ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~ 作:femania
久しぶりに時間がとれたので、つづきです。
リオンを含めレンバールを攻略した者たちは、城の入り口の近くに集まり戦後の処理を行った。
幸運なことにレンバールのルネス兵たちは物分かりも良く、オルソンの降参と共に降伏し、今は将とともに、デュッセルの監視を受けながらおとなしく別室待機している。
そしてリオンとエクラは今後の戦いについての方針を固めていた。
「エフラムの強さは想定以上、そして残り10日で決戦と来たか……。想像以上に時間がないな」
リオンが悩む顔を見せているのを見てフィヨルムは、ふと思いついた質問を投げかけた。
「元々、ルネスとの戦いへの作戦はどのようなものだったのでしょうか……?」
その質問に答えたのはセライナだった。
「エフラムは魔王。ならばかつて魔王を倒すために振るわれた双聖器を手に入れ備えることが基本方針。そのために、ジャハナ、フレリア、ロストンの双聖器をできる限り回収しようと」
その続きをリオンが口を開き話し始めた。
「フレリアを最初にしたのは、フレリアには未だ魔物に抗う抵抗軍が存在し、そこに双聖器を用いる王族がいるという情報があったからだ。抵抗軍との合流が叶えば戦力の増強もできる。何より、現状他の双聖器がどうなったかの情報はない」
「つまり動けるところから、ということですね」
このまま進軍すればフレリアに向かうことはできるだろう。しかしそこまでだ。それで10日経ってしまう。
そもそも双聖器が見つかる可能性もほぼないというのに、フレリアへの遠征を行うのは一種の博打であったにも関わらず、その博打の策すらも潰す速攻。
レンバール攻城戦は魔王への反逆の第一歩としてリオンや他幹部たちが慎重かつ計画的に話を進めてきた一大作戦だったがゆえに、希望が見えてくるかもしれない中で、いきなり絶望を叩き込まれた形になる。
策を練ることを仕事とするエクラは特に、この状況でのリオンの心労は果てしないだろうということが理解できる。
目の前でエフラムと戦ったとき以上に苦い顔をしているのだからなおさらだ。
何とか士気を下げないよう気丈に振る舞っているが、ここに集う者たちは上に脳死で従うだけの馬鹿ではない。今置かれた状況がまずいことくらいは否応なく理解している。
故にこの場に暗い雰囲気が漂っているのも無理はない。
このような状況に吉報が1つでもあればよいのだが。
(まあ、そう都合よくはいかないだろうなぁ……)
エクラがそう考えた時、上から白い羽と「ふぇー」という力が抜けるようなつぶやきが聞こえた。
「フェー?」
「えくらさーん」
他のチームの元へ伝言を頼んでいた伝書フクロウが、いつの間にか入ってきていたのだ。
セライナはすぐに撃ち落とそうとして、フェーは目をまんまるに見開いて驚いていたが、リオンがエクラの仲間だと察し、それを制止する。
「フェー、無事だった?」
「途中で何度かこわーい魔物に殺されるかと思いましたぁ」
「そうか……、でも生きてるようで良かった」
「エクラさん。とりあえず仕事を……。書簡をお持ちしました。王様に見せていただければ」
リオンが横から手を伸ばし、その書簡を取った。
「ふむ。呪いの類は感じない。罠ではなさそうだな」
リオンは国内でも最高クラスの魔導師。下手に部下にさらわせるより、魔道や呪いの類は自分で判別した方がいいと判断したのだろう。
リオンはその書を開く。
すぐのその表情は変わった。
「表にフレリア軍……? レンバールの城を開き、御目通りを願うだと……?」
「フレリア……! 馬鹿な、要塞を突破してきたというのか!」
デュッセルが驚きを隠せない様子だった。
しかしこれは吉報。もしもフレリア軍であれば、強力を取り付ければ戦力の増強になる。さらに、そこに王族がいればフレリアに赴く必要が無くなるかもしれないのだ。
「まずはこちらから出向く。幹部、ついてきてくれ」
リオンはすぐに動いた。それについて、エクラたちも城の表へと向かう。
堂々と突き立てられているフレリアの国章。そしてその先頭にいる1人の男と、周りの数名がこちらへと向かってくる。
グラドはリオンと三石と部下数名、エクラとエクラのガードとしてフィヨルムとヨシュアがついて行った。
そこで意外な人物と再会する。
「エクラさん。ご無事でよかったです」
「ミルラ! それに、ネームレス……と、あれ、そこのお嬢ちゃん」
「すまんな。この馬鹿弟子は見逃してくれ。ともかく、息災で何よりだよ、召喚師」
「ああ……。まさかフレリアの合流してたのか」
「まあね。これがここからグラド合流するのが最善だと判断した。間違いはないようで安心したよ」
内輪話に花を咲かせていたところ、フレリアのトップが釘を刺す。
「客将、申し訳ないが、再会の喜びは後にとっておいてくれ。今は重要な話を済ませる」
「失礼」
そしてフレリアのトップはリオンに挨拶をした。
エクラはその男を知っている。最も、この世界の、ではないが。しかし、鋭い目つき、貴公子と称するにふさわしい立ち振る舞い、そして背負った弓を見れば一目瞭然だった。
「フレリア王代理、抵抗軍責任、ヒーニアス。貴方に会えたことは喜ばしい。リオン王」
「ヒーニアス王子。失礼、王代理。グラド帝国皇帝、リオンだ。こちらこそ」
双方は握手を交わす。初対面にしては悪くない様子だった。
「まずは、我らとの合流のため、わざわざレンバールまで赴いてくれたことに感謝する。抵抗軍も要塞の突破の後で限界だった。グラドまでの旅路になっていたら脱落者も多かっただろう」
「そうか。しかし、グラドになぜ?」
「大変不愉快だが、今のフレリアだけでは、あのエフラムに対抗できない。あなたたちと共に戦おうということは、先代の王と我らの決定だ。これまで何度も死線を超えてきたのは、フレリアの双聖器を守り、そしてグラドと共にそれを反撃と有効打とするため」
「奇遇だな。我らも似たようなことを考えていた。では、共に戦っていただけると」
「詳しい話は中で詰めさせていただきたい。これよりはフレリアは、友軍としてあなた方と共に戦おう」
双聖器もあり、使い手も生きていて、さらにはそれなりの数もいる抵抗軍とも巡り合えた。これならば、本来フレリアにあてるはずだったリソースを別のところへ補填できる。
これ以上ない吉報だといえるだろう。
リオンにそれを拒む理由はない。リオンは快くその申し出を了承。
「これよりはともに、魔王討伐を志す身。よろしく頼む」
「ああ、リオン王。我らフレリアの民。前例を全霊を尽くそう」
ここにフレリアとグラドの共同戦線が締結された。
後に、エクラはここまでのフレリアの軌跡を、ネームレスから聞くことになる。
1章 8節 『フレリアとの合流』-1