わらない未だ戦争真っ只中の「
だが、ある瞬間
その島に島を覆うほどの雷雲が僅かな時間で現れたというのもあるが、勘の優れた者や戦場の空気の流れに敏感な者、あるいは聡い者は皆一様に示し合わせたかのように何かを感じ取り、敵と戦闘中だろうが構わず一時的にその手を止めて、その島がある方角に顔や視線を向けた。
彼らが見ているその方角の先にある島は折しも「ビッグ・マム」と「ルーミア」がいる「カカオ島」であった。
【万国(トットランド)── カカオ島】
「ビッグ・マム」と「ルーミア」
閑散とした
先ほどまで命のやり取りをしていたとは思えない、実に愉快そうに笑みを浮かべて向かい合う二人。
彼女たちの頭上では島を覆うほどの黒々とした雷雲が今にも雷を落とさんとばかりにゴロゴロと耳障りな雷鳴を鳴らして広がっている。
そして
二人が対峙して少々時間が経った頃、彼方から飛んできた一つの弾丸がビッグ・マムの首の後ろ、その皮膚に着弾したと同時に破裂、粘着性のある粉が飛び散って、着弾した箇所とその周辺に付着した。
戦場になっているカカオ島から遠く離れた空に浮かんでいる方舟マクシム。その船の縁に並んで佇む狙撃手たちのうちの一人であるオーガーが愛用の長銃でビッグ・マムに向けて撃ったものだ。ただの粉ではない。対能力者用に用意した海楼石のものである。
もっとも、撃たれた当のビッグ・マムは当たった瞬間、少々、眉をひそめたものの、さほど気にする様子はなく、一瞬たりとも目を離さない、と言わんばかりにルーミアに視線を向けたままでいる。
そのルーミアはビッグ・マムに撃ち込まれた弾丸が着弾するのを確認すると同時に雷化させた左腕と霧状の黒いもやのようなものを纏わせた右腕を真っ直ぐに上に伸ばし、手のひらを上に向けて翳していた。
雷化させた左腕はそのまま真っ直ぐに伸びていき、右腕からは黒いもやが煙のように立ち昇っていき──
瞬く間にそれらの先端が雷雲に深く突き刺さる。
“
途端、豪雨のごとき落雷が降り注いでビッグ・マムもろとも島中の建物という建物を軒並み破壊し尽くして何もない所々黒く焦げた跡のある灰色の大地へと変えていく。
さらにルーミアは両手にあたる部分を雷雲に突き刺したままの両腕を、斧を振り下ろすような仕草でビッグ・マムに向けて勢いよく振り下ろす。
大きく弧を描いてしなるその両腕の先端には空島の一つを消滅させるほどの威力を持った黒い雷雲でできた巨大な丸い塊が一つ……
“
それがビッグ・マムの頭上へ、ゆったりとした速度で落ちていく。
「ぬぅぅぅぉぉぉおおお───っっっ!!!!」
だが、あろうことか、粉末状とはいえ海楼石で多少なりとも能力が弱体化したはずのビッグ・マムが、掲げた両手の手のひらで頭上から落ちてくる“雷迎”を受け止めてみせた。
──敵の増援や第三者による介入等の不測の事態にいつでも対応できるようにと、戦闘が始まる前から微弱な電波を垂れ流し、人の声とその位置を常に把握できるようにしていたルーミア。
粉末状の海楼石がビッグ・マムに対して効果を発揮しないのもそれで知ってしまった。
先の戦闘で己の血液をホーミーズ化させたビッグ・マムはそのホーミーズに己の体に付着した海楼石の粉を、その部分を
渋るホーミーズにビッグ・マムは言う。
負けて死ぬよりマシだ。
──と。
女の声とは思えない野太い声を出すビッグ・マムと動きが遅くなった雷迎にルーミアは雷迎一つでは足りず、また先の戦闘で己が放った雷をビッグ・マムがホーミーズ化させたことから雷迎をホーミーズ化させていると判断、即座に両腕を上に上げ、ビッグ・マムと雷迎が拮抗している間に二発目の雷迎の作成にかかる。
その後、ルーミアが二発目の雷迎を完成させたと同じくしてビッグ・マムもまた雷迎をホーミーズ化させることに成功していた。
どことなく愛嬌のある顔を持った巨大なホーミーズと化した“雷迎”
そのホーミーズ化した“雷迎”にルーミアは二つ目の“雷迎”をぶつける。
ホーミーズ化した下から迎え撃つ意思ある雷迎とルーミアが新たに作った上から落ちてくる雷迎。
二つの雷迎が双方、潰し合い、削り合い、お互いに体積を擦り減らしながら辺りに火花と紫電を撒き散らし、その都度、突風が吹き荒れる。
その二つの雷迎が潰し合っているその隙にルーミアは残り少なくなった雷雲をヤミヤミの実の能力の一つ、引力でかき集めて圧縮させ、三つ目の“雷迎”を生成、せめぎ合っていた二つの雷迎が眩い閃光を放って互いに消滅させたのを見計らってから三度ビッグ・マムに落とす。
再度、両手で受け止めようとするビッグ・マムだったが、ルーミアはビッグ・マムに巻き込ませる形で彼女の両手に触れる寸前で雷迎を破裂させる。
荒れ狂う雷球の中央付近にて閉じ込められたビッグ・マム。
雷球が地面を抉り、削り、掘りながら、中にいるビッグ・マムとともに徐々に沈んでいく。
その後も雷球は島の中央で地面を抉り続け、深く巨大な穴を作り出していく。
その雷球がビッグ・マムの怒声とともに四方八方に弾けて散った。
ビッグ・マムが雷迎に耐え続け、その末に力尽くで破ってみせたのだ。
歪な円柱の形をした穴の底で陣取るビッグ・マム。そこにいる彼女に向けてルーミアは切り立った穴の縁から雷化させた左腕を鞭のように上下にしならせて伸ばす。
ビッグ・マムはその左腕から伸びた雷を体に触れる既のところで感電するのを構わず覇気を纏った右手で掴み、力任せに引き寄せる。
強引に引っ張られてビッグ・マムの下に飛び込む形で引き寄せられるルーミア。
ビッグ・マムは飛び込んでくるルーミアに空いた左手で殴りかかる。
しかし、その左拳は空中で急停止して止まったルーミアの目の前を横切って空振りに終わる。
ルーミアは左腕を伸ばしたと見せかけて実際はその腕は雷を放出して腕に見せかけた偽物であり、頃合いを見て切り離したのだ。
その直後、ビッグ・マムの顔面にルーミアは左手を向け、その左手の手のひらから爆発するような強い閃光を放ち、その強い光にビッグ・マムは思わず目を瞑ってしまう。
次いでルーミアはビッグ・マムが目をつぶっている隙に空中を滑るようにして移動をして彼女の頭部の左側へ回り込み……
“
黒いもやを垂れ流している右手でビッグ・マムの髪の毛を掴む。
そこへビッグ・マムの体に張り付いていた血のホーミーズが鎌首をもたげ、一本の赤い槍となってルーミアの右のこみかみへと飛び掛かる。
しかし、血のホーミーズは頭を後ろに下げたルーミアの目の前を掠めて外れ、その先にある彼女が左手に持っていた「水」のラベルが貼ってあるダイアルへと一滴残らず吸い込まれて消えてしまう。
次いで、中身が入ったダイアルを手放し、自由となった雷が迸る左手でビッグ・マムの左耳の穴に己の左手の人差し指を突っ込ませて────
“
指先から雷を放った。
暗闇に満ちた場所がある。
そこにはいつ消えてもおかしくない、なんとも頼りない光源が一つ、拳ほどの小さな雷球が点滅を繰り返して宙に浮いている。
その明かりの下に大の字で四肢を投げ出した格好で地面に仰向けになっているルーミアがいた。
口は新鮮な空気を求めてだらしなく半開きの状態、息も絶え絶えで、胸は呼吸のたびに上下に大きく動き、顔中はもとより全身が汗で濡れていて、その汗で服がびったりと肌に密着、周囲の地面も汗を吸って濡れていた。
まさに疲労困憊を絵に描いたような有り様であった。
そのルーミアが寝そべっている場所から少し離れたところにはビッグ・マムが仁王立ちして彼女を見下していた。
その顔はその表情だけで人を殺してしまいそうな凄みを利かせた笑みが張り付いている。
いつルーミアに襲いかかってもおかしくない状況なのだが……
いくら待てどもビッグ・マムはピクリとも動かなかった。
わはははは……
やがて呼吸が整い、落ち着きをだいぶ取り戻したルーミアは近くに仁王立ちして佇むビッグ・マムを地面に寝そべったまま視線を向けて……
四 皇 ビ ッ グ ・ マ ム !
シ ャ ー ロ ッ ト ・ リ ン リ ン !
お 前 が !!
麦 わ ら と 戦 う 運 命 よ り も !!
わ は は は は は は は は は──────!!!!
薄暗い穴の底で
目を細め、口も細長い弧の形にして
どこか狂気が垣間見えるその暗い笑顔で
いつまでも、いつまでも笑っていた。
さしものビッグ・マムといえど、能力を封じられた上で脳に雷撃を放たれては無事には済まず、その生涯に終止符を打たれたのである。
かくして、ビッグ・マムとルーミアの殺し合いはビッグ・マムの死をもって終わりを告げ、戦争は終結した。
ざわ…( ´・ω・)ざわ…
▪️かなり間が空いての投稿、ゴメン。
毎度、誤字脱字報告ありがとうございます。
▪️とりあえず感想の返信っぽいことを…
・生きていたんかワレ云々
生きてました。
・ルーミアの一人称、云々
僕とか俺だと違和感あるやろ?
・能力云々
ロギアだし能力のON・OFFできるんじゃろ。
でなきゃエースはん、日常生活、送るの大変じゃろ。
外道
「そんなことより『東方おねショタ四天王』決めようぜ☆
▪️執筆中、そんな悪魔の声が聞こえた。
勇者
「慧音は外せないな。
バトルマスター
「異論はない。
しかし四天王ではすぐに埋まってしまう。
七英雄とか、なんとか16衆みたいに数を増やすべきでゴザル。
賢者
「数を増やせば増やすほど、それが持つありがたみが失われる。
四天王だからこそ、おねショタの質が、格が上がるというものだ。
数はこのまま、質を上げるのだ。
一同
「「さすが、賢者だ。
▪️書きたりねえ、久々に活動報告を書こうかな
ルーミアの懸賞金、どれくらいが妥当? ちなみに私は15億にしようかと思っている。
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ルフィがエニエス脱出した時の4億
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ルフィが新世界突入した時5億
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ルフィがカタクリ吹っ飛ばして15億
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黒ひげがつけられたのは22億4,760万