ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~   作:femania

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注意事項

・連載小説初心者です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品です。元と性格や行動が違うことがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・この作品オリジナルキャラも人物描写はスキップしている場合があります。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・作品はほぼオリジナル展開であり、オリジナル設定も盛り込んでいます。

・原作のキャラやストーリーに愛がある方は、もしかすると受け入れ難い内容になっているかもしれないので閲覧注意です

これでOKという人はお楽しみください!



序章 11節 選択の結末(1)

レーギャルンは語る。己が何者か。

 

それは異界へと赴き仕事をおこなうという特別な境遇のアルフォンスですら、耳を疑うような話であった。

 

「私と妹は、異界の存在。そして、ナーガ様に私たちの世界を救ってもらう代わりに、以後異界を見守り、時に世界を救うナーガ様の剣となることを契約した者。ある異界では『守護者』と呼ばれる存在」

 

「契約……守護者……?」

 

「あなた達の世界では氷の儀を行ったフィヨルムがお父様を倒して世界を救った。けれど私たちの世界では、お父様にフィヨルムが殺されて、お父様を殺せるものはいなくなった。このままではこの世界が終わる。そう感じた私は、妹を守るために逃げた」

 

「でも、助かったってことだね」

 

「ええ。偶然この世界に意識を傾けていたナーガ様が私たちの世界の危機を見かねて、この世界に救いの手を差し伸べようとしてくださったの。けれど、ナーガ様が世界に干渉するためにはその世界との縁が必要になる」

 

「縁?」

 

「その世界に生きる生命との契約による等価交換。助けてもらう代わりに対価を払う。本来、その世界の人間でどうにかするべき危機をナーガ様が救う代わりに、助けを求めた私たちはナーガ様のために、異界の危機を救うための使者になる」

 

「価値、実際にはどれくらい……」

 

「私たちはまだ体感で700日くらいって言ったところかしら。長い人だとこの世界の暦で100年以上。異界の戦場に放り込まれて、その世界の邪悪を滅ぼし続ける。神の代行者として、殺し続ける人もいるみたい」

 

「そんな……君は妹と生きていくために助けを求めただけなのに。ナーガ様はどうしてそんな仕打ちをその願った人に課すんだ」

 

アルフォンスの憐憫と怒りが混ざった表情を見てレーギャルンは笑った。

 

それは違うと言うように。

 

「神となった存在は人を無償で助けることは禁じられているからよ」

 

「え……」

 

「アスク王国だって、神竜アスクを信仰しているでしょう。けれど、その竜からの恩恵はない。それはこの世界は人が生きていく世界だから。人が生きるために人が明日を拓いていく。その人の営みを見守るだけ。神が干渉するのは、その世界が滅ぶか滅ばないかの瀬戸際だけ」

 

「スルトの時だって世界が……」

 

レーギャルンは首を振る。

 

「確かに人間の世界は滅んだでしょう。でも、世界は存続する。お父様はそのままでも、殺せる生命がいなくなって、生きる希望を失って廃人になるし、その灼熱に覆われた世界でも、数万年すれば新たな命が芽吹くわ」

 

アルフォンスは、ナーガの見る視点と、人間の視点の違いにようやく気が付く。

 

「神は人類が滅びても、世界が滅びない限りは干渉できないと」

 

「そう、基本はね。神の権能は世界に与える影響が大きすぎる。故に簡単には世界に干渉できない。けれど、ナーガ様は何とか人類の味方をしようと、そこに抜け道を創った」

 

「それが、等価交換ということかい?」

 

「そうね。……具体例を言いましょうか。ある邪竜に滅ぼされそうになった世界の姫君とその御父上に邪竜の力を封ずる炎を授ける、その代わり、その姫君は平和になった世界に留まれず、ナーガ様の救世のために異界に召喚され続ける」

 

アルフォンスは納得したわけではなかった。特に100年戦わされている人間がいるという事実が、正しい救いに思えずにいられない。

 

ただ、少し疑問に思うことがあるとすれば。

(ナーガは確かに偉大な存在ではあるが、そんな超次元的な力を持っているものなのか……?)

ということだが、今考えても無意味な議題だ。アルフォンスはその疑問を胸の内にしまうことにした。

 

この話の本題であるレーギャルン達の正体は何となくつかめた。そして次に、彼女たちが話をするのは、この世界に何が起こったか。

 

「ナーガ様は異界に広がる多くの異世界、その中にこことはすでに違う至天の世界を見ようとしたの。しかし、その世界は既に存在が抹消され見えなくなっていた」

 

「何……!」

 

つまり異界にいる自分もすでに死んでいる、ということ。

 

「残っている至天の世界はここだけ。さらに他の世界も様子がおかしい。これまでには見たことのない異変を確認したナーガ様は、私たちを連れてこの世界に降り立ったの。原因はこの世界にあると予想して」

 

「原因は分かったのかい?」

 

「おそらくアスク王国に原因がある。今分かっているのはエンブラ帝国が関わっている事だけ。だから私たちはナーガ様の命令でアスク王国に行こうとしたのだけれど」

 

「そこで僕らと出会ったのか」

 

「そう。でも城まではいけなかったわ。あそこにいる英雄は私たち2人でも苦労する相手ばかり。しかも城に入ると、相手できない強ささった。ムスペルでは将軍をしていたけど、まだまだね」

 

「そうなのか」

 

「けれど、ナーガ様は言っていた。これは過去類を見ない危機であると」

 

「……それほどの危機が僕らの世界に来ているのか」

 

「何が起こっているかはこれから調査するしかないけれど、アルフォンス、貴方はこれまでの戦い以上に覚悟を決めるべきよ」

 

そして最後にこれからどうするかの話になる。

 

「ナーガ様はニフルの近くに?」

 

「飛空城という、この事態に対応するための拠点を用意してあなたたちを待っているわ。元々アスク王国に行ったのもあなたたちに合流したかったという目的もあった」

 

「なぜ僕たちが?」

 

「ナーガ様は詳しいことはあなたたちが来てからと言ってたけれど、聞いた限りでは、特務機関の神器と、召喚器がこの事態の解決に必要だとか。アルフォンス、あなたも持っているでしょう?」

 

「ああ、ここにフォルクヴァングだけだけど」

 

「後は、フェンサリルとノーアトゥーン、そして召喚士とブレイザブリクね……」

 

ノーアトゥーン、その単語が出た時に、アルフォンスは思い出す。

 

「レーギャルン、実は……」

 

アルフォンスは、神器の斧を持っていたアンナを見殺しに逃げてきた顛末を伝える。それを聞いて少し驚いたものの、

 

「もとより万事うまくいくとは思っていない。それは後で対策を考えます。今はせめてシャロンと召喚士が無事であることを祈りましょう」

 

と言うにとどまり、怒る事はなかった。

 

「そうね……無事に召喚士とシャロンが逃げてくれていればいいけれど……」

 

「……シャロン」

 

心配でないはずがない。愛する家族と背中を預けられると100パーセント断言できる相棒。その2人が人を救うために未だ危険極まりない地で戦っているのだ。

 

しかし、王は個人の感情ではなく大義のために動くもの。父の言葉の正しさを理解し、戻りたいという衝動を必死に抑える。

 

「ふぇー!」

 

こんな時でも心に安らぎを与えてくれるフクロウの声がする。

 

「フェー!」

 

「皆さん! この先でフィヨルムさんと合流できます!」

 

「何人いる?」

 

「先んじて避難していた王国民2000名弱を率いていますぅ」

 

「そうか……! すぐに落ち合おう。場所は……」

 

アルフォンスは一度通ったことのある地、その詳細を思い出し、ニフルまでのサバンナ地帯の中にある、すでに滅んでしまった、村を思い出す。

 

アルフォンスにとっては苦い思い出がある場所だが、人々に休息を与えるにはいい広さを持った村であることに違いない。

 

「レーギャルン。ナーガ様はどこに?」

 

「ニフルへと至る門の前に、その城はあるわ」

 

「城の大きさは?」

 

「安心して、2000人なら十分な広さがあるわ。ニフルに逃がしてもエンブラの手はかかる。城の中に入ってもらいましょう」

 

「分かった。フェー、この先の廃村で一度合流だ!」

 

「ふぇー! 了解しましたぁ。向こう側に伝えに行きますぅ!」

 

フェーもすでに一日の飛行限界にすでに近い距離を飛んでいる事はアルフォンスには分かっていたが、それでも行ってもらうしかない。

 

アルフォンスは神竜王ナーガを名乗る神に出会い、事態の打開を目指すため、ただひたすらに歩き続ける。

 




覚醒の絶望の未来編で滅びゆくある異界を見かねたナーガはクロムたちに助けを求めたことがありました。こんな力まであるなんてナーガ様凄い(すっとぼけ)。それは置いといてその異伝からこの設定は思いついたことは事実です。

話の中で出て来た邪竜を滅ぼした姫君は、その時代で結婚しなかったという設定です。エンディングを見ると、行方不明になったという話だったので、自分なりになぜ消えなければならなかったのかを妄想したことがあります。

もっとも、この設定だと、結婚した場合の説明がつきませんが、そこは契約履行の執行猶予ということで1つ。納得していただけれればと思います。

次回 選択の結末(2) 

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