ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~ 作:femania
・連載小説初心者です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品です。元と性格や行動が違うことがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・この作品オリジナルキャラも人物描写はスキップしている場合があります。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・作品はほぼオリジナル展開であり、オリジナル設定も盛り込んでいます。
・原作のキャラやストーリーに愛がある方は、もしかすると受け入れ難い内容になっているかもしれないので閲覧注意です
これでOKという人はお楽しみください!
ここから出るな。
先ほどの老兵から述べられた警告があったものの、何もせずに待っているということはできない。
フィヨルムとレーギャルンは再び戦闘準備をしている一方で、戻っていたヨシュアがエクラの待機の時間を減らそうと気を使ったのか昔話を始める。
「セレフィユか。懐かしいな」
「何かあったの」
「ああ、正史世界での話になるが、この街ではいろんな奴と出会った。……ああ、前はグラド帝国が脱走者のシスターを追ってきたんだったか。俺はそいつと賭けをして、向こうが勝ったから助けてやった」
「向こうが負けてたら?」
「殺してたな。当時は傭兵でね、金を稼ぐ身だったし、人を殺すのにも慣れてたから、容赦なく任務を遂行しただろうな。もっとも、あの時負けておいて正解だった。賭け毛で勝ち馬に乗れたし、国に戻るきっかけもできた。今にして思えば、悪くなかったのかもな」
「そんなことが……」
「さて、エクラ。そろそろ敵も来たみたいだ。とりあえず俺達がすることは、この寝床を守ることだな?」
エクラは頷く。
「よし、了解した。さっきはエイ……向こう側の将軍と賭けをしてたから。今度は真面目に戦うとしよう」
そう言うと、ヨシュアは外へと出る。
「え、なんで」
「俺は剣なんでな、ここに近づいてくる奴を斬り捨てるくらいしかできない。俺を気にする必要はない。お前は、二人のお姫様をサポートしてやれ、ただでさえ、お前は戦えないんだからな」
アウドムラを片手に外へと躊躇なく飛び出していくヨシュア。
ああは言っていたものの、エクラはただ隠れているつもりはない。2階へと移動し、見晴らしの良い場所で。戦況を見極めるつもりだった。
しかし、さすがに護衛が無しなのは心許ないので、
「フィヨルム、護衛お願い……しますぅ」
フィヨルムに自分の身を守るよう願い出るのだった。結果、エクラとフィヨルムは2階から外の様子を見つつ戦況を確認する役、レーギャルンは宿屋に侵入してきた敵の撃撃、ヨシュアは外での迎撃と言う形に落ち着いた。
街一杯にグラドの兵士が広がるのは戦いが始まる前兆というべきか。
「ふぇー!」
そしてタイミング悪くここにきてしまった、3チームの相談役であるフェーに、外の様子を逐次伝えるよう懇願し、エクラは自分の見えないところの戦況を報告してもらう。
「街に多くの兵隊さんが近づいていますぅ……」
「敵将は?」
「ふぇー、その……ゼトさんのように見受けられまたぁ」
「何か言ってた?」
「ゼトさんは言っていませんでしたが、兵士さんは皆さんを探してるようで、見つけたら殺せと……」
「兵の種類は?」
「騎馬隊が中心になっていますぅ」
「弓は、飛行兵は、魔法兵は?」
「ペガサスさんやドラゴンさんはいないようでしたが、すみません、細かいことはぁ」
「分かった、ありがとう、引き続き上から情報を頼む」
「了解しました」
再び上空へと飛んでいくフクロウを見届け、エクラは街の入り口の方を見る。
「エクラさん。弓と魔法は任せてください」
「頼む。飛行兵がいないのだけが救いだったね。ここに一斉に来られたらおしまいだった」
セレフィユの街は高い壁に覆われていて、街の外の様子はここからでは見づらいという事情がある、フェーという偵察役は大きな意味を成すだろう。
下ではグラド帝国の兵士が動き始めている。すでに完全武装で、全員から緊張感が伝わってきていた。
「敵襲! 敵襲!」
そして宿屋に近くに陣取る兵士たちに、巡回兵が将軍の命令を伝える。
「侵入確認! 侵入確認! 敵はルネス、ソシアルナイトとパラディンを主体とする機動兵団! 敵将ゼト。全員、専守防衛! 敵の兵力を低下させるまで、損傷を押さえて撃撃せよ! 戦闘準備!」
巡回兵の指示に大きな威勢の良い声で返事をしたグラド軍が全員武器を構える。
爆発。連続する激しい金属音が聞こえてきた。
セレフィユでの戦いは、今始まったのだ。
1章 3節 『セレフィユ防衛戦』-2
次回はまた他の連載を優先するので、少し遅れます。