ファイアーエムブレム ヒーローズ ~異聞の『炎の紋章』~ 作:femania
ミナとミオ、そして多くの子供たちを相手に今日は街で所謂鬼ごっこをすることに。
「はぁ……はぁ……」
「えくらー、つよーい!」
「いやぁ……君たち逃げ足速いよ……大人げなく本気でやってしまった」
街の中を子供が走りまわる分には、仕事の邪魔にならない限り文句を言う人間はない。今は城下の外に赴くことはできないため、子供にできる限り自由にさせてやるのも国の方針だった。
そしてエクラは今も元気に遊ぶ子供たちを追いかけ、1時間以上走りまわっている。既に体力は限界でその場で座り込んでしまった。
「ミナ……水飲ませて……ちょっと休憩を」
「えー、ぐんじんのくせにひ弱ねー」
「ははは、よく言われるよ」
「そんなんじゃお父さんに怒られちゃうよ。なんじゃくものーって!」
「いやあ……ははは」
ぐったりとして座り込んでいるところを通行人に見られ、大丈夫かと果物の差し入れまでもらってしまった。もっと己を鍛えないとな、と思うエクラだった。
それにしても、とこの街と目の前のミオとミナを見る。
「エクラさん?」
「大変そうね」
聞き覚えのある声が耳に入りぐったりしていたエクラは顔を上げる。周りを見るといつの間にか、フィヨルムとレーギャルンがいつも働いている
「フィヨルム、レーギャルン、お疲れ様……」
「お疲れって、今のあなたのことじゃない」
「えへへ、面目ない」
ミナがフィヨルムのそばに駆け寄ってくる。フィヨルムは笑顔で突撃を受け止めミナが『えくらがひんじゃくなのー!』という文句を聞いてあげていた。
「今日は店番じゃないんだ?」
レーギャルンは既に空いた籠を見せつける。ミオがその籠を覗き込む。
「なにもない」
「老人たちへ修繕した服を運んでいたのよ。……そう言えば、ミルラが話し相手になっていたわね。お花屋のおばあさんの」
「え、そうなの?」
朝からルフィアもミルラも出かけていた。ネームレス曰く心配はないとのことで信じて何も言わなかったが、結局どこへ行ったか分からずじまいだった。
「でもまあ、マムクートを恐れない人に会えてよかったよ」
「そうね。彼女はそこだけが心配だって言ってたから。本当、この街の人々は優しい人が多いわ。いい国ね」
「うん」
ミオが駆け寄ってきた。エクラは頭を撫でる。ミオは『なんじゃくものは撫でられるがわだぞ』と生意気な口を利きながらも嬉しそうに笑っていた。
「お前達」
「あ、しょーぐんさまだ!」
ミナとミオがこの場に顔を出した意外な人物のところへと駆けよっていく。エクラも驚き慌てて全身に気合を入れて立ち上がった。
「人気なようで結構。エクラ、せっかくの休日のところ悪いが。時間はあるだろうか」
「何か緊急で用事ですか?」
「いや、緊急ではないが、陛下の臣下にノールという男がいる。彼がお前達と話したいと言っててな。お前の仕事は儂が引き受けよう」
「いやいやいや、将軍がそんなこと……」
子供たちは大喜び。
「しょーぐん、あそんでくれるの!」
「やった! みんなもよんでくる」
「えくら、いまはしょーぐんさまと遊ぶから、またあそぶのはこんどでいいよ」
「ありがたくおもえー」
エクラは子供たちの生意気な態度に苦笑しながらもデュッセルの提案を受け入れた。
それを傍でみていたレーギャルンはフィヨルムに言う。
「エクラの護衛として、ついて行きなさい」
「え、でも私まだ仕事が」
「後は私がやっておくから。それよりもいい機会でしょう。ね?」
「でも、仕事はちゃんとやらないと」
フィヨルムは真面目な性格で簡単に責務を放棄する人間じゃない。しかし今回はタイミングが悪かった。中から出てきた仕立て屋のリーダーの女性がフィヨルムに大きな声で言う。
「いいんじゃない! 行っちゃってくださいよフィヨルムさん。エクラさんと2人、ついでに少し寄り道して街を見ながら行っても」
「ええ……」
「はい決まり! 服はそのまま着ていっていいですから! 戦いのお勤めの後ですもの。レーギャルンさんにもこの仕事さえ終わったらお休みしてもらうし」
反論する余地もなくいってらっしゃいと手を振ってまた屋内へ。
押されに押され仕方なくフィヨルムはエクラと共にノールの元へと向かうことになった。
2人で横並びに歩きながらお城の近くの教会へと歩いていく。
「それってこのマギヴァルの服だよね」
「はい、私に似合うものを見繕っていただきました。働くときはこちらの方が便利だと」
「いいな、似合ってるよ。残念ながらフードがある服がないから、こちらはいつもの服装だけどね」
大通りの商店は今日も大きな声で買い物客との会話に勤しんでいる。
「客将さまでしょ、こっちこっち」
中には少し遠くを歩いていても呼びこみをしてくる商人もいた。
「お祈りの髪飾り。おひとついかが? この水色のやつ、そちらのお嬢様にお似合いよ?」
「ほう……」
どうせなら少し寄り道、という言葉にデュッセルは何も反論はしなかった。ほんの少しくらいは許されるだろう。そう思いエクラはまんまと釣られる。
「エクラさん! ノール様が待ってるんじゃ」
「少しだけだよ少し」
アスクにいる頃はたまに開かれるお祭りに参加してはこうして各地の初めて見るものに心躍らせた。戦時中でも心の余裕を忘れずにいられたものだ。
(もしかすると、こうして街を活気づけているのは、皆にそうしてもらうためなのかもしれないな……)
勝手にエクラが思い至った思惑に乗ることにして、店の品ぞろえを確認する。
「お守り」
「ええ、誰かが誰かに願いを言葉にして渡すのです。多くが戦場に立つ今、誰かの願いを背負って人一倍頑張れる。精神論を戦いに持ち込むのは良くないかもしれませんがね」
「いいや、いいと思います。これ、30個くらいもらえますか?」
「30……?」
「仲間が多くて」
「もちろん。でも数が多いですね。後でお家の方に届けさせていただきます」
「1つはここでください」
エクラの要望通りに店主は1つだけここで水色のものを渡すと、エクラはフィヨルムの輝く髪につけてあげた。言葉を添えながら。
「厳しい旅になるけれど、共に戦い、共に生きよう。これからもよろしく、フィヨルム」
フィヨルムは微笑み、
「はい。こちらこそ」
エクラの提案を受け入れた。
もうすぐ城に着くところでミルラの姿を見た。
「ありがとうございました」
花束を包装して誰かに渡している。
「応対ありがとね……イタタ、腰が。いやあ、情けない」
「大丈夫ですか、おばあさん」
道行く人が彼女に注目しているのは、おばあさんと子供の微笑ましい一面を見て
ほっこりしているだけではないだろう。
「あの応対以外無駄口をたたかいない厳しいおばあちゃんに孫がいたのか?」
「そんなわけないだろ」
「でもあの子、花冠まで作ってもらって、そうとう可愛がられてるじゃないか」
確かに見覚えのない花冠がミルラの頭の上にある。
「あ、召喚師さん」
「どうしたのそれ?」
「おばあさんに作り方を教えてもらいました」
そのおばあさんは花冠を教えた人とは思えないくらいに厳しい目でエクラを見てきている。
「保護者かい? まったく、こんな小さな女の子1人で、外に出すもんじゃないだろう」
確かにミルラの事情を知らなければそんな風に思われても仕方がない。エクラは甘んじてそのお叱りを受けることにした。
「おばあさんは、私が迷子になっているところを助けてくれました」
「右左きょろきょろしていたよ。少し助けてやったらお礼がしたいって。ああ、声がね、私の娘の昔のころにそっくりだった。つい、心を許してしまってね」
ミルラに触れようとしている手が迷っている。目は開いているのに見えていないのだ。
「つい、娘が好きなものを編んでしまった。そしたら喜んでくれてね。こんな戦争ばかりの時代に良い出会いをしたもんだ」
見ると弔いの花の注文が殺到している。
(毎日、こんなものを……)
「おばあさんは私に、いつか大事な友達ができたら、花の似合う祭りに作ってあげなさいと言ってくれました」
「そうだね。その時が、本当に」
おばあさんの手がミルラに一瞬だけ触れて、ほんの少し微笑んだ。
ちなみに好きな双聖器はどれ?(初見さんは調べるなり名前の響きなりで決めてOK)
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炎槍ジークムント
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雷剣ジークリンデ
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蛇弓ニーズヘッグ
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翼槍ヴィドフニル
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氷剣アウドムラ
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風刃エクスカリバー
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光輝イーヴァルディ
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聖杖ラトナ
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黒斧ガルム
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魔典グレイプニル