ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~   作:femania

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注意事項

・連載小説初心者です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品です。元と性格や行動が違うことがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・この作品オリジナルキャラも人物描写はスキップしている場合があります。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・作品はほぼオリジナル展開であり、オリジナル設定も盛り込んでいます。

・原作のキャラやストーリーに愛がある方は、もしかすると受け入れ難い内容になっているかもしれないので閲覧注意です

これでOKという人はお楽しみください!



第1章 聖魔反転大陸マギ・ヴァル「魔に堕ちた太陽」
1章 1節 『聖魔反転大陸』-1 


その剣は己が名前。その名を与えられた自分は、帝国の剣として在ればいい。

 

そう思っていた過去を今は否定する。

 

己は剣だ。それに変わりはない。しかし今は自分の守りたいものを守る剣だと思っている。

 

「姉上」

 

目の前の美しい姉。レーギャルンをレーヴァテインは誇りに思っている。自分と違い己の正義と信念を持つ姉を尊敬している。

 

「出撃の準備ができたそうね、レーヴァテイン。準備はいい?」

 

「はい。姉上。私が、守るから」

 

「ふふ、頼りにしているわ。これから先にいるのは、何があるかもわからない世界なのだから、自分を守るのも大切なのだから」

 

「はい。姉上」

 

それぞれが武器を持って、集合場所へと赴く。

 

 

 

途中でスリーズと出会う。彼女は今回、飛空城の守護を担当するため留守番になっている。ナーガからの直々の命令で反論の余地はなく、フィヨルムと行動を共にできないのを残念そうにしていたのは記憶に新しい。

 

「あら、レーギャルン様」

 

「様づけは止してください。スリーズ王女。ここでは共に戦う身ですので」

 

「そうですか? では次から気を付けますね。レーギャルンさん、レーヴァテインさん。いよいよ出撃ですね。私はここから無事を祈っております」

 

「はい。スリーズ王女、どうか城と、その」

 

「ええ、アルフォンス王子のこともお任せください」

 

「……本当は、アスクの役目だとは思うのですけれど……」

 

「エクラさんはすごく忙しそうですからね。出撃の準備だと言って、いろいろと道具を用意して、薬を調合したり、英雄さんといろいろ話し合ったりと忙しそうで」

 

「ええ。少しは任せてほしいのですけれど、自分にできることは自分でするから、私たちには訓練に集中してほしいと強めに言われてはね。まったく、おかしな男です」

 

「姉上、エクラ、言うこと聞かせる?」

 

「いいのよ。彼には召喚士として、私たちの知らない苦労があるのでしょう。これまであの人とは共に戦ったことはないから、今はお手並み拝見としましょう」

 

 

 

 

実はたまたま、王女たちが会話している近くをエクラが通っていた。3人が仲睦まじく話し合うところ遠くから目撃し、エクラは少し感動を覚える。かつての戦いでは決してあり得なかった光景だからだ。

 

今思えばアスク王国での特務機関本部でも、異なる世界の英雄たちが親睦を深めていた。それは当たり前ではなく、素晴らしい奇跡だったのだろうと思い出す。

 

いつ必ず、それを取り戻す。

 

エクラはそう誓い、一足早く集合場所の、飛空城上層部にある広間へと赴く。

 

アルフォンスは今回出撃できない。やはり、そう簡単に気持ちの整理はつかなかったようだ。

 

一度だけ部屋を出て、剣を振っていたところを見たことがあったが、エクラを見た瞬間、

 

「ごめん」

 

とだけ言ってその場を去ってしまった。

 

嫌われたかと思って本当にショックだったことを覚えている。

 

しかし、自分のことなど今はどうでもいい。いち早く、アルフォンスには立ち直ってもらいたい。そうしなければシャロンを救うことは絶望的だと思っている。

 

「今は自分が頑張らないとね」

 

 

 

ルキナは新たに召喚された英雄に挨拶をしていた。その様子を感慨深く、ネームレスが見守っている。見ると少し汗をかいていた。おそらく、最近できた弟子の訓練を今日も行ってきたのだろう。

 

ナーガはエクラの到着と共に、席から立ちあがる。

 

エクラが見ると、先ほど遠くに見たはずのレーギャルンとレーヴァテインが先についていることが判明。

 

(なんで……?)

 

遠回りをしたつもりはないのだが、やはり飛空城の中の移動になれていない分遅いのだろうと思う。

 

そして周りを見る限り、自分が最後の到着であることが判明する。

 

「遅れてごめんなさい」

 

部屋全体に聞こえるよう、エクラは叫ぶ。ナーガは少し微笑み、

 

「構いませんよ、それの準備をしていたのでしょう?」

 

と、遺憾を示すことはなかった。

 

エクラのポーチには、様々なアイテムが入っている。アスク王国の脱出にも使っていたアイテムだが、これから先でもそれなりに使うだろうと思う。

 

そして、

 

「エクラ、先ほど私が渡したものを持っていますか?」

 

「光の加護ですね?」

 

「はい。3つお渡ししました。これで瀕死のダメージを負っても私の魔力で体を全快させます。さらに少しであれば力を授けることもできるでしょう。これを、これから地上に送る3チームに1つずつ渡します。その組み分けはあなたにお願いしますね」

 

飛空城を着陸させるのではなく、ナーガの転移魔法により、聖魔の世界へと着陸する算段になっている。

 

しかし、転移はおおよその場所を決められるものの、精密さには欠けるそうで、もしかすると敵陣の中に転移と言うことも考えられるらしい。

 

まとまって動いた結果、最悪の転移位置でそのまま全滅、ではさすがに笑えないので、ナーガと相談した結果、世界の探索は3チームに分かれて、相互間の連絡役をフェーが行うことになった。

 

危ない世界の上空をフェーが飛ぶのに、エクラは反対したものの、

 

「ワタクシもアスクの伝書フクロウです。お役に立てるところお役に立ちます!」

 

本人ならぬ、本フクロウの強い希望もあり、そのような役割をしてもらうことになった。

 

チームの組み分けは既にエクラが考えている。

 

1チーム レーギャルン フィヨルム ヨシュア エクラ

 

2チーム ネームレス ミルラ 

 

3チーム ルキナ レーヴァテイン マリカ

 

この3チームで動くことに決め、この場で組み分けを発表する。

 

2チームだけ戦力が貧弱という話が出ないわけがない。

 

しかし、当のネームレス本人は満足のようで、

 

「むしろそれの方がやりやすい。軍師の名は伊達ではないようだ。感謝する」

 

とお礼を言われたほどだった。エクラは反応に困ってしまったが、嫌な思いをしていないのならよいと考えることにした。

 

「姉上、一緒じゃない」

 

「まあ、仕方ないわ。ルキナ王女と共に頑張って」

 

「姉上がそう言うなら」

 

多少は文句も出るのは覚悟の上だ。エクラは、それぞれのリーダーである、ネームレスとルキナに光の加護を1つずつ渡す。

 

彼らがリーダーなのは当然、この中で、もっとも頼りになる戦力だからだ。

 

ナーガの加護か何かがあるのかと疑いたくなるほどの能力だった。観察眼で能力を見ていたが、レベルで言えば、70相当はある。アスク王国で見た戦いぶりも納得である。

 

「よろしく頼むわね」

 

「エクラさん。よろしくお願いします」

 

「召喚士。俺を選ぶとは物好きだね。まあ、嫌ってわけじゃないが」

 

 同じチームになった3人に、

 

「これから、よろしく」

 

 エクラは挨拶を済ませる。他のチームも同様に、少しの挨拶を済ませた後、ナーガは話をはじめる。

 

「皆さん。先日の戦いからまだ1週間程度しか経っていませんが、第1の終末世界に到着致しました。ここに覚悟をもって集まってくれたことへ、まずは最上の感謝を。そして皆さんには、終末世界を旅し、その世界と、かのアスク王国を繋ぐ鎖の役割を果たしているものを探してきていただきます」

 

 そう。終末世界と戦うことが目的ではない。優先すべきはアスク王国を救うこと。そのために可能な限りの戦いは避けて通るべきだ。

 

「エクラ、あなたのその召喚器を使えば、召喚した英雄であれば呼び寄せることができます。他のチームにいる英雄も呼び出せます。しかし、送り返すことはできません。それだけは注意を」

 

「はい」

 

「そして、その他の皆さん。終末世界では何が起こっても不思議はありません。どうかくれぐれも気を付けて」

 

 それに反論する者はいない。

 

 いよいよ始まろうとする終末世界の旅。エクラもフィヨルムも不安が募るが、アルフォンスがいない分まで頑張ろうという気だけはしっかりと持っている。

 

必ずアスク王国を救う。その信念はこの場の誰にも負けないつもりだ。

 

「では、皆さん。どうか、『鎖』を見つけてください。アスク王国を取り戻すために。私に力を貸してください」

 

ナーガは一礼をした後、

 

「では転移します!」

 

ナーガは呪文を唱え始める。

 

体が浮遊し始めた。




ようやく始まる第1章

第1章は18節までを目標としています。
今日からは勢いよく投稿する予定なので、一緒に物語を追っていただけれると幸いです。

早速明日も投稿する予定なので、お楽しみに。

by femania

いよいよ始まった第1章。

この話がいいものになるかを問う勝負の物語になるので、今後も何度もシナリオを考えながら、何とか頑張っていきたいと思います。

by トザキ

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