ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~ 作:femania
・連載小説初心者です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品です。元と性格や行動が違うことがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・この作品オリジナルキャラも人物描写はスキップしている場合があります。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・作品はほぼオリジナル展開であり、オリジナル設定も盛り込んでいます。
・原作のキャラやストーリーに愛がある方は、もしかすると受け入れ難い内容になっているかもしれないので閲覧注意です
これでOKという人はお楽しみください!
――混沌渦巻くマギ・ヴァルの大地で、戦いは苛烈を極めていた。未だ目的が判明しないルネス王国。その騎士団長であるゼトの追跡を受け、セレフィユの街へと身を隠した。しかし、かの騎士団長の追撃をまくことは叶わず、望まない形でセレフィユの街は戦場となる。エクラたちは、ルネス最強と呼ばれるゼトの黒騎馬兵団の襲撃の中を生き残れるか――
「侵入されました!」
「各位! 持ち場を守れ! 専守防衛! デュッセル将軍とその遊撃軍が持ち場を巡り各個撃破に向かう。それまで耐えろ! 作戦通りに動け!」
この戦いで成すべきことは2つのうちどちらか。
ルネス騎馬兵団に勝利するか、自分たちが戦場の混乱に乗じてここから去る事。
去る場合はグラド兵を見捨てることになる。
しかし、エクラは、それはだめではないかと、なんの根拠もない予想をする。
先ほどここから出ないようにと宣言した老兵は、どうも自分たちには敵意がないように思えた。戦いが終われば情報を聞き出せるかもしれない。
今は終末世界の情報が少しでも多く欲しい。老兵に話を聞くことができれば、この世界の今の状況が判明したり、これからの自分達の指針が固まったりする可能性もある。逆に逃げ出せば命は保証されるが行く当てもなく彷徨うだけだ。
もとより命を賭ける覚悟はできている。
エクラは宿の二階から攻めてくる人々を見る。
一瞬でも姿が映れば相手がどれくらいの強さなのかを把握できるのが、エクラの戦いに役立つ唯一の特技だ。
(相手は騎馬兵が中心。弓持ちか。……ロングボウ?)
聞いたことのない弓の名前だったが、形状とその特性を見極められるのもエクラの力だ。
(射程3で遠距離反撃無効……そんなバカみたいな弓を普通の兵士が持っているのか……!)
フィヨルムのレイプトは遠距離反撃を有するが、恐らくその弓は遠距離というより狙撃に適した弓なのだろう。近距離用の銀の弓を持っているのがその証拠だと考える。
「来たぞ!」
街を黒の馬が駆ける。
ルネス騎馬兵団の1小隊が宿屋へと近づいてくる。
外をヨシュアが守っているはずだが、宿の周りにはアーマーナイトを主体とする守備兵が迎え撃った。
「放て!」
前方を走る騎馬弓部隊が狙撃を開始、ロングボウの遠距離射撃を始める。しかし、分厚い鎧を守ったアーマー部隊に弓による攻撃はほとんど意味を成さない。
「まずい……!」
エクラはその射撃の意味を理解する。
ボウナイトは前方の3割。残りがマージナイトで構成されている。マージナイトは魔法を使える騎馬兵の総称。
「放て!」
マージナイトはアーマーナイトに炎の球を撃ちだすと同時にセレフィユの街の建物に攻撃を始める。その調子で宿まで近づかれてら自分達にも被害が及ぶことになるだろう。
さらに懸念を持つべきはアーマーナイトの弱点である魔防の低さ。威力がほとんどない魔法であっても、マージナイトのもつ魔力と魔防の低さの相乗効果で、宿を守っている一団は大被害を被るだろう。全滅もありうる。
マージナイトが持っているのはエルファイアー。もはやアーマーナイト達に助かる道はない。そうなれば自分たちは孤立し、迫る騎馬兵たちをたった3人で相手にしなければならなくなる可能性がある。
「フィヨルム」
「はい?」
「このままだとあの人たちが全滅する」
「助けにいきますか?」
「ああ。このまま隠れてもあぶりだされる可能氏が高い。やむを得ないけれど、外に出て、目の前のグラド兵と協力する。まずは迫ってくる敵を何とかしよう。レーギャルンにも伝えに行くから、フィヨルムは先に外へ」
「分かりました」
神器の能力なのか、2階から飛び降りても特にたいしたことのないフィヨルム。エクラはそれを確認し、1階で待機中のレーギャルンを目指し走り出す。
「ああ、いけません!」
戦場に到着し、前に出ようとするところを、アーマーナイトながら女性であるグラドの兵士に話かけられる。顔も鎧で隠れているため、良く見えない。
「皆様の命は将軍よりお守りするよう仰せ使っています。どうか我々の後ろに!」
しかし、
「それでは、私の気がすみません。皆様のお手伝いをさせてください」
彼女の話をやんわりと断り、フィヨルムは前に出た。
「レイプトよ、応えて……!」
放たれた魔法を前に、レイプトの力を解放する。
氷の聖鏡。フィヨルムが得意とする対遠距離用の防御盾を展開する奥義。そして受けた力や魔力の一部分を自身の力に変える。
エルファイアーの氷の鑑で受けるフィヨルム。完全に防げるわけではないため、徐々にその顔が曇るが、魔法を受けきった後、フィヨルムはレイプトの矛先を相手へと向ける。
刃は白く輝き、冷気を纏ったレーザーが射出された。
その攻撃は魔力を帯び、相手の戦闘の騎馬に直撃。炸裂する。瞬間、戦場の気温を数度下げることとなる。
魔力の拡散と冷気により、霧のような煙が発生する中、アーマーナイトの後ろから飛び出す一つの影。氷剣を持ったヨシュアだった
霧が晴れた瞬間に、その男は騎馬兵に肉薄していた。
「恨むなよ……?」
神器である剣をもって、馬の足を止めてしまった兵団の中に入ると、次々に馬の脚と兵士の脚を斬り裂いていく。
一定時間の間におよそ半分のルネス騎士を行動不能に陥らせる。
「ヨシュアさん!」
「なんだ?」
呼ばれ、一瞬、アーマーナイトのグラド兵1隊の動きを見て、ヨシュアはその場を離れる。
直後、やや接近したアーマーナイトの兵隊による手槍の投擲が行われる。十分な重さを持つその攻撃を受け、マージナイトの数を4割減らすことに成功した。
「距離を取れ! 体勢を立て直す!」
一番後ろで指揮をしているルネス騎士の号令により、魔法での牽制をしつつ後退を始めた。
しかし、空から退路を塞ぐ影が。
「な……」
「間に合った」
竜に乗っていた女性と、その裏のフードを被った存在。見慣れない武器のようなものを取り出すと、フィヨルムに向けて撃ち放つ。
フィヨルムはそれを迷いなく受けた。それは特効薬の効果を封入した魔力弾。フィヨルムが受けていただろうダメージはみるみる回復していく。
「エクラさん。ありがとうございます」
レーギャルンが再び騎竜し、武器を構える。
「エクラ、皆殺しでいいのね? 完全にルネスを敵に回すことになるけど」
「自衛のためってことで」
「分かったわ」
ルネス騎馬兵団を完全に挟んだ形になった。
ここまではエクラの読み通りである。さすがという顔をするヨシュアだったが、直後、挟撃の状態にしているルネスの騎馬兵と真逆の方をむく。
「召喚士、そううまくはいかないようだ。そっちを任せるぞ」
ヨシュアは反対側を向く。
その先から新たなルネス騎馬兵団。そしてその先頭にはヨシュアが見覚えのある顔を発見する。
「あれはエフラムの従者の……カイルか?」
禍々しい黒を纏う馬に乗ったその男は、後ろの騎馬兵に言う。
「全員、突撃!」
グラド兵のアーマーナイト一団が挟まれた形に早変わりした戦場は、混沌の様相を見せることとなる。
次回 1章 3節 『セレフィユ防衛戦』-3
今日からすこしずつ再開していきます。