えんぜるびっつ。   作:ぽらり

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「やっぱ普通に参加するんじゃない?」

 

「それだと消えちまうんじゃねーのか?」

 

 ひさ子ちゃんが答えてくれた。確かにその通りかも。ただいま自動販売機の前でガルデモ5人と一緒に緊急会議中。お話聞いてなかった組です。

 

「やっぱりここは新生ガルデモでライブでしょー!」

 

「いや、ライブは少しの間お休みって仲村さん言ってたじゃん」

 

 ユイにゃんそこすら聞いてなかったのか。きっと岩沢さんですら聞いてたかと。

 

「ねぇ、岩沢さん」

 

「ん、邦楽のロックも好きだけど洋楽の」

 

「話聞いてよ」

 

 聞いてなかってぃんぐ。現在進行形で聞いてなかった。さすがの一言に尽きます。

 

「遮るな」

 

「え、あ、ごめんね」

 

「ん」

 

 謝っちゃったけど、俺が悪いのだろうか。どこか腑に落ちないお。

 

「なっつんなっつん」

 

「なに? 関根ちゃん」

 

「 ド ン マ イ 」

 

 顔がめっちゃ笑ってますがな。

 

「関根ちゃんがいじめる。入江ちゃんに助けを求めよう。そうしよう」

 

 急に話し振られた入江ちゃんが驚いた顔してる。とりあえずなんか言ってやって下さいな。

 

「ひ、卑怯だぞなっつん! みゆきちに助けを求めるなんて!」

 

「関根ちゃんって入江ちゃんに弱いよね」

 

「ぐ、ぐぬぬ……! おのれ、なっつん……!」

 

「おお、関根ちゃんよ。そこで引き下がってしまうとは情けない」

 

「な、仲良くしなきゃダメだよぅ」

 

 とは入江ちゃんのお言葉です。

 

「え、あたし達仲良いよ? ねー、なっつん」

 

「そだね。桃鉄で開始早々打ち合わせ無しで一人を狙い撃ちする位には仲良いよね」

 

 ユイにゃんのことかー! とか近くで聞こえるけど気にしない。関根ちゃんも気にしてないし。

 

「また遊び行くね。今度はみゆきち連れて」

 

「ん、お菓子用意して待ってる」

 

 相部屋のNPCくんには外してもらわないとだけと。じゃないと入江ちゃんが人見知りスキル発動しちゃって来れないし。

 

「こ、今度は行けるようにがんばる……!」

 

「ん、待ってます」

 

 ぜひ頑張ってくだしあ。

 

「しっかし、どうすっかなー」

 

 ひさ子ちゃんが後頭部を書きながら言う。恐らく球技大会のことだと思われる。岩沢さんはあんまり興味ないみたいで、さっき自販機で買ったお水飲んでる。まじヴォルビック。

 

「誰かに聞いてみる?」

 

「それが無難かー」

 

 ひさ子ちゃんの賛同を得たので、聞きこみミッション開始です。と思いきや。

 

「岩沢さんどこ行くのさ」

 

「屋上」

 

「へ何しに?」

 

「ギター」

 

「を弾きに?」

 

「ん」

 

 だそうです。こうして岩沢さんは屋上へ向かいましたとさ。その左手にはヴォルビック。

 

「いやいや、なに普通に送り出してんだよ」

 

「つい」

 

 あまりに自然と言うもんだから。だからひさ子ちゃん、怒らないでほしいです。

 

「ついじゃねーよ。どうすんだよアイツ」

 

「ほっとけばいんじゃね?」

 

 あんまり参加したくなさそうだったし。

 

「……そうもいかねーだろ」

 

「今ちょっと間があったね。なんで? ねぇ、なんで?」

 

 うっせ、と言われて耳引っ張らりた。地味にいたひ。

 

「この屈辱をユイにゃんにもって、ん?」

 

 遠目に戦線メンバーが見えた。ひさ子ちゃん達も気付いたみたいで、皆そっちを向いてる。あの人は確か……。

 

「高松くんだ」

 

「高松だな」

 

「筋肉達磨ヤローですね!」

 

 ユイにゃんせめて名前で呼んであげて。

 

「こっち来るね。逃げる?」

 

「なんでだよ。球技大会のこと聞けばいいじゃねーかよ」

 

「ひさ子ちゃん天才か」

 

「お前がアホなだけだ」

 

 ひでぇ。

 

「なっつんアホだね!」

 

「先輩アホですね!」

 

 二人ともうっさい。

 

「げ、元気出して……!」

 

 別に落ち込んでないけども。

 

「でも入江ちゃんだけが俺の味方。入江ちゃん甘いもの好き? デザートの食券あげよっか?」

 

「え、いいよぅ。悪いよぅ」

 

 遠慮しなくていいのに。それから関根ちゃんとユイにゃんにはあげないから。騒いでもダメです。あげません。

 

「みゆきち贔屓だ! あたしもほしい!」

 

「べジータ風でよろ」

 

「食券くれよぉっ!」

 

「やーだよっ!」

 

 あたしあのCM結構好きだったなー。うん、なんかクセになるよね。ねー、あ、グミ食べたくなってきた。奇遇だね、俺も。買いに行こっか。行きませう。

 

「ユイにゃんも行く?」

 

「行きます! 暇なので!」

 

「ん、入江ちゃんは、誘うまでもないか」

 

 すでに関根ちゃんが確保済み。

 

「ひさ子ちゃんは? 行く?」

 

「いや、パス。高松に話聞いておく」

 

「あとで教えてくれると嬉しいです」

 

「はいよ。じゃあ、またあとで」

 

 バイバーイと手を振ってお別れ。ひさ子ちゃんは高松くんの方へ向かい、残った四人はグミを求めて一路購買へ。

 

「ユイにゃん運動得意そうだね」

 

「はい! よく言われます!」

 

「球技は? 得意?」

 

「まったくダメです!」

 

「ですよね」

 

 そんな気がした。

 

「ぶっちゃけスポーツ苦手です! 生きてた頃も全然やってませんでしたし!」

 

「ん、そっか」

 

 実はユイにゃんの生前の頃の話は聞いたことがなかったりする。本人がこの調子だし、あんまり話す雰囲気にならないのだ。てか運動苦手なのね。お仲間さんでした。

 

「今度バドミントンでもやろっか。みんな誘って」

 

「はい! トリプルカウンター見せてやります!」

 

「ならばこちらは無我の境地というものを見せてやろう」

 

「まだまだですね!」

 

「ワシの境地は百八式まであるぞ」

 

「そんなに使い分ける必要ってあるんですかね!」

 

「元も子もないことを」

 

「まだまだでしたね!」

 

 そのようです。

 

「いりえちゃんいりえちゃんいりえちゃん」

 

「なに?」

 

「入江ちゃんって運動得意?」

 

「えっと、あんまり……」

 

「ナカーマ」

 

 二人目の同族発見しました。よかった。戦線の人たちって運動得意な人多くて肩身狭いのですよよよ。

 

「あたしもそんなに得意じゃないなー」

 

「あれ、関根ちゃんも? ちょっと意外」

 

「多分、ガルデモだとひさ子先輩くらいじゃないかなー。運動得意なのって」

 

 話し聞く限りだと、岩沢さんも得意じゃないみたい。まぁ、進んで運動するようには見えないし、納得できるかも。

 

「とかなんとか言ってる間に購買に到着です」

 

「グミくれよぉっ!」

 

「関根ちゃん落ち着いて」

 

「うぃ」

 

 購買のおばちゃんに怪訝な目で見られてしまったジャマイカ。気にしないけども。

 

「グミありますか? ねるねるねるねでも可です」

 

 みんなでグミを含むオヤツを選びながらキャッキャッしてました。今日の収穫はぐるぐるもんじゃです。

 

 


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