ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~ 作:femania
・連載小説初心者です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品です。元と性格や行動が違うことがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・この作品オリジナルキャラも人物描写はスキップしている場合があります。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・作品はほぼオリジナル展開であり、オリジナル設定も盛り込んでいます。
・原作のキャラやストーリーに愛がある方は、もしかすると受け入れ難い内容になっているかもしれないので閲覧注意です
これでOKという人はお楽しみください!
しかし、言わずともその言葉は通じる。フリーズは最後に振り返ると、
「どうか、フィヨルム、そしてエクラ。君たちの旅が希望の絶えぬものになることを祈っている」
フリーズは、残った力をすべて解放する。
巨獣が咆哮をあげるのと同じくらいの轟音が、神器から響き渡る。
フリーズが立ち上がった。
それを見て、氷雪の力を秘める八神将が再び槍を構えた。槍からあふれ出る力は、竜との激突の際に世界の理を変革させたと伝説を残すもの。
しかし、臆することはない。
たとえ負けると分かっていても、今のフリーズに逃げるという選択肢はない。
転移の魔法には詠唱に時間がかかる。最後の希望が逃げる時間を稼ぐため、目の前の存在に挑みかかる。
ギョッルはその覚悟に応えるように、これまでにないほどの力を解放する。神将器、恐れるに足らないと言わんばかりにフリーズが必要とする魔力を。
突撃するフリーズ。迎え撃つ八神将。
再び神将器マルテと神器ギョッルは激突する。今度は先ほどよりも激化した魔力のせめぎ合いが起こる。
押し勝ったのはフリーズだった。その威力をそのままマルテの使い手にぶつけ、八神将は勢いのまま後ろへ遠ざかっていく。
とんでもない衝撃をもろに受けてなお、全くダメージを追った様子のないマルテの使用者を目掛け、容赦のない追撃をしていく
少し距離を空けながら、空中に巨大な氷の円錐をいくつも創り出す。そして鋭利な矛として、神器でその円錐を撃ちだしていく。
巨大質量が襲い掛かってくる中でも、マルテの使い手は動じない。
打ち出された貫通力抜群の巨大な氷錘、その連続攻撃を、神将器の一振りで軽々と打ち砕いていく。
効果がない。それを見越したフリーズは剣に魔力を集中させ、氷の魔力を半月状に集中させた斬撃を放った。斬撃は形を保ちながら、勢い落ちることなく地面を両断しながら、八神将へと向かっていく。
しかし、それすらもマルテの放った魔力を伴う刺突をもって破壊される。
神器の力の激突により、その威力を物語る炸裂。その勢いのまま、空中へと跳躍する。
しかし、フリーズにすでに容赦はない。
空中にいる瞬間を狙って、空中に展開した氷の足場を伝いフリーズが一気に距離を詰め、剣でその敵を地面に叩き落す。
直撃。狙い通りに地面に墜落した八神将。しかし、すぐに体勢を立て直す。それにさらにフリーズは近接攻撃で追撃を試みる。
ギョッルによる2回の斬撃。全てが必殺となるよう、魔力を可能な限り乗せている。
それを受けとめ、弾き、槍による斬撃を見舞おうとするマルテの使い手。それを躱し再び怒涛の攻撃をするフリーズ。
当たっている。傷をつけている。しかし、すべてが必殺と宣言するに不足はないはずなのに、攻撃が通っている様子には見えない。
マルテに再び魔力が籠められる。マルテに秘められた力の解放の予兆である。
すべてを破壊する威力を秘めた魔光の激流が再び放たれた。狙いすました一撃は、フリーズを確実に捉えた。
ナーガの詠唱が終わり、転移の魔法が発動される。直後、アルフォンス、エクラ、フィヨルムは、外の様子が見える、飛空上のテラスへと瞬間移動した。
十階相当の高さにあるテラス、3人はすぐに、戦いが続く下を見る。
ナーガとその他2名を地面に置いたまま、城は飛び始める。今出せる最高のスピードをもって、天空へと急上昇する。それ故に、下をより広域的に見ることができるようになる。
封印の世界に伝わる伝説は真実だと、エクラもアルフォンスも認めざるを得なかった。水色と白色で輝く破壊の光が地面を迸り、地形を変形させているところを直視する。
エクラの戦略眼はフリーズを捉えた。
残り1割程度までHPが下がっている。すでに虫の息。次の攻撃をフリーズ王子は耐えることはできない。
しかし、それは本人が一番わかっているのだろうと思う。
飛空城が飛行を始めた。
そしてとどめを宣言する代わりに、神将器の使い手は槍を構えなおす。最後の一突きであることを示すように。
フリーズも己の限界を感じ、次の一撃に己が出力できるすべての力を込めた。
「神器解放『氷の聖刃《せいじん》』」
それはリョウマを退けるに至ったフリーズの持つ最強の一撃。それをもって、痛手を与えることで、例え倒すことができなくとも撤退を狙う。
マルテの使い手はそれを阻止することは意図していないようで構えをそのままに、マルテは己の使用者の意志を汲み取り光り輝く。
「はああああ!」
今度はリョウマを倒した時の斬撃波ではない。ため込んだ魔力ごと、フィヨルムへと斬りかかる。狙いはその胴ただ一つ。地面を極限まで力を込めた足で蹴り飛ばし、一気にその距離を詰める。
振り下ろされるギョッルの斬撃は間違いなく、あのスルトすらも凌駕する力を秘めていると確信できる。
確かにその剣は直撃した。
――それがわざとだと気が付くのはその直後。
フリーズの全身全霊の一撃。それをマルテの使い手は、手で受け止めた。武器すらも使う必要はないという、圧倒的な力の差を示す。
その手で刃を握り、そして押し返す。渾身の力を押し返され、体勢を崩すフリーズに、マルテの使い手は神将器の最大出力を伴った一撃を放った。
放出される膨大な光の激流の中で、フリーズの体は白く染め上げられていく。
そして、天変地異の伝説が再現される。
地面を破壊しながら迸る破滅の輝き。飛空城が先ほどまでいた場所でそのエネルギーは蓄積され、暴発する。
そして、爆裂した魔力は変質する。
その場に、天を貫くほどの氷の塔が発生した。
絶句するしかない。
この場にいる誰もが言葉を発することができなかった。
「城は攻撃しないのかい? 逃げられてしまうよ」
獅子王の問いに、マルテの使い手は答える。
「でも……」
地上の話のはずなのに、エクラとアルフォンス、フィヨルムには確かにその声が聞こえる。
マルテの使い手は目を保護しているレンズを外す。そして素顔を上空に見せた。
「あそこにはお兄様とエクラさん、お友達のフィヨルムさんがいますから。むやみに攻撃をしては、危ないです」
「それにしては容赦なくフリーズ王子を殺したね」
「え……知り合い、ですか? あの人」
信じられないものを見た。
良い知らせと悪い知らせがある。まさしくその状況に出くわすことになった。
良い知らせは、シャロンが生きていたこと。
悪い知らせは――シャロンが敵になってしまったことだ。
シャロンは3人を見ると嬉しそうに手を振る。いつか見た光景を想起させる。
つい数日前まで平和だった頃にいつも見た光景。
「お兄さま、エクラさーん、フィヨルムさん! 今、私ロイさんのところでお世話になってます! 見ててくれましたか? 私とっても強くなりました! あのエンブラ帝国から、皆さんを守ります! でも、なんで逃げるんですかー。降りてきてくださーい!」
前と同じように純粋な笑顔をしている。
しかし、それに笑顔で手を振り返す人は誰もいなかった。
アルフォンスは膝から崩れ落ちて何かが壊れた、エクラは、自身のせいだと自責の念を持ち、フィヨルムは未だその事実が受け止められなくて、何も返せなかった。
そして、少し離れた場所でまた、
「私のせいだ……」
と今にも涙を流そうとした少女もいた。
神器同士の激突。序章の山場でした。他に比べ少し長めになってしまいましたが、その分迫力を出したつもりです。いかがだったでしょうか?
次回 23節 アスク王国の軍師