ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~ 作:femania
・連載小説初心者です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品です。元と性格や行動が違うことがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・この作品オリジナルキャラも人物描写はスキップしている場合があります。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・作品はほぼオリジナル展開であり、オリジナル設定も盛り込んでいます。
・原作のキャラやストーリーに愛がある方は、もしかすると受け入れ難い内容になっているかもしれないので閲覧注意です
これでOKという人はお楽しみください!
「とりあえず、今日はここで宿を取ろう」
南へ南下する途中、休息をとるのと情報収集及び備品の整理のために、街を経由することとなった。
グラドとルネスの国境に位置するセレフィユの街。2つを結び、二国の友好を象徴とする街の1つだった。
以前訪れた人里は既に戦火の中だったが、この街には目立った傷はない。
しかし、どうも静かだった。
「街の人々はいないのでしょうか?」
フィヨルムが2,3件建物を見て回るが、中を覗き込んでも住民らしき人物には出会えない。
エクラが嫌な予感を抱く。
「エクラ。もしかしてここ、無人?」
「……みたいだね。仕方ないから、どこか1つ家を貸してもらおうか。無断になっちゃうけど、こっちも休める場所が必要だし」
エクラが近くにあった家を訪ねようとする。
その時、
「何者だ、貴様ら!」
赤い重装を身に纏った兵士らしき男が話しかけてきた。
「盗賊か、勝手に人様の家に忍び込もうとは、グラド帝国騎士の名において貴様らを処分する!」
なんとこちらの言い分無しで、勝手に処分を始めようとしている。
さすがにそんな理由で殺されるのは理不尽にもほどがある。エクラは説得を試みる。
「あの、僕ら旅の者で」
「盗賊はみんなそう言うんだよ。言い訳はあの世でしてもらおうか」
聞く気なし。まいった。エクラは頭を抱えざるを得ない。
「……でも、不思議よね。これじゃあ、本当に誰もいない。これじゃ者も盗みほうだい」
武器を取り出しながらという全く親高に終わらせるつもりのない行動にでたレーギャルンだったが、一方で彼女が選んだ言葉には、何とかしてこの男から何かを聞けないかと気を使っているようにも聞こえる。
そして相手は単純な奴なのだろう。
「ここの街の人間は既に3日前にグラドに避難を終えている。これからこの街も戦場になるだろうからな」
「なぜ?」
「お前ら盗賊は社会に無頓着だから知らないだろうが、ルネス王国がいよいよグラドとの全面戦争を始めるかもという状況だ。何かきっかけのひとつでもあればすぐに始まる」
「へえ、それで。ありがとう」
「さあ、こっちに――」
言うまでもないが、レーギャルンは強い。それはムスペルとの戦いのときからはっきりとしていることだ。
英雄や一部の将軍を除いて、レーギャルンの敵はいない。
たった数秒でそこには気を失っている兵士が一人、という状況も決して不自然ではないのだ。
レーギャルンは全く悪びれもしない。通常運転だった。
「もうすぐ戦場になるのね……どうしようかしら。もしかすると今日って可能性も否定できない。戦いに巻き込まれる可能性もある」
しかし、今朝の出発から休憩なしでここまで来ている。戦時中で野宿はいただけない。大人数であれば見張りを1人用意すればいいが、3人では見張りを用意している余裕もない。少なくとも数時間の睡眠は全員に必要だ。
エクラは考える。
やはり一番問題すべきなのでは自分達への追手の有無。追手が来れば戦争開始の種火になることは間違いなし。しかし、確認する方法はない――。
「いや……」
そうでもないかもしれないとエクラは思う。フェーは3日に1回、自分たちの元へと飛んでくることになっている。そして、行動初日は自分達のところに来る予定だ。そこでフェーに上空から追手の有無を確認してもらうという手は使える。
「危ないけれど……これしかないな」
居れば即座に出発、いなければ休憩できる。幸い定刻までもうすぐなので、それまではこの街で、待機で良いだろう。
2人にもその旨を伝えて、同意をもらい、とりあえず体を休めるため宿屋らしきところを無断ではあるが使わせてもらうことにした。
宿は体を休めること以外はできなさそうなシンプルなつくりだったが、今のエクラたちにはそれだけでも十分だった。
エクラは特に戦いの後である2人にはしっかり休んでほしいと願っていた。
しかし、ここは敵地。残念ながらそううまくはいかない。
外が騒がしいと気が付いたのは、残念ながらフェーが到着する前だった。
「全員位置につけ!」
宿の外をエクラが見ると、先ほど気絶させた兵士と同じ色の鎧を着た兵士が数多く街を駆けまわっている。
「ルネス軍が来る!」
「なんだって、こんな夜中に」
「誰かを追ってたという話だったが」
「今は関係ない! とりあえずこの街を拠点とされるわけにはいかない。グラド帝国の威信にかけて、絶対に敵軍を殲滅するぞ!」
エクラが気になったのは、『誰かを追っていた』という兵士の証言だった。
追われていたのは自分達。そして追ってきたのは、間違いなく先に戦闘をしたルネス軍。
(追って来ていたのか)
レーギャルンの使役する竜は、自分たちを乗せてすさまじい速度で離脱をしてくれたため、あわよくば振り切れたかとエクラは思ったがそんなことはなかった。
「仕方ない……」
迎撃となれば自分達だけでは心許ない。
ヨシュアを呼び戻すことにした。神器を片手に、宿の中でも広い入り口のところで。
しかし、その入り口でまたも問題が発生する。
宿に侵入者が来た。
「……お前たち、何をしている」
ものすごい怖い顔でエクラは睨まれた。そのせいか、
「あ、えーと、ちょっとここを宿にさせてもらってて、旅の者なんですけど、その、あの、えーと、なんかこの街誰もいなくて、疲れれたから少し休ませてもらってて、ああ、もちろんお金は」
焦ったエクラは歴戦の軍師とは思えないような慌てぶり。今自分を守ってくれる戦士は誰もいないので、仕方ないと言えば仕方ないが。
しかし、ここに現れた威厳ある年の重ね方をした見目の戦士は、しばらくエクラを見ると、
「む、陛下のおっしゃる通りの身なり、予言が正しかったとでもいうのか……?」
と意味深なことを呟いた後、
「ここは危険だ。後にグラドへとお前達を送り届ける。それまで、ここから出るな」
とだけ言うと、外へと戻っていった。
何とか話が通じたかと、一安心するが、よく考えると、敵側が建物内を襲撃しに来ることは十分予測の範囲内だと気づく。
「……申し訳ないけど二人を起こしに行くか」
ヨシュアを呼び戻した後、エクラは二人を起こしに行くことに決めた。
1章 3節 『セレフィユ防衛戦』-1
仕事が思ったより忙しいぞ……書く時間と体力が……ない。
次回は25日に投稿と言うことにさせてください。
by femania