苦味と甘味の匙加減   作:雪乃シロ

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話毎に視点を帰るつもりですが、つぐ視点めちゃ書きづらくてつらいです。助けてください。ボキャ貧…


第3章 After Rain -雨のち笑顔-
意識 Side.T.H


 

 

 

 

Side.つぐみ

 

 

結羽先輩が、雲村さんをウチのお店に連れてきた日の夜。私は未だに情報を整理出来ていないままです。

というのも、お店を手伝いながら結羽先輩の話に耳を傾けていたら、とんでもないことが聞こえてきまして…

 

 

『俺は…たぶん、好きな人がいるんだ』

 

 

初耳ですよ先輩!?

も、もしかしたら私かもしれないし…!?でもやっぱりクラスの人とかなのかなぁ。日菜先輩とか…?あ、ありそう。

 

 

「気になる〜…」

 

 

私だって結羽先輩のことは、す、すき、かもだし…先輩は私にとって大切な人だし。もし私のことだったら嬉しいけど、もしそうだったらどうすればいいんだろう…普通にしていられる気がしないよ。

 

 

「はぁ〜…」

 

 

恋愛なんて生まれてこの方したことがないからなぁ。ひまりちゃんとかを頼ってもいいのかもしれないけど少女漫画の受け売りがたくさん飛んできそうで…ね?

となるとリサ先輩とか…かな。結羽先輩とも仲がいいみたいだし、色々相談してみるのもありだと思う。

そこまで考えてから、私が結羽先輩に恋心を抱いている前提になっていることに気づいてまた顔が熱くなる。

 

 

「恋、なのかな…」

 

 

一人呟いて、クッションに顔を(うず)める。誰も見ていないけれど、この紅潮した顔を隠したくなってしまった。だってこんなこと経験したことないんだもん…

もしそうだとしたら、いつからだったんだろう。最初は素っ気ないけどいい先輩だな、くらいだったような気がする。それに、ちょっとかっこいいし…クールというかドライだけど何だかんだ優しくて…うぅ…

 

 

「は、恥ずかしい…」

 

 

これだというきっかけがあったのかはわからないけど、気づいたらこんな感じになっちゃってたなぁ…

と、結羽先輩のことを考えてるとスマホが鳴った。メッセージの送り主は…ひまりちゃん?

 

 

『つぐ、最近先輩とはどうなの〜?』

 

 

タイミング悪すぎない!?

ひまりちゃんも先輩のいる前では控えめにしてくれてるつもりなんだろうけど、私には容赦ないよね…

 

 

『何もないよ?』

 

『お祭りも行ったのに?』

 

『うん』

 

 

ああ、心が痛むよ。本当は『大切』とか言われて頭から煙出しちゃうくらいのことはあったのに…

 

 

『そうなんだ…あ、明日つぐの家行くね!みんなで!』

 

『わかった。何時になりそうかな?』

 

『お昼の二時くらいでどう?』

 

『じゃあ、空けておくね!』

 

 

そう言ってひまりちゃんからおやすみのスタンプが送られてくる。ひまりちゃん、ちょっと抜けてるところあるけどこういうところの女子力とかあって羨ましいな…

 

 

「あ、あれ?私の女の子らしさって…?」

 

 

特別かわいいわけでもなければ、何かそれらしい特技があるわけでもなくて、服も普通だし、スタイルもそんなにいいわけじゃなくて…あ、でもパジャマとか部屋とかはちょっとかわいいところある…よね?

 

 

「男の人の気を引くためには…まずはやっぱり見た目なのかな」

 

 

服は私にできるだけ似合うものを選ぶのが大変だけど、何とかなるかなぁ。アクセサリーとか、髪の毛も伸ばしてみたらそれっぽくできるけど…

 

 

「男性…胸…大きい…好き…」

 

 

スマホで調べてしまうくらいには気になる。ひまりちゃんはどうしてあんなに成長したのかな…秘訣があるなら教えてほしいよ。

でもみんながみんな大きいのが好きとは限らないし、そもそも結羽先輩だってそういうところで女の人を見てるわけじゃないと思うし!

 

 

「よーし、できることからがんばろう!ツグっていくよ!」

 

 

ちょっと気合いを入れただけのつもりだったのに、結構大きい声が出ちゃったみたい。お母さんに軽く怒られちゃった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなお待たせ」

 

「あ、きたきた!つぐお疲れ〜!」

 

「お疲れ様」

 

 

私が手伝いを終えてみんなのテーブルに行くと、ひまりちゃんを皮切りに(ねぎら)いの言葉をかけてくれる。心がとても癒される。

 

 

「そういえば次のライブのセトリどうする?」

 

「Scarlet Skyは外せないと思うぞ」

 

「あたしそろそろ新曲欲しいと思ってるんだけど、みんなどう?」

 

「間に合うかだな…」

 

「それはまた今度にしよう?それでも今から準備するのがいいかも」

 

「…はっ。メロンパン食べたい」

 

「モカ…我慢して」

 

「ヨヨヨ〜〜蘭がいじめるよつぐ〜」

 

「えっ、わ、私?もう少し我慢しよう、ね?」

 

 

夏休みの最後に控えてるライブの話で盛り上がって、また私たちの思い出は増えていく。とてもいい事だと思う。

 

 

「夏が終わってから新曲入れていこうか」

 

「私は賛成!」

 

「いいと思う」

 

「じゃあまた感想とか聞くと思うからよろしく」

 

「らじゃー」

 

 

新曲かぁ…私も作ってみようかな。時間があれば、だけど…

 

 

「…あのさ、つぐみ。何かあったの?」

 

「え?私?」

 

「何か悩んでるみたいだから気になって。違うならいいけど」

 

 

そんなことを考えてると蘭ちゃんが心配そうに声をかけてくる。無理してるなら、と話しかけてくれてくれたみたいだけど、今日はそうじゃないんだ。

 

 

「あ、あのね。そんな大したことじゃないんだけど」

 

 

そう前置きしてから私は言う。

 

 

「女の子らしくなりたいんだけど、どうすればいいかな?」

 

「………」

 

 

気まずそうに蘭ちゃんが目を逸らす。え、これはどういう反応…?

 

 

「あたしはそういうのわかんないから。ひまりとか巴なら分かるんじゃない?」

 

「あ、アタシか!?そういうのは難しいな…というかアタシよりつぐの方が女の子らしいし」

 

「…あれ〜、モカちゃんが候補にいないよ〜?」

 

「モカは適当なこと言いそう」

 

「今日は蘭の当たりが強いよ〜。泣いちゃうよ〜?」

 

 

今日のモカちゃんは何か可哀想になる。二人の間に何かあったのかな?たまたま?

 

 

「ひまりは?」

 

「う〜んつぐはつぐらしくていいけどな〜。服装とか化粧とか、そういうのかなぁ。後はお菓子作りとか?」

 

 

なるほど…お菓子作りはいいとして、服装とお化粧かぁ。やっぱり他の子に比べて地味なのかな…?お化粧なんて全然したことないし…

 

 

「つぐ、急にどうしたんだ?そういうこと聞くなんて珍しいな」

 

「結羽先輩の気を引きたくて」

 

「ぶっ…けほっ、けほっ」

 

「え、お、おう!?そうなんだな!」

 

 

蘭ちゃんが()せて、巴ちゃんが焦る。そんな変なこと言ったかな…?

 

 

「おお〜〜青春ですな〜」

 

「やっぱりつぐは結羽先輩が好きなんだね!」

 

「す、好きっ!?そんな…ことは…いや好きだと思います…たぶん…」

 

 

ふとした時に先輩のこと考えてるし、夜は声聞きたくなるし、何となくLlNEとかしちゃうし…

 

 

「つぐがツグりすぎて林檎みたいになってる」

 

「あう…これは恋なのかな」

 

「結羽先輩に告白されたらどうするの?」

 

「こくっ!?…それは付き合う、よ」

 

 

告白されたら断る理由がないからね。でもそれは結羽先輩が私のことを好きって仮定の話で、まだそうと決まったわけじゃないんだ。

 

 

「でもあいつ告白とかしなさそうじゃん」

 

「いや〜先輩もやる時はやるかもだよ〜?」

 

 

私から言い出すのは…まだ恥ずかしいな。今はできないや。

 

 

「…やっぱり胸は大きい方がいいのかな」

 

「そんな私を見られても困るよ!?」

 

 

はっ、ついひまりちゃんを見つめちゃった。だって、同い年とは思えないんだもん…どこで差がついたんだろう…

 

 

「まあ確かに先輩も男だし〜?胸はあった方がいいかも〜?」

 

「…別に気にしないでしょ」

 

「アタシも気にしないと思うけどな〜」

 

 

モカちゃんが茶化すように言うけど、みんなやっぱり気にしないよって思ってるみたい。それなら少し安心、かな…?

 

 

「あ、つぐみ。よかったらあいつに今度のライブのチケット渡しといてくれる?」

 

「わかったよ。来てくれるかな」

 

「木崎先輩もつぐのことはちょっと特別には思ってるよ。だからつぐの誘いなら来てくれると思う」

 

「そうかな…?」

 

「だってあの結羽先輩が女の子と二人でお祭り行くなんてつぐじゃなきゃなくない?」

 

 

そう言われると嬉しい。私は結羽先輩の中では特別で、大切な…そんな存在で、先輩も私の中では…えへへ。

 

 

「つぐが完全に恋する乙女モードに入ってる〜」

 

「こりゃ重症だな」

 

「つぐみにはまたがんばってもらうとして…ひまり。話は変わるけど、宿題終わったの?」

 

 

蘭ちゃんが放った一言でひまりちゃんの頬を汗が流れ始める。これはやっぱり…

 

 

「お…終わってません…!!」

 

 

というわけで高校一年生の夏休みもみんなで宿題をやることになりました。言い出した蘭ちゃんもあまり進んでなかったみたいで、少し微笑ましかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れて夏休みも終わりが近づいて来た今日、私はリサ先輩にお願いして買い物に付き合ってもらっています。

 

 

「珍しいね、つぐみから誘ってくるなんて」

 

「私の周りだとファッションといえばリサ先輩って感じがして…」

 

「アハハ、ありがとう。つぐみもそういうのが気になり始めたか〜」

 

 

練習のない日に約束を取り付けて、今日は近所では大型のショッピングモールに来ている。シアターも入っているんだけど、最近映画見てないなぁなんて思ったり。

 

 

「もう少し女の子らしく着飾りたくて」

 

「その人に合うかどうかも大事だけどね。色々試してみようか」

 

「お願いします」

 

 

早速リサ先輩と服屋さんに入っては良さそうな服、私の試してみたい服を見繕っていく。私の理想というか、女の子っぽいっていうのがパステルカラーなんだよね。淡い、薄い色が似合うといいなぁと思うんだけど…

 

 

「…やっぱりベージュとかブラウンの方が似合いますかね」

 

「着慣れてるからじゃない?アタシはつぐみが紺のベスト着ててもいいと思うし、デニムのショートパンツを穿()いててもいいと思うんだけどな」

 

 

なるほど…リサ先輩が言うなら間違いではないのかも?

 

 

「でもつぐみの言う女の子らしいっていうのに合わせていこうかな。自分の着たい服を着た方がいいことに変わりはないしさ」

 

「私はパステルカラーがいいんですけど、普段はライトイエローとかが多いので…」

 

 

実際には色々着るんだけどね。どうしても黄色系の服が頻度としては多くなっちゃうな。

 

 

「なるほどね〜。じゃあピンクとか水色辺りいってみる?」

 

「ぜひ!」

 

 

いくつかのお店を回って、(主にリサ先輩チョイスの)色んな服を合わせてみて、その内のいくつかは試着をしたりもした。下は私の好みで白いパンツに決まったんだけど、上は…

 

 

「上から着るものだとその下に着るものによるよね」

 

 

仰る通りです…

秋に着ることを考えて長袖のものも候補に含めてはいるんだけどパステルピンクの服がやたら多い。たぶんこれはひまりちゃんの印象が強いからだ。

 

 

「ちょっと考えさせてください…!!」

 

 

結構長い間悩んだ末に、私は薄くグラデーションの入ったピンクのパーカーを手に取った。彩先輩が好きそうだな、なんて。

 

 

「私、これにします」

 

「へー、いいじゃん。このシャボンみたいな柄ついてるのもかわいいよね」

 

 

色的にもパーカーが多かったのもあるけど、一番の決め手は結羽先輩がよく着てるから、だったりする。不純な理由かな?

 

 

「何かな〜、こうやってるとつぐみをデコレーションしたくなるんだけど、あんまりお金使えないしね」

 

「そうなんですよね。色んな私を出したいんですけど」

 

 

私もまだ高校生だから、そんなに服を買ってる余裕がない。この前結羽先輩と買い物に行った時も買っちゃったし…お母さんに言えば買ってくれるだろうけど、あまり頼りすぎるのもよくないから。…あ、そうだ。

 

 

「リサ先輩、下着も買っていいですか?」

 

「いいよ〜。成長したの?」

 

 

悪戯(いたずら)っ子のように口を緩めて言うリサ先輩。そういうわけじゃないんだけど…

 

 

「いや、今持ってるのと違った、勝負下着的なものを…」

 

 

えっ、とリサ先輩は暫く硬直した後、慌てたように(まく)し立てた。

 

 

「え、えぇ?つぐみ、どうしたの?でもそういうの気にする歳頃か…あのさ、つぐみ?もしかして誰かに色仕掛けとかするの…?」

 

 

い、色仕掛け!?私からあんなことやこんなことを迫るってこと…!?

 

 

「い、いやいや違うんです!気分的な意味での勝負で…!」

 

「あ、あ〜なるほど?情熱なら赤、みたいな?」

 

「そんな感じです!決してそういうことをするわけでは…!」

 

 

あ、危なかった。リサ先輩の中で私のイメージがえっちな女の子になっちゃうところだった…

それに、リサ先輩が顔を赤くして慌てふためく姿も中々見られないんじゃないかな。大人びて世話好きなリサ先輩だけど結構乙女というか、純粋なところもあるんだなぁ。

 

誤解が解けた後は普通のお喋りをしながら下着屋さんに行った。普段着けないような(あか)い下着をセットで購入して、私達はすぐにお店を出た。さっきと違って即決だったなぁ。紅って私達のバンドの色にも合ってるよね。緋色がイメージカラーだからそこまで離れてるわけではないと思う。

 

そしてリサ先輩の次の言葉に私は過敏に反応した。

 

 

「あれ?結羽?」

 

「…今井か。それに羽沢も」

 

「こんにちは、結羽先輩」

 

 

リサ先輩の視線の先にはまさかまさかの結羽先輩が。結羽先輩がバイトの時以外で会うのって何か久しぶりな気がするなぁ。そういえば今度トビQに行くなんて話もあったっけ。

 

 

「買い物?珍しいね」

 

「好き好んで来るわけあるか。野暮用だ」

 

「ふ〜ん?そうなんだ」

 

 

どうしてこんなところにいるんだろう。気になるけど、詮索するのはよくないかな。

 

 

「ユウくん早く〜!」

 

「…チッ」

 

 

突然聞こえたその声に、まずは結羽先輩が舌打ちをする。次いで私よりも先にリサ先輩が声の主に気づく。

 

 

「もしかして日菜?」

 

「…もしかしなくてもな」

 

「あれ?リサちーにつぐちゃんだ。やっほー、買い物?」

 

「日菜先輩こんにちは」

 

「そうだよ〜」

 

 

どうやら結羽先輩は日菜先輩の買い物に付き合ってたみたい。荷物持ちとかしてあげるのかな?

 

 

「あ、ねえユウくん!るんっ♪てくるパンツ見つけたの!あっちのランジェリーショップ!来て来て!」

 

「………は?おいてめぇ…」

 

 

日菜先輩が思い出したようにそう言うけど、結羽先輩の反応を見て『あ、やっちゃった』みたいな顔をする。

え、待って、日菜先輩、もしかして結羽先輩に下着を選んでもらってるのかな…?

 

 

「あはは、ごめんごめん」

 

「男の俺を付き合わせんじゃねえよ…変装もしねえし。バカと天才は紙一重とはよく言ったもんだなオイ」

 

 

たぶん結羽先輩の意思ではないんだろうけど、気まずいのかな。結羽先輩が不機嫌なオーラを出し始める。

 

 

「あ、あれ?そういえば結羽先輩、眼鏡かけてるんですね」

 

 

話題を変えようとして、今気づいたことを口に出してみる。今までかけてなかったような…

 

 

「そんなに視力よくないからな…使うなら眼鏡だろうと思っただけだ」

 

「そうなんですね。何か新鮮だし、似合ってますよ」

 

「そりゃどうも…」

 

 

眼鏡をかけてない結羽先輩しか知らないからか、とてもかっこよく見える。いつもよりインテリにも見えるし…

 

 

「コンタクトを目に入れるのが怖いのと、目付きが怖く見えないかもって理由で眼鏡にしたんだよね?」

 

「え、結羽そうなの?」

 

「お前本当にしばくぞ」

 

 

あ、図星なんだ。先輩もかわいいところあるなぁ。

 

 

「てゆーかユウくんはあたしとデート中でしょ。他の女の子にかまけすぎ。ほら行こう!」

 

「…ってな感じでこいつがうるさいからな。話の途中で悪いが、じゃあな」

 

「リサちー、つぐちゃん、またね!」

 

「引き止めてごめんね。またね〜」

 

「失礼します」

 

 

日菜先輩に連れられて結羽先輩は行ってしまった。たぶん、向こうにある下着屋さんに…大丈夫かな?

 

 

「ねえつぐみ、ちょっとつぐみの家で話さない?」

 

「へっ?いいですよ、でもその前にリサ先輩の買い物があれば付き合います!」

 

「おっ気が利くね〜。じゃあちょっとアクセでも見ようかな…」

 

 

同じ館内にある雑貨屋さんを巡っていった私達。結構かわいいのが多くて私も買おうか悩んじゃうなぁ。

そんな中、猫のワンポイントが入ったピンを購入して、友希那先輩にプレゼントするんだって言ってたリサ先輩がちょっと幸せそうに見えた。

 

 

 

 




ご読了ありがとうございます。
次回は結羽くん視点です。
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