とある日のギルドにて。チャ―さんとの会話。
「ちゃーさんちゃーさんちゃーさん」
「なんだ?」
「ミニ四駆も良いけど、ゲームやりたい。作れないの?」
「作れないな。構造が複雑すぎる」
「ですよね」
「作れないが、手に入れることはできるぞ」
「マジか。どうやって?」
「思い出せ、と言うか寮に帰ったら部屋をよく探してみろ」
「ゑ?」
そして夜、寮、自室にて。
「桃鉄なう」
普通にありました。プレステとロクヨン。そう言えば日向くんとか仲村さんとかパワプロやってたね。なんでゲームがこの世界にあるんだろうか? と思ったけど、この年頃の男子高校生が持っててもおかしくないからじゃないのか、とチャ―さんは言ってた。最新ハードではないけど、別に気にしない。むしろこのハードをチョイスした神様(仮)がナイスセンスすぐる。
「冬のプラスマスには興味ありません。このゲームの中にいるボンビー、スリの銀次、デビル系のカードはユイにゃんのところに行きなさい。以上」
「うわー! 言いながらボンビー擦り付けんなコラー! って、あー! 関根先輩、デビル派遣カード禁止ー!」
「うわはははは! 友情なんてこうしてくれるわ! こうしてくれるわ!」
「友情クラッシャーですね、わかります。ユイにゃん今度ドカポンやろうず」
「どかぽん? なんか可愛い名前ですね! ぜひ!」
計画通り……!
「わ、先輩と関根先輩がすごく悪い顔で笑ってる! もしかしてユイにゃんピンチ!?」
モノホンの友情クラッシャーってヤツを見せてやんよ!
「はい、次は君だねー」
そう言いながら関根ちゃんがコントローラーを渡した。ここのもう一人の住人にだ。当然の如く、彼はNPCである。でも話せるし遊べるしなので関根ちゃんが(人数合わせのために)一緒にゲームやらない? と声かけたら二つ返事でOKでした。NPCでも女の子に誘われたら嬉しいらしい。新しい発見ですね。でも名前とかわかんない。超わかんない。
「しっかし、アレだね。なんかこんな時間にあの、男子寮でゲームなんてなんか、アレだよね! アレ! アレアレ!」
「もうちょっとまとめてから話してくだしあ」
「せ、青春……?」
「恥ずかしいなら言わなきゃいいのに」
関根ちゃんにポカポカ叩かれても痛くないです。岩沢さんとひさ子ちゃんあたりに感謝です。いや、なんかおかしい。これは絶対に違う。
「なっつんもさー、部屋に女の子が来てるんだからさー、なんかこう、ないの? こう、ほらドキドキーとか、モンモンーとか、ムラムラーとか。ねーねー」
「出雲の独占を宣言させてもらう」
「え、あー! あたしの出雲がー! 狙ってたのにー! なっつんのバカー!」
「ざまぁないですね! 関根先輩!」
「ユイ、表へ出ろ」
関根ちゃんの無表情初めて見た。
で、暫く桃鉄に勤しみ、そろそろ飽きたねーってところで違うゲームに移行。今はユイにゃんとNPCくんが無双してます。バッタバッタと敵をなぎ倒しております。で、俺は関根ちゃんとお喋りんこ。
「来た時も思ったけど、男子って意外と綺麗にしてるんだね」
辺りを見回しながら関根ちゃんが言う。
「部屋のこと? 俺は寝に来てるだけだし、もう一人はNPCだからね」
散らかる。汚れる。この二つに繋がる要因は少ないかと思われます。コレと言って意識して綺麗にしてる訳ではなかったりします。
「そもそもあんまり物が増えないかな。ここにいたら私服とかいらないし」
制服、ジャージ。あとは何着かの部屋着があれば困りません。この辺は結構楽で助かってます。あ、ちなみにこの世界では私服は売ってなかったり。NPCさん達が着ている制服は購買で売ってるけども、私服とか戦線の制服とかは自作しないとダメみたい。
「それもそっか。あたし達と似たようなものだねー。あれ、でも、だったらなんであたしはこの間みゆきちに怒られたんだろう……?」
「あれ? 入江ちゃんと同じ部屋だったの? いいね。楽しそう」
「そだよ。あたし言ってなかったっけ?」
「初耳。あ、そいえば今日来なかったね入江ちゃん。誘ったのに」
「あの子初心だからねー。男子の部屋は恥ずかしいって……ちょっと待った! これじゃあたしがビッチみたいだ! なし! 今のなしー! あたしだって一人で来るのは無理! 恥ずかしい! だって女の子だもん!」
関ビッチ乙。なっつんの命にかかわるパンチをします。ごめんなさい。うぃ。
「む? 待てよ。今の話から察するにつまり俺は入江ちゃんに男として見られてるってことに……?」
「いや、それはない。あたしもいるし、なっつん一人なら大丈夫って言うか気にしないって本人も言ってたよ。相部屋の人がダメなんだってさ。あとみゆきちは渡さないから」
「ですよね」
入江ちゃんは少しだけ男嫌いの傾向があるのでは? なんて思ったりしたけど、戦線メンバーと話してる時は普通だし、そもそも俺とはお話してくれるので単なる人見知りっぽいね。ちょっと安心。
「でも、なっつん的にはどう? みゆきちはあり? なし? ちなみにあたしはありだ!」
「関根ちゃん恋バナって言うか、その手の話大好きだよね」
「そりゃあもちろん大好きだよ。女の子だもん。だもんだもん」
「あれ、女の子は他にもいるのにそっちではその手の話が出てない様な……?」
「うん? そう、だね。あれ、変だね」
「うん、おかしいね」
「あ、でも女子会で少し話すよ。好き嫌いとかよりはありかなしかだけだけど」
「お、なんかすごく女子っぽいね」
「女子ですー。れっきとした女子ですー」
知ってました。
「男子はやらないの? そういう感じの、ほら、男子オンリーイベントとか」
「それなんか違う。でも前に男子だけで野球やったかな。まぁ、立ってただけだけども」
「なつ子、それプレイやない、ウォッチや」
誰がなつ子やねん。
「野球と言えば、ぼちぼちアレだね」
「アレ? 君が何を言ってるかわからないよ……なっつん……」
「シンジくん乙。学校主催の球技大会ですお」
「あー、そんなのあったね。あったかも。え、なっつん出るの?」
「いや、そのつもりはないけども、なんか仲村さんが悪だくみしてた」
「いつものことだね」
「そうだね。いつものことだね」
なっつん出るならみゆきちと一緒に応援してやんよ、とか。ユイにゃん出ます! 出まくります! とか。でも運動苦手なので参加しません。興味ないのです。NPCくんも何か言ってたけど、聞こえなかった。ごめんね。