ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~ 作:femania
要塞攻略当日。
要塞の近くに陣を張りいよいよ攻略を行おうと、勇敢な突撃軍たちは己を鼓舞する。
しかしそれをあざ笑うかのように、要塞はとても静かだった。向こうから攻めてくる様子はない。
それもそのはず。要塞側からすればたとえ敵兵に気が付いていたとしてもむやみに戦う理由はない。地の利は圧倒的であり、自分たちは防戦に徹していれば消耗は少なくて済む。
通常、要塞を制圧するのには敵兵力の3倍は用意しなければならない。それこそ正面衝突ともなれば兵数が心許ないフレリアには勝ち目はない。
「故に、どこか攻めどころを作りたいどころではあるが……」
残念なことに、兵士がいかに熟達していたとしても要塞の一部を簡単に破壊はできない。その前に向こうの弓兵や魔道兵に袋叩きにあって行動もままならないだろう。
「残念なことに、ニーズヘッグもウィドフニルも双聖器としては破壊に秀でた武器ではない。ルネスやグラドのようなものでないとな」
「それは、そうだな」
「まるで見たことがあるかのような言い方だな。ネームレス」
「なに、今はその話じゃないだろう。その点、俺にならできると豪語したのは事実だ」
今、多くの突撃兵は疑いでネームレスを見ている。ヒーニアスもまた同じ目で彼を見ている。
「私はてっきり竜の力を使うのかとおもったが?」
「君の所の姫君と天馬騎士に弟子のお守りをさせてしまっている。私がいない以上念のためミルラも外だ。お守りをしてもらうからにはそれなりに働きで返させてもらうさ」
ネームレスは前言を撤回することはなかった。
「3か所ほど通れそうな穴をあけて要塞への入り口を無理やり開く。そこからはお前達の仕事だ」
「ふん……私に豪語した以上、失敗は許されんぞ」
このようなめちゃくちゃな話にヒーニアスが乗ること自体が、彼自身が希望的な観測に縋った方が勝ち目があると判断するほどに追い詰められている証拠だった。
一部の敏い部下しか彼の追い詰められようは知らない話だったが、
(まあ、大将の動揺は士気にかかわる。虚勢を張るのも当然と言えるか)
ネームレスは決して弱さを見せないヒーニアスをそれなりに評価している。
要塞が最も見えやすい高い場所へと移動し、ネームレスは唱える。
「万能の使い手。完全起動。検索……解析……現出」
呪文を唱える。
「我が手に再び帝国の流星を。宝弓来たれ」
何もないところから、ゾグンという名前の弓が現れる。それはある伝承の英雄が使っている神の力が宿る弓と名前は同じであるが、これは同名の贋作だ。
ネームレスが言うには、この弓は本物と色形は似ていても、二回り大きいらしい。彼はこの武器を『アルアトール・ゾグン』と言い、本物と区別している。
しかし、彼の故郷においては、一撃で竜を屠った実績を持つ価値ある贋作だった。
本物との大きな相違点は撃ちだすもの。この弓は普通の矢を打ち出すわけではない。ゾグンも、同質の鋼で鍛えられた刃を持つ矢を放つが、アルアトール・ゾグンが放つのは剣だ。
正確にはゾグンで撃ちだすために通常とは違う特別な形に鍛えられた矢剣。
通常のものより軽いと言っても剣は剣。人間の力で遠くへと撃ちだすことができるはずもない。弓に魔力を流し込み射出に必要な勢いをつけるサポートをして初めて剣を矢とできる。
「炎の剣。現出」
そして刃が真っすぐな黄色の戦が入った細剣を取り出すと、要塞に向けて矢をつがえ弦を引く。
ネームレスの周りに魔力場が展開され辺りの空気を歪ませていく。その中で静かに狙いを定めるネームレスは離さず、弓は微動だにしなかった。
3秒。
放たれた。炎を纏い、隕石のように輝く矢は要塞へと真っすぐ大気を貫き、着弾。
炸裂と同時に炎が一瞬で膨れがり、要塞を溶かしながら紙を破くかのように破壊する。ある程度離れているはずのフレリア軍まで爆音届き、爆炎が静寂だった辺りを一瞬で地獄と変えた。
ヒーニアス以外のだれもが、ネームレスのこの所業に驚いていた。
「ほう……」
対象だけは感心した様子で、一番やりやすいところに穴をあけたネームレスの腕を評価した。
ネームレスは再び数発放つ。しかし、5発撃った頃、その場でへたり込んでしまった。
ギリアムが異変を察知しすぐにネームレスのところへと向かうが、彼は意識を失っていたわけではない。
「はあ……はあ。やはり魔法剣を飛ばすのは体力を使うな。最後は意識を失いかけた」
このまま撃ち続ければ、それだけで要塞そのものを崩せそうだが、本気で疲労が凄まじそうなネームレスの顔を見て、無茶は誰も言わなかった。
「奴は見事役目を果たした。これは元々想定していたよりも相当やりやすい。ここからは我らフレリアの騎士の誉と力を見せる時だ! 行くぞ!」
総大将の檄を受けフレリア騎士団は雄叫びを上げる。そして彼に従い要塞の攻略へと各々武器を持って走り込むのだった。
「さて、もうひと仕事か」
ネームレスはルフィアのところへ歩み寄る。シレーネの近くで万が一の魔物襲撃を想定した迎撃のため待機するもう1つの軍団で今回、ルフィアはお留守番だ。
「いいか。無茶はするなよ」
「来ないことを祈ります」
「それでいい。頼む」
シレーネは頼もしくうなずき、ネームレスは皆から一歩遅れて要塞へと走り出す。
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「リグバルド制圧戦」
勝利条件 敵将ゲブの撃破
敗北条件 ヒーニアスの死亡
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ちなみに好きな双聖器はどれ?(初見さんは調べるなり名前の響きなりで決めてOK)
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炎槍ジークムント
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雷剣ジークリンデ
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蛇弓ニーズヘッグ
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翼槍ヴィドフニル
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氷剣アウドムラ
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風刃エクスカリバー
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光輝イーヴァルディ
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聖杖ラトナ
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黒斧ガルム
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魔典グレイプニル