笑顔にするアイドル、笑顔を取り戻すヒーロー   作:banjo-da

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間隔空いてしまって申し訳ありません。
ブハハハハ!時間差コンティニューだァ…ではなく、普通に多忙と執筆の遅さです。
少しでも楽しんで頂ければと思います。


idolの信じるもの

「新種のバグスターだと…?エグゼイド、確かなのか?」

 

「はい…データも表示されませんでしたし、何よりあんなバグスターは見たことがない。」

 

あの戦いから約2時間後。バグスターを取り逃がしてしまった僕は、加蓮ちゃんをCRへ搬送。皆にも連絡を取って、今後の方針を話し合っていた。

バグスターの活動が沈静化しつつあるこのタイミングでの新種。皆の表情も険しい。

 

「『狩るか狩られるか』…そのバグスターはそう言ったんだな?」

 

そう問い掛けてくる飛彩さんも、難しい顔をしている。恐らく、僕と同じ事を考えてるんだろう。

 

「はい、確かに。」

 

「だとすれば、今回のバグスター…。ライオンの様な外見、という情報といい、そのフレーズといい…やはり敵は…「はいそこー。二人で分かった顔してないで、自分らにも教えてくんない?

───あ、永夢。これ加蓮ちゃんの診察結果な。」

 

僕と飛彩さんの会話を遮り、やって来たのは貴利矢さん。手にしたカルテを僕へ差し出しながら、しかめっ面を浮かべてる。

 

「…ったく。折角自分の開発したワクチンの出番と思ったのによ…新種とはな。───で?永夢と大先生、敵の正体に心当たり有る感じ?自分はてっきり、あそこで複雑そうな顔してる()…まーたアイツの仕業だと思ってたんだけど。」

 

言いながらCR奥に有るドレミファビートのゲーム機を顎で指す貴利矢さん。正確には、その画面に映った一人の男を指してるんだろうけど。

 

「おいゲンム、ほんとにテメェの仕業じゃねぇんだろうな?」

 

貴利矢さんだけじゃなく、全員の視線が彼に向けられる中、大我さんがウンザリした様子で彼に問い掛ける。

 

「黙れェ!また私の許可無く不正なガシャットを…いや、厳密にはガシャット自体は不正では無いが…!」

 

その問い掛けに苛立った様子で噛み付く彼───黎斗さん。心底不愉快そうに、ブツブツと独り言を漏らしながら画面の中をウロウロしている。

 

「てことは、本当にアンタの仕業じゃないってワケだ。おい神、敵は何者なんだ?」

 

「………永夢と鏡先生は察しているようだが、恐らく今回のゲームは『ナイト オブ サファリ』。確かに私も開発に関わっていた物だから、厳密には不正なガシャットではない。─────だが、私はこのゲームのバグスターを生み出した覚えは無イィ!!!」

 

ナイトオブサファリ。かつて幻夢コーポレーションで開発され、その後何者かに強奪されたレベル4のガシャット。

僕自身が攻略したわけじゃないけど、飛彩さんがその力で浅倉威という危険な男を倒したらしい。あの人は本当に恐ろしかった…暴力を楽しむ、黎斗さんとは違ったベクトルで危険な人物。

だけどその後飛彩さんが気付いた時には、ガシャットは紛失していたらしい。

 

「永夢の変身が解除させられたってのは?そのゲーム、聞いてた話だとレベル4のガシャットなんだろ?───そうでなくても、マキシマムが一撃で変身解除なんて異常だ…普通のバグスターどころか、パラドやグラファイトだって、そこまで出来るとは思えない。」

 

貴利矢さんが難しい顔をして黎斗さんに問い掛ける。

確かに僕も気になっていた…あの時、ライダーゲージはほぼ満タンの筈だったのに。

 

「……レベル4は特殊なガシャットだ。そうだな…仮面ライダーのレベルアップをゲーム風に言えば、レベル3まではキャラクターのステータス上昇と、単なる武具の装備。そしてレベル5からは、そこにスキルの習得が加わる。」

 

「スキル…?」

 

「ドラゴナイトハンターZの協力プレイ然り、デンジャラスゾンビの不死然り。この様なゲーム毎の特徴に加えて、例えばレベル50のゲームの『一つのガシャットで二種類のゲームを切り換えられる』性質や、レベルXの『未知数』だってそうだ。レベル3までの武装強化に加えて、何かしら特別な性質が加わってくる。

─────そして、レベル4はその実験段階のガシャットとして考案していた。」

 

「そんな事も分からないのか」と言わんばかりに渋い顔の黎斗さん。

多分皆その顔にイラッとはしてるだろうけど、先を促し余計な水は差さない。とにかく、奴の攻略法を探らなければいけないのだから。

 

「レベル4は言うなれば、レベルXのプロトタイプ。レベルの概念に縛られない戦力として考案した。…単純な戦闘能力とは違った方法で勝敗を求める、ジュージューバーガーもそうだな。」

 

「レベルの概念に縛られない…じゃあ、マキシマムがやられたのは…。」

 

「そのバグスターも言っていたろう?『狩るか狩られるか』だと。肉食獣は草食動物に対して絶対的な強者だが、時として返り討ちに逢う事も有る。どれ程優れたスペックを持ってしても、結局は生き残れ無ければ意味が無い───そんな自然界の厳しさを再現した能力というわけさ。…まったく…言葉にすると改めて自分の才能の恐ろしさを実感するな…ブハハハハ!!」

 

「うっせぇな…回りくどい言い方してるけど、よーするにレベル差無視攻撃ってワケ?ったく、ロクでもないモンばっか作る神だなオイ…。」

 

黎斗さんの高笑いに顔を顰めつつ、溜め息混じりに頭を抱える貴利矢さん。

そんなあからさまな反応も全く意に介さず、満面の笑みで黎斗さんは続ける。

 

「勿論、常にレベルやスペックを無視出来るワケではない。この能力が発動するのは、完璧に攻撃が決まり、当たり判定がパーフェクトになった時のみだ。」

 

「成程な。確かに厄介ではあるが、それが一番効果的に使えるのは最初の一度きり。相手の手の内さえ分かれば、幾らでも対策は立てられる。」

 

飛彩さんの言葉に、僕達も頷く。黎斗さんの言葉が正しければ、ヤツの力は初見殺しな部分が大きい。

あのスピードは厄介だけど、上手く立ち回れば勝てない敵じゃないって事だ。

 

「とはいえ、さっきも言った通り私の生み出したバグスターではない。最悪、ハイパームテキなら負ける事は無いだろうが…油断はしない事だ。」

 

「お?なんだ神。今回はいやに協力的じゃない。」

 

「勘違いするな。ハリケーンニンジャの件もそうだが…私以外の者が、私の才能を利用して不正な存在を生み出す…それだけは断じて許さない!それだけの事だ。」

 

何処までも何時も通りの黎斗さんの姿に、僕は思わず苦笑いした。

 

 

 

 

 

 

「あ、先生!」

 

「加蓮ちゃん、様子はどう?何処か苦しいとかは無い?」

 

「大丈夫だよー。強いて言えば、さっきポテト食べ損ねちゃったから食べたいなー…ってくらい。」

 

良かった。思ったより元気そうだ。その事に僕は安堵し、ほっと息を吐く。勿論油断は禁物だけど、今は加蓮ちゃんが大きなストレスを感じてない…容態が安定してる証拠だ。

 

「なぁ先生!加蓮は…加蓮は助かるよな!?頼むよ、加蓮を助けて…ッ!」

 

「ゲーム病ってあれでしょ?ちょっと前までニュースになってたやつ。何とかクロニクルってゲームの。…ねぇ、先生。本当に大丈夫なの?さっきもあの化物に逃げられちゃってたし…。」

 

寧ろそんな加蓮ちゃん本人よりも、傍に居る奈緒ちゃん達の方が不安そうだ。奈緒ちゃんは今にも泣き出しそうで、凛ちゃんも僕に向ける眼差しは厳しい。…無理も無い。ゲーム病の脅威は、連日これでもかという位に報道された。その上僕は、彼女達の前で変身しておきながら、結局バグスターに逃げられてしまった…大事な親友が消滅の危機に晒されてるとなれば、誰だって不安や悲しみや怒りを抱くだろう。

 

「………すみません。確かにさっき僕は、あのバグスターを取り逃がしてしまった。すぐに加蓮ちゃんを救えなかった。本当にすみません。

 

─────けど、どうか信じて下さい。必ずアイツを倒して、今度こそ加蓮ちゃんのゲーム病を治します。…加蓮ちゃんの、笑顔を取り戻してみせます!」

 

何をどう言い訳したって、加蓮ちゃんがまだ感染したままなのは揺るがない事実だ。

だから僕は、今度こそ彼女を助ける。その心からの想いを二人に伝えた。

 

「……でも!」

 

「ほーら、凛も奈緒もストップ。…心配してくれて、ありがとね?でも大丈夫…だって私は先生の事、信じてるから。」

 

尚も気持ちを抑えられない様子の凛ちゃんに、加蓮ちゃんは優しい声音で語り掛ける。…幾ら容態が安定してるとはいえ、一番不安なのは加蓮ちゃん自身だろうに…。加蓮ちゃんの言葉が僕にとっては凄く誇らしかった反面、彼女を救えなかった自分が情けなくなる。

 

けど、そんな僕に加蓮ちゃんは

 

「先生?今自分の事、『情けないな』とか思わなかった?」

 

「え?」

 

「もー…やっぱり!」

 

少し怒った様に頬を膨らませた後、すぐに笑顔を───とてもゲーム病に不安を感じてるとは思えない、暖かい笑顔を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

「先生?今自分の事、『情けないな』とか思わなかった?」

 

「え?」

 

先生の顔を見て、自分の勘に間違いは無かったと確信する。先生、ホントに素直だから顔に出ちゃうんだよね。

それはそれとして、私は少し不満を覚えた。だって、真面目なのは良いけどさっきの言葉でその反応されちゃ、却って失礼じゃない!?

 

「もー…やっぱり!」

 

きっと…ううん、確信してる。この先生は、優しくて、命が───笑顔で過ごせる事が、どれだけ素敵な事なのか知ってるんだ。だから真面目に、私の『信じてる』って言葉を『信頼を裏切ってしまった』って捉えちゃう。

 

けど、私は本当に先生の事を信じてる。勿論、ゲーム病は怖いよ?でも、永夢先生なら必ず助けてくれるって信じられる…だから、怖くても不安にはならない。

 

「先生、さっき私の笑顔を取り戻すって言ってくれたよね。…でも、大丈夫。私は笑顔を失くしたりはしないから。─────私は、先生が助けてくれるって信じられる。だから、ゲーム病なんかにそう簡単には負けないよ!」

 

「加蓮ちゃん…。」

 

そう、この人はきっと大丈夫。だって…以前(・・)もそうだったから。

 

「………凛、奈緒。黙っててゴメン。

私ね────ゲーム病に罹るの、二回目(・・・)なんだ。」

 

もう、笑顔を失くしたりはしない。

 

 

 

 

昔、一度は失いかけて

─────永夢先生が取り戻してくれた笑顔を。

 

 

 

【to be continued…】




レベル4完全捏造設定は、『仮面ライダーブレイブ』で飛彩が浅倉に勝てた所からの考察もとい妄想です。
「もしあの浅倉が劣化コピーだとしても、レベル一桁で勝てるのかな?」→「そういうゲームだったのでは?」という。

感想、評価等お待ちしてます。
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