ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~   作:femania

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ついに1章で書きたかった節まできたぞ……! 激突はぜひ熱く書きたい。


1章 6節 『皇帝と魔王―激突』-1

「おらーエクラ、おそいー」

 

「まってぇ、よー」

 

 今日も元気に子供たちの相手をしていたエクラ。しかし、街中を走っていた道中、配達業務から店員と共に帰ってきている途中と思わしきフィヨルムに遭遇する。

 

「あ、エクラさん」

 

 最近はエクラの希望もあり、様呼びをやめている彼女のぎこちなさもなくなってきた。

 

「フィヨルム。お疲れ様」

 

「あ、はい。いえ、そうじゃなくて、先ほどデュッセル様に会いまして。至急王城へと向かってほしいと。今私も、荷物を取りに一度店に戻ってから向かうところです」

 

「え、そうなの?」

 

 子供たちがむくれ始める。

 

「えくらー! 逃げるなー」

 

「ばーかばーか」

 

「ぇえ」

 

 引っ張られるエクラ。

 

「こら! やめなさい。今からエクラさんはお仕事なのよ」

 

 それを叱り止めたのはフィヨルムと共に行動していた女性だった。

 

「うう。おねーちゃんこわいよー」

 

「代わりにお姉ちゃんとかくれんぼよ」

 

「ほんとー。よーし!」

 

 子供たちは勢いよく走り出した。ため息をついてその子供たちを見送る女性。

 

「ありがとうございます」

 

「いいえ。いつもフィヨルムさんにはお世話になっているもの。これくらいはお手伝いしますよ。それより、大切なお仕事でしょう。頑張ってください?」

 

「はい」

 

 エクラは女性に感謝して、フィヨルムと共に王城へと向かう。

 

 道すがら、

 

「軍師のおにーさん。明日はうちで働いてくれよ。お小遣いはずむぜ」

 

「お嬢さん、明日はうちにこない?」

 

 いろいろな店からのオファーを受け、徐々に街の人々に信用されてきたことを実感できた。フィヨルムも満足そうに笑みを浮かべている。

 

 

 

 王城の謁見の間では。デュッセルとセライナが魔導師としての武装をしているリオンの前で待機をしていた。

 

 エクラは家で待機していたヨシュアとフィヨルムと共に、久しぶりに見える謁見の前へと足を踏み入れる。

 

「噂は聞こえてくるぞ。ヴァイスブレイヴ。随分とこの街にも馴染んできたようだな」

 

「はい。皆さんによくしていただいてます」

 

「それは結構。お前達の働きと存在は、先行きが不透明で不安を持っている民たちにも良い影響をもたらしているだろう。その点は感謝している」

 

 リオンは話の転換を行うことを、表情を険しくすることで伝えた。

 

「さて、エクラ。今回はいよいよ、お前達に出撃をしてもらいたい件ができた。我らの同胞として十分な働きを見せているお前達に、いよいよ武功をたててもらいたい」

 

 それは以前、手は借りないと言っていた頃に比べれば、随分と自分達への当たりが柔らかくなったことを意味していた。

 

 ようやく来た特務機関としての行動のチャンス。エクラにも気合が入る。

 

「はい!」

 

「いい返事だ。では詳細だ。これより我々は陸軍の2割、空軍の2割を用いて、北にある水城レンバールを占領する」

 

「レンバール」

 

 セライナが地図を広げ、エクラたちに見せた。リオンはその地図を用いて、グラドから北西方向にある城を指さす。

 

「ここは現在、ルネスの拠点の1つとして、さらに上にある要塞と2重の構えで、我らグラドと旧フレリアの間の交通を堅く禁じている」

 

「なぜでしょう?」

 

フィヨルムの質問にデュッセルが答えた。

 

「フレリアは王城こそ占領されたが、現在も双聖器の使い手である王族2名を中心とした抵抗軍が存在している。我らグラドとしては、彼らと協力関係を結び、魔王に対する切り札としたい」

 

 セライナが補足をする。

 

「向こうもそれに乗るでしょう。今まともに衣食住が保証できる場はこの国しかない。抵抗軍が抱える人々を守ることを優先するはずです。あの国の今の統率者、ヒーニアス殿はやや気難しい方だが、聡明です。望みは高いでしょう」

 

 そしてリオンが再び説明を本筋に戻す。

 

「故に、水城レンバールの制圧を、フレリアとの道を繋げる第一歩とし、ゆくゆくはフレリアまでの道を拓く」

 

 エクラは狙いは理解できた。

 

 魔王と戦うために双聖器を集めるのも理にかなっているとはいえる。

 

 しかし1つ解せない点があると知れば。

 

「リオン様も出撃するのですか?」

 

「ああ」

 

 デュッセルが眉間にしわを寄せているのはそのせいだと、ヨシュアとエクラは納得する。

 

「おいおい、いいのか? 今はまだ王様が無理する時期じゃないだろうに」

 

「ヨシュア殿の言う通りだ。私は反対です陛下」

 

 しかしリオンはデュッセルの提言を一蹴する。

 

「敵将はルネス王国将軍のオルソン。それだけならいいが、今のルネス軍はどうも怪しい。僕は、それを見極めなければならない。ルネスの兵は本当に人間のままなのか、それとも間に取り込まれた全く別の存在になったか」

 

「それは、我々だけでも」

 

「そうだな。それはお前の言う通りだ。だが、どうも寒気がする。この戦いだけは、僕が出なければいけない。そんな気がするんだ。だから、何を言われようと、決定を覆すつもりはない」

 

 リオンは強く言った後にエクラに向けて命令を出した。

 

「デュッセルは僕の近衛を指揮する。今回君には、セライナと共に、レンバール攻撃部隊の指揮をしてほしい。地上部隊の1割がお前の命令生死が決まる。大役だ」

 

 エクラにプレッシャーを与えるリオン。

 

 しかしエクラも軍師。数々の戦いでアスク王国の兵士や英雄の明暗を分ける戦いを超えてきた。

 

 この程度、覚悟はすでにできている。

 

「やります。そのためにここにいるんだ」

 

「よく言った。では、輝かしい活躍を期待している。出発はすぐだ。武器と防具を整え、城塞都市の門の外へ集合せよ! すでにお前達の仲間の1人、レーギャルンは向かっている」

 

 エクラとフィヨルムは、息を合わせ、

 

「はい!」

 

 威勢よく返事を返した。リオンはそれを満足そうに受け取った。

 




次回

支援会話 デュッセル&エクラ C

1章 6節 『皇帝と魔王―激突』-2

エクラ「誰と(支援)会話をしようか?」

  • フィヨルム
  • レーギャルン
  • ヨシュア
  • デュッセル
  • アメリア
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