ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~ 作:femania
・連載小説初心者です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品です。元と性格や行動が違うことがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・この作品オリジナルキャラも人物描写はスキップしている場合があります。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・作品はほぼオリジナル展開であり、オリジナル設定も盛り込んでいます。
・原作のキャラやストーリーに愛がある方は、もしかすると受け入れ難い内容になっているかもしれないので閲覧注意です
これでOKという人はお楽しみください!
村の包囲を切り抜け、マグダイルが全滅した後、残りの魔物を殲滅するのにそう長い時間はかからなかった。
エクラとヴァイスブレイヴの一行はこの場を何とか勝利で収める。
しかし、グラド軍にも大量の被害が出て、もはや一刻も早く帝都へと向かうことが急務となった。休むことなく行軍は再開され帝都を目指すことに。
「思ったよりも強かったわ」
レーギャルンの初めての魔物戦での感想。彼女はそう言うのなら謙遜なしで魔物は油断できない相手であることをエクラは感じ取る。
「まあな。連中は元の世界で戦った時とそん色ない強さだった。なら、この強さも頷ける」
ヨシュアが話に乗る。
「それにしてはあなた、ずいぶん楽そうに倒していたわね」
「ああ、それはそうだろう。なにせ双聖器は元々魔を祓う武器だ。魔物には特別な力を発揮するのさ」
「さっきの司祭と同じように?」
「いや、そうでもない。知り合いに見目悪くない司祭がいてな。そいつが言うには、司祭は祈りによって得た聖の力をぶつけるのに対して、双聖器は武器そのものに聖なる力とやらが宿っているらしい。胡散臭い話だがな。まあ、それを信じないでいたら、5回連続で賭けに負けて、かと思ったら少しでも信じたらまた勝てるようになった。こりゃ本当かもなってな」
「あなた、それでその話を信じたの?」
「まあ、たまには自分の行動を天に任せてみるのも悪くない。大切なことを見失わなければ意外と楽しく生きられるぜ?」
「私には無理そうね」
ヨシュアの人となりがまた少し理解できたところで、デュッセルからエクラに話があった。
「おぬしら。森を抜ければグラド帝都はすぐそこだ。あらかじめ言っておくが、ついても気を抜くでないぞ。おぬしらにはそのまま、城へと赴いてもらう、我らが陛下、リオン様との会見をしてもらう」
「リオン……様か」
さすがに独り言でもこの世界で様ナシはまずいだろうと唐突に様をつけたエクラ。
アスク王国がまだ奪われる前の話、英雄としてのリオンは召喚されていた。
しかしそのリオンからは一刻を守目あげる威厳と非情さはうかがえなかった。本人も自分は皇帝には向いていないだろうと言っていたほどだ。
エクラには、本物の皇帝になっているリオンの姿が想像できない。
それだけに、この先にあるというグラド帝国で自分たちに何が待ち受けているのか、想像もつかないというものだ。
一行はついにグラド帝国の帝都へと到着する。帝都は城塞都市となっていて、街一つが要塞としても機能するように都市が出来あがっている。
「ご無事の帰還、何よりでございます! 将軍」
「うむ。だが兵には犠牲が出た。我らは故あってすぐに城へと向かわねばならん。後のことは任せるぞ。ゲイト」
都市の城門の門番がデュッセルの後ろに待機しているエクラを見て一礼する。
「ようこそグラドへ。魔物に抗う意思を持つ者を心より歓迎します。どうか、長旅を癒し、明日からの生活の迎えてください」
とても雰囲気の良い門番に出迎えられ、エクラたちは門をくぐる。
「これは……」
フィヨルムが驚いたのも無理はない。
魔物はすでに幻の存在ではなく実際に国の脅威となっていることや、ルネス王国の侵略戦争の話もあるにしては、グラドの国民の雰囲気は、少し見渡すだけで、全く暗くなっていないことが分かる。
「こっちの野菜はやすい! 見てけ見てけ!」
「オヤジぃ、なにダジャレっぽいこと言ってるんだよ、ははは」
「ねえねえ、今度はあの壁まで競争しようぜー」
「いいよ。よーい、どん」
「お前、それフライングだぞぉ!」
「次は南の区域だな。衣服に傷はないか?」
「兵士さんすぐ破くからなー」
「文句言わない。私たちの代わりに戦ってくれるんだから」
見た目だけではとても戦争中の国とは思えないほどだ。
街の中央の幹道、城へと続く広い一本道をデュッセルの後ろをついて行きながら歩くと、さすがに将軍は目立つようでところどころ将軍の名前を呼ぶ男の子供の声が聞こえる。
そしてその後ろに居る、この国とは全く装飾が違う服を着た自分達を見て訝し気な顔をするのは無理もない。傍目から見れば彼らは将軍に連行されているようにも見えなくもない。
もっとも、その理論は自分達が全く拘束されていないという指摘で解消されるのだが。
それはさておきとして歩きそのそびえ立つ巨大建築物が近づくにつれ緊張も膨れ上がる。
アスクの者と違い、グラドの城はもはや要塞に近い印象を受ける。城としての豪華さはある反面、余計な装飾はなくむしろ頑丈さを誇りとしているかのような見た目は、まるで巨大な山か何かなのではないかという印象まで受けるほどだ。
兵士に怪しまれながらもデュッセルが堂々と連れていく様子を見てそれを咎めるものはいなかった。それどころか皆背筋を伸ばし名将の帰還を出迎えている。
城の中はそれほど複雑な構造はしていない。さすがに真っすぐ行けば謁見の間というわけではなかった。王が座す謁見の前はかなり上の方に構えられているようで、およそ数階分昇ったところでいよいよ、皇帝がいるとされる謁見の間へとたどり着いた。
「緊張しますね……」
フィヨルムがそう思うのにエクラは何の違和感も覚えない。
この扉の先から、なにかとてつもない威圧を感じるのだ。
謁見の間の扉を開ける。
間は広く、一部屋とは思えないほどの空間が続いていた。
そしてその奥に、玉座に腰を下ろしながら政務に勤しむ青年が一人。
「次だ。ジャハナに向かわせた調査団の報告を」
「は。調査団は王都から離れた村で魔物に脅かされている村を発見。救援物資を要請しています」
「彼らに避難の意志は?」
「ありますが、いかんせんアークピグル種が多く、手出しが難しい状況かと」
「飛行兵団を主戦力に避難隊をすぐ編成せよ。指揮はクーガーに任せろ。……いや必要な兵が居れば多少の融通は効かせていい。村の備蓄と情報を要求してくれ。今は少しでもあのあたりの詳しい地形の情報が欲しい」
「すぐに」
「次だ。ノール。北東の農耕地区の生産はどうなっている。魔道部門の研究成果による異季作物の結果が出る頃だろう」
「まだ確実な意見は出ていませんが、恐らく向こう一か月の住民の食糧は維持できる量を」
「そうか。では収穫のための人数を増やせ。街で募れば有志が集まるだろう。兵士は質で選び後は見習いに機会を与えよう。有志の人々に土産を渡すのを忘れるな」
「はい、すぐに指示を」
フィヨルムは、アスクのリオンを見たことがあるからこそ言う。
「あれが皇帝リオン……」
表情が険しいのもあってか、リオンという感じはしない。
「陛下。黒曜石、デュッセル様がお帰りになられたようです」
近くにいるノールと呼ばれた魔術師がこちらに気づき皇帝へ献言を行った。
デュッセルはその場で皇帝を前に、正しい礼を行おうとしたが、
「デュッセル、一度外で待機せよ」
「陛下……?」
「なに。お前を咎めるつもりはない」
リオンは玉座に近くにおいてあった斧を軽々と片手で持り、もう片手で魔術所を持つ。
「貴様らがこの世界を変える特異点。ヴァイスブレイヴか。名乗る必要はない。僕はすでにお前達が来る未来を知っていた。そしてエクラ、貴様の名もな」
エクラとその後ろに居るフィヨルムとレーギャルンを見てリオンは宣言する。自らが座していた椅子からゆっくりとこちらに近づいて、
「貴様らの力量を確かめてやる。生き残りたくば構えるといい、異邦からの旅人よ」
思いっきり戦う宣言をしたのだ。
次回 1章 5節 『最後の国グラド』-1