ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~   作:femania

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しばらく失踪してすみません。

私事が忙しすぎて、過労で倒れるのも嫌だったので、しばらくこれを封印していました。

またローペースでも再開していきたいと思います。

by femania



1章 3節 『セレフィユ防衛戦』-4

 

将軍同士の一騎打ちが行われている。というよりも繰り広げられている戦いのレベルが高く、他の兵士がついていけないというのが現実だ。

 

一方はゼト、見たことのない黒の槍を片手老兵に怒涛の攻めを行う。対し、もう片方は宿から出ないようにエクラたちに警告した老兵だった。

 

その老兵こそ、ただの腕のいい兵ではなく、グラド帝国、デュッセルだった。

 

その戦いぶりは本当に、先ほどの老兵とは思えないほどで、大盾を片手に、相手の槍戟を防ぎつつ、己の槍で的確に相手を狙う。

 

騎馬に乗りつつの攻防はほぼ互角。このままでは勝負がつかないと考えたゼトは手に取った魔槍の力を解放する。

 

「ぬ……!」

 

「覚悟」

 

明らかに盾で防いでは危険な一撃が来る。そう思った将軍は馬を急停止させ、相手の出方をうかがう。

 

ゼトの持つ槍から一撃。大気を斬り裂く魔力の棘が放たれた。デュッセルは馬から飛び降りることでそれを何とか躱す。馬も示し合わせたかのように、将軍の落下後すぐに走り出し、己が貫かれる運命から脱出する。

 

(……!)

 

さすがに今の意表を突いた攻撃を全く無傷で切り抜けられるとは思っていなかったようだ。予想外の展開に思考を一時停止させられたゼトに、デュッセルは向かう。

 

しかし、黒騎士兵団の将の思考の切り替えは早く、すぐに反撃へと転じようとするが、それを見かねたデュッセルが、何かを感づいたのか接近をやめ再び警戒する。

 

激闘の最中、多くの敵部隊を切り抜けてきたエクラたちは、ようやくそこに到着し援護のため加勢しようとする。

 

「……特務機関……! これは分が悪いか」

 

ゼトは魔力をためていた黒い槍を収めると、その場を撤退し始める。

 

「逃げるのか?」

 

老将の声にゼトは、

 

「ええ。確かに特務機関を逃がすのは惜しい。しかし、貴方を相手取りながら、特務機関と戦えると思うほど私はうぬぼれていない。生憎、私はまだ死ぬわけにはいかない身。そちらが追ってこない限り、私は確実な生存を選択する」

 

ゼトは部下に撤退を指示しながら自らも街から離れていく。

 

「……まあ、いろいろ言いたいことがあるところだが。まずはこれをお前さんに言うべきだよな」

 

ヨシュアが納得のいかない顔でエクラに尋ねた。

 

「どうする召喚師? 追うか?」

 

「コインで決めないの?」

 

「あ、ああ。いつもの俺ならそうしてる、良く分かっているじゃないか」

 

 エクラが自分を分かっていることに満足げな笑みを浮かべながら、

 

「どうもこの世界はきな臭い。さっきのカイルといい、今の黒いゼトといい。今の俺は特務機関に力を貸すための、召喚された英雄だ。だから、無謀はしないさ。お前らに力を貸すためにな。その代わり、一つ賭けないか?」

 

「何を?」

 

「これからのことだ。このグラド兵と共に行動するか、お前を決めかねていたところだろう。こいつらとはただ成り行きで一緒になっただけだからな」

 

「表。当たったら一緒に行動する」

 

「おーけー。裏だったらこの場を去る、な?」

 

ヨシュアは日頃から持ち歩いているコインを投げる。コインは空中で回転し、ヨシュアはそれをキャッチする。

 

「ああ、表だ。安心しろ、何かあったらお前は全力で逃がしてやるさ。納得いくまでデュッセルの爺と話をして来い」

 

ヨシュアの気遣いに感謝し、ゼトとの戦いをそこで中断する決意をする。敵の撤退を確認して、同行していたフィヨルム、レーギャルンに特効薬を使いながら、今の戦いを振り返っていた。

 

 

 

 

 

 ヨシュアが少し離れたところから、見守る中、特務機関の代表としてエクラとフィヨルムがデュッセル将軍に話しかける。今後の行動を共にさせてほしいと願うために。

 

「そなたらか」

 

「はい、デュッセル将軍。私は」

 

「その名で呼ぶとは、ではこちらも態度を繕うのはやめよう。みなまで言わずとも、そなたらの正体は知っている。正史世界からやってきた特務機関ヴァイスブレイヴの諸君らだろう」

 

「何故それを?」

 

「我らグラドは優秀な予言者を擁する。そなたらが来ることを我らが皇帝はあらかじめ承知していた。この暗黒の時代を照らす光になるやもしれぬと」

 

思ったよりもスムーズに話が進みそうでエクラは安心して、次の一言を言うことができた。

 

「特務機関はこの世界についてよく知る必要がある。デュッセル将軍、どうか、同行の許可を」

 

「軍師殿。こちらから願う。皇帝リオン様は今、そなたらを待っている。どうか我らに同行してほしい」

 

そして、将軍と言う安心できる地位の人間にグラド帝国へ行く許可と同行という案内をもらい、エクラと特務機関の旅路に1つの光明が差された。

 

 

 

特務機関は戦後処理を手伝うとともに、グラドへと向かうことになった。

 

「エクラさん」

 

「フィヨルム、何か?」

 

「よいのでしょうか? グラド帝国は正史世界では戦乱を起こした国です。安易に信頼しては危ないでは?」

 

「かもしれない。けれど、行こう。もっとこの世界を知らないといけない。国に入れればきっと多くの情報を得ることができるはずだ」

 

フィヨルムにはそう言いながらも、その警告をしっかりと心に刻む。

 

こんなとき、仲間がいることが、エクラにとってとても心強いことのように、エクラは思う。

 




次回 1章 4節 『皇帝リオン』-1
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