ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~   作:femania

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注意事項

・連載小説初心者です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品です。元と性格や行動が違うことがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・この作品オリジナルキャラも人物描写はスキップしている場合があります。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・作品はほぼオリジナル展開であり、オリジナル設定も盛り込んでいます。

・原作のキャラやストーリーに愛がある方は、もしかすると受け入れ難い内容になっているかもしれないので閲覧注意です

これでOKという人はお楽しみください!




1章 2節 『南へ』-3 

ルネス王国王城。

 

見目はかつてと何も変わっていないその城は、かつて違いただ冷たい空気が流れていた。

 

そして玉座に座っているのは既に、かつての王ではない。

 

「……戻ったか」

 

「はい。ただいま戻りました」

 

「俺はお前に出撃を命じた覚えはないぞ、エイリーク」

 

その男は、今の変わってしまったルネスを象徴する男だと言える。

 

「兄上。民を傷つける行為を、私は他の者には任せられません」

 

「心が痛むのはお前とて同じことだろう?」

 

「でも……私が背負えば、その分不幸な人はいません。私は兄上の妹として、このルネスの王たるあなたに私は逆らいません。ですがその中で可能な限りの悲しみを肩代わりするのは、私にとって国よりも大事な、王族としての使命です。殺すのは私と、私に従ってくれる近衛騎士だけでいい」

 

「……解せないな」

 

いつしか怪しい魔力を身に宿すようになった兄、今もその妖しい気配がにじみ出ている。

 

「お前は何故、人を救おうとする」

 

「何の話でしょうか。私はこの神器、ジークリンデを使い、敵を殺しつくしています。兄上の仰せのままに」

 

「違う。お前は何かを隠している。善良なお前のことだ。おそらく、敵に慈悲を賭けている。街に現れたヴァイスブレイヴの連中を逃がしたのも、お前が俺に隠れひそかに何かを企んでいる証だ」

 

「彼らには逃げられました。お気に召さないのならば、この首を差し出して謝罪します」

 

「必要ない。お前には生きていてもらうつもりだからだ。俺を見届ける役を果たしてもらう。俺の願いは果たされるその時まで」

 

「……」

 

「気に食わない、という顔だな?」

 

「私にはわかりません。兄上。だから私は、納得のいくまで何度も同じ質問をします! どうして邪魔なのですか。ルネス以外の国が。そこに住まう人々が。なぜ兄上には気にいらないのですか?」

 

「気にいらないわけじゃない。だが、必要な犠牲だ。俺は絶対者にならなければならない。そのためには、他の勢力は完全に潰さなければならない」

 

「兄上のどんな理想のために必要な犠牲なのですか! 私は、それさえ教えてくれたら!」

 

「無理だ。お前は俺を理解してはいけない。俺は、お前だけは失いたくない。お前は俺の手の中で、すべてが終わるのを待てばいい。今でもそう思っている」

 

「ゼトを監視につけているのも、それが理由ですか」

 

「そうだ。お前に何かあれば俺は怒りのまますべてを滅ぼすことになる。それは、避けたい。父は戦わずして愚かだったが俺は違う。俺はルネスを継ぎ、すべてを平和にする。そのために、可能な限り、合理的、平和的にこの戦争に勝利する」

 

「人々を殺して得る平和など……」

 

「もういい。部屋に戻れ、エイリーク。お前はそのまま、優しくあればいい。……いいか、すべてが終わるまで、決して顔を晒すな。民たちの前では、決して」

 

「……なぜですか」

 

「必要なことだからだ」

 

ある時を境に何も本心を晒してくれないまま、侵略戦争を肯定し続け、人々の命を尊ばなくなった兄。

 

「兄上……!」

 

「……俺も何度もお前に言う。今は耐えろ。何も納得できなくても、今生きる人々が苦しみを得ようとも、すべては未来のためだ。俺は悩まない。説得もされない。すべてが終わるまでな」

 

エイリークは怒りを露わにしながらも背を向けて、自分の部屋に歩き出す。

 

謁見の間を後にしたところで、またエイリークは後悔するのだ。どうしてあそこで兄にもっと挑まなかったのだろうかと。

 

無理だ。一人では怖い。エイリークそう思った。

 

エフラムの近くには強力な光魔法を操る司祭がいる。今は兄の従者として兄に仕えている。その男がエフラムへの反逆を許すはずもない。

 

そしてなにより、今のエフラムは人ではない。そんな予感は、エフラムを知る誰もが思っていた。悪霊に憑かれている。そう思いでもしなければ、この数年の変貌を説明できない。

 

そんな化け物相手に、1人で立ち向かう勇気はなかった。

 

正直、兄に怯えに近い感情を持っている。それは否定できない。

 

数か月前、エフラムはジャハナの王宮を、その神器の真の力を解放した一撃をもって完全に消し去った。

 

あの光景が今でも頭から離れない。

 

「エイリーク様」

 

騎士の一人フランツが心配そうな顔でエイリークをのぞき込む。

 

「また、あのエフラム様と……?」

 

エイリークは静かに頷く。

 

「……いったい、どうしてしまったのでしょうね。ルネスは」

 

「ごめんなさい。あなただって」

 

「気にしないでください。兄は騎士ですから。エフラム様を信じて今も戦場にいます。兄は何も変わっていません。騎士として国に仕える宣誓をしたあの日から、この命はルネス王国のためにある」

 

エイリークにはその言葉が痛かった。事実で頼りになるはずの言葉であるのだが、それがどうしようもなく不憫に思えた。

 

しかし他人ごとではない。エイリークもまた王族。最後まで国と共に在らなければならない存在。

 

そう。本当は、兄に叛逆しようなどと考えてはならない。王族としてならそれが正しいことで、今のエイリークには何の落ち度もない。

 

「エイリーク様。先日の出撃から働きすぎです。今はお休みください。無茶はいけません。国のために出撃するのは騎士です。あなたでは

 

しかしエイリークは、自分が情けなかった。

 

自分が正しいと思うことをしようともせず、逆に国を信じようともせず、ただ何もできないままうずくまっている

 

なんて非力なのだろうと、エイリークは思った。

 

「そういえば、ゼト将軍が戻っていませんね。いつもはエイリーク様の近くにいるのに」

 

「え……?」

 

嫌な予感がした。

 

まさか、まだ追撃を続けているということか。

 

自分が微かな願いを持って、西へと逃がしたあの不思議な人たちを追っている。

 

理由は明白だ、兄の命令通り、殺すため。

 

(どうか、無事で……!)

 

神器に対抗できる力を持ったあの人たちだけでも、自分の代わりに、この世界にとって正しいことを親友と成してほしい。

 

そう願うことしか、エイリークにできることはない。

 




1章 2節 『南へ』-4

別の連載をしばらくゆうせんするため、少し空きます。
8月15日更新
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